- ロスト・スペラー 18
30 :創る名無しに見る名無し[sage]:2018/02/14(水) 18:50:14.60 ID:vrME2dTl - コバルトゥスは右の道を進む事にした。
少し歩くと、ここでも突き当たりに出会す。 道は左側に続いている。 これまで彼は何度も曲がり道を見て来た。 暗い洞窟内では、正しい方角も判らない。 普通の冒険者なら色々と道具を揃えるのだが、コバルトゥスは余計な物を持ち歩かない。 魔法で大抵の事は何とかなるので、重荷を背負うのは馬鹿らしいと考えているのだ。 この洞窟では、その魔法が余り利かないので、少し心配ではある。 道順さえ憶えていれば、地上に帰れる筈なので、心配は要らないと思うのだが……。 (何があるか判らないからな……) コバルトゥスは小さく息を吐き、心を強く持って左折した通路を行く。 耐久力:2 魔力:15
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31 :創る名無しに見る名無し[sage]:2018/02/14(水) 18:50:58.52 ID:vrME2dTl - 曲がり角の先は真っ直ぐな通路だった。
少しの間、罠を見ていないので、コバルトゥスは余計な事を考える。 (どうせ、この先に罠があるんだろう……。 楽観しては行けない。 しかし、お宝にも巡り会えていないな。 どうした事か……) 今までの分かれ道の先に、お宝があったかも知れないと考えると、コバルトゥスは気も漫ろだった。 だが、必ず財宝があったとは限らない。 単なる外れの道だった可能性もある。 寧ろ、そちらの可能性の方が高い。 カシエが先に探索しているのだから。 真に価値のある財宝は、幾度の困難を潜り抜けた向こう、洞窟の最深部に眠っている物なのだと、 コバルトゥスは自分に言い聞かす。 耐久力:1 魔力:15 【行動表参照】
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32 :創る名無しに見る名無し[sage]:2018/02/14(水) 19:51:06.94 ID:vrME2dTl - 【失敗】
暫く真っ直ぐな道を歩いていると、又々突き当たり。 今度は右側に道が続いている。 そろそろ罠があるだろうと、コバルトゥスは壁や床に不自然な所が無いか、熟(じっく)り観察した。 一見した所、罠らしき物は見当たらない。 奇妙な穴が開いていたり、或いは不自然な凸凹があったり、色の異なる場所があったり、 そう言う事は全く無い。 (罠は無いのか?) この洞窟では魔法資質が十全に働かないが、異様な魔力が感じられると言う事も無いし、 必ず罠があると決まっている訳でも無いのだから、通っても大丈夫だとコバルトゥスは判断した。 それが誤りだった。
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33 :創る名無しに見る名無し[sage]:2018/02/14(水) 20:13:37.28 ID:vrME2dTl - 角を曲がろうとした所で、コバルトゥスは魔力の流れを感じる。
その源は彼の持っている精霊石だ。 精霊石から魔力が漏出している。 「何だ、こりゃぁ!?」 コバルトゥスは思わず声を上げた。 精霊石の魔力が床に吸い込まれる様に失われて行く。 彼は直ぐに魔力を吸う床から離れたが、遅きに失した。 それは丸で、水を注いだグラスを倒してしまったかの如く。 精霊石の魔力は、あっと言う間に空になってしまった。 「はぁ……」 コバルトゥスは深い溜め息を吐いて、茫然とした。 そろそろ罠があると警戒していたのに、間抜けにも引っ掛かってしまった自分の愚かさが恨めしい。 どうすれば罠が見破れたのかと、後悔する。 目に見えて怪しい所は無かった。 (――精霊か!) コバルトゥスは閃く。 そう言えば、この場には精霊以前に魔力が全く感じられないと。 それが違和感の正体。 だからこそ、無意識に「何かある」と警戒していたのだ。 「魔力の流れが無い事」を、彼は「危険が無い事」と捉えた。 しかし、それは魔力が淀んでいた為では無く、魔力が全く無い為だった。 今少し彼が注意深ければ、判った事。
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34 :創る名無しに見る名無し[sage]:2018/02/14(水) 20:21:01.94 ID:vrME2dTl - しかし、幾ら後悔しても遅い。
それにコバルトゥスは疲労を感じ始めていた。 (頃合かな) 引き揚げるには良いタイミングだと、彼は前向きに考えた。 元々疲れて来たら帰ろうと思っていたのだ。 危険な罠がある以上、無理して進まない方が良い。 洞窟が一体どれだけ深いのかも判っていないし、こんな所で命を落としては詰まらない。 少し落胆しながらも、コバルトゥスは来た道を引き返す。 耐久力:0 魔力:0 【耐久力と魔力が尽きたので帰還】
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