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【TRPG】下天の勇者達【クロスオーバー】

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【TRPG】下天の勇者達【クロスオーバー】
24 :Interlude ◆u0tKBm6XaGtQ [sage]:2019/05/17(金) 19:12:43.31 ID:dAw/FTdu
【ユースレス・キャスト(T)】

――――天の裁きが実在するのなら。それはきっと、こんな空から下されるのだろう。


見上げた蒼穹の中に、私は不思議な光景を幻視していた。

「あれって、結界の祠の方向かしら」

臆病な森の精霊が、ざわざわと騒いでいる。
少し遅れて、森に棲む動物達の気配が一斉に動き出した。
呼吸を止めて一秒。濃密な霊気と希薄な霧を含んだ大気を震撼させる轟音。

「もしも幻覚じゃなかったとしたら、ぶっちゃけ、嫌な予感しかしないわね……!」

久し振りの……本当に久しぶりの仕事の予感だ。
風の精霊力を行使して空に舞った。これはチャンスでもある。
払いの渋い神殿の連中に対して、そろそろ私の有用性を分からせてやらないと。

「……この案件が片付いたら、宮廷占術師にでも転職しようかしら」

結果フェイズ―――結界の祠は、きれいさっぱり消え去っていた。
代わりに元・パワースポットに出現した謎のクレーターが私を出迎える。
中心部に先客があった。こうして遭遇するのは初めてだが、此処の神獣だ。
森の守護者が出張って来ている。この事実が示すのは外敵の侵入に他ならない。
神獣は、全身甲冑(フルプレート)らしき人型を美味しくなさそうに"がぶがぶ"している。

「まさか人族の侵攻? どうなってんのよ休戦協定はっ!」

遠目からは判らなかったが、人と魔どちらの文明の産物とも付かない、白が基調の意匠。
それは金属甲冑と言うには生物的で、甲殻類の外骨格なのか判別が困難だった。
機械的なフォルムに見えるし、有機的なシルエットである様にも感じられる。
あんな特殊な装備、現物はおろか、どんな資料でも目にしたことがない。
前腕の工具の様な装置(あるいは器官)と、両肩の形状が目を引く。
仮面を纏った様な頭部の鍬形も、立物なのか触角なのか。

「魔族だとしたら、こんな手の込んだ自殺をする動機が不明だわ」

神獣の戦いは無慈悲だった。ほぼ無抵抗の相手に対して一方的な攻撃が続く。
鋭い鉤爪を剥き出しにした前脚を振り上げて、終わりとばかりに敵を宙に放り出す。
全身甲冑は重い音、それでも外観の印象に比べれば幾分軽い衝撃音と共に地に落ちた。

「あれの材質も気になるわね。どうしたモノかしら……気は進まないけれど」

越権行為だが、現場裁量で神獣との超法規的な接触を試みる。
幸いなことに、一般的な乙女の嗜みとして古代言語の心得ならあった。
ついでに、"突撃"と"殺せ"の二単語だけは大抵の言語で発話できたりもする。
【TRPG】下天の勇者達【クロスオーバー】
25 :Interlude ◆u0tKBm6XaGtQ [sage]:2019/05/17(金) 19:14:05.21 ID:dAw/FTdu
【ユースレス・キャスト(U)】

「"獣よ 森を護るあなたよ! 私は 所持するします 問うを 何かですか それは?"」

――"わからぬ。我が知識には無いモノだ。されど、危険な存在である事は確かだ"

「"私は 思うします 調べるを. そしては するしたい 神殿に運ぶ それを."」

――"ならぬ。コレは森の秩序の破壊者だ。我が父祖と精霊神との盟約により、滅する"

「"私は 見るでした 光を大きく. それは ありでした 空に.
形は 輪でありでした それの似ています. そして 早い 消えるでした.
もしもすると それは 壊しでした 木の 土の そしては 石の 森を 神は 座ります."」

――"我は見ておらぬ。光の円環とやらが消えたのであれば、同様にコレも消すだけだ"

全身甲冑に噛み付いた神獣が、首を反らして持ち上げ、顎に力を込める。
鋭牙と装甲は相互に軋みを上げて、ブレスト・プレートに罅が入った。
その亀裂から、極細粒砂の様な銀色の何かが止め処なく零れる。

「"獣よ 森を護るあなたよ! 形は 所持するします もしもすると 人族を 似ています."」

――"人族であったとて変わらぬ。我は、古き盟約の下に秩序と静寂を守護する者なり"

罅割れた装甲板が、ついに砕けた。痛みに呻くかの様に頭部の水晶体が明滅している。
不意に、全身甲冑の両肩の装甲上部が跳ね上がった。やはり何かの装置なのか。
断面に配置されたレンズ機構から、烈光と轟風が同時に爆ぜて照射される。

