- アルバム全曲レビュースレ 18th
549 :名無しのエリー[sage]:2008/08/03(日) 13:14:27 ID:Gb0L34P90 - >>512>>517>>524>>529>>536>>543>>547
乙。みんな手広いなあ。スパカ昔コピったけど曲名みてもやっぱどれか分かんないね PANIC FANCY/ORANGE RANGE 1.Beat it ★★★ 通して聴くとアッパーな曲が多い今作のオープニングは、意外にも遊び心の詰まったユルいミドルテンポ曲。 サビメロはM-AGEの「CHANGE YOUR MIND」みたいだが、これをパクリと言ってしまうとYUIの立場がないので単にありがちなメロと言う事で。 ソングライティングが優れているというよりアレンジの手腕が冴えており、歌の隙間にこそ真髄があるという奇妙なスタンスは相変わらず。 2.イケナイ太陽 ★★★★★ メロディからコーラス、キメ、コード進行、ラストの転調に至るまでレトロな熱血青春ノリでダサダサに仕上げた、今作中でも最大級のインパクトを 有する曲。懐かしいというか、ここまでコテコテな曲が流行った時代ってあったんだろうか。いい曲なのかと訊かれると答えに困ってしまうが、 この思い切りの良さは買いでは。TOKIOの「うわさのキッス」を彷彿させるサビのベースラインもダサカッコいい。タメの効いた重いタムさばきを聴かせる ドラムの桜井も何だかノリノリ。コブクロの時とは一味違うぜ。ある意味ダメな大人になってる。でもこれで良し。 2曲目に持ってきたのは勿体無い気もするが、早めに出しとかないと扱いづらい曲でもあるのかも。 ある意味邦楽史の功罪を背負って立つアンセム的な曲。 3.世界ワールドウチナーンチュ紀行〜シーミー編〜 ★★★ NAOTO得意のピコピコに、佐野の繊細なハイハットとYOHのクラシックテクノ風ベースラインが絡む曲。しかし歌メロは取って付けたような出来。 普通に歌ってる箇所より何かムニムニ言ってる箇所のほうが完成度高いような…。メロディの出来が半端なのもさることながら、 歌としても変なコブシの効いた暑苦しいHIROKIのボーカルより、効果音的な遊び心のあるYAMATOの声のほうがNAOTOとの相性は良いのかも。
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550 :名無しのエリー[sage]:2008/08/03(日) 13:15:12 ID:Gb0L34P90 - 4.君ステーション ★★★
メロディもベタベタ、詞もよく聞く言い回しをさらに薄めたようなペラペラした出来の曲。HIROKIのピッチも危うく、RYOの「見失ってーオ」 「空見上げーオ」という発音もよく分からない。MCが余っているせいか、ここぞと言う時に絞らずに全般でやたらコーラスを入れてるのもくどい印象。 こんなんドラムがどう頑張ったって良くならんだろ、と言いたいところだが、佐野をナメてはいけなかった。ラスサビ導入からのプレイ等に 代表されるように、「こういう曲はこう叩け」というお手本のようなドラミングがギッシリ。聴ける。もはやオレンジレンジなのか!? 5.ソイソースVSペチュニアロックスfeat.ORANGE RANGE ★★★ ユルいYAMATOの歌で始まるため、ああレンジという感じで安心する曲。NAOTOの才能に軽く乗っかって適当に茶化す力の抜け具合が絶妙。 やはり真面目に涙を誘おうとしてはいけない。今作はNAOTOの影が薄めだが、おかげでYAMATOが結構いい仕事してるのが見えた面も。 意外とよそに出しても活躍できる人材かも。ガネクロとかには確実につまみ出されるが。曲としては良いところと悪いところが極端で、通して聴くと微妙。 6.Sunny Stripe ★★ ベイシティローラーズ路線のストレートなロック。またしてもメロディはベタ。野球中継のテーマ曲ということでそれっぽい詞になっているが、 サッカーW杯のテーマ曲(チャンピオーネ)の時と比べて随分おざなりな出来。渋めのUKロックで始まって途中からサンバを割り込ませる展開は 明らかにサッカー発祥のイングランドと実力の南米という構図を意識した「らしい」演出だったと思うが。野球に興味ねえな。 アレンジャーとしての資質は抜けているNAOTOだがギタリストとしては下手で、ソロはもう少し何か出ないかという感じ。 それでも佐野をナメてはいけなかった。 7.現実逃避 ★★★ 跳ねたリズムにアタックの強いストリングスを絡ませ、メルヘンチックな詞でキュートな世界観を紡いでいく曲。 J-POPでのお決まりなストリングスの使われ方とは一風違う、元気なバイオリンという見せ方は新鮮では。コミカルな歌い方も曲にマッチしている。 手堅すぎてありがちな印象も受けるが、今作中では曲中の出来不出来の波がない安定した曲といえるのでは。アウトロの謎のスクラッチも味。
