- リレー小説【一人一行は窮屈だ!】
28 :創る名無しに見る名無し[sage]:2018/05/19(土) 20:00:15.51 ID:bg7ZqPSO - 注】話が停滞したので冒頭あたりに戻ります。
足立みちるっていう。私の名だ。 父と母は少し前の有名な漫画がきっかけで一緒になったらしい。その漫画を描いた原作者の名前からこの名前を思いついたそうだ。 知るか、そんなもん。 自己紹、以上。 その朝、私はスマホのアプリ『電脳コイル』をやりながら学校に向かっていた。でも、それに集中しすぎて、結局電柱付近で立ち止まっていたわけだ。 このアプリは一般には流通してはいないが、モンスター収集系アプリの先鞭をつけたカルトアプリである。 さて、そんなとき。 「こんにちは、死ね!」 私を現実に引き戻した彼女の一言は、奇妙な既視感をまとっていた。 (あったな。きのう見た夢だったか、同じ台詞を聞いた覚えがある) スマホから顔を上げると、刃堂鋼子が立っていた。 「……唐突に何だ、一体?」 私は昨夜の夢と同じ台詞で返した。 だが次の刃堂の言葉は、夢の再現からは外れていた。 「だから、あんたみたいなのは死ねって言ってんの!」 アプリの呪縛から解けないうちに、私の胸元は刃堂の握るサバイバルナイフに命を捧げていた。 あまりに唐突すぎて、痛いという感覚がまわってこない。 どん、と音がしたのはわかった。 (なんだよこれは。このあとのおまえの台詞はたしか「今現在、私の中で言ってみたい台詞ランキング、堂々一位の台詞です」じゃないのかよ) 意識が保てなくなってきた―― でも、まだだ。まだまだ終われないよ。 私は死ぬことはおろか、簡単に気を失うことも憚らねばならぬ。 だってこれはこの私、足立みちるの一人称なんだからな!
|
|