- アルバム全曲レビュースレ in 邦楽版23rd
166 :名無しのエリー[sage]:2010/03/07(日) 17:17:56 ID:u5N95K5b0 - みなさん乙です。では自分も。何のリクもないところをついてしまいましたが
心の星/ベッキ−♪# 1.テクノキャット ★ 微妙にテンポ速めで何だか落ち着かない印象の4つ打ちテクノポップ。Perfumeのそれとは路線が明らかに違い、 80年代初頭の邦楽といった感じのしょぼいシンセで彩られている。差別化のためにわざと外したのか、素で便乗し損ねたのかは知らないが。 サビ前のアレンジとか結構酷くて驚いた。と思ったらそんなのは序の口で、ラスサビの前の「テ テ テテテ…テクノキャ〜ット」で アレンジャーの本気を見ることになった。罰ゲームとして見てもかなりえげつない部類に入る出来。さすがにベッキー♪#が気の毒になる。 作詞は今作全てベッキー♪#が手掛けているが、喋りの印象に反して文章を書くのは下手。可愛くしようとしても、上手いこと言おうとしても 空回ってる感じ。ところで曲名を見た時は「私テクノキャットよ」的な詞かと思ったが、本人のことではなかった。確かに本人のイメージは どちらかというと、変態ベアーを通報する探偵ラビットってとこだと……ああっベッキーの目つきが鋭くなった! 2.好きだから ★★★ アップテンポで古めの王道J-POP。曲が短調になったからなのか、歌い方がかなり変わる。フィリピン系の訛りが入った日本語というか、 ウ段が強くて粘っこい発音になる。瀬川瑛子にポップス歌わせたような感じ。曲は何の変哲もなく、アレンジも芸の細かい職人的な感じを避けて 至極分かりやすく仕上げている。なんか予想以上に金かかってないかも。歌は下手ではないが、意外にもメリハリがなく事務的。 もっと感情まかせで思い切りのいい感じを予想したが、何というかカラオケの採点機と競ってる感じの歌い方。 3.君へ ★★ Bメロ後半からサビへの繋ぎがキレイなミドルテンポのポップス。多くを望まなければ普通に聴ける。今作全般で伴奏があまり立たないように 作られているので、歌メロ以外のパートは何となく埋まってれば良いというくらいの人なら違和感無く聴けるかも。スルメ度は確実に低いけど。 時間が経てばいずれ君にも理解できるよ的な上から目線の歌詞は、個人的にはどうかと思うが今作中ではかなりキャラが出たほうに入るか。
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167 :名無しのエリー[sage]:2010/03/07(日) 17:19:02 ID:u5N95K5b0 - 4.心こめて ★★
一青窈が歌いそうなしっとりしたポップス。今までの曲に比べると若干抑揚があるように感じる。それでも基本的には 音程外さず、リズム踏み外さずを重視した、カラオケ高得点スタイルなので、聴いていてちょっと退屈。もっと天然っぽいとこをいじりたいんだが…。 歌詞も色んな場面を描写しようとして、その断片を少しずつ散りばめたところで終わってしまったような消化不良感がある。 もっとコミュニケーション上手なイメージがあったんだが、作詞に限ってなのか随分一人よがりで、伝達力がないように感じる。 5.そらいろ ★★★ 今作全般の傾向とはいえ、かなりカクカクした歌い方になるまったりポップス。全く感情の起伏がない。初音ミク。 音符を繋げず、一音ごとにほんのちょっとずつ隙間を空けてるような歯切れの良い歌い方で、これはこれで高度な技術にも思える。 ていうかPerfumeとかみたいに、普通に歌った後で歌声の終わり際を細かくカットしてカクカク感を出してるだけかも。 ベッキー♪#に元気を貰いたくてCDを手に取った人にすれば期待外れかもしれないが、楽曲はBメロの流れがキレイで印象的。 そして歌詞は完全に何も書きたいことがない人の作詞。よく見る言葉の羅列という感じで、感覚的とも論理的ともいえず、これといった傾向がない。 6.〜The STAR Bridge〜 ★★ 30秒ほどのアカペラ。本人作曲で、全英詞。えらくスペーシーな声色に加工されてるが、お陰でインスト的にさらっと聴ける。 しかしここまで加工するならもう誰に歌わせても同じでは。あまり能力を評価されてないんだろうかベッキー♪#。 7.WBC ☆ 引き続き作曲もベッキー♪#が手掛けたアッパーなロック。彼女に元気を貰いたい人が待ち焦がれたであろう元気ソング。 しかしここまで対象年齢を下げてくるとは思わなかった。なかよしとかコロコロコミックとかそんな感じのレベル。 しかもあまり抑揚もない。最初っから最後までずっとそこそこ元気に歌った感じ。バンザイとかの掛け声が頻繁に入るが、 自分で作詞してる割にどこか照れてる感じで、あまり元気がない。やるならやり切ったほうが。アイドルは時としてバカになり切る必要に迫られるが、 そういう連中と違い自分は知的だというプライドが彼女にはあるのかも。サビ中の掛け声とか半端すぎてこっちが恥ずかしい。
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168 :名無しのエリー[sage]:2010/03/07(日) 17:19:43 ID:u5N95K5b0 - 8.手紙 ★★★
