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シノノメ・アンリエッタ・トランキル ◆fc44hyd5ZI
【ファンタジー】ドラゴンズリング4【TRPG】 [無断転載禁止]©2ch.net

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【ファンタジー】ドラゴンズリング4【TRPG】 [無断転載禁止]©2ch.net
210 :シノノメ・アンリエッタ・トランキル ◆fc44hyd5ZI [sage]:2017/11/15(水) 04:21:18.74 ID:XO2hQVfk
>「居た……!ジャン、オーカゼ村の住民はあれで全部か?……一人も、欠けていないか?」

山道を登り出してから暫く、私達は前方に大勢のオークが成す集団を見つけました。
スレイブ様が緊迫した声音でジャン様に尋ねます。

>「……見覚えのあるやつは全員いる!でも父ちゃんと母ちゃん、それに出稼ぎに行ってる
  いつもの連中はいねえな……そこを狙ったのかもしれねえ」
 
「……良かった」

私がほっと胸を撫で下ろしていると……集団の先頭から何か声が聞こえてきます。
苛立ちに任せた怒鳴り声……のような。

>「おうアドルフ!お前からもなんか言ってやれよこの鈍亀蛮族どもに!
 早くしねえとお前のお姉ちゃんからまた嫌味言われるだろが!あのクソ真っ黒ババア、虚無に呑まれて死ねばいいのに!」
>「こいつぁたまげたな、黒騎士様までいらっしゃるときたもんだ。
  ……帝国も一枚噛んでやがるのか?」

「伝説の指環が実在して、それを集めるとするならば……黒騎士一人でも少ないくらいですしね」

いえ、それよりも……なんだか雰囲気が剣呑です。
お年寄りの方を集団から引っ張り出して、一体何をするつもり……

>「はぁー?何躊躇ってんだよとっとと殺れって!あのさぁ!一人がそうやって遅れるとみんなが迷惑するんだよ!?
 ほらお爺ちゃんも若者のお荷物になんの嫌でしょ?死のうよ!殺そうよ!頑張ろうよ!!
 応援足りてませんかー?がーんばれっ!がーんばれっ!がーんばれっ!……頑張れっつってんだろ纏めて殺すぞ」

>「――先、行くわ」

「……お譲りします」

あのような輩に裁きを下すのは執行官の使命……ですが。
ジャン様は、私がお仕事の為に雇った冒険者。
だからこれは別に私情を優先した訳じゃない……なんて、一体誰に言い訳してるんでしょうか、私は。
本当はただ……私の仕事ですなんて、言えなかっただけなのに。

>「指環の勇者か……アルマクリス、お前は足止めをしておけ。
  私は山頂で儀式の準備に入る」

黒騎士は……どうやら矛使いの、アルマクリスでしたか、彼の援護はしないようです。
村人達を置いていくという事は、足止めの為の捨て駒という訳でもないのでしょう。
彼が指環の勇者と知っていながら……なおもたった一人にこの場を任せるなんて……。

>「あんのクソ家族殺しがよぉ!偉そうに命令しやがって……
  指環の勇者サマご一行、どうせ他にもいるんだろ?鬱憤晴らしだ!
  ここでてめえら皆殺しにしてやるよぉ!!」

やっぱり……言動こそ粗野なものの、放たれる槍技の冴えは、思わず背筋が凍るほど。
帝国……このダーマにおいては軟弱な純人が数の利に任せて支配する後進国と、
そのような風評ばかりが謳われていますが……あの男は物凄く、出来る。

