- 【王道ファンタジー】ホワイトクロス騎士団【TRPG】 [無断転載禁止]©2ch.net
159 :フィッチャー ◆9tRgsDTMos5G [sage]:2017/08/15(火) 01:01:47.57 ID:7opXxZHT - 「で、どうしたんだい? この物凄い集団は」
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160 :フィッチャー ◆9tRgsDTMos5G [sage]:2017/08/15(火) 01:02:29.83 ID:7opXxZHT - チホリがデルタを小突きながら行軍し、後ろにいる陣容を見渡す。
先ほどまで数十人程度しかいなかったコボルト、エイプマンたちは、気が付けば 二千人以上を数える軍勢となっていた。 「来たぞ。あいつが俺の知り合い、まあ、相棒みたいなもんだ。仲間を呼んだんだってさ」 そこに居たのはカボスだった。コボルトの生き残り代表として、たまたま通り掛かった北方の軍勢を 丸ごと寝返らせた。そして、エイプマンの方もコボルトの増員に対抗し、カンプベルベルという男がエイプマンをあっという間に束ねた。 北方軍の一員として与していた獣人族は一気にデルタたちの味方となったのだ。 皆が皆、謎の光による攻撃で疑心暗鬼となり、近頃怪しい動きをしていたヴィクサスを睨んでいる。 そこで挙ってアトスに侵入しようという手筈となった。 「デルタ、オイラたちが必ずヤツラをぶっ潰してやらあ。犬猿の仲っつうが、教会ほど胸糞悪ぃモンは ねえってさ。みんなそう言ってる」 カボスは「切り取り自由」という話を出すと、コボルトもエイプマンも一気に士気が上がり、勢いづく。 「まったく、単純な連中なんだから……おっと、私の「先生」の方も動き出したようだね」 デルタと手を組みながら、チホリは水晶球の反応を見た。 ―― 「ボクは帝国軍の一部だ。だが、今は丁度帝国軍も混乱している。先ほどホビット庄の最寄の町で 帝国の状況を聞いたよ。どうやら北方との戦争は中止らしい。みんなヴィクサスに恐れをなしている。 今ボクが兵を挙げて成果を挙げれば、きっと奴らはビビる!」 丁度街の方からジャイプール人の女兵士を十数人雇ってきた。より高額な報酬でヘッドハンティングしたということだ。 ザトーラップのホビット軍は500人程度、しかし、妻子を含め女子供は庄に残している。 よって、普段からザトーラップの世話をする兵が必要ということだ。
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161 :フィッチャー ◆9tRgsDTMos5G [sage]:2017/08/15(火) 01:03:16.99 ID:7opXxZHT - 「人間の女どもはよく働いてくれる。昼の世話も夜の世話も……ね。連絡をくれたチホリには悪いが、
ボクはボクのやり方でアトスを陥れて見せる。まずはエントとの契約だ。シャーマンを数人用意してあるし、 以前ボクらと共闘したという実績がある。まずはレクトゥスを目指し、彼らと手を組んでから、アトスに攻め入ろうじゃないか、なあ」 ザトーラップが鼻で命令すると、女たちがザトーラップの汗を拭き、着替えを用意し、飲み物を持ってくる。 それをがぶ飲みすると、女にキスをして残りを渡した。 「さぁ、ホビットの闘い方を見せてやろうじゃないか」 ―― 「ギャァァァ!!」「火を止めろ!まさかこの光は……!」「被害状況を……」 アトスの奥地、ミランダ聖堂にて、「オリンパスの光」が多数観測された。 瞬く間にその奥ゆかしく威圧感のある大きな建物に穴が空き、火の手が挙がる。 直後、突然現れた幻影のような軍勢によって、聖堂内にいる多くの神官兵たちが、 次々と殺害されていった。 神官兵士だが非常に軽装の男たちで、皆、黙々と「作業」に取り掛かっている。 その眼は「薬物」によるものと思われるほど濁っていた。 「ぎゃぁぁぁ!!」「プレシャス、神よ、お救いくだだい!ヒェェ……」 教皇フローレンは突然の出来事に信じられぬという表情と、罪悪感と恐怖によってパニック状態に陥った。 周囲の側近たちも慌てふためきながら武器を抜いている。 「天使兵! どうして天使兵どもが動かぬのだ? 貴様らだけでも良いからこいつらを抑え、ワシを護れ!」 「全く動きません、それより、弁解をした方が良いのでは、我らは味方……も、もしや……!?」 