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459 :創る名無しに見る名無し[sage]:2017/09/14(木) 18:52:56.73 ID:15zN8OQA - 魔法に関する法律を読んで、最初に目にする事になるのは「義務」です。
魔法に関する法律の序文には、こうあります。 「共通魔法社会の平和と秩序を維持する為、共通魔法を用いる者、共通魔法社会で生きる者、 その恩恵に与る者、それ等に関係する者は全て、魔法に関する法律を遵守する義務を負う」 単純に「全ての共通魔法使い」としていないのは、共通魔法使い以外の魔法使いの存在を、 考慮しての事です。 現在の法解釈では、共通魔法使いが支配的な地位にある事が重要とされています。 共通魔法社会の領域に踏み込む者は、誰でも必ず魔法に関する法律を守らなければなりません。 逆に言えば、共通魔法社会の領域外では、魔法に関する法律を守る必要は無いと言う事……には、 残念ながらなりません。 注意して見ましょう。 よく読んでみれば判りますが、序文には地理的な要因や時間的な要因は、何も書かれていません。 即ち、「何時」、「どこ」であろうとも、共通魔法や共通魔法社会に少しでも関わりがある者は、 魔法に関する法律を守れと書いてあるのです。
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460 :創る名無しに見る名無し[sage]:2017/09/14(木) 18:54:19.86 ID:15zN8OQA - これは共通魔法使いにとっては、非常に重要な事です。
見知らぬ土地だからと言って、恐ろしい魔法を試したり、魔法を悪用したりする事を、 魔法に関する法律は許さないのです。 魔法に関する法律は、共通魔法使いの矜持その物だと言って良いでしょう。 極端な話になりますが、新大陸が発見されたとして、そこは当然共通魔法社会ではないでしょう。 共通魔法社会ではないから、魔法に関する法律の適用外で、魔法を自由に使える……等と考える、 悪人が居ないとは限りません。 魔法を知らない人にとって、共通魔法は恐ろしい物です。 武器を持たずとも容易に人を傷付けられ、人を操ったり従わせたりする事も出来ます。 こうした事が発覚した場合、仮令外地であろうと、魔導師会の法務執行部に逮捕されます。 現地で許されているからと言い訳しても通じません。 魔法に関する法律は、他の如何なる法律よりも優先されます。 丁度、魔法に関する法律に違反する都市法が無効となる様に。 この魔法に関する法律は、共通魔法を用いる者、共通魔法社会で生きる者、その恩恵に与る者、 それ等に関係する者の全てに適用されるからです。
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461 :創る名無しに見る名無し[sage]:2017/09/14(木) 19:00:21.70 ID:15zN8OQA - 魔法に関する法律は、三段構成になっています。
第一段は序文、「法律の趣旨」に関する記述です。 第二段は総則、法律を運用する上での「重要な規定」に関する記述です。 身体刑、自由刑、財産刑、名誉刑と言った各種刑罰の形態や、法律用語の定義、解説を含みます。 第三段は違反行為や罰則を記した、具体的な「違反条項」です。 これによって、どんな行為が罪に当たるのかを規定しています。 それぞれの段には別々に条項が振られています。 第一段を「魔法に関する法律の趣旨」、第二段を「魔法に関する法律の規定」、 第三段を「魔法に関する法律の違反条項」と言います。 通常、注目されるのは第三段の「違反条項」ですが、第一段や第二段の内容も重要です。
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462 :創る名無しに見る名無し[sage]:2017/09/14(木) 19:04:37.45 ID:15zN8OQA - 実際に、「魔法に関する法律の違反条項」第三条「危険行為」の条文を見て行きましょう。
見出しには、こうあります。 「魔法を使用した危険な行為は違法である事を、ここに記す」 この文言によって、法律の性格が決まります。 そして個々の項目で、具体的な違反行為を指定します。 危険行為には5つの項目があります。 ・第一項 人の心身に危害を加える行為 ・第二項 人の心身に危害を加え兼ねない行為 ・第三項 器物破損 ・第四項 迷惑行為 ・第五項 例外規定 第一項は魔法による暴行罪、(心的外傷を含む)傷害罪、傷害致死罪、過失傷害罪、過失致死罪、 殺人罪に相当する罪を認定して、禁じています。 ここでは実際に相手に危害を加えた事が重視されます。 暴行罪と傷害罪の区別は、目立った外傷の有無で判断されます。 第二項は魔法による暴行未遂罪、傷害未遂罪、傷害予備罪、過失傷害未遂罪、殺人未遂罪、 殺人予備罪に相当する罪を認定して、禁じています。 魔法による判定で、暴行未遂や傷害予備が認められる等、相当厳しい物です。 悪意を持って魔法を使う事は許されないのです。 暴行未遂罪と傷害未遂罪の区別は、行使された場合に予想される被害の程度や、 悪質さで判断されます。 暴行予備は暴行未遂に含まれます。 現実に暴行未遂罪が適用される事は、滅多にありませんが……。 第三項は魔法による器物損壊罪、建造物等損壊罪、文書等毀棄罪、境界損壊罪、 野生動物傷害罪、占有動物傷害罪等に相当する罪を認定して、禁じています。 第四項は軽犯罪法に相当する罪を認定して、禁じています。 第五項は「特別に危険行為が許される例外」を規定しています。 正当防衛や緊急回避の類です。 こんな感じで、「魔法に関する法律法律の違反条項」には全部で十二の条目があります。
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463 :創る名無しに見る名無し[sage]:2017/09/14(木) 19:09:10.84 ID:15zN8OQA - 「……アドレージ先生」
「どうしました、デシジョール先生」 「私の授業の時間なのですが」 「えっ、そんな時間ですか? あぁ、これは行けない、休憩時間まで使ってしまったか」 「私は構わないのですが、学生が可哀想です」 「しかし、学生達が何も言わなかった物で」 「そう言う問題では無いでしょう……」 「今日の授業は、これまで! それでは失礼します、デシジョール先生」 「全く困った物です……。それでは授業を始める前に、2点だけ休憩時間を取ります。 皆さんは、その間に準備を済ませて下さい。アドレージ先生は優秀な法律の専門家ですが、 時間に好い加減な所は見習っては行けませんよ」
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