>「そうだな、家族殺しなどという悪趣味なことをやらせるのはもっての他だ」

ティターニア様もそれを察したのでしょう。
ジャン様に続いて彼の前へと出ていきます。

>「呼ばれた気がしたから出てきてやったぞ。
  鬱憤が溜まるのは分かるが関係無い者に当たり散らすのは頂けぬな。
  一応言ってみるがそなたの嫌いなメアリもアドルフも幸い我らの敵だ――共に鬱憤を晴らす気はないか?
  ちなみに教えといてやるとこちらは指輪持ちだけでもあと二人、総勢だと5人いるが――」
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211 :シノノメ・アンリエッタ・トランキル ◆fc44hyd5ZI [sage]:2017/11/15(水) 04:21:35.57 ID:XO2hQVfk
……説得、出来るのでしょうか。
見ていた限りでは確かに一枚岩ではない様子でしたが。
かくして彼、アルマクリスの返答は……言葉ではなく、閃光。
ジャン様めがけ繰り出された、閃きと見紛うような刺突。
それが彼の答えでした。

>「はァー!? バカなの!? ふざけてるの!? 誰がてめぇらに使われてやるかっつーの!!
 パトリエーゼを見殺しにしたくせして何が勇者だよ!」
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212 :シノノメ・アンリエッタ・トランキル ◆fc44hyd5ZI [sage]:2017/11/15(水) 04:21:53.64 ID:XO2hQVfk
パトリエーゼ……?誰かの、お名前でしょうか。
私が彼らと出会う前の、彼らの冒険の中で、関わった方の?
……そして、見殺しにした、と言うのは。

>「そなた、パトリエーゼ殿を知っておるのか……!?」
 「ああ、少なくともてめぇらよりはずっとよく知ってるわ!!」

言葉通りの意味だとは思いません。
だけど……いくら指環の勇者と言えども、その手で全ての人を救える訳じゃなかった。
きっと、そういう事……。

……いえ、やめましょう。
いつもこういう事を考えているから、私はろくに執行官の職務をこなせない。
目の前の出来事に、ただの現象に、集中しないと。

矛が振るわれる度に迸る火炎が無差別に暴れ狂う。
自分へと迫り来るそれを、私は右手に生み出したショートソードで切り払う。
正しくは……剣では炎は切れない。だけどそれが伝う空気は、切り裂ける。
だけど……

「これでは、オーカゼ村の皆さんまでは……!」

彼らにこの炎から自分の身を守る術があると考えるのは、あまりに浅慮です。
ここは、私は守りに徹するべきか……。
……でも、守り切れるのでしょうか。
目の前の、一つの命を痛めつけ、奪う為の方法。それしか教わってきていない私に。

違う……そんな事考えたって何にもならないのに。
本当はただ、無我夢中にならなきゃいけないのに。
なんで私は、こんな事ばかり考えて……いつもそうだ。処刑台の上でも。
目の前で起きている事に、目の前にいる人達に……真摯に、なれない……。

「……守りは、わたくしが引き受けますの」

……不意に背後から感じた、強烈な熱気。
振り返ればそこには……城塞がそびえ立っていた。
一瞬、そんな錯覚さえ覚えるような……あれは、炎を纏った……巨大な百足?
そしてその炎が、襲い来る炎を薙ぎ払う……指環の力とは、凄まじいものですね。

これで守りの不安要素はなくなった……。
ですがそれでもなお、戦況は拮抗したまま。
ジャン様の斧は、振り下ろすならば瀑布の如く、振り上げるならば波浪のように。
凄まじい暴威を示しています。
だけどアルマクリスはジャン様の攻撃の出だしを見極め、突きを繰り出すそれを見事に凌いでいる。
囲まれないよう常に動き回りながら、あれほど精密に、素早い槍捌きが成し得るなんて。
攻防一体。言葉にしてしまうのは簡単ですが……生半可な鍛錬で至れる技量ではありません。

>「埒があかねぇな」

……これほどの戦いぶりを見せておいて、まだ、不満があるのですか?
私が目を見張った、その瞬間……彼の姿が視界から消えました。
いえ、辛うじてどちらに動いたのかは追えましたが……

