- 【リレー小説】TPパニック 〜 殺し屋達の絆 〜
142 :創る名無しに見る名無し[sage]:2020/03/24(火) 07:21:12.16 ID:5cfutvJx - 「マルコムが日本のヤクザに狙われた」
一家勢揃いで円卓を囲む中、長男のジェイコブが陰鬱な顔で言った。 「殺されとけばよかったのにって思ってるでしょ? ジェイ」 長女バーバラが茶化すように言う。 「我々が日本人に狙われているという話が以前からあったが、これで明確なものとなった」 ジェイコブは妹を無視して言った。 「なんで日本の人があたし達を狙うの?」 末っ子のムーリンが驚いた声を上げる。 「あたし、ドラえもんも鬼滅の刃も大好きなのに」
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143 :創る名無しに見る名無し[sage]:2020/03/24(火) 07:26:31.27 ID:5cfutvJx - 「日本だけではない」
父タオ・パイパイが口を挟む。 「大陸の殺し屋もワシらを狙っておるようだ」 「大陸はわかるよ。あたしも大嫌いだもん」 ムーリンがまた言った。 「中国嫌いのレイニー・ヤンちゃんがリー・ロンハオと結婚したのは応援するけど」 「じゃあ日本人も殺しちゃっていいのね?」 ドレス姿の三女モーリンがうっとりしたように呟いた。 「日本人のはちっちゃいって聞くよ」 デブの四男が大笑いしながら言った。
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144 :創る名無しに見る名無し[sage]:2020/03/24(火) 07:32:49.59 ID:5cfutvJx - 「聞いて」
次女のキンバリーが立ち上がり、マルコムから頼まれていた通りのことを話し出す。 「最近みんな、手柄を競ったり技を自慢したりしてるけど……」 「あぁ、キム。わかっているよ」 ジェイコブが未来の妻に言うように言った。 「競争のし甲斐がある。誰が一番多く日本人を殺せるか……」 「ジェイお兄ちゃん、聞いて」 キンバリーは言葉を遮った。 「競争とかじゃなくて、今はみんながひとつにまとまって、外敵から家族を守るべき時なの」
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145 :創る名無しに見る名無し[sage]:2020/03/24(火) 07:37:41.05 ID:5cfutvJx - 「アンタが何を生意気に仕切ってるの?」
バーバラが馬鹿にするように笑いながら口を挟んだ。 「何も出来ないお嬢ちゃんのくせに」 「姉さん」 マルコムがキンバリーを庇う。 「キムの言うことは尤もだ。今は互いの協力が必要な時なんだ」 「おい、マル」 ジェイコブがマルコムを睨む。 「テメェ、まさかキムとオマンコとかしてねぇよな? 兄妹だぞ? 殺すぞ?」
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146 :創る名無しに見る名無し[sage]:2020/03/24(火) 07:41:10.08 ID:5cfutvJx - 家族会議が終わり、それぞれが自分の部屋に帰り始めた頃、モーリンがジェイコブの袖をつまんで引き止めた。
「なんだ変態人形。なんか用か」 ジェイコブが聞くと、モーリンはどこを見ているのかわからない顔で声を潜めて言った。 「ムーリンが外に友達を作った。事件を起こさないうちに殺しといたほうがいいかも」
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147 :創る名無しに見る名無し[sage]:2020/03/24(火) 07:45:35.23 ID:5cfutvJx - 「ところでガンリーは?」
バーバラは会議に姿のなかった次男のことを父に聞いた。 「どうせアイツは会議をバカ話で荒らすだけだ。おらんほうがよい」 タオ・パイパイは投げ槍に言うと、自室へ帰って行った。
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148 :創る名無しに見る名無し[sage]:2020/03/24(火) 07:51:59.84 ID:5cfutvJx - 「タピオカミルクティー2つ」ヤーヤが店のお姉さんに注文する。「2つとも微糖、氷なしで」
ムーリンとヤーヤは歩道のベンチに並んで腰掛け、タピオカミルクティーを飲みながら会話をした。 「あたしいっつも同じのしか飲まないけど、今度抹茶でも頼んでみようかな」 そう言うヤーヤをムーリンは感動したように目を見開いて見つめた。 「勇気あるね。あたし他のもの注文するなんて怖くてできないよ」 「勇気?」ヤーヤが笑う。「注文してみてまずかったら怖いの?」 「ううん」ムーリンは首を横に振った。「いつもと違うことする勇気がないの」
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149 :創る名無しに見る名無し[sage]:2020/03/24(火) 07:58:18.52 ID:5cfutvJx - 「……ねぇ、ヤーヤ」ムーリンが聞く。「なんであたしなんかと友達になってくれたの?」
「あんたが寂しそうだったから」 「え?」 「ごめんね。そう見えたんだよ」ヤーヤは笑う。「それに、学校の子らとは違うもの持ってるって感じたんだよ」 「学校にも友達いるんでしょ?」 「うーん」ヤーヤは少し考え、答えた。「いるけど、みんな心は許し合ってないな」
