- ■ The 1975 // Part 11 ■
296 :名盤さん[sage]:2022/03/17(木) 23:37:49.63 ID:y0iQTeI2 - 2013年10月The Edgeマガジンインタビュー
ー素晴らしいライブや多くのことを成し遂げた、バンドなら誰もが夢見るような最高の夏だったと思います。 しかし、まず最初にお聞きしたいのは、デビュー・アルバム『The 1975』が1位を獲得したことです。 1位を獲得したことを知った時は、どこにいて、どんな気持ちになりましたか? 「アルバムが1位になったと聞いた時は..正直、変な感じだった。 というのも、カウントダウンのような感じだと想像してたから。全くどうなるか知らないまま、 カウントダウンが始まって、結果がわかる感じだと思ってた。 でも、そんな感じじゃなかった。セールスが関わってくるからね。 アルバムがリリースされる頃には、ユニバーサルと一緒にプロモーションしていた。 『Chocolate』をリリースするまでは、全て自分のインディーレーベルでやってたんだ。 で、ユニバーサルと共同契約を交わしたんだけど、ユニバーサルは、 より多くの人に音楽を届けるためのプラットフォームとして必要なんだ。 彼らは資金を持ってるし、色んな場所に広告も出せるから。クリエイティブな主導権は完全に俺たちにある、そこは全く変わってない。 とにかく、宣伝のおかげもあって、アルバムは話題になった。これくらい売れてたぞ!ってみんなが騒ぐ1週間前からさ。 俺にはそういう数字ってつまらないものなんだけど。 興味を持つことすら難しくて、1000万ポンド当たったとしても、退屈に感じると思う。 日曜日の時点で既に、アルバムが1位を取ることはほぼ確実になってた。 試合終了直前にゴールを決めて勝利をしたというよりも、2-0のまま試合に勝ったって感じさ。 俺達はiTunes フェスティバルに出演していた。一週間ずっと『マジかよ、俺たちのアルバムが1位になる』って感じだったから、 いざ1位をとっても特に何も変わらなかったね。 そのとき、1位って全く重要なことじゃないと悟ったんだ。 統計的、物質的な成功はとても脆くて、長くは続かない、そんなに価値のあるものじゃないと。 本当に価値のあることは、ライブに来てくれる人との繋がりだったり、俺達の音楽が人生に与えた影響について素晴らしい話をしてくれる人だった。この一年を定義してるのはそういうことだ、俺にとってはね」
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297 :名盤さん[sage]:2022/03/17(木) 23:38:00.82 ID:y0iQTeI2 - ーレディングでは、フェスティバルリパブリックのテントが満員になり、
その3倍ほどの観客がテントの外から観ているような公演でした。 アルバムが1位を獲得したときはあまり達成感が湧かなかったとしても、 あのライブでは遂に成し遂げたような実感はありましたか? 「まさにそうだった。曲を演奏し終わって、観客をじっと見ると歓声が一段落するんだけど、 一曲終わるごとにまた歓声が上がってさ。 歓声が二倍になったり、まるで、あのテントにいた全員が戦争が終わって帰還してきたかのような、 これまでに起こったこと全てを祝福してるかのような熱狂だった。 あの二つのライブはバンドがどれだけ進歩したかを視覚化してたね。 レディングは、ずっと観客として参加していたフェスティバルなんだ。 バンドとして出たことなんて一切なかったのに、その初めてのライブがあんなに素晴らしいものになるなんてさ。 もうとにかく圧倒的で、とんでもなく衝撃的だった。 まだアルバムが出る前だったのに、みんな歌詞を全て知ってるんだ。 ファッキンクレイジーだったし、本当に謙虚な気持ちにさせられた。 そこで実感したよ。曲と次の曲を演るまでには20秒間ぐらいあるから、 目の前で起こってることをひたすら理解しようとしてた」
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298 :名盤さん[sage]:2022/03/17(木) 23:38:48.14 ID:y0iQTeI2 - ー今年は多くの小規模フェスにも出演し、Y Notフェスティバルではセカンドステージのサブの下の方の枠でした。