「まさか、“事が露見した”とでもいうのか……!!?」 教皇と周囲の騎士たちは辛うじて聖堂の奥に篭り、暗殺者たちと凌ぎを削っていた。 そのとき、パキャ……という音とともに複数の側近たちが赤い塊となって潰れる。 現れたのはシュタインと複数の天使兵だった。 「シュタイン、貴様、もしや我々が裏切ったとでも……? 誤解だ!」 シュタインはその巨躯を揺らしながら笑い、残響を残すような声で喚いた。 「お前の行動は前々から監視させていただきました……「下界」の代表である「教皇」の役割は ご存知の通り「天界」に物資を捧げるという有り難い行為のはず……それを着服し、下部組織に過ぎないお前たちが 密かに叛乱を企てていたということ。それ即ち「天帝の命に逆らうなり」ということです。お・わ・くぁ・り・で・す・くぁ?……! ここにはラビカン、ルーカン、マイエルダンあたりを入れるとしましょう。彼らなら馬鹿真面目で扱い易い……」 「待て、シュタイン、お前にもこの分け前は……ぐぁぁぁぁ!!!!!」 多数の天使兵による「制裁」、その上、シュタインの太い両腕により叩き潰され、前教皇を殺害し、ジェノアを内部から崩壊させた 稀代の謀略家にして偽教皇、フローレンはついにシュタインによってその命を絶たれた。 辺りには彼とその側近の骨や臓器、衣服が散らばった。 とある部屋には多くの金銀財宝が、とある部屋には多くの蔵書と魔道研究書類が、 とある部屋には薬物と「天界」にも無い実験の研究所が、そしてとある部屋には多くの女たちが閉じ込められていた。 「おや、こんなところにも生き物が居ましたか。我らに従うか、ここで死ぬか、決めなさい。ヒヒヒヒヒヒ……!!」 かくして、アトスの「教皇庁」と「教皇」は完全に存在を抹消され、シュタインの傘下に入ったのである。
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162 :フィッチャー ◆9tRgsDTMos5G [sage]:2017/08/15(火) 01:04:17.05 ID:7opXxZHT - ――
>「団長! きっと生きてると思ってた……!」 「再会を喜ぶのは後だ、まずはこいつをぶちのめそう! 二人とも、あれ行くよ! ーーホーリーウェポン、ブリンク!」 「うぉぉぉぉおお!!」「おぉぉ・・・」 武器に神聖魔法が施され、さらにスピード、回避力を高められ、フィッチャーとセレスティーヌは力が漲ってくる。 「死ネェェェl!!」 マーゲンの鉄球は正確無比に三人を狙う。その攻撃には相変わらず隙が無く、セレスティーヌですら近づけない。 アレクが自然な形で間合いを取る。三方向から挟み撃ちにするという寸法だ。 その間にイオは後方から防御魔法をかけながら雑魚たちとマーゲンの攻撃の死角に入り、 それを守るようにマーテルとユニスが雑魚の遠距離攻撃を引き受ける。 >「ーー今だ!」 丁度120度ずつを制圧する形を取ったところでアレクの掛け声。しかし、マーゲンの攻撃はあまりに速く、 接近するまでに少なくとも一発は直撃するだろう軌道を描いている。突っ込んだところで赤い肉塊になるのが関の山だ。 それも、マーゲンの鎧は通常の甲冑兵の三倍以上はある。並みの力ではダメージを与えるのが難しい。 「セレス――!??」 フィッチャーがそんな判断をしている矢先にセレスティーヌは既に突撃の構えを見せている。 先ほど「竜巻」と形容されるが如く、もはや彼女は止められない。 「うおぉぉぉぉ……!!」 フィッチャーは我先へと大剣を前に構えながら突っ走った。 ガキン、という鈍い音とともにフィッチャーの大剣に鉄球がクラッシュする。 フィッチャーはそのまま鉄球に大剣を食い込ませると、全身を使ってそれの動きを相殺させ、鉄球に飛びついた。 マーゲンが振り回すと、たちまち彼の体は宙へと浮いた。その棘のせいもあり、血がトバドバと溢れ出す。 (よしっ、今のうちにそいつをやってくれ、こっちはもう持たねえ……!) アレクの一撃がマーゲンの首に命中し、怯ませる。 セレスティーヌがそこに剣による重い一撃を浴びせた。 「グォオォォオオオオ!!!」 一撃、二撃、三撃。そこらの雑魚兵士から奪い取った並よりも少し強力なだけの鋼鉄の剣が、 並外れた力によってマーゲンの鎧を突き刺し、切り刻み、打ち抜いていく。 大量の血を噴出し、倒れるマーゲンの脳天へと、さらに一撃が繰り出され、マーゲンの脳天は割られた。 それに飽き足らず、起き上がろうとする怪物マーゲンへの次の攻撃は首を斬り取り、さらに心臓へと抉り抜く連撃となった。 それでも動く敵はあまりのセレスティーヌの勢いについに動きを止め、地面に倒れる鉄と肉の塊となった。 フィッチャーたちは、ホワイトクロス騎士団はマーゲンを討ち取ったのだ。
