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ピン獣大使ステファニー
【RPN】文堂珈琲館part1

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【RPN】文堂珈琲館part1
342 :ピン獣大使ステファニー[sage]:2018/04/05(木) 02:28:35.93 ID:Q6lqpHmj
田舎から母と祖母が二人で私に会いに来た。
最近入り浸っている喫茶店で会うことにする。
私の部屋はあんなだから、なるべく入ってほしくない。

「どうだい? ピン獣大使の仕事は楽しいかい?」
おばあちゃんが聞いてきた。
「私は……使命としてやってるだけだから」
「頑張りなよ。あんた、せっかく天下のピン獣大使になれたんだから」
さすがおばあちゃんだ。私の喜ぶツボを知ってる。

そう、アタクシは天下のピン獣大使様。
ピンからキリまでいる魔獣の中でもとびきりピンなの。
しかももう7ヶ月もその地位を保ってる。
他のピン獣大使は大抵3ヶ月以内には辞めて行くのに。私は7ヶ月も続けているのよ!
歴代最長は20年以上という人がいるけど、あれは神だわ。
神になれる人間なんてさすがに一握り。
私にもなれるかな?

母が溜め息をついて言った。
「ピン獣大使とやらもいいけど……そろそろあなたも結婚を考えなきゃいけない歳なのよ? わかってる?」
「ピン獣大使『とやら』!!??」私は即座に反応した。
いや、知っておる。世の馬鹿者どもはわかっておらぬのだ。ピン獣大使の何たるかを知らぬ下級市民も多いと聞く。
ピン獣大使を知らぬなどと、それは「王様って何?」みたいな問題発言に等しいというのに。
「この仕事を志望した動機はなんですか?」みたいなありがちな質問があるが、ピン獣大使にその質問はありえぬ。
ピン獣大使は『志望するもの』ではない。『誰もが憧れるもの』である。国王に誰が聞くだろうか? 「国王を志望した動機はなんですか?」などと!?

母が言った、「ねぇ、ミチコ」
ミチコって言うなーー!!!
「実はあなたに縁談が来ているの。歯医者さんの卵でねぇ」
「はっ、はいしゃ!?……」
「そう。持って来てるんだけど、写真だけでも見てくれないかねぇ?」
見た。身を乗り出して見た。ダメだと思った。前歯が2本、上唇をめくるほどに飛び出している。この人が立派な歯医者になれるわけがないだろと思った。なれるものはせいぜい人生の敗者だろ。
【RPN】文堂珈琲館part1
343 :ピン獣大使ステファニー[sage]:2018/04/05(木) 02:36:35.56 ID:Q6lqpHmj
「最近の子は結婚なんかせんでも生きて行けるもんなぁ、なぁステファニー?」
おばあちゃんが私をちゃんとした名前で呼んでくれた。
「ピン獣大使がお金に困るわけないもんね?」
ウィンクをしてくれた。
「おばあちゃんてば」母がたしなめた。「ピンなんとかとやらがそんなにお金になるんなら皆やってなきゃおかしいでしょ」
また『とやら』が出た。しかも獣大使を省略した。もうほっておこう。
「っていうか何度も聞くけどあなた、騙されてるんじゃないの? 大丈夫なの? それを心配して私達出て来たのよ?」
おばあちゃんがすぐに首を横に振った。「私は違うよぉ。顔を見に来ただけだよぉ」

騙されてるわけないじゃない。店長のあの自信たっぷりな勧誘の言葉が嘘だったとでも言うの?

私は女優になるため上京した。地元では○○町の綾瀬はるかと呼ばれた私だもの。演劇学校なんかに入る必要はなく、すぐにスターになれるものだと信じてた。
オーディションを受けては一次で落とされる日々を繰り返したけど、私はいつか見る目のあるちゃんとしたプロの理解者に会えることを信じてた。
そしてそんなある日、『魔獣館』の店長に拾わ……出会った。店長は言った、「君は千年に一人の逸材。ピン獣大使になれる器だ!」
あの時恥ずかしながらピン獣大使が何なのか知らなかった愚かな私に店長は手取り足取り教えてくれた。何も知らなかった田舎娘の私は店長に洗の……教育を施され、遂には全人類の憧れ、ピン獣大使になったのよ!
ただ最近、本当はちょっと疑問に思い始めてはいる。月100万以上稼げるって聞いてたのに私は一番多い月でも35万しか稼げてない。
そこは騙されてるのかもしれない。
店長がピンはねしてるのかもしれない。
なんかだんだん自信がなくなってきた。
母の前ではいつものホホホ笑いも決まり文句の「おばかさん」も出てこない。
何を照れてるの? ステファニー!
あなたは天下のピン獣大使ステファニーでしょう?
騙されてるんじゃないの? などと愚かな発言をするババアに「おばかさん」をくれてやりなさい!

「とにかくバカな仕事は辞めて故郷へ帰ってきなさい」
母が強制ではない口調で言った。
「恵子おばさんがいい仕事紹介してくれるって。介護施設の……」
「おば」かさん……
「おば?」
「……おばさんによろしく言っといて」

敗北者の気分でトイレに行った。出てすぐの壁にポスターを目にした。
映画のオーディション? 新世代のアイドル募集? あぁ、私のことね。
溜め息をつきながら、私はほぼ無意識にそれに応募していた。
【RPN】文堂珈琲館part1
344 :ピン獣大使ステファニー[sage]:2018/04/05(木) 02:40:24.04 ID:Q6lqpHmj
【名前】・山下 美智子
【国籍】・日本
【年齢】・31
【身長、体重、スリーサイズ】
・169、65、B92(E)、W63、89
【趣味】・読書
【特技】・鞭
【自分を動物にたとえると?】
・ピン獣

【一言アピール】
・おばかさん
【RPN】文堂珈琲館part1
346 :ピン獣大使ステファニー[sage]:2018/04/05(木) 13:35:28.03 ID:Q6lqpHmj
あ。なんかあの橋本カンナにそっくりな子……、最近テレビで見た覚えがある。
あの子も応募するのね。私かあの子のどちらかが輝きそうだわ……

母と祖母は先に帰って行った。私は一人でいつものようにこれから2時間かけて漫画を読みながらクリームソーダを飲む。

祖母からいつものようにLINEが入ってきた。

〔私は応援してるからね!〕


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