トップページ > 創作発表 > 2017年11月19日 > S66kHpLB

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創る名無しに見る名無し
ロスト・スペラー 17 [無断転載禁止]©2ch.net

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ロスト・スペラー 17 [無断転載禁止]©2ch.net
234 :創る名無しに見る名無し[sage]:2017/11/19(日) 19:05:30.18 ID:S66kHpLB
だが、影の怪物は中々倒れなかった。
溶けた『雪達磨<スノーマン>』の様になっても、泣き叫び続けている。
一向に泣き疲れる様子は無い。
途方も無い活動力だ。
先に参ったのは、執行者の方だった。

 (な、何と言う奴……。
  しかし、時間は稼げた筈……)

1人が倒れると同時に、直ぐ全員が撤退する。
体力と気力に余裕のある者が、倒れた者を回収。
残された影の怪物は暫く泣いていたが、徐々に復元して完全復活すると、泣き止んで歩き始める。

 「ダーァダーァウ、マァーマァーウ。
  パァ、パァ、ムァ、ムァ」

相変わらず、不気味な声で父母を呼びながら……。
応援に駆け付けた執行者の処理課と外対課の者は、S隊の報告から遠距離攻撃を試みた。
初動対応係と治安維持部による住民の避難は、既に完了している。
協和会への突入作戦は遺憾ながら中止。
この正体不明の怪物を全力で始末するのが先と決まった。
黒い影の怪物、二十体余りは、どこへ向かおうとしているのか?
怪物の様子を観察していた、処理課と外対課の混成部隊は、テレパシーで話し合う。

 (怪物共は、どこへ行こうとしてるんだ?)

 (特に目的は無い様です。
  怪物は常に、何れかの個体が目に見える範囲で、行動しています。
  部隊を編成していると言うよりは、誰も居ない所で独りは嫌だって感じでしょうか……)

 (そりゃ嫌だ。
  俺だって嫌だ)

 (個々の動きに目的や統率感は無く、何と無く屯っているに過ぎないみたいです)
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235 :創る名無しに見る名無し[sage]:2017/11/19(日) 19:12:51.89 ID:S66kHpLB
filler
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236 :創る名無しに見る名無し[sage]:2017/11/19(日) 19:14:38.79 ID:S66kHpLB
それを聞いた処刑人の班長は外対の執行者にテレパシーで告げた。

 (何でも良い。
  纏まっているなら好都合だ。
  一網打尽にしちまおう。
  周辺住民の避難は完了してるんだったよな?)

 (確認します)

疑問を受けて外対の執行者は、新しく編成されたS隊に新しい回線を通したテレパシーで尋ねる。

 (S2隊、避難状況は?
  怪物の周辺に取り残された人は居ないか?)

 (ありません。
  全て完了しています)

 (了解)

その返事を外対の執行者は、魔力通信の回線を切り替えて、処刑人の班長に告げる。

 (避難は完了しているとの事です)

 (良し、始めよう)

一度決まったら、行動は迅速に。
処刑人は遠距離用の狙撃魔導機を構えて、一撃必中必殺の態勢に入る。
処刑人を指揮する班長は、専用の回線で配下の処刑人に告げる。

 (先ずは『逸れ』を狙って、効果を確かめる。
  群から離れている1体が判るな?
  カートリッジは5−1−8を使え。
  『核<コア>』が確認出来ない為、頭、胸、腹の3点を同時に狙うぞ。
  1番は頭、眉間の辺り。
  2番は胸、心臓の辺り。
  3番は腹、臍の辺り。
  それぞれ中心部を的確に撃ち抜け。
  効かなければカートリッジ6−1−8に切り替える)

 (了解)

処刑人達は指示通りに、魔導機の後ろにカートリッジを挿入した。
ロスト・スペラー 17 [無断転載禁止]©2ch.net
237 :創る名無しに見る名無し[sage]:2017/11/19(日) 19:20:31.32 ID:S66kHpLB
時刻は東の時半角。

 「『処刑<キュー>』!」

処刑人の班長の掛け声で、配下の処刑人は死の呪文を放つ。
呪文を乗せた魔力の流れは、観測不可能な「少し錯(ずれ)た空間」を通って、相手の位置に届く。
D級禁呪を応用した、直撃の直前まで察知が困難と言う、超技術兵器。
この「死の呪文」は魔力分解攻撃を仕掛ける類の物で、一切の物理化学的な攻撃が通用しなくとも、
「魔法を利用した物」には確実に効果がある。
影の魔物が直ぐに姿を消したり現したりして、器用に攻撃を避ける性質を持っていれば、
効果は絶大だ。
魔力分解攻撃は、魔力で構成された有りと有らゆる存在に通用する。
魔法生命体は疎か、物質化した魔力にも効果があり、魔法その物も消せる。
共通魔法も外道魔法も関係無く、魔力を利用した物を全て消し去るのだ。
当然、影の怪物に死の呪文を避ける手段は無く、3点の急所に直撃を食らう。
小さな穴が開通したかと思えば、それは徐々に拡がって行き、「影」を食らい始める。
魔力で創られた「影」が全て取り除かれ、後に残ったのは「黒い点」。
処刑人の班長は、S2隊に確認する様に要請する。

 (S2隊、あれは何だ?
  精確な情報を遣して貰いたい)

 (……大きさは1節程度。
  黒い……何だ、これ?
  これは……胎児?
  胎児と思われます。
  魔力反応有り、しかし、低温、全く動きません。
  生死は不明、どうぞ)

S2隊の報告に、処刑人の班長は驚いた。

 (どうぞって……。
  胎児?
  いや、何でも良い。
  とにかく始末しなければ!)


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