- ロスト・スペラー 20
70 :創る名無しに見る名無し[sage]:2019/01/15(火) 19:01:36.95 ID:+KBZoJKg - 悪魔のとりでの残がいから、人型の巨像が現れました。
オッカ公爵は、それを見上げて言います。 「見よ、あれが魔神様だ!」 巨像の足元からは黒いもやが吹き出し、その中から無数の魔物たちが飛び立って行きます。 あれが悪魔を生み出しているのだと知ったクローテルは、かがやく剣を振るって魔物を切りふせ、 魔神像に向かって突撃しました。 その前に公爵が立ちはだかります。 「貴様ごときに魔神様をきずつけさせるわけには行かぬ! 下がれ、下郎め!」 オッカ公爵はやみをまとって黒い剣とよろいを身に着けました。 そして大きな体にふさわしい大きな剣で、地面をなぎ払います。 クローテルは剣をとんでよけ、あっと言う間に公爵に近づいて、かがやく剣を叩きつけました。 しかし、剣は黒いよろいに弾かれてしまいます。 「フハハハハ、バカめ!! どんなに力を持っていようが、やみの力に敵う物か!! 死ね、死ね、死ねぇい!!」 公爵は剣を振り回して、クローテルを切り刻もうとします。 クローテルは公爵の攻撃をよけながら、弱点を探していました。
|
- ロスト・スペラー 20
71 :創る名無しに見る名無し[sage]:2019/01/15(火) 19:02:41.79 ID:+KBZoJKg - なかなか攻撃が当たらないことに、公爵は怒りをつのらせて雷を落としますが、これも当たりません。
クローテルと公爵は、お互いにつかれを知らないままに戦い続けました。 このままではらちが明かないと思ったクローテルは、魔神像をこわそうとします。 あれこそが公爵の力を支えている源だと感じたのです。 ところが、公爵はクローテルの意図を分かっていました。 「魔神様をねらっているな? そうはさせぬぞ!!」 公爵はクローテルを突き飛ばすと、わずかにひるんだすきに無数の魔物におそわせます。 クローテルが魔物を振り払うのに苦労していると、そこへ黒い雷を落としました。 「どうだ、やみの雷は! そのままくたばれぇ!!」 公爵は雷を落とし続けて、魔物もろともにクローテルを攻撃します。 魔物どもは黒こげになって死んでしまい、クローテルも剣を地面に落としてしまいました。 「やっと死んだか! しつこいやつだったが、このわしの敵ではなかったな!」 公爵は高笑いします。 雷に打たれ続けてクローテルも真っ黒にこげていましたが、まだ死んではいませんでした。 暗やみの中でクローテルの白い目が光ります。 それにオッカ公爵は恐れを感じて、身ぶるいしました。 「な、何だ、お前……。 お前の様な者が……。 ええい、死ね、死なぬかぁ!」
|
- ロスト・スペラー 20
72 :創る名無しに見る名無し[sage]:2019/01/15(火) 19:05:45.69 ID:+KBZoJKg - 公爵は黒い大剣をクローテルの頭に振り下ろしました。
それをクローテルは片手で受け止めます。 「化け物め! 魔神様、さらなる力を私に!」 公爵がさけぶと、魔神像に雷が降り注ぎ、同時に黒いもやがあふれます。 もやは公爵をおおって、その姿を一層まがまがしい物に変えました。 体はさらに巨大化して、手足が4本ずつ増え、もう何の生き物にも例え難い物になります。 力を得た公爵ですが、クローテルを押し切ることは出来ませんでした。 それ所か、逆に押し返されます。 「こ、こんな事が……。 魔神様!!」 クローテルは素手のまま、目にも留まらぬ速さで、公爵を殴りつけました。 分厚いよろいでも全く関係無く、公爵は吹っ飛ばされて地面に転がります。 それから魔神像に向けてゆうゆうと歩き出すクローテルを見て、公爵はあわてて立ち上がり、 やみを集めた4本の剣を持って、クローテルにおそいかかりました。 「止めろっ、魔神様に手を出すな!」 公爵は巨体に似合わない速さでクローテルにせまり、4本の剣で同時に切りつけます。 クローテルは3本の剣をよけて、残る1本を抱え止め、体をひねって魔神像に投げつけました。 「こんなバカなぁーっ!」 公爵は魔神像に叩きつけられ、またも地面に転がります。
|