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551 :名無しのエリー[sage]:2008/08/03(日) 13:16:19 ID:Gb0L34P90 - 8.シアワセネイロ ★
何だか懐かしいラッパで入る真面目な曲。自分が彼らに求めるものが違うせいか、いいこと言おうとしてる曲は全部スベってる気が。 メロディの出来はなかなかにヒドイ。主婦レベル。delofamiliaとズイブン違わねえか!?レンジの曲のほとんどはNAOTOが作ってるとは聞くが、 これは「意識的に書き分けてる」というレベルなのか。他メンバーが書いてるのか、はたまたNAOTOが、周りがみんなミスチルに夢中な少年期に 一人でインダストリアルノイズでも聴いてたせいで歌謡曲的なメロディメイクの土壌を持てなかったのか。高音ハモリが汚いのも致命的。 それでも佐野に見せ場はある。 9.5 ★★★ HIROKIとYAMATOはロック、RYOはレゲエ、YOHはミクスチャー、NAOTOはシューゲイザーがやりたかったので混ぜたという、根本の発想から間違ってる曲。 しかし、そういう事をさせたらNAOTOに並ぶ者はいないのでは。元々「ロコモーション」と「トラブル」という食い合わせの悪いものをひっつけて 成功とも失敗ともつかない代物を練成するような男だし。しかも本人的に成功だったらしく、「ある意味これも僕らの母さんだよ兄さん」とばかりに 街中のスピーカーでそれをデカデカと鳴らし、傍観してた人達をわざわざ感情的にして敵味方にハッキリ分け、結果的にはバカ売れするという 小泉劇場のような…イカンこれ他の曲のレビューだ…。曲としての試みは面白いが、最初のYAMATOの小人のくだりとラストのシューゲ以外は 別にいらないため、通して聴くと微妙な曲。何体もまとめて悪魔を合体させても強いのができるとは限らないって事で。 もっといい素材が集まれば…。福耳にNAOTO混ぜて同じことしたら面白そうなんだが。
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552 :名無しのエリー[sage]:2008/08/03(日) 13:17:02 ID:Gb0L34P90 - 10.O2 ★★★★
アニソンという事でNAOTOが器用さを発揮し、確信犯的にFLOWやウーバーっぽく仕上げた曲。レンジらしさが薄れるのは勿体無いかと思ったが、 予想以上の出来。アニメとの関連を考えてか、コーラスの妙でYAMATOの声をスペーシーに仕上げてたり、イントロの電子音も敢えてそれっぽい ベタなフレーズにしたりと工夫が多い。まさかの全員ユニゾンのサビ締めの後にRYOを持ってきてクールダウンさせる構成も良い。 シンセベースっぽさをイメージしてか、短めの音符で弾くベースも気持ち良い。節々でギターやドラムに小さなソロを回す、アニソン的な キメの美学も垣間見える。そして佐野は勿論、桜井もナメてはいけないと思う曲。 11.イカSUMMER ★★★ 中東的なイントロからストレートなロックへ展開する曲。メロディのひねりはやはり足りない。詞については、彼らの中で何がセーフで 何がアウトなのかさっぱり分からない。最初から最後まで桜井がトバし、YOHも他曲に比べ頑張って曲を牽引する。ギタリストとしての NAOTOが退屈なためもう一押しが弱いか。HIROKIソロパートのピコピコはらしくて良い。 12.太陽と向日葵、周りなんか気にせずに…夏。 ★ 何だか夏歌がかさばっている上、メロディメイクもかなり厳しいレベルのロックチューン。アトラクションズのようなファンシーなキーボードは 良いと思うが(クレジットから察するにNAOTOが弾いてるっぽい)、詞のイメージも女性コーラスの使い方も他曲と被るため、不要な曲という印象。 桜井をナメてはいけないが、限界はあると思う。