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150 :創る名無しに見る名無し[sage]:2020/03/24(火) 08:03:02.03 ID:5cfutvJx - 「ムーリンはさ」今度はヤーヤが聞く。「なんで高校行ってないの?」
「え……」 「バカだから? じゃないよね。ムーリン、賢そうだもん」 「あ……」ムーリンは答えにくそうに言った。「働かないと……いけなかったから」 「働いてるの? どんな仕事?」 「その……。お姉ちゃんの手伝い」 「カッコいい! お姉さん、どんな仕事してるの?」 「その……」 「……」 「……」 「まっ、いっか」
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151 :創る名無しに見る名無し[sage]:2020/03/24(火) 08:08:09.04 ID:5cfutvJx - 「わかってるとは思うけど、高校行ってないって相当なハンデだよ?」ヤーヤが言う。
「うん」本当はあたしも高校行きたかった、とムーリンは思った。 「今は猫も杓子も大学行ってるから。そんな中で中卒だと……」 「中学も……中退した」 「中学中退!?」ヤーヤがびっくりした声を上げる。 「おかしな子でしょ」ムーリンは俯いてしまった。「……嫌いになった?」 ヤーヤは少し空のほうを向いて考えると、すぐに言った。 「いいと思うよ」
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152 :創る名無しに見る名無し[sage]:2020/03/24(火) 08:21:19.85 ID:5cfutvJx - 「この国の超学歴社会への反抗だよ、それって」ヤーヤは真面目な顔で言った。
「反抗?」 「うん」ヤーヤはタピオカミルクティーをベンチに置くと、話し始めた。「高校なんて何も面白くないよ」 「そうなの?」 「うん。楽しそうにしてる子はしてるけど、その裏ではみんな、他の子を蹴落とそうとばっかりしてる」 「ふーん?」 「表向きは仲良くしてても、友達より上の大学受かることばっかり考えてる」 「大学かぁ」 「大学っていっても結局台大(国立台湾大学)受からないと意味がないじゃん?」 「そうなの?」 「そうだよ。四大学とか言われてるけど、2番目の交通大学とか受かっても周りから言われるのは『凄いね』じゃなく、『あー、台大入れなかったのねー』だもん」 「そんなぁ」 「台大入れたところで卒業すんのがまた難しいしさ」 「ヤーヤは台大目指してんの?」 タピオカミルクティーを噴きそうになりながらヤーヤは笑った。 「まさか! あたしなんか3流の私大がいいとこだから……」
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153 :創る名無しに見る名無し[sage]:2020/03/24(火) 08:28:42.90 ID:5cfutvJx - 「でさ、問題は」ヤーヤは真面目な顔に戻り、言った。「台大を卒業できなかった圧倒的大多数の人達が落ちこぼれと呼ばれることだよ」
「あたしよりはみんなマシだよ」ムーリンは自虐の笑いを浮かべて言った。 「だからさ」ヤーヤが答える。「ムーリンはこの国の超学歴社会への反抗なんだよ。自信持っていいと思う」 「そんなカッコいいもんじゃ……」ムーリンはまた俯いた。 「ううん」ヤーヤがその横顔を見つめる。「ロックだよ、ムーリンは。金髪だしさ。あたしはいいと思うよ」
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154 :創る名無しに見る名無し[sage]:2020/03/24(火) 08:33:57.88 ID:5cfutvJx - 「でも高校では、たぶんムーリンはイジメられる」
ヤーヤの言葉に中学時代の悪夢がムーリンの脳裏に蘇る。 「悪目立ちしちゃいけないんだ。自分を殺してみんなの中に溶け込める子じゃないと、イジメられるんだ」 「そうだね」ムーリンはまた自虐の笑いを浮かべた。「あたし、ヘンな子だから」 「だから声掛けたんだよ」 「え?」 「学校の友達みたいなつまんない子じゃないって思ったから、さ」
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155 :創る名無しに見る名無し[sage]:2020/03/24(火) 08:53:41.99 ID:5cfutvJx - 「ヤーヤは、さ」気恥ずかしくてムーリンは話題を変えた。「ウー・ユージェのこと、好きなの?」
「うん」ヤーヤはまっすぐ前を見ながら言った。「好きだよ」 「いいな」ムーリンはその横顔を見ながら笑った。 「ムーリンは? 好きな人いないの?」 「あたしは……学校行ってないから……」 「出会いがないんだね?」 ムーリンは恥ずかしそうに頷いた。 「またパーティーがあったら誘うよ」ヤーヤはそう言って笑った。「あそこイイ男も多かったでしょ? 見つけなよ」
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- 5レスごとに完結するリレー小説
243 :創る名無しに見る名無し[]:2020/03/24(火) 08:55:23.04 ID:5cfutvJx - ウザっ! ウザっ!