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163 :フィッチャー ◆9tRgsDTMos5G [sage]:2017/08/15(火) 01:04:56.59 ID:7opXxZHT - 「大丈夫か!?」
裸になって倒れたペトラの元に、真っ先にフィッチャーは駆け寄った。 外見的には重傷、しかし、絶望的なことに爆発物とともに猛毒が離散し、彼女の肉体を蝕んだのは誤算だった。 「……ありがとう、愛するフィッチャー。どうやら、しくじった、み、た、いね……どうか、敵、を……」 ペトラの最期の言葉を受け取ると、裸になった彼女の遺体をその場に横たえ、兵の死体から取ったマントを上に被せてやった。 「プレシャス……必ずお前の分、お前の同胞や、俺の仲間たちを幸せにしてみせる」 ―― 「はあぁぁぁぁ!!」 呆然としている兵士、意気消沈している兵士、間隙している兵士、雑魚たちは思い思いで立ち竦んでいたが、 そこをセレスティーヌは容赦なく追撃し、一撃ごとに兵士たちの命を絶っていった。 首、脇腹、背中。どう殺すかだけの精紳が宿った剣が狂ったように敵を屠っていく。 (これが「狂戦士」というやつか……) フィッチャーは彼女の姿を見て、どこかで聞いた伝説を思い出した。 ペトラにかまけているうちに、十数人が既にセレスティーヌによって犠牲になっていた。 一部の逃亡兵が「通報だ! 自警団と教皇庁に通報して援軍を出せ!」と叫んでいたが、 ひとまずのところは敵は意気消沈して全て逃げ出し、静かになったところである。 フィッチャーが自ら止めに入り、アレクやユニス、マーテル、イオの魔法によって辛うじて落ち着きを取り戻したセレスティーヌは、 異常な興奮状態にあった。まずはフィッチャーが建物の裏へと彼女を連れ出し、事情を聴くことにした。 ようやくセレスティーヌが口を開いた。 「私は、シュタインどもに父上、母上を殺され、拷問をされたのだ。シュタインと、ここの、あらゆる兵どもにもな 憎んでいる。何人殺しても足りないくらいに……しかも、今の私は薬物を大量に打たれたせいか、まるで痛みを感じぬのだ」 セレスティーヌがパンパンに張ったチェイン・メイルを脱ぐ。その傷は酷いものだった。 フィッチャーはまず鎧を脱いで軽装になり、セレスティーヌを抱きしめた。身長差が不恰好なものだったが、 口付けから舌を絡ませ合い、お互いの愛情を確かめた。少しだけ彼女が微笑んだ気がした。 先ほどの魔法も相まって、見事すぎるほど鍛え上げられた筋肉は美しくさえあり、それに反して柔らかな乳房や 尻についた鎖等による生々しい傷痕は悲惨さを極めた。薬を塗っていたが、特に臀部に関しては、手の施しようのない陵辱を受けたといっても 過言ではなかった。そして何よりも異臭が鼻をついた。髪を肩で切られたその顔は以前のように凛々しくもあったが、 死体と汚物の腐ったような臭いはフィッチャーですら戦慄を覚えた。彼女の表情も殺気だっており不気味さも感じられる。 シュタインは鎧を着込み、大剣を背負うと跪き、裸のままのセレスティーヌの目を見て言った。 「セレス、いや、団長。必ずお前を旗印にして、教会の悪事を暴いて、領土を取り返す。シュタインの野郎も何かに命令されてるみてえだしな。 アレク!!! こっちにきてくれ。すぐにセレスの治療と洗浄を頼む。それと、団長用の装備の用意も。お前らも手伝ってくれ!」 かくして、数十人の死骸と肉片、血糊により死臭が立ちこめるこの場所で、 生き残った六人のホワイトクロス騎士団は、団長とともに再結成(リユニオン)したのだった。 【アトスで偽教皇フローレンら死亡。マーゲン死亡。猛毒でペトラ死亡。 セレスティーヌは薬の影響で依然として狂戦士状態ですが意識は戻り、ホワイトクロス騎士団・団長として合流しました】
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