- リレー小説「中国大恐慌」
961 :創る名無しに見る名無し[sage]:2019/01/20(日) 10:14:41.72 ID:N4SXfvMP - ーー エピローグ ーー
リウ・パイロンは今日も執務室でトレーニングをしていた。 秘書のメイリンが入って来て、突っ込む。 「大統領〜、あなたもう散打王じゃないんだから、大人しく仕事して下さいよ」 「いや、俺はまたアイツに会うんだ」 リウ大統領は片腕の小指で腕立て伏せをしながら、言った。 「俺はまた、お前と命を懸けて闘るんだ……メイファン!」 窓の外にはあの日と同じ、歪んだ三日月が浮かんでいた。
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962 :創る名無しに見る名無し[sage]:2019/01/20(日) 10:34:53.72 ID:N4SXfvMP - ノースキャロライナの青い空の下、子供達が揃える真剣な声が響いていた。
「お茶、入ったよ〜! おやつにしよう」 ララが烏龍茶とクッキーを大量に持って入って来た。 子供達が歓声を上げて群がる。 「ありがとう。今日も愛してるよ」 振り向いた髭ゴジラみたいな顔のハオは、中国語でそう言うとお茶を受け取りながらキスをした。 「ウォ・イェ・アイニー(私も愛してる)」 ララは首を伸ばし、20歳代の頃と変わらない美味しいキスを返す。 二人並んでお茶を飲みながら、仲良くクッキーを取り合い喧嘩する生徒の子供達を眺める。 「おーいサンディー、年下の子をいじめちゃダメだろ」ハオがカタコトの英語で優しく言う。 「ボビー、こら! 1人で何個取ってんの!」ララが流暢な英語で優しく叱る。 窓から暖かい陽射しが入って来る。もうすぐ4月がやって来る。 「あっ、メイ! マイクにキックだめでしょ!」 23歳のマイクに8歳のメイがムカついて蹴りを入れたのだった。 「俺らの娘だけあってメイは強いなぁ」ハオが言う。 「のびのびと育てた甲斐あって強い子になったけど、ちょっとのびのびさせ過ぎたかなぁ」ララが不安がる。 母に似て美人のメイだが肌の色だけは色白の母に似ず、真っ黒な子だった。 3歳の時から『気』の力が使え、そのため上は43歳までいるこの道場の生徒の中で、8歳にして一番強かった。 叱られたメイはばつの悪そうな顔をして駆けて来ると、ララの膝に手をついて言った。 「パパ、ママ、メイのこと嫌いにならないで!」 「なるわけないだろ」ハオが笑う。 「世界一愛してるわよ、メイ」ララがハグしてほっぺにキスをした。
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963 :創る名無しに見る名無し[sage]:2019/01/20(日) 11:03:35.45 ID:N4SXfvMP - 「ねぇ、ハオ」
ノースキャロライナの青空を見ながらララが言った。 「私、なんだか昔、妹がいたような気がするの」 「そんなわけないだろ」 ハオが笑った。 「でも、いたとしたら、さぞかし可愛い女の子だったろうな」 「そうかな?」 ララが皆に稽古をつけているメイを眺めながら、可笑しそうに笑う。 「案外ハオ、私の妹に散々いじめられていたかもよ?」
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