- それはとある晴れた日のこと
1 :創る名無しに見る名無し[]:2018/01/13(土) 22:39:51.20 ID:aUxIy6gE - それはとある晴れた日のことです。
端末の画面を見ると、右下に小さく太陽のマークが表示されていました。その中にはニッコリとした顔が描かれていて、なんだかほっこりとした気持ちになりました。 「あれ、それなあに。」 彼女が画面を覗き込んできた。ニッコリとした太陽のマークに対して興味津々のようだ。 「太陽が出ていて、青空が広がっているっていう……サイン?だよ。」 「ふーん…」 「ええと、外が明るいってこと。」 「え、すごい!」 彼女はこの太陽のマークのような笑顔になって、目をキラキラさせている。
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2 :創る名無しに見る名無し[sage]:2018/01/13(土) 22:47:11.45 ID:aUxIy6gE - 彼女は私の防護服の裾を引っ張って、外へ出ようとせがんでくる。頭の上では彼女の意思を表すように、右へ左へ髪が揺れる。
「ヘルメットは?」 「え、あ!」 頭をさすり、驚いたような表情を浮かべる。 「置いてきた!」 言うと、彼女は振り向き、通路を右へと曲がって行った。足音が遠くへ行く。不意に音が止む。 「私、どうしたっけ!」 「…さっきトイレに行った時に忘れたんじゃない?」 「あ!」
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3 :創る名無しに見る名無し[sage]:2018/01/13(土) 23:06:38.30 ID:aUxIy6gE - ……外に出ると風が強く吹いていて、白い灰が行く手を遮る。空を重く鈍い雲が覆っている。今日も太陽は見えない。
「……ねえ」 彼女の声には先ほどまでの輝きはない。それどころか、この空のようにどんよりとしている。 「どうしたの。」 「……太陽ない」 「……ええと、ほら、空を見て。」 真上の雲を指差す。彼女もつられて空を見る。 「あの雲の先には、太陽が隠れてるんだよ。」 「そんなの知らない。」 「今日はね、太陽出てこれたんだよ、本当は。けど、やっぱり急に出てくると眩しいじゃない。」 「そんなことない。」 「いやー、えーとね。眩しいし、暑くてみんなびっくりしちゃうゆだよ。」 「私はそんなことない」 「あらそう…。」 どうにも納得してくれないみたいだ。たしかに、彼女からすれば私が騙したみたいに感じるだろう。
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