- 【五等分の花嫁ss】五等分の未来
1 :創る名無しに見る名無し[sage]:2019/01/15(火) 20:27:21.97 ID:8VYI/vJR - 注意点
原作7巻プラスα時点での関係になります 単行本派の方は若干のネタバレになります 1人1日で書くので力尽きたらごめんなさい 誤字脱字は目をおつぶり下さい
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2 :創る名無しに見る名無し[sage]:2019/01/15(火) 20:29:42.49 ID:8VYI/vJR - 「...」
ノートの上にシャープペンシルを投げ捨てると、風太郎はぼんやりと天井を見つめる。 ある事があってからこうする事が増えた事は風太郎にも自覚出来ていた。 『あんたを好きって言ったの』 告白、だったのは言うまでもなかった。 その場で返事なりをして解決出来ていれば良かったのかもしれないが、問題は重要さに見合わずあっさりと回答が先延ばしになっていた。 (二乃がな...) 信じられないという気持ちと、どこか報われたような気持ち、様々な感情が日常のそこかしこで顔を出す。 勉強は殆ど手につかなくなっていた。 「お兄ちゃん!」 風太郎の背後から声が聞こえる。 「らいはか...」 「またぼーっとしてる。100点取れなかったからって落ち込まないでよね」 勿論的外れな推測だが風太郎にはそれが嬉しかった。 自分がどう有るべきか思い出させてくれる、それがありがたかった。 「たまには調子の悪い時もあるだけだ。次は満点御礼にしてやるさ」 そんな風太郎をみるとらいははほっとしたような笑顔を浮かべる。 「その意気だよ! 成績落ちたら五月さん達の家庭教師もクビになっちゃうかもしれないし」 その言葉にギクリとする。 五月の名前を聞けば必然的に全員の顔が頭をチラつく。 勿論その中には頭を悩ませる元凶の二乃もいる。 「会えなくなったらお兄ちゃんも寂しいでしょ?」 らいはは無邪気にそう言う。 寂しくないかと聞かれれば勿論寂しい、とは思う。 それがどういう感情かと聞かれると...、心にモヤモヤが溜まるのも事実だった。 「まあ、もしお兄ちゃんが五月さん達の誰かと付き合うなんて事になれば別かもしれないけど、それは無いよね」 『付き合う』 その言葉に風太郎の心は締め付けられる。 そう、回答しだいではそんな未来があるのかもしれないのだから。 その夜布団に潜った風太郎は何となく考えていた。 「付き合う、か...」 そんな事になるのかは分からない、ただその可能性は提示された。 全く分からない未来、自分はどうなるのだろうか。 漠然とした不安を感じながらも、少しの胸の高鳴りを聞いていると眠気が襲ってくる。 「そんな未来があるなら...」
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3 :一花編[sage]:2019/01/15(火) 20:30:53.63 ID:8VYI/vJR - 一花の場合
「ほら、起きろって」 風太郎は布団を揺する。 布団の主は中で身悶えしながらも、外に出てくる気配はない。 「おい」 さらに揺するのを強くする。 「ん〜」 小さな声が中から聞こえるがそれでも出てくる気配はない。 「一花!」 朝の大事な時間が潰される事に耐えかねた風太郎は掛け布団を掴むと一気に剥ぎ取る。 ゴロゴロと音を立てて布団の主が肌色を晒して溢れてくる。 「はぁ...」 昔から変わらず全裸になる癖は抜けていない、それどころか一人暮らしになってからは悪化している気配もあった。 「まだ早いよぉ...」 目を擦りながら一花はゆっくりと起き上がる。 その途中、自分が全裸な事に気付き一花は恥ずかしそに胸元を隠す。 「あはは...」 照れながらも目の前の風太郎に気付くと一花はイタズラな笑みを浮かべる。 「朝からしたかったの?」 「起きろ」 風太郎は一花の頭を軽く叩くと、手近に有ったバスタオルを投げつける。 「早く着替えてこいよ、出掛けるんだろ?」 こんな光景慣れ切ってる、そんな風太郎の仕草に一花は不貞腐れた表情を浮かべる。 しかし直後にある事に気付くと一花は表情をニヤケさせた。 「したかった、って所は否定しないんだね」
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4 :一花編[sage]:2019/01/15(火) 20:31:33.85 ID:8VYI/vJR - 「俺だから良かったものの、他の奴だったらどうするんだよ」
近くの商店街に向かう道を歩きながら風太郎は溜息をつく。 2人の手は違和感なく繋がれており、照れは見えない。 「いいの、どうせあの家には私達の誰かかマネージャーさんか」 「君以外来ないんだから」 繋いだ手に力が込められる。 それは信頼、そして愛情。 「まあ、その、それなら」 手を強く握り返すと、風太郎は照れたようにそっぽを向く。 「〜♪」 その表情に満足したのか一花は楽しそうに歩みを進める。 そんな一花を見て風太郎も自然と笑みを浮かべる。 「そうだ!折角買い物するんだし、この間欲しいって言ってた小説をおねーさんが買ってあよう」 「あのなぁ...」 風太郎は呆れた溜息を吐く。 「前に一花自身が言った通りその貢ぎ癖治せよ」 「うう...」 昔からこうだと一花は反省する。 機嫌が良くなると特に相手に尽くしたくなる。 自身でも悪癖という認識はあるし、風太郎にも幾度となく咎められている。 でも癖はなかなか抜けない。 「それに、」 風太郎はそっぽを向きながらも素直な言葉を繋ぐ。 「そういう所で好きになったって見られたくないだろ。俺はちゃんと俺の一番が一花だからここに居るんだし」 言ってみてどことなく臭さを感じつつ、風太郎は一花の顔を覗いてみる。 「...」 白く艶やかなその頬には涙か伝っていて、風太郎はキャンプファイヤーを思い出す。 美しささえ覚えた涙、今となってはあの理由は分かっている。 風太郎の心無い言葉が一花の心を傷付けた、その痛みの涙。 しかし今回の涙は記憶と一つだけ異なっている。 「風太郎!」 一花が風太郎に抱きつく。 往来は少ない道とは言え人目がゼロな訳では無い。 しかし一花にはそんな事は見えていなかった。 「大好きだよ、私風太郎が好きで良かった。風太郎に好きになってもらえて良かった」 風太郎は一花の背中に手を回す。 「俺も一花が好きだ」 「風太郎...」 一花の顔が風太郎に迫り... 「な、なんだこの夢は...」 妙に明確で、リアリティのある夢に風太郎は飛び起きる。 「悩みすぎたか...」 風太郎は気を取り直して眠りにつく。
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