「上です!」

あの一瞬で、殆ど力を溜める素振りも見せずにあれほどの跳躍を……。

>「まずは指輪も持ってない雑魚から片付けるぜぇ!!」
 「シノノメ殿!」
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213 :シノノメ・アンリエッタ・トランキル ◆fc44hyd5ZI [sage]:2017/11/15(水) 04:22:17.96 ID:XO2hQVfk
……狙いは、私……ですか?それは……なんとも……

「……困った事に、なりました」

なんて呟く私は、自分でも分かるくらいはっきりと、笑みを浮かべていて。
こんなはしたない事、本当は駄目なのに。
執行官の仕事をしている時こそ、こんな風に笑わなきゃ、いけないのに。

「おいおいどうした!足止めちまって、ビビってんのかァ!?
 それなら……そのまま、喰らいやがれ!!」

……あんなに凄い矛の使い手と、刃を交える事が、楽しみで仕方がない。
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214 :シノノメ・アンリエッタ・トランキル ◆fc44hyd5ZI [sage]:2017/11/15(水) 04:23:19.09 ID:XO2hQVfk
超高速で降下してくるアルマクリスが見えます。加速によって赤熱した矛が。
……どう、対応しましょうか。
防御は困難。躱して包囲するように動いても……彼にとって上空が逃げ場になり得る以上、確かに「埒が明かない」。

「『天』」

だから私は右手のショートソードを、弓を引き絞るように振り被る。
そしてアルマクリスを迎え撃つ形で突きを放った。

「『げ』……」

より正確には……彼が構える矛、その切っ先に剣の腹を当て。

「き……って」

肘と膝の脱力で落下の勢いを殺し……矛先を地面の方向へといなす。

「おいおいマジかよ。半端ねえな。思わず素に戻っちまうぜ」

……そうする事で、一切の破壊を伴わずに、彼は再びその両足を地面に着けた。

「……あなたの、一番派手な技は、確かに見せてもらいました。
 次は……一番練習した技で向かってくる事を……お勧めします」

そう口走ってから……私はまた、顔が明るみを帯びるのを感じました。
ち、違うんです。私、舞い上がってる訳じゃなくて……ええと……
こういう時、どんな風に振る舞えばいいのか分からないから……憧れが、出てきちゃうんです。

……私の言葉に、アルマクリスは一瞬、面食らったように目を見開く。

「おいおいおい、なんだそりゃ!確かにさっきのはわりと驚いたけどよ!」

けれどすぐに……その表情は、業火のような敵意を宿したものに変わります。

「でもぶっちゃけお前、ただガードしただけじゃん!なに上から目線かましてくれてんの!?
 ……いや、でもそれは舐められちまった俺が悪いか!
 分かった分かった!次は二度とそんな口が利けねーようにしてやるよ!」

瞬間、周囲に響く爆音。
見れば私とアルマクリスを取り囲むように、爆炎の柱が地面から迸っていました。
……先ほどから矛先が地面に刺されたままだった事に、気を配るべきでした。

「んじゃ、サクッと終わらせっか!」

……ジャン様達が、あの火柱を取り除くまでの間に、私を仕留める、と?
私は武人ではありませんから、そのように低く見られたって構いませんが……。
彼は指環の勇者一行を相手に、互角の立ち回りをしてみせた。
ならば今度も……私を倒せると、確信した上でああ言っている、はず。
だけど……一体どうやって?

縦横無尽に迫り来る矛は鋭く力強い。
でも眼で追えている。全ていなし、逸らし、弾いている。その上で余裕もある。
油断するつもりはありませんが……私が負けるとも、思えない。
得体の知れない自信に不安を覚えながらも、私は剣を振るう。
殺すのは……したくない。だから急所を外して浅い傷を負わせていく。
出血で動けなくなってくれれば……そんな事を、思っていたら。
不意にアルマクリスが膝を深く曲げた。
いや……フェイントだ。飛び込んでくる訳がない。
だって私はまさに今、剣を突き出している最中で。
そんな事をすれば自分から刃に刺さりに来る事に、
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215 :シノノメ・アンリエッタ・トランキル ◆fc44hyd5ZI [sage]:2017/11/15(水) 04:24:07.03 ID:XO2hQVfk
「――『天戟』」