欲張らずにテーマを絞ったおかげか、今までの曲に比べ言いたいことが伝わるバラード曲。これも本人作曲で、やはり提供曲に比べると 普通すぎて印象薄だが、よく言えばいきものがかりに引けをとらない作曲能力がある。アレンジは何となく埋め立てられてる感じで 味気ないが、歌唱の面では終盤に色々がんばったおかげで人間味が出てるのでは。 9.幸の素 ★★ ストリングスが元気に鳴るシャッフルのポップス。メロとかは特筆するほどでもなく、アレンジも無難。そして歌は無表情。 詞は何故かツンデレ。現実的な範疇での小さいわがままを繰り出した後、大オチで「手をつないでもいいですか?」と急にモジモジする。 ツンデレというキャラ自体、「あくまでルックスが良いうえで」みたいな前提があってこそもてはやされてる気がするので、 彼女の見た目が好きならツボるし、そうでないならウザく感じるであろう曲。 10.ハピハピ ☆ タイアップの関係で、がっつり対象年齢を下げたシャッフルの元気ソング。ちょっとおどけたような歌い方で雰囲気を出そうとしているが、 何となくすねてるようにも聞こえてしまい、カラッと元気な出来にはし損ねてる印象。まあ自分にとって印象が良くなくても、 本来の客層であるキッズ達にウケれば問題ないだろう。サビで入るハピハピ♪とかラキラキ♪なんてコーラス、いかにも子供に喜ばれそうだし。 ちなみに「クレヨンしんちゃん」主題歌。ハピハピ♪ラキラキ♪
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169 :名無しのエリー[sage]:2010/03/07(日) 17:21:57 ID:u5N95K5b0 - 11.闇を突きぬけてゆく ★★★
本当に短調用の歌い方なのか、M2のようなモゴモゴした発音に戻るミドルテンポ曲。Aメロのカクカクした無機質な歌い方がベッキー♪#らしい。 まあこの作品を聴く前はそんな歌い方を「ベッキー♪#らしい」と表現することになるとは思ってもみなかったけど。 ところでいい加減「ベッキー♪#」という表記がウザくなってきたが、#が付く以上本来の発音と変わるので正確に表記せざるを得ない。 最後の伸ばす音が半音上がるから。この半音ってのがまた気持ち悪いけど。ジョーズのテーマのデーデン、デーデンってやつみたいで。 12.時の中に ★★ ラストは今作中4曲目の本人作曲で、決意表明的なバラード。ピアノ弾き語りで締めるあたり、ベタな今作らしい。 ピアノはポップスというより合唱の伴奏みたいなお堅いフレーズで、何だか音量も均一になりがちで強弱の弱が足りない感じ。 彼女はピアノ弾けるらしいので、この曲は本人が弾いたのかも。歌唱は今作中では生身っぽいほうなのに勿体無い。 歌詞では「音符♪抱きしめて ゆっくりと階段#をのぼるよ いいかなぁ?」とか出てくる。そういうアレでベッキー♪#ですか。うざっ。 イオンとのタイアップの兼ね合いで♪付けたのかと思ってた。#も読まないらしい。半音上がらないなら違う符号使ってくれ。
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170 :名無しのエリー[sage]:2010/03/07(日) 17:23:06 ID:u5N95K5b0 - 総評 ★★
主にバラエティータレントとして活動するベッキーが、「ベッキー♪#」名義でリリースした1st。 本人曲も含めかなり保守的なJ-POPでまとまっており、タレントとしてのファン層同様に広い年代が抵抗なく聴けそうな感じだが、 緻密な作り込みを意図的に避けただけあって、二周目以降の新発見がない安直な作品。狙いは分かるが、あまりに狙い通りすぎるというか、 もう少し聴きしろがあっても良かったのでは。単なる手抜きに聞こえてしまう。歌は上手そうな印象を持っていたが、ひたすらミスなく 歌うといった感じで、意外にも自由奔放さが全くなかった。もしかしたらカラオケ採点機での点数勝負なら、プロの中でも 徳永英明とかSalyuみたいな特殊なリズム感で歌う人に勝つ可能性もあるが、それだけという感じ。声質や歌い回しにも個性がなく、 特に影響を受けた歌手もいなそうな印象。タレントとしては禁句を避けつつ流暢に喋るが、歌手としては「ここでシャウトして」とか 「ここ自由にフェイクして」と注文されても、決まったメロディとリズムを与えられないと困ってしまいそうな杓子定規なシンガーに思える。 26歳の今までアルバムを出さなかったのも、これといった売りに欠けることと、タレントとしてのキャラとの矛盾がネックだったのでは。 作詞もあまり深いところを掘り返さない、当り障りの無い出来。客層を考えれば肉欲のカケラもない詞になるのは当然なのだろうが、 アルバム曲くらい普段見せない本音の部分とかに触れてよかったのでは。影がなさすぎて不自然。幼いころから芸能界にいるはずだが、 こんな普通の人みたいな詞しか書かないもんなんだろうか。これなら全部自分で作詞せんでも、プロに書かせりゃよかったのでは。 総じて彼女の新たな一面を見たというより、今更身を切ってまで新たな一面を見せる気は無いという彼女の意思表示を見た一枚。 全て計画的に事を進めて、その通り音楽的にもメッセージ的にも空気な作品。タレントとしての彼女はもっと敵味方をはっきり分ける存在で、 支持層は「ベッキーが嫌いとかありえない」と言い、不支持層は「ベッキーなんてみんな嫌いだろ」と言って互いの溝が埋まらない感じだが、 ベッキーという名前を伏せた状態で双方にこの作品を聴かせたら、どちらも「フツー」という感想なのでは。
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