- ロスト・スペラー 19
485 :創る名無しに見る名無し[sage]:2018/11/22(木) 18:45:09.42 ID:AGxNSnRe - 詐欺
唯一大陸に於ける詐欺の形式には様々な物がある。 投資詐欺、魔法詐欺、商品詐欺、募金詐欺等々、年々新しい物が生まれ、数え切れない。 その主な『標的<ターゲット>』は老人、若者、そして魔法資質の低い者である。 主として、判断力の弱い人間が狙われる。 これに対抗する為に愚者の魔法を利用出来るのだが、事は簡単では無い。 先ず、愚者の魔法を相手に掛けると言う事が難しい。 見知らぬ相手に行き成り魔法を掛けるのは、失礼な事とされている。 だからと言って、当たり前の事だが、「掛けて良いですか?」「はい、どうぞ」とはならない。 縦しんば、相手の了解を得たとしても、素直に掛かってくれると思うのは早計だ。 相手に知られたくない事があれば抵抗するし、それは当然の権利で違法な事でも何でも無い。 寧ろ、相手の了解も得ずに愚者の魔法を掛ける方が、法的には危うい。 然りとて、相手に信用して貰わなければ、詐欺は成立しないので、詐欺師も手を考える。
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486 :創る名無しに見る名無し[sage]:2018/11/22(木) 18:45:43.84 ID:AGxNSnRe - その一つが嘘を吐かない事である。
詭弁だろうが何だろうが、嘘さえ吐かなければ、愚者の魔法も効果は無い。 詐欺師、又は詐欺を働こうとする者は、これを十分に承知している。 詐欺の実態を知らない第三者を介する事もある。 単純に使い走りを用意する場合もあるが、無限連鎖講――所謂「鼠講」も、これに該当する。 愚者の魔法に掛かったと見せ掛ける事もある。 魔法資質が十分に高く、魔法知識に優れた詐欺師は、これを得意とする。 最も厄介であり、魔導師崩れや元魔導師だけでなく、現役の魔導師が詐欺を働く事もあった。 理由は大抵、金に困っていたとか、仕事が無かったと言う物である。 結局の所、愚者の魔法も詐欺を完全に見抜ける物では無い為に、十分注意しなければならない。 究極的には、詐欺から自分の身を守るのは、自分自身の知恵と勇気なのだ。
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487 :創る名無しに見る名無し[sage]:2018/11/22(木) 18:46:47.10 ID:AGxNSnRe - 詐欺師が魔導師会の関連人物や企業、研究を語る事は少ない。
これは魔導師会が絡むと、敵対行為と見做されて、徹底的に追及される為である。 では、魔導師会の関連する事柄ならば、絶対安心なのかと言うと、そうでも無い。 この類は発覚しなければ問題無いと言う考えから、徹底的に悪辣になるので、一般の詐欺より怖い。 酷い場合には、精神支配の魔法を掛けて、逆らえない様にする事もある。 他、記憶を奪ったり、暗示を掛けたりと、容赦が無く、非人道的な行いをする。 どんなに用心深い人物でも、魔法によって信用を刷り込まれると、大事な鍵や財布を渡してしまう。 金を奪われても、金があったと言う記憶が無ければ、奪われたと気付かない。 そもそも都市警察や魔導師会を頼ると言う選択肢を消されてしまう。 それが最も恐ろしい事なのだ。 こうした犯罪は大抵は家族や友人の指摘によって発覚するのだが、一人暮らしをしている人間は、 十分に気を付けなければならない。 行き成り見知らぬ友人や恋人、家族が現れて、貴方の財産を奪って行くかも知れない。 そして、貴方は見知らぬ存在を受け容れて、警戒する事も出来ないのだ。
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