……炎が爆ぜ、鮮血が飛び散った。
爆炎を推力にアルマクリスが飛び込んできて、私の剣が彼の胸に突き刺さったからだ。
ぱきんと硬質な音が響く。ティターニア様に付与された防御魔法が砕かれた音だ。
もしそれがなかったら、私は矛に貫かれていた。もう次は防いでもらえない。
なのに……私の意識は戦いに集中出来なくなっていた。

なんで、なんでそんな事が出来るんですか。
心臓は外れていたけど、そんなのたまたまです。
死ぬのが、怖くないんですか。
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216 :シノノメ・アンリエッタ・トランキル ◆fc44hyd5ZI [sage]:2017/11/15(水) 04:24:46.61 ID:XO2hQVfk
なんで、なんでそんな事が出来るんですか。
心臓は外れていたけど、そんなのたまたまです。
死ぬのが、怖くないんですか。

「なっ……」

私は動揺を禁じ得なくて……それは私の『マリオネット』の動作を阻害する。
次の瞬間、私の視界が激しく揺れた。
矛の柄で殴られたんだ。叩き付けられる殺気。見えなくても分かる。このままじゃとどめを刺される。

甲高い金属音……襲いかかる矛先を、ショートソードが弾いた。
マリオネットによる自動迎撃だ。
……だけどマリオネットは、私が思い描いた通りの動きをする為の補助魔法。
魔力を介した身体操作を行う事で、反射的な行動の速度も上がるけど。
つまり……目に映っていない攻撃を、正確に防ぐ事が出来るようになる訳じゃない。

「う、あ……」

弾いた矛の刃が、私の脇腹を引き裂いていた。
傷口から、大量の魔素が溢れ出る。
体から力が抜ける。体勢が崩れ……アルマクリスの追撃は更に続く。
五月雨のような刺突。軌跡は見える……剣を合わせる事は出来る。
だけど……力が入らない。十分に軌道を変えられない。
でも……おかしい……なんで……。

「なんで、その深手で、こんな……」

こんなにも凄まじい攻めを、繰り出す事が出来る……。

「気合。つーか別にこんなもん深手でもなんでもねーけどな!」

……事も無げに返ってきたのは、荒唐無稽で、しかし間違いなく、正確な答えでした。
短剣に腕の筋を断たれ、胸部を深く切り裂かれ、それでもまるで衰えない動き。
この世のあらゆる戦場に、魔術師だけが溢れ返っていない理由……。
己が肉体に頼みを置いて戦う者達の……理不尽な精神力。

……私には、無い力。
押し切られる。矛の柄が横薙ぎに、私の腹に叩き込まれる。
踏み留まれ……ない……。

「はいこれにて決着!格付け終了!俺様が本気出しゃてめえなんてこんなもんなの!
 さ、て、と、そんじゃアイツらが来る前に可及的速やかに遺言をどーぞ!とびきり気まずくなる感じの奴頼むわ!なっ!」

アルマクリスが得物の矛先を、倒れた私の胸の上に置く。

「何黙ってんだよ今すぐ死にてえか。……あ、もしかして今考え中?
 なんだよだったらそう言えよ!しょーがねーなー!
 俺様が面白トークで間を持たせてやっから早めにお願いね!」

そしてそのままジャン様達へと振り返った。
それは……私に対する油断を意味してはいない。
もし私が新たに武器を作り出せば、目もくれないままでも、彼は私を殺められるのでしょう。

「……いや、やっぱやめたわ。もっとスカッとするやり方思いついちまった」

……彼は何を、言っているのでしょう。

「おいてめえら。今すぐその指環を寄越して俺様の前に跪きな。
 勿論その後俺様はてめえらを殺す。一人ずつ、散々甚振ってからぶっ殺す。
 全員死んだら……コイツだけは助けてやんよ」
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217 :シノノメ・アンリエッタ・トランキル ◆fc44hyd5ZI [sage]:2017/11/15(水) 04:25:02.89 ID:XO2hQVfk
「何を……馬鹿な……そんな事、信じられる訳……」

