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創る名無しに見る名無し
リレー小説「アメリカ滅亡」

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リレー小説「アメリカ滅亡」
72 :創る名無しに見る名無し[]:2018/11/22(木) 18:11:00.39 ID:Vp1lyfRe
「──え?」
信じられないと言いたげなミアに、男は話を続けた。

「最後の客が帰ったあとに殺されたらしい。今朝、取引先の業者が店に来たら
死んでいたオヤジを見つけたんだってさ…」
「そんな…!そ、それでジュナはどうしたんですか!?」
「ジュナ?」
「殺害されたオヤジさんの娘です!!彼女も店にいたはずなんです!!彼女は無事なんですか!?どうなんですか!?」
血相を変えて問い質すミアに面食らいながらも、男はなんとか答えた。

「悪いが、その娘がどうなったかはわからない。君の言うことが本当なら
その娘も殺されてたかもしれないけど、店にはオヤジの死体だけしかなかったそうだ」
「じゃあジュナは…」
「それはあいつらが調べてくれるさ」
男が視線を向けた先には、現場検証を行っている警官と治安維持隊の隊員たちの姿があった。

「なんで治安維持隊の人たちが…」
「さあね。ただ、数日前からあの店にやたら顔を出すようになったんだ。だけどさ…」
話をしていた男が言葉を濁した。

「ジュナって子、あの店のウェイトレスなんだっけ?」
「はい、ここ数日はジュナが一人でやっていたはずなんです…それが何か?」
「そうか……これは女の子には話しにくいことなんだが…」
「構いません!ジュナのことで知ってることなら何でも教えて下さい!友達なんです!」

「……実はさ、その子、治安維持隊のヤツらからセクハラされてたんだ」
「セクハラ…?」
「ああ。居酒屋じゃ酔っ払った客がウェイトレスにちょっかいを出すことはよくあることなんだ。
だけど、アイツらはやり過ぎっていうか、その、ちょっかいどころじゃなかったんだよ」
「ジュナは…何をされたんですか…?」
「俺が知る限りじゃ、抱きつかれたり、胸を揉まれたり、尻触られたり、あと……パンツ下ろされたり」
「なにそれ…セクハラどころか犯罪じゃない!!一体何考えてるんですか!!」
「おい、俺に怒るなよ!」
激昂して食ってかかるミアを、男が諌める。
その様子を何人かの野次馬がチラチラと見ていた。

「と、とにかく、事件と関係あるかはわからないけど、治安維持隊とジュナって子にはそういうことがあったんだ。
だけどこの事件に首を突っ込むってことはやはり“アレ”が関係してるのかもな…」
「……」
男は明言を避けたが、“アレ”が民主主義者のことなのはミアにも理解できた。


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