次はヘッドライナーを務めてもおかしくないビッグな存在になってますが、 短期間であっという間に出世することは誰も予想してなかったと思います。 自分たちよりも小さなバンドの下で演奏することに違和感はなかったですか? 「いや、違和感なかったよ、彼らは俺達より小さいバンドなんかじゃないからね。 大御所バンドみたいに扱われるのって凄く変な感じなんだ。 10年もの間、自分なりに地道にやってたら、それが突然変化したどころか逆転した状態の8ヶ月間というか。 ジャージーのフェスでは、ダイナソーJr.より上だったんだ。 ほんの5年前は彼らのライブを6回ぐらい観に行ってたのにさ。 レディング&リーズではFestival Republicからブッキングされて、『その枠でやりたい』と言ったら、 後になって『いやいや、君らはビッグすぎて、その枠は許可できない』と言われて。 メインステージの3番手を提案されたけど『ノー』と断った。 そういう上の枠ではやりたくなかった。あまりに早いスピードであまりにビッグになるのはクソだからね。 そういうわけだから、ビッグなバンドになったつもりはなかったけど、 俺達が多くの人の一番好きなバンドになれたのは、新人で凄く完成されてたからという自覚はあった。 あっという間にそうなった唯一の理由は、曲を沢山リリースしてたからなんだよ。 2曲しか出してないバンドや、1曲も出してない新人バンドを一番好きなバンドに挙げはしないよね。アホに見られるし。 俺達は4枚もEPをリリースしていたし、どういうバンドか知ってもらうには十分だった。だから一番好きなバンドになれたってわけさ」
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299 :名盤さん[sage]:2022/03/17(木) 23:41:08.62 ID:y0iQTeI2 - ーイブニング・スタンダード誌のインタビューで、成功を積み重ねるほど純粋な幸せから遠ざかっていくとおっしゃっていましたね。
成功すればするほど、自分の音楽が共感されにくくなることを恐れているということですか? 「かもしれない。でも、ひとつ気付いたことがあって。 ちょっと哲学の先生か酔った学生が言いそうなことなんだけど…つまり、物事には自分でコントロールできることとできないことがあるってね。 今の生活じゃ母親に電話する時間も、恋人に会う時間も、洗濯する時間もないのに、 自分じゃコントロールできない問題に時間を費やして悩んでたとしたら… 一旦アルバムが完成したら、それは俺が言いたいことであり、見た目も香りも自分の思い通りにしたものだけど、 俺にコントロールできるのはそこまでなんだ。 音楽やアートは主観的で人によって受け取られ方が違う。 それが素晴らしい点だけど、それはアーティストを成功にも失敗にも導くことができるという意味でもあるわけで。 不安になるかもしれない、でも結局のところ、くだらないことを言われるんだよ。 例えば、今のコールドプレイはつまらないとか言われてるだろ。 彼らはつまらなくないし、素晴らしいのにさ。 勿論、君もそんなことは承知だろうけど、あのコールドプレイが素晴らしくないはずがない。 アルバムを作ったら、みんなが受け入れてくれて、1位になった。 誰も受け入れてくれないから、「クソ、1位になるようなアルバムが必要だ」と思って作ったんじゃない。 アルバムを制作してる時は誰も俺達のことを知らなかった。 だから、クリエイティブな面で俺が果たすべき唯一の責任は、 どんなものでも出来る限り良いものにすることなんだと思う。それしかできないからね」
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300 :名盤さん[sage]:2022/03/17(木) 23:42:27.23 ID:y0iQTeI2 - ーThe 1975の音楽が他のバンドと一線を画しているのは実験的な要素だがあることだと思うんです。
例えば、アンビエント/ドローンにインスパイアされた曲もあれば、格段にポップな曲もある。 この2つのサウンドのバランスを保つ為に意識的に努力してますか? 「特に意識してないかな。俺達はポップミュージックに対して科学的アプローチをとってるんだ。 分析して、それがどう機能するか良くわかってるからね、感情的な面でも、技術的な面でも。 音楽業界の主な禁忌のひとつは、音楽は神に導かれて作られるものではないって考えを快く思ってないことだ。 つまり、音楽を学んで作るという考えは嫌いで、天才が生み出すものだという考えだけを気に入ってるんだ。 でも例えば、一日中コンピュータの前に座ってる仕事をしていたとしても、 必ずしも優秀なクリエィティブライターになれるわけじゃないよね。 けど、もし優秀なライターであると同時に知識も備えていたら、 それって物凄く有益に働くし、仕事は十倍早く進むし、より自分の作品を深めることもできるわけで… つまり何が言いたいかっていうと、俺達は特に意識せずに、ごく自然にオルタナティヴ/アンビエント・ミュージックとポップ・ミュージックを組み合わせてるけど、それは間違いなく学んできたってことなんだ。 実験的に組み合わせたり、ぶつけ合ったり試行錯誤しながら。 初めてやったのは、”The City "、あの曲の最初のデモでドラムループを取り入れた。 その時初めて、バンドをダンスミュージックのようにプロデュースしてみるかって思って、 それが上手くいったっていう。まぁ俺達はそんな感じでやってるよ」