女子高生は片手で銃弾を跳ね除けた。
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156 :創る名無しに見る名無し[sage]:2020/03/24(火) 15:48:14.73 ID:5cfutvJx - 「今日は手作り制服じゃないんだね」
ヤーヤは私服姿のムーリンの左胸のあたりを見ながら言った。 「そういえば、こないだあたしが名前言った時、胸の刺繍の名前と違うのに、なんで不思議がらなかったの?」 ヤーヤはそれを聞いてぷっと吹き出した。 「あんたがヤン・チェンリン(※レイニー・ヤン。台湾で20年近くトップアイドルの座を務める)なわけないでしょーが!」 「あ」ムーリンはショックを受けた。「やっぱりあれじゃ偽名ってバレバレ?」 「騙るならもうちょいマイナーな女優にしときなよ」 「じゃあ、チャン・チュンニンとか?」 「それも有名すぎ」 「リン・チーリンは?」 「あんたやっぱ面白すぎるわ」ヤーヤはムーリンに抱きつくと頬ずりした。「大好き」
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157 :創る名無しに見る名無し[sage]:2020/03/24(火) 15:52:55.73 ID:5cfutvJx - 「このまま夜まで遊んじゃおうよ」ヤーヤが誘う。「一緒に夜市行こ?」
「あ、ごめん」ムーリンは本当は行きたいのを我慢して、答えた。「今夜はムリだ」 「えー? つまんない」ヤーヤは掴んでいたムーリンの腕を離すと、残念そうな顔をした。「用事?」 「うん」ムーリンは本当のことを言った。「お姉ちゃんの仕事の手伝い、しないと」
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158 :創る名無しに見る名無し[sage]:2020/03/24(火) 16:05:26.52 ID:5cfutvJx - 今夜の『接待』の相手が日本人のヤクザの幹部と聞いて、モーリンは心踊らせながらも警戒していた。
マルコムが狙われた以上、罠だという可能性がなくもない。 自分は通り名も顔も割れていない。しかし手口はいつも同様である。 コールガールとして標的と二人きりになり、切り刻み、殺す。 それを知っていて、わざと自分を指名したかもしれない。 しかしこれが罠なら、仲介役を務める父の友人である陳氏も敵と通じていることになる。それはあり得ないと父は言った。
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159 :創る名無しに見る名無し[sage]:2020/03/24(火) 16:09:36.06 ID:5cfutvJx - 「ま、罠だったらマルコムのように私も返り討ちにしてやるまでだわ」
陳氏の部下が運転する車の後部座席に揺られながらドレス姿のモーリンは言った。 「うん。お姉ちゃんは全身凶器だからだいじょーぶ」 隣のムーリンがそう言って笑う。 「いざという時はあたしが助けに入るからね」 「いざという時がないことを祈ってるわ」 モーリンは暗い顔をさらに暗くして呟いた。
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160 :創る名無しに見る名無し[sage]:2020/03/24(火) 16:16:12.50 ID:5cfutvJx - 部屋に入るといかついスーツに身を包んだ日本人がソファーに腰掛けて待っていた。
細身で端正な顔立ちの、幹部というには若い感じの男である。 その男を見た瞬間、モーリンは何やら違和感を覚えた。 しかしそれを顔には表さずに、いつものように嬌態を作って微笑んだ。
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161 :創る名無しに見る名無し[sage]:2020/03/24(火) 16:21:58.59 ID:5cfutvJx - 「今晩は。中国語はおわかりになる?」
モーリンが聞くと、すぐに男は流暢な大陸中国語で答えた。 「あぁ。中国での仕事が少し長かったのでね。しかし、これは大層美しいお嬢さんだ」 「ありがとう」モーリンはお辞儀をして見せた。「巻き舌が強いのね」 「大陸育ちだからね」そう言うと男は舌なめずりをした。「絡めてみるかい?」 「それよりも」モーリンは自分の上唇を舐めながら言った。「早くあなたのおちんぽ舐めたいわ」
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162 :創る名無しに見る名無し[sage]:2020/03/24(火) 16:28:41.83 ID:5cfutvJx - 「いいだろう。おいで」
