- 【リレー小説】食糞殺人鬼スネ夫 Part1109 [無断転載禁止]©2ch.net
349 :創る名無しに見る名無し[]:2017/04/29(土) 15:24:30.02 ID:bcZWxpGD - 国王「しかし、こう何度もやっていると
ワシとしてもいささか物足りなくなってくる」 国王「なんというか……よりスケールの大きいことをしたくなってきた」 大臣「スケール、というと……?」 国王「時間や手間暇をかけて、大がかりなドッキリをやりたいのだ」 大臣「ふぅむ……少々興味をそそられますな」 国王「さては大臣、おぬしもドッキリにハマりつつあるな?」 大臣「! い、いえ……そんなことは……ありますけど。 仕掛ける側に回れば、これほど楽しいことはありませんから」 大臣「しかし、スケールの大きいドッキリとおっしゃられても 私には思い浮かばないのですが……」
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350 :創る名無しに見る名無し[]:2017/04/29(土) 15:25:06.70 ID:bcZWxpGD - 国王「フフフ、実はワシにはちょっとした案があるのだ」
大臣「ほう?」 国王「この国には、勇者と魔王にまつわる伝説があるだろう」 大臣「えぇ……分かりやすい話なので童話にもなっていますね。 魔王の手で大陸に危機が訪れるが、人間の英雄である勇者によって 魔王は退治されるという……」 国王「その伝説を利用するのだ」 大臣「ほう……?」 大臣「──あ、分かりました!」 大臣「魔王が現れたというニュースを我々の手ででっちあげ、 国民を恐怖させ……本当は魔王なんかいない、というドッキリですね!?」 大臣「国民全体をドッキリのターゲットにするとは、さすが陛下!」
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351 :創る名無しに見る名無し[]:2017/04/29(土) 15:25:37.77 ID:bcZWxpGD - 国王「ちがうちがう」
大臣「え?」 国王「魔王をでっちあげるのではない……」 国王「勇者をでっちあげるのだ!」 大臣「え、え、え? 陛下、どういうことですか?」 国王「つまりだな……ある一人の人間を皆で勇者だとはやし立て、 いざ旅立ち! というところでネタばらしをするのだ」 国王「名づけて……勇者ドッキリ大作戦!」 大臣「しかし陛下、いきなりお前は勇者だと告げても、 ターゲットはすぐに『俺は勇者なんだ』とはならないでしょう」 大臣「ネタばらしをしても、なぁ〜んだやっぱり、となるだけでは……」 国王「うむ、もっともだ。 だからこそ、このドッキリは長期間をかけて行わねばならない」 国王「いないハズの魔王の存在を信じさせる工作も必要となろう」
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352 :創る名無しに見る名無し[]:2017/04/29(土) 15:26:42.38 ID:bcZWxpGD - 国王「突如としておぬしは勇者だと祭り上げられ、
他国で暴れる魔王のニュースを聞き、義憤に駆られるターゲット……」 国王「そしていよいよ盛大に魔王討伐の旅に出発……というところで 魔王などいない、おぬしも勇者ではない、と真実を告げる」 国王「ククク……いったいどんな表情をするか、想像もつかんわ」 大臣「いいですなぁ……私もなんだか楽しくなってきましたよ……!」 国王「ターゲットは……そうだな」 国王「なるべく平凡な若者が望ましい。 平凡な若者をワッと祭り上げて、再び平凡という奈落に叩き落とす……。 この落差がきっと、い〜い表情を生むにちがいない」 大臣「ではさっそく、兵に命じて条件に合致する若者を探させましょう」
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353 :創る名無しに見る名無し[]:2017/04/29(土) 15:27:30.41 ID:bcZWxpGD - 一週間後──
大臣「陛下、よいターゲットが見つかりましたよ!」 国王「おお、本当か!?」 大臣「ええ、ノース地区の小さな村で暮らしている青年です。 絵に描いたような平凡さで、勇者として祭り上げるにはピッタリかと……」 国王「ほう……」 国王「──で、家族構成は?」 大臣「両親と三人暮らしで、一家の稼ぎはほぼ彼が担っています。 つまり……買収もたやすいかと」 国王「よろしい。さっそく、その青年がいる村に向かうぞ。 勇者ドッキリ大作戦の第一段階だ」 大臣「あんな村に、陛下自ら出向くのですか!?」 国王「こういうことは、やはり自分の手で行うからこそ面白いのだ。 それにワシが行けば話の信憑性も増すだろう」
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354 :創る名無しに見る名無し[]:2017/04/29(土) 15:28:00.21 ID:bcZWxpGD - ノース地区の村──
「国王様だ!」 「こんな小さな村になぜ……!?」 「どうして……?」 あまりに突然の国王の来訪に、村は大騒ぎとなった。 ザワザワ…… ガヤガヤ…… 村長「こ、こ、これは国王陛下! え、えぇと……ようこそいらっしゃいました! なにもない村ですが、どうぞごゆっくり──」 国王「いや、歓迎など必要ない」 村長「へ?」 大臣「陛下はこの村に住むある一家に用があるのだ。案内してくれるか?」 村長「か、か、かしこまりました!」
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355 :創る名無しに見る名無し[]:2017/04/29(土) 15:28:27.09 ID:bcZWxpGD - 家にはターゲットはおらず、両親がいるだけだった。
ターゲットである青年は、山で仕事をしており夕方まで戻らないという。 国王(ふむ……これは都合がいいな) 父「狭い家でございますが……!」 母「なにもお出しできるものはないのですが、ご容赦を──!」 国王「いや、かまわんでくれ」 国王「大臣」 大臣「はい」 大臣「まずはなにもいわず、これを受け取ってもらいたい」ジャラッ 父(なんだ、この金貨の山は!?) 母(す、すごい……!) 国王「実はな、おぬしらの息子を勇者にしたい」
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356 :創る名無しに見る名無し[]:2017/04/29(土) 15:29:07.46 ID:bcZWxpGD - 父「え!? 勇者というのは、あの伝説の!?」
国王「そうだ」 父「あ、あのぅ……父親の私がいうのもなんですが、 アイツは木こり以外なにもできないごく平凡な人間でして……」 国王「そんなことは分かっておる」 父「え……?」 国王「ワシはおぬしらの息子に、かつてない規模のドッキリを仕掛けたいのだ。 期間は一年を予定している」 国王「もちろん……ワシが満足いく結果となれば、成功報酬も払う。 今渡した金とは比べ物にならないほどのな」 父「…………」ゴクッ 国王「いかがだろうか。おぬしらの息子をワシらに売ってくれんか?」 父&母「売ります」
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