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553 :名無しのエリー[sage]:2008/08/03(日) 13:17:41 ID:Gb0L34P90 - 13.冬美 ★★★
とか言ってたらシリアスな冬曲。昭和歌謡な世界観で貫徹した詞とメロディには独特の味わいがある。HIROKIも普段より柔らかめに歌う。 YOHもAメロで印象的なプレイ。NAOTOも色々と遊んでおり、イントロではジリジリとした濁りの残る不思議なストロークを披露。 そのバックで鳴ってるセミの鳴き声みたいな音もギターで出してるらしい。ていうかギタマガのインタビューそんな話ばっか。 音1コ作るまでの過程が尋常じゃない。もうちょいメロディメイクにも時間をかけてくれると有難いんだが。 14.ドレミファShip ★★ 青春パンクのようなストレートなロック。なんか今回NAOTOの打ち込みが少なくて寂しいな…。全般的にはベタだが、YAMATOパートで ちょっと意外なメロディ展開になる。が、そこで入る「Wow Wow Wow」というコーラスが不安定すぎたり、YAMATOの歌い終わりがいい加減だったりで、 ボロを出した感が否めない曲。やっぱり直球な曲はボーカルが上手いに越したことはないか。ドラムの手数の割にYOHが大人しいのも気になる。 曲も大詰めになってから変声ボーカルを登場させたのは挑発的で良い。 15.Happy Birthday Yeah! Yeah! Wow! Wow! ★★ 誰のを聴いてもあまり出来の良いものに出会った記憶のないバースデイソングだが、意外にもレンジは正統派なホーンアレンジでゴージャスに 仕上げている。しかしメロディはありきたりで、詞も他との区別のない典型的なバースデイソングといたインパクトの薄い出来。 リズム体の活躍とNAOTOのアレンジ手腕でオケ自体は良いが、やはり普通のことを歌う彼らには違和感が。最後に一暴れを期待していたので、 すんなり綺麗に終わりすぎて物足りない印象。
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554 :名無しのエリー[sage]:2008/08/03(日) 13:19:01 ID:Gb0L34P90 - 総評 ★★★
一度鳴らした音は最後まで使い切るミニマルなリサイクル・ミュージックだったNAOTOソロ・delofamiliaの反動か、惜しげも無くアイデアを突っ込んで 景気よく使い捨てながらごった煮に仕上げた印象のレンジ5th。 前作に比べNAOTOの打ち込みが大きく減り、バンドサウンド中心になった為、他メンバーの負担が増えると同時にギタリストとしてのNAOTOの 技術的な弱さにも目が行くようになった印象。HIROKIは変なタメがあったり、逆にアタックだけ強すぎて減退が早かったりと歌にムラがある。 ストレートな発声と飛び道具的な効果音ボイスを扱うYAMATOがバンドの中で大きな役割を果たしており、意外と貴重な戦力という印象。 2人のスタジオドラマーは圧巻。特に前作で2曲しか叩いてないベテラン佐野康夫が今回7曲を叩く活躍ぶり。相対的にベースのYOHだけ 要求される仕事のレベルが高くなってしまうが、今更ドラムのレベルは下げられないので頑張ってもらうほかないだろう。彼がダメで、 ベースもスタジオマンになったりすると、さすがにドーピングしすぎというか卑怯なレベルになってしまう気がするし。 今回メロディが低調だが、NAOTOの資質自体、複雑なメロディや変則的なコード進行を武器にするようなソングライタータイプではなく、 音選びや配置、全体の構成センスに長けたアレンジャータイプなので、取りあえずアレンジに関してはどんなジャンルに手を出してもそつなく 形にできる手腕を発揮した今作は妥当な出来と言えるのかも。本当はアレンジがマンネリしだしたソングライターと組んで互いの長所を並立させる ような仕事のほうが向いてるんだろうし、いつかそんな仕事をする日が来る気もするが、当面のレンジでの活動で彼が活きるかは、メンバーが 持ち寄る曲素材のレベルが上がってNAOTOが編集作業に時間を使えるようになるかに懸かってるかも。 とにかく良い所もあれば悪い所もあるという人間臭い一枚。良いとこしか要らんという人にも、駄盤が聴きたい人にも不向き。
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