男は足を開くと、招き寄せた。そして自分からズボンのベルトを解く。 「日本の殿方のおちんぽは初めてなの。楽しみ……」 そう言いながらモーリンは男の足の間にしゃがみ込んだ。 男はズボンを全部は下ろさなかった。露出した太腿がやたらと白く、毛が薄い。 「さぁ、パンツを下ろしてくれ」 「命令しないで」 そう言いながらモーリンがパンツを下ろすと、そこにこけしはなく、自分と同じ割れ目とパンツに挟んだディルドーのようなものが現れた。
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163 :創る名無しに見る名無し[sage]:2020/03/24(火) 16:36:20.14 ID:5cfutvJx - ディルドーが爆発のような光を発し、モーリンは目が眩んだ。
思わず後ろへ飛び退る。しかし何も見えない。 「何、これっ!?」 「ハハハ!」正体を現した刺客が笑う。「間違いない。タオ一家の『人喰いゴスロリ人形』さんね?」 「てめぇ……! 女か!」モーリンが悔しがる。「男の脂臭い匂いがしねーと思ったわ!」
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164 :創る名無しに見る名無し[sage]:2020/03/24(火) 16:45:17.65 ID:5cfutvJx - 女は側にあったクッションを手に取ると、モーリンへ向かって投げた。
何かが飛んで来る気配をモーリンは感じ取る。それを敵の身体だと思い込み、噛みつくと、クッションの中から大量の羽毛が飛び散った。 口の中に入った羽毛を唾とともに吐き出すモーリンを見物しながら敵は笑う。 「なるほど。アンタの武器はそのカミソリみたいな歯、か!」 『それだけじゃねーよ』モーリンは声から相手の位置を察すると、その方向へ突進した。『返り討ちにしてやる!』
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165 :創る名無しに見る名無し[sage]:2020/03/24(火) 16:54:47.83 ID:5cfutvJx - 部屋の外では3人のヤクザが突入の合図を待っていた。
「なんか騒がしくなってないか?」 「まぁ、突入と声が掛かってからだ。待て」 そこへ廊下を歩いて金髪三つ編みの痩せたぶさいくな少女が、お盆にオレンジジュースを乗せてやって来た。 「晩a-n(ばんわー)」 にこやかに挨拶するムーリンをヤクザ達が睨んだ。 「なんだ、ガキ」 「てめぇ、ゴスロリの仲間か」
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166 :創る名無しに見る名無し[sage]:2020/03/24(火) 17:04:13.58 ID:5cfutvJx - ムーリンの作り笑顔がみるみる崩れ、泣きそうになる。
「もぉ! 日本語わかんないし! だからこういう仕事はデブの四男のほうがいいって言ったのに!」 「ああ!? 一人で何ペラペラ喋ってんだ、ガキ」ヤクザが懐に手を入れた。「怪しいガキが! 何かしてみろ、殺すぞ!」 「ウェイウェイウェイ!」ムーリンは慌ててお盆を差し出す。「お、orange juice、ドゾ!」 「何入りのジュースだゴラァ!?」 「お前が飲んでみろやァ!?」 ヤクザがムーリンの腕を掴む。盆が落ち、コップが割れ、眠り薬入りのジュースは床に溢れた。 その時、部屋の中から大声が聞こえた。 「突入!」
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167 :創る名無しに見る名無し[sage]:2020/03/24(火) 22:07:43.17 ID:5cfutvJx - ムーリンの腕を掴んだまま3人のヤクザが部屋に突入すると同時に、
サイレンサー付きの銃声が3発くぐもった音で鳴った。 「あ、呼んでおいてすまん。もう終わった」 「姉御!」ヤクザの一人が声を上げる。「腕が!」 「あぁ、油断した。銃を取り出す音に向かって襲いかかって来やがった。喰いちぎられた。なに、左腕さ」 「手当を……」 「あぁ……。で、なんだいそのガキは?」 会話は日本語で交わされたのでムーリンにはわからなかった。 日本語がわかったとしても耳には入って来なかったことだろう。 ムーリンの目は釘付けになっていた。 ソファーとサイドテーブルの間に、壁に貼り付いたように、無念の表情を浮かべて姉が死んでいた。 額には銃弾で開けられた赤黒い穴があった。
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