- 【王道ファンタジー】ホワイトクロス騎士団【TRPG】 [無断転載禁止]©2ch.net
25 :アレク ◆mhXMrsUqAc [sage]:2017/04/28(金) 23:15:28.70 ID:VnJlJI9A - ラムスの突然の凶行――
最も重装備の第二分隊員を殺害した後、それだけでは飽き足らずユニスに刃を突きつける。 >「騙されたなお前ら。俺は「こっち」の人間だ。お前らは包囲されてんだよ、ホワイトクロス騎士団だあ? そんなのクソッタレよ。 盗賊は所詮、盗賊ってモンだぜ。分かったらお前ら、こっちに付けや」 ラムスと"目が合った"第三分隊の一部が、どこかふらふらとした足取りで敵方に歩みを進める。 対するアレクは動じず――両手を降参、とでもいう風にバンザイしてみせる。 「さっすが副隊長様、賢明なこった」 「おいっ!? 正気か!?」 満足げににやつくラムス。あまりの事態にざわめくのは残った第三分隊員。 それに対して第二分隊員達は、その右手に掲げられたハンドサインを見逃さなかった。 それは第二分隊員だけが知っているサイン。そして寝返ったのは全員が第三分隊だ。 「《フラッシュ》!」 アレクが聖句を叫ぶと一瞬眩い光が明滅し、暫し敵の目がくらむ。 その瞬間、ハンドサインを見て事前に目を瞑るか伏せるなりしていた第二分隊の者達が突撃し、人質を救出する。 あまりに単純な戦法だが、割と第二分隊の形勢逆転の常套手段だったりする。 通常の人間が魔法を使う場合には詠唱が必要になる。 しかし余程の高位の術師、そしてその魔法に高い適性を持つ種族の場合、詠唱無しでの発動が可能なのだ。 山賊たちはそこまで念頭に置いていなかったのだろう。 >「傭兵とはいえそれなりの報酬を与えてやった上、宿舎まで貸してやったが…… 山賊どもといい、貴様らといい、人は堕ちるところまで堕ちるものだな。 アレク、こいつらのような生き物をなんと言うか知っているか?」 援護に駆けつけたセレスティーヌが半ば呆れた様子で問う。 「自らすすんで過酷な境遇に身を投じる求道者――そうでなければガチのドM」 ホワイトクロス騎士団に入った者には、その出自に拘わらずそれなりの報酬と宿舎の貸与等の安定した待遇が与えられている。 どう控えめに見ても山賊の待遇よりはマシなはずだ。 恩義等の道義的理由を持ち出すまでもなく、単純に損得計算で考えても寝返る理由は無い。 そうなれば、おのずと答えは見えてくる。 わざわざ無意味な苦労を買って出るのは修行僧か求道者かはたまたガチのドMか、もしくは―― 「……と言いたいところだけどどっちも違うな。自らすすんでじゃない。操られてるんだ。 ラムス、さっきそいつらに魔法をかけたんだろう?」 先程、例外なくラムスと目が合った瞬間に寝返りは起こっていた。 視線を介した精神操作の魔法―― 信仰心が高い第二分隊はその誘惑を退ける事が出来ても、元々賊上がりの第三分隊員はそうではない。 「……ただの山賊にそんな魔法が使えるとも思えない。さては闇に魂を売ったね?」 ここでアレクの言う闇とは悪の魔術師か、はたまた魔族等の人類と敵対する種族か―― 何にせよホワイトクロス騎士団と敵対する存在であることは間違いない。 次の瞬間、アレクは一気に間合いを詰めラムスにレイピアを突きつけていた。 はたから見ると瞬間移動したように見えただろう。 《ブリンク》――神の加護を受けたごく短距離の超速移動。 間合いを詰めたり逆に接敵状態から離脱する時に使われる、上級聖騎士の技能だ。 「問おう、貴様らの後ろ盾は何者だ?」 もしアレクのこの予想が当たっていて大人しく答えれば捉えてじっくり話を聞き出す。 予想が当たっていても的外れであったにしても抵抗すれば応戦するのみである。
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