- 【SFファンタジー】旅人たち【短編TRPG】 [無断転載禁止]©2ch.net
11 :カイザード ◆tTdauh81E. [sage]:2017/09/14(木) 10:25:45.11 ID:FUteoNbe - カイザードはその森の中を歩いていた。
後ろをコッソリとつける。 冒険者の中でもシーフスキルというやつだ。 周囲は機械化された木々でいっぱい、ヘタをするとガンカメラあたりに狙われかねない。 このあたりの「機械化」はレベル4。かなり危険地帯といえる。 最近の銃はかなり手の込んだものが多い。 自然界の銃も弾は人間の肉体に入るとめり込み、貫通するかその場に留まって暴れ、 もしくは爆発し、一生消えない傷を作る。 目の前の女はかなり背が高く、カイザードより頭一つ大きい。肌が青いということは魔族か何かだろう。 獲物は見たところない。と、いうことはあの腕に装備しているものか、あるいは魔法か。 尻はブーティーというより引き締まっているが、胸はでかい。当然谷間を露出させている。 と、目の前にまた生体反応。いや、メカ生体反応とでもいうべきか。 それは「ガンボア」。銃を装備したイノシシだ。ガンドッグよりも少し強いという。 もしフル装備なら、銃の他に砲や対戦車ミサイルを装備した者もいる。 とかく生身の人間が相手にしていいものではない。 一発を何とか腕の甲で弾いた女の前に立ち、名乗る。 「俺はカイザード。話は後だ、女、そのイノシシはやべぇぞ」 銃を構える。これは「クィックシルバー」という速射式の連射銃だ。 先手を取って素早く、こちらに銃口を向けられる前に三発ほど敵の銃口に撃ちこむ。 敵の銃口が潰れ、さらに貫通してある程度のダメージに動きが鈍くなるボア。 攻撃手段が限られてくれば、あとはこっちのものだ。 「一気にいくぜ。アニキの力を見せてやるよ」 更に一発放つと、敵の照準の狂った攻撃を宙返りしながら避け、投げナイフを一本投げると、太いナイフで切りつける。 これはレーザーナイフといい、ナイフの軌道に風の魔力が込められており、緑色の光で 同じ殺傷能力をそれなりの射程で与えるものだ。 素早く五回にわたって斬りつけ、ぐったりしたところに、脳天へと銃の一発をお見舞いする。 パアン、と頭部が弾け、敵が膨張を始める。 「爆発するぞ!」 そう合図して離れると、ガンボアは大爆発を起こした。 残るはチップと、いくつかのパーツのみだ。カイザードはそれを無視して、リロードしながら女に近づく。 「危ないぞ、女。俺はカイザード。「早撃ちカイザード」とも呼ばれている。女は守らないと気がすまないんでね。 それより折角そんなに綺麗なのに、銃の多い地帯は危険だ。何かここにいる理由でもあるのか? 銃弾は皮膚を容易く破る。中身を引っ掻き回す。そしてその傷は簡単に癒えることはない」 カイザードは女の前の機械化された切り株に座ると銃とナイフを磨きながら言う。 「妹を探してずっと旅をしている。この間に色んな女と付き合い、抱いてきた。死んだヤツもいる。 その中でも銃にやられた女は悲惨だった。ある女は銃弾で目を潰され、顔にも傷を作り、綺麗な顔を台無しにされ、 二度と冒険に出ることはなかった。ある女は腹を銃弾で撃たれ、我が子を殺されて失意のうちに自殺した。 この地域は特に銃化が激しい。さっきの機械化生物はまだ甘い。ここからは覚悟は必要だぞ。それでも行くのか? 俺はもしそうなら、お前を守らなくてはならない。それが信条だからな。それとも、何か理由でもあるのか?」 ブツブツと呟くように言い、カイザードはナイフの手入れを終えた。 (導入部分を書きました)
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