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マリー・テレジア ◆./6UDin7fi8Y
TRPG系実験室 [無断転載禁止]©2ch.net

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254 :マリー・テレジア ◆./6UDin7fi8Y [sage]:2017/09/14(木) 15:46:56.84 ID:M9JOFEZv
>「アリの活け〆、一丁上がりっと。先達から一つだけアドバイスしとくとね、シスターちゃん。
  ……無傷で仕留めるとアリでも高く売れるよ」

「えぇ!後で何体か譲って下さいねっ!」

ジェミニのアドバイスに臆面もなくそう返すと同時、マリーは右腕を横薙ぎに振り回す。
その先端には球状のハンマーではなく、今度は鎌のような刃が形成されていた。
武器を変えた事には理由がある。アリの売却額を上げる為ではない。
それはジェミニがやってくれるだろうし、後で分け前は頂戴するから問題ない。
……と、マリーがちらりと彼女の方を見やる。
ジェミニは、群れからやや外れた地点にいる一体のアリに向かって、悠然と歩み寄っていた。

「え、あの、ジェミニさん……一体何を?」

当然、アリは彼女を標的と定め……その武装、機関銃の銃口をそちらへと向ける。
マリーは慌てて天使像を操作。彼女の盾にしようとして……しかし気付いた。
ジェミニの体幹が僅かに傾き、つまり彼女が重心を移動させて、既に「回避」の為のステップを踏もうとしている事に。
そして、銃声。弾丸は……ジェミニを捉えられなかった。

「あ、あれ……?」

立て続けに響く銃声、放たれる弾幕。
だがジェミニはその尽くを回避している。
彼女には見えているのだ。弾丸が実際に放たれるよりも前に、その弾丸が描く軌跡が。

「……うわー。別に暴れ回らなくっても、全部キレイに仕留めちゃってもよかったかも」

アリに接近を果たしたジェミニがその機関銃を鷲掴みにして振り回す様を見て、マリーが呟く。
その間ずっと、彼女はアリの群れのど真ん中でじっとして、動かないでいた。
つまり周囲にいるアリに対してずっと隙だらけの状態でいた。
……微動だにしない彼女の修道服に、アリのニッパーが食らいつく。
ばりん、と音がして、ケイ素によって構築された、アーマーと称しても差し支えのない修道服が容易く噛み砕かれる。
アリ達はそのまま修道服の胴体、脚に食らいつく。

だが……アリ達には理解出来ないだろう。彼らに「歯ごたえ」の概念はない。
自分達が柔らかく弾力のある肉を噛み千切っていない事に気づけない。

マリーはずっと、じっとしていた。
戦闘中のある時を境に、天使像を中抜し、それを素材に作った空っぽの修道服……自分を模した戦闘人形と入れ替わって。
自分自身は地形に身を隠し、動かないでいた。集中する為だ。
ナノマシンを増産し、仕掛けを行う為に。

天使像がその手元に巨大な弓矢を形成し……頭上、ビルの壁面へと矢を放つ。
瞬間、アリ達の体が浮き上がる。
網だ。ナノマシンによる物体形成は、戦場の中心に突如として罠を作り出す事を可能とする。
アリ達の足元に作り出された極細の網が、天使像の放った矢によって引っ張り上げられたのだ。

「案ずる事はありません。あなた達は、召し上げられたのです。
 残念ながら行く先は神の身許ではなく、シェルターの奥底になりますけど。
 ……突き落とすなら、まずは持ち上げろって事ですねっ」

ひとまとめにされたアリ達の体に、ナノマシンが付着していく。
それらは機械の関節部に潜り込み……やがてはその身動きを、完全に封じてしまうだろう。
TRPG系実験室 [無断転載禁止]©2ch.net
255 :マリー・テレジア ◆./6UDin7fi8Y [sage]:2017/09/14(木) 15:48:02.45 ID:M9JOFEZv
>『二人とも、戦車は道路をまっすぐ行って左にある広場で停止している。
  先に僕が偵察するから、二人は後から来てほしい。集合場所を端末にポイントしておく』

「……さて、それじゃ行きましょうか」

そうしてヤスモトが指定した地点へ向かうと……戦車は既に動作を停止していた。

>『……ジェミニ。マリー。あの戦車が何に救援信号を出しているのか、とさっき言ったね。
 それはここだよ、この広場だ。あの戦車はずっと、ここを目指していたんだ』
>「ここで戦い続けて……パイロットたちだけでも逃がそうとしたのか」

「……こんな場所が、あったんですか。一体いつから」

マリーは思い浮かんだ疑問を口にしようとして、しかしやめた。
無意味だからだ。彼らは機械で、兵器だ。ただ設計されたプログラム通りに継戦行動を取ろうとしただけ。

>「あの戦車は間に合わなかった……僕と同じだな」

「……大収穫ですね。戦車だけじゃなくて、他の残骸からも旧時代の技術が回収出来るかも」

ヤスモトの呟きを自分の中から塗り潰すように、マリーは呟く。

>『……回収班を呼ぼう。正体不明の無人兵器は前文明の戦車。
  無力化完了。よって今回の作戦は終了とする。――いいね?』

「戦車の機銃の発射音は……ヒグマと、スズメバチ。そのどちらにも似てはいなかった。
 ……だけど、成果が出ちゃった以上、これ以上、このチームでの探索は許可されないでしょうね。
 また、何かが起こるまでは……」

全てが終わった訳ではない。災いの種はまだこの廃墟に隠れているかもしれない。
だとしても……それに対してマリーはまだ何も出来ない。
誰一人欠ける事なく任務を達成したにも関わらず、彼女の表情は浮かないものだった。


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