『こりゃあ不味いのう! 伏せるんじゃ、お嬢さん!』

帝国軍の旗艦が健在だった頃、観艦式のフィナーレで見た魔導粒子砲と良く似ていた。
咄嗟に身を伏せた守護獣の背中を僅かに掠めて、二本の射線が天空へと注がれていく。

――――永い咆哮。これが断末魔というものなのだろうか。

その間、充分に蓄えた後脚の発条を解き放ち、神獣は俊敏に標的の首筋へと喰らい付く。
仰け反った全身甲冑の頭部で水晶体が光を失う。頭を垂れて、今度こそ動かなくなった。

「くっ……! 一体、何だったのよ。あの無駄な殺意の高さは」

『知らんがな。さっきも言ったじゃろう。ワシの方が聞きたいわい』

「……って、あんた共通語しゃべれたんなら最初から使いなさいよっ!」

『いや、お嬢さんがヘッタクソな下位古代語なんぞで話しかけてくるからじゃよ?』

「下手で悪かったわねっ! そんなコトより、説明してもらえるかしら。
この怪奇現象に関して手掛かりとか心当たりとか、本当に無いの?」
【TRPG】下天の勇者達【クロスオーバー】
26 :Interlude ◆u0tKBm6XaGtQ [sage]:2019/05/17(金) 19:15:08.89 ID:dAw/FTdu
【ユースレス・キャスト(V)】

先程、地面に流れ落ちた銀色の何かが変質していた。
銀色の砂粒なんかじゃない。紅い液体―――血液だ。

『この"血"の魔力、何処かで……いや、そんな筈もなかろうて。
 再会を望むには、いささか時が経ち過ぎたのう、フィーザル』

「やっぱり人族……だったの?」

『人族如きが、こうもワシの毛皮を傷付けられると思うてか。牙先も欠けおったわ』

「それはそうだけど…。連中にだって、たまに無体な強さの魔術師がいるじゃない」

『彼奴等が使える魔術の程度なんぞ、たかが知れておるわい。
 おまけに、コレにはワシの魔力の通りがすこぶる悪かった』

「私は元々人間やってた身だから複雑な心境になるけれど、
 確かに一般的な人族だとしたら、もっと繊弱なはずだわ。
 この森の霊気も"瘴気"だなんて疎んでいるくらいだもの」

『ワシなぞ"魔獣"呼ばわりじゃぞい。異信仰に対する理解と歩み寄りの精神が足らん』

『まあよい。ワシが守らにゃならん盟約は"森の脅威を排除する"ところまでじゃ。
ねぐらに戻るから、その亡骸は好きにするがよい。神殿に運ぶなら止めもせん』

「―――何も見なかったコトにして、この森に適当に埋めるわ。こんなの私の調査対象外よ。
 推定人族の遺骸なんて厄物、下手に神殿に引き渡したら事情聴取だけで日が暮れるもの』

『然り。忘れるがよい。森の循環の輪に入れば、此度の罪も時の流れに浄化されよう。
じゃが、ワシのシマの祠が壊れたままでは格好が付かん。そっちだけは頼んだぞい』

無慈悲なのか寛容なのか良く判らなくない裁定だが、私とっては好都合だ。
おそらくは無関心なのだ。己の果たすべき盟約以外の全ての事象に対して。

「オーケー。隕石が墜ちたってコトにでもしておくわ。
 こんなわけのわからない厄介者と関わってる暇なんてないんだから。
 そうでなくても最近は、何処も彼処もナナシ対策でバタバタしてるっていう…のに――」

――最後まで言い切れなかったのは、それを待たずして神獣が姿を消したせいだけではない。
気付いたからだ。私が切って捨てようとした言葉には、途方も無い矛盾が含まれていた事に。

白色の鎧に、奇妙な模様。そして仮面。
歪んだ世界の境界から襲来し、魔術が一切通じない怪物。
死を契機にして、対象を自己と同質の存在へと変貌させる、魔性の侵略者。

「嘘……でしょ? まさか、コレがそうだって言うの?」

"Nameless Necromantic Assimilative Satanic Invader"――――不確定名称・NaNASIだ。
見れば、推定ナナシの甲殻は静かに復元を始めていた……この場で私が、やるしかない。
【TRPG】下天の勇者達【クロスオーバー】
27 :Interlude ◆u0tKBm6XaGtQ [sage]:2019/05/17(金) 19:17:06.29 ID:dAw/FTdu
【ユースレス・キャスト(W)】

"静寂なりし墓所の王よ/静謐なりし凍土の主よ"
"冷血を以ちて彼の爪に/冷酷を以ちて彼の牙に"

魔方陣はおろか、魔術式を用意しておく時間も無かった。
けれど、インプロヴィゼイションの詠唱は専門外。
畢竟、在りモノのフレーズに頼る事になる。

"氷の戒め与え賜わん!/氷柱よ我が敵を穿て!/凍壁よ我が敵を鎖せ!"

去年の"声に出して詠みたい魔術式コンクール"の入賞作だ。
具体的には、一瞬で相手の周囲の大気ごと氷結させる。相手は死ぬ。
フッ、いくらナナシと言えど、この至近距離からの精霊魔術ではひとたまりも……

――――"久遠の冷霧よ、我が敵を緘する氷棺となれ!!"