「そーだよなぁ。信じらんねーよなぁ。あ、別に嫌なら無理に従わなくたっていいんだぜ。
 ……つーか、従うわきゃねーよな!だから可哀想に!てめえはここで見殺しって訳だ!
 なぁそうだろ指環の勇者様よ!見殺しにすんだろ!?いやしろよ!パトリエーゼん時みてーによぉ!」

また、その名前……一体、何があって……彼は、こんな……。

「ほら言えよ!指環は手放せないし殺されたくないから死んで下さいってよ!」

いや、違う。そんな事を考えてる場合じゃない。
私は、まだ、殺されたくもないし……彼らにそんな事を、言わせる訳にもいかない……。
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218 :シノノメ・アンリエッタ・トランキル ◆fc44hyd5ZI [sage]:2017/11/15(水) 04:26:24.80 ID:XO2hQVfk
……アルマクリスの足元から、不意に刃が生えた。
地中を通して移動させた、私の指先から伸びた刃が。
狙いは首筋。今度は、避けざるを得な……

「あーあー!早くしねーからコイツが気を使って味な真似してくれちゃったじゃん!」

アルマクリスの矛が、私の胸を貫いていた。
同時に私の刃も、アルマクリスの首筋を切り裂く。
そして直後に彼は、左手で傷口を抑え……肉の焼ける音と臭い。

「せっこいよなぁそう言うの!かーっ!俺らのせいじゃありませーんって……」

「……げほっ……はぁ……はっ……」

「はぁー!?なんで生きてんのお前!意味分かんねえんだけど!」

……大抵の魔族は、純人種よりもずっと頑丈ですからね。
ナイトドレッサーは身体のどの部位を欠損しても再生が可能です。
体内の魔素が尽きない限りは……ですが、そんな事よりも。

「理解が出来ないのは……私の方……です……。
 あなたは……死ぬ事が、怖くないんですか……」

魔族じゃない、ただの人間の身で、なんであんな戦い方が出来るのか……私には理解出来ません。
私は……今まで、多くのヒトを、魔族を、殺してきました。
だけどこれほどまでに……死を恐れない人を、見た事がありません。

……突き立てられた矛が、赤く染まっていく。
炎の付与魔術……それが何を意味しているかはすぐに分かった。
私を、体内から……焼き尽くすつもりなんだ……。
……怖い。嫌だ。死にたくない。私の心を、暗い感情が埋め尽くしていく。

「……あぁ、ぜーんぜん怖かねえよ。俺にはなんもねえんだからよ。
 だからてめえらも、全部失くしてから死ねや」

……だけどその言葉が聞こえた瞬間、それらがふっと消えていくのを、私は感じました。
だって私は……ジャン様の、スレイブ様の邪魔をする事だけは、したくない。
彼らの冒険の負い目になりたくない。

それに……この人が、こんなにも空虚な声で話をするのも……なんだか、嫌です。
話が聞きたくない訳じゃなくて、むしろ逆で……上手く言葉に、出来ないけど、とにかく嫌なんです。

この気持ちを、失くしたくない。
抱えたまま死んでしまいたくない。
これはきっと……私が変わる為に必要だったものだから。
だから……

「さて、そろそろ決めてくれや!もう半分見殺しにしてるようなもんだけどよ!
 ちゃんとてめえらの言葉で聞きてえんだよなぁ俺ぁ!
 さぁどうするよ!指環を寄越して死ぬか!このアマ見殺しにして生き延びるか!さっさと決めやがれ!」

矛の刺さった傷口から魔素が漏れ続けてて……声は、出せないけど。
彼らの方を、じっと見つめる事しか出来ないけど。
それでも、お願いです。気付いて下さい。

……助けて、下さい。


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