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◆Q/9lN6f8gg
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285 : ◆Q/9lN6f8gg [sage]:2017/10/16(月) 01:23:17.14 ID:fgUU5PwX
ジハーディア王国・アントニオ伯爵領ヒッポニア平原。
かつては多くの小麦が実り、季節によっては黄金色に染まっていたこの場所は、
今や巨大な砦が築かれ、巨人族のものとなっていた。
かつての農民たちは奴隷として働かされ、戦争に使うための武器や防具を日々作らされ続けている。

そこから遠く離れた先、アントニオ伯爵領にある連合軍拠点。
山を丸ごとくり抜いて作られたこの拠点の中、タイタンたちがずらりと並ぶ円形のホールの
中心で甲冑を着たある男が演説を行っていた。

『この数十年!スカーレット半島を奴らに乗っ取られ、さらには同志であるドワーフ・エルフの国々も
 その国土を奴らに奪われた!』

男の名はアントニオ・クレバドス・イーゲル。
五十歳を過ぎてなお部下と共に最前線で戦い続けるタイタン乗りにして、アントニオ伯爵領方面の総司令官だ。
彼の所領は今やヨーツンヘイム軍との最前線となっており、日々こうして檄を飛ばして軍人たちを激励している。

『だが我々はただ奪われるだけではない!偉大なる神々が与えてくださった加護と、鍛冶と魔術と知恵が
 巨人共に対する絶対の剣を生み出した!』

すると彼の背後に立つタイタン『ゴルディオン』が赤いマントをはためかせて、黄金に輝く大槌を掲げた。
それに応じるように、ホールに立ち並ぶタイタンたちも各々の武器を掲げる。

「すごい……伯爵の演説はいつ聞いても迫力がある。
 あの人のおかげでここは動いてるようなもんだ……!」

武器を掲げるタイタンの内の一つ、『ラウンドナイツ』そしてその搭乗者であるトム・バールは
毎日聞いているはずの演説に、まるで初めて聞いたかのように感動していた。

『今回の戦は膠着が続くこの戦争に楔を打ち込む、極めて重要な戦だ!
 各員の奮闘に期待する!』

やがて演説が終わり、アントニオ伯爵は自らのタイタンが差し出す手に乗り、胸のハッチを開いて搭乗した。
戦神の加護と太陽神の加護を受け、大量の供物を捧げることでその加護を維持しているタイタン『ゴルディオン』
その大槌によって何体もの巨人が粉砕され、ヨーツンヘイム側からは懸賞金をかけられるほどだ。
見た目も太陽を現す黄金の大輪飾りを付けた頭や赤と黄金の色合い、そして式典を思わせる豪奢な鎧。

対してトムが乗り込んでいるタイタン『ラウンドナイツ』は
同じ戦神の加護を受けてはいるが見た目はただの騎士甲冑、使う武器は使い古された大剣に、盾と短剣。
もちろんタイタンサイズの武器であるから人が振り回せるものではないが、ゴルディオンと比べれば見劣りする。

「……いや、大事なのは意志だ!
 巨人族をこの大陸から追い出すという意志を持ち続ければ、武器なんて問題じゃない!」

こうして進軍前の演説は終わり、タイタン乗りたちは拠点にある酒場へと向かう。
ここは進軍前に告げられるタイタンの編成ごとに分かれて飲むのが暗黙のルールとなっており、
数人ごとにばらけて飲んでいるのが一般的なスタイルだ。

トム・バールもその例外ではなく、既に次の戦いで一緒に戦うことになるタイタン乗りたちが
待っているテーブルに着き、まずは遅くなったことを詫びた。

「すまない!カウンターで注文をしていたらテーブルを探すのに手間取ってしまった。
 これもマスターが酒には焼いた豚肉をつけろと進めてきたのを断るためでね」

まもなく運ばれてきた、濁ったエールが入った木のコップを掲げて威勢よく叫ぶ。

「アントニオ伯爵の演説は素晴らしい!伯爵の指揮があれば、あの憎らしい砦もすぐさま壊してやれるだろう!」


【プロローグ。戦闘前夜の最後の宴会】


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