私の術式は完成し、発動し、直撃した。そして、推定ナナシは……ただ、遠くを見ていた。

「なん…ですって…?」

氷結の魔術が契機となって、白き魔人にささやかな変化をもたらしたとすれば、
何かを思い出した様な気配を見せた事くらいだ。その一方で、私も思い出した。

「ああああぁっ!? そうだったああぁっ!?
 だから、ナナシには魔術なんて効かないんじゃない!
 私のバカバカ! ゴミ術師! クズ美少女! どうして肝心な時に……」

《親…父……》

父親を呼んでいるの? 断片的に得た材料を分析し、総合し、状況と照らし合わせて推測する。
導き出される答えは……"冷え切ったお父さん"。複雑な家庭環境で育ったナナシなのか。
大渓谷の方角へと向けられた仮面。その先から、新たなナナシが数体、飛来していた。
――――推定・ナナシのお父さんかっ!? 最悪の場合、お母さんと兄弟まである。

「……あの。ナナシ君、聞こえてる?
 私たち出会ったばかりだし、そういうのはちょっと早いかなーって。
 お父さんに御挨拶する心の準備とドレスの注文と殲滅部隊の手配をする時間をくれない?」

《俺は……うおおおおおおおっ!》

突然の飛翔。叫びを上げて飛び去るナナシを、他のナナシ達が追いかけて行く地獄絵図。
連中は超高速で遠ざかりながら、私の理解の範疇を越えた人外魔境の空中戦を開始した。

「仲間割れ? まさか本当に家族のいざこざ? 本当に何だっていうのよ、もう……!」

何も出来ないまま、危機は去った。ほっとすれば良いのか悔しがれば良いのか、わからない。
まるで、世界の意志(おとなのじじょう)から存在理由を剥奪されてしまった気分になる。
確かなのは、この面妖な仮面舞踏会で、もう私の出る幕は終わったという事だ。
【TRPG】下天の勇者達【クロスオーバー】
28 : ◆u0tKBm6XaGtQ [sage]:2019/05/17(金) 19:18:47.32 ID:dAw/FTdu
名前:ブレイヴ
種族:人/ネームレス
年齢:19/数十分前に現界
性別:♂/−
身長:180cm/2m(頭部ブレードアンテナを含む)
体重:75kg/−kg(現界する装備質量により不定)
性格:記憶喪失
所持品:ブレイヴクリスタル
容姿の特徴・風貌:人類/魔導強化外骨格
簡単なキャラ解説:不特定多数の異界の勇者達の力を統合し身に纏う

【属性】異世界の勇者の姿と力を手にした直後、不完全な汚染を受けた現地人
【所属世界】下天の勇者達
【TRPG】下天の勇者達【クロスオーバー】
29 :ブレイヴ ◆u0tKBm6XaGtQ [sage]:2019/05/17(金) 19:20:32.88 ID:dAw/FTdu
【ネームレス・ブレイヴ】

奴等が戦闘中に進路を変えた場合、それは退却を意味しない。標的の変更だ。
廃城の最下層、目標地点である地下室を2m級のネームレスが覗き込んでいる。

《――――やらせるか!!》

その背後へと、両手持ちにした双身剣を押し込んで身体ごと激突した。
装甲強度に任せ、フロアを破砕しながら地下室へと雪崩れ込んで行く。
石床に叩き落とした衝撃に合わせて刃を振り抜き、2m級を斬り落とす。

《うおおおおおおっ!》

崩落する天井の瓦礫と粉塵で煙る空間は、すでに戦場だった。
魔方陣の光輝を囲んだ魔術師達の一人が、3m級に弾岩を放つ。

《ネームレス……!!》

3m級の正面の壁に打ち付けられた剣士がダメージを負っている。
その姿は、知っている筈の誰かに似ている気がした。
髪の長さも瞳の色も声すらも思い出せない。
だが、失ってはならない誰かだった。

ネームレスによる細胞の汚染と脳神経の侵蝕を免れ、自身に最後に残された唯一の領域。
"人間"の部分が白騎士を突き動かした――――これ以上、あいつを傷付けさせはしない。

《許しはしない……! 貴様等が……貴様等がっ! 消え失せろおおぉっ!!》

しかし、白騎士の意志と精神は直ぐに塗り潰された。白き魔人たる闘争本能と激しい怒りに。
背部メインスラスターを焚く/巻き起こる暴風を置き去りにした急加速/理性の欠如した突撃。
右袈裟の斬撃/火花を散らして胴体の半ばに食い込む/左のバーニアを噴射/即座に反転。
双身剣を二振りのロングソードに分割/上下段同時の横薙ぎ/……そこで限界が訪れた。
崩れ落ちた白き魔人は、剣を支えに膝を地に着き、裁断した宿敵の霧散を見届ける。

《俺は…死なない……まだ…死ねないんだ……》

糸が切れたかの様に倒れ伏す異形の白騎士が、翠色の力場に包まれ、その姿を変えた。
正確には、失った意識と引き換えに本来の姿を取り戻した――――満身創痍の人体だ。


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