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301 :名盤さん[sage]:2022/03/17(木) 23:43:09.65 ID:y0iQTeI2 - ーあと面白いと思うのは、The 1975のビジュアルの美学です。
最初のオリジナル版SexのミュージックビデオからEPのアートワークに至る時点で既に、 バンドをどう見せたいかという明確なビジョンを感じました。 ノワール映画的なメランコリーを想起させる一方で、朧げな若々しさを失っていないというか。 映画監督のジョン・ヒューズに影響を受けているそうですが、バンドにとってビジュアルはどれくらい重要ですか? 「とても重要。音楽だけじゃなく、様々な小さい要素が組み合わさってThe 1975を形作っている。 ビジュアルとサウンドが作用し合って生まれるものがあるんだ。 高揚感あるポップ・ミュージックとは対照的に、 より暗鬱な、君が言うようなどこかノワール映画的な様相で、現実喪失感のあるビジュアルを並列することによってね。 全てが俺達の一部であり、パーソナリティの延長さ。 まぁ要するに、あまり自分達を曝け出したくないってことになるね。 何かを飾り立てるほど、その人のパーソナリティは覆い隠されるわけだから。 俺にとってのパーフェクトな曲は、ホイットニー・ヒューストンの『I Wanna Dance with Somebody』のようなサウンドでありながら、 レナード・コーエンの『Hallelujah』のようなメッセージ性と信念があるもの。 表向きにはすごくいい気分にさせてくれるサウンドなのに、 よく覗いてみると内省的な気持ちにさせてくれる歌詞ーそういうものが並列された曲が俺にとってのパーフェクトソングだ」
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302 :名盤さん[sage]:2022/03/17(木) 23:44:29.69 ID:y0iQTeI2 - ーギターやインディ・ミュージックが思わしくない状態にあるという意見も多いですが、
ギター・ミュージックの現状について、どうコメントしますか? 「コメントはしない、そういう議論ってつまらないし、自ら問題を厄介なものにしている原因だと思うから。 もし誰もが、音楽とは厳密に定義され、部族的で、きっちりとカテゴリーに分けられたものだという考えを譲らないなら、 ある意味で個人の主観なんて無意味だしさ。 みんな、「今ギター・ミュージックに何か起こってるか?」って感じだけど…いや、ギター・ミュージックは進化の途中なんだよ。 終わってなんかいない。今年最も売れたアルバムのうち2作は、俺達とあのアークティック・モンキーズだ。 君はギター・ミュージックにどうなって欲しい? もし俺たちをギター・バンドと呼ぶなら、マイク・バンドと呼んでもいいかもしれない。ギターよりもマイクをよく使ってるんだから。 もし、ある朝起きて、ジャンルという概念が一切なくなっていたら、 自分のレコードコレクションを本当に純粋に見れるかもしれないよ。 言葉の持つ余計なイメージに全く縛られることなく純粋に見れたら、素晴らしいだろうね」
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303 :名盤さん[sage]:2022/03/17(木) 23:45:07.11 ID:y0iQTeI2 - ー現状に不満を持つ人の多くは、ギター・ミュージックはつまらない、焼き直しだと言いながら、
それとは別のバンドが出てくると、”正しい”ギター・ミュージックではない、 ギターのサウンドはこうあるべきではないと不満を口にします。 そうなると、彼らは一体何を求めてるんだ?となるわけです。 「ああ、それってマンチェスターみたいだ。 みんなに愛されているマンチェスター出身のバンドがビッグになったのは、 先進的であり、音楽の公式をちょっと変えながら曲を作っていたからで、それが彼らの魅力だった。 それが今はというと、そういうことは求められていないってことになるね。 当時のバンドと同じようになって欲しいって、あの頃とは正反対だ。 同じままの音楽を求めてるって、退行してる考え方だよ。 まぁ連中全員から何言われようと俺にはどうでもいいことなんだ、正直言うとさ」
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