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372 :創る名無しに見る名無し[sage]:2017/03/21(火) 19:26:47.56 ID:dET1cH2b - 名付け親
異空デーモテールの小世界エティーにて エティーでは新しく自我と高度な知能を持った命が生まれると、先ず名を付ける。 異空では「命」とは、雑草や孑孑の如く、勝手に湧いて来る物なので、親も子も無い。 敢えて親と呼べる物を言うならば、それは自らを形作った「世界」か、その世界を創った「王」である。 それとは別に、力の強い者が自らの分身や配下を、「必要として」生み出す事もある。 必要とされて生まれた物は、役割や使命を持っており、相応の力を与えられる。 故に、その事に大きな自負や誇りを持ち、自らを生み出した物に忠誠を誓う。 同時に名前も与えられる。 しかし、勝手に生まれた物に、役割や使命は無い。 青空に浮かぶ雲の様に、只何と無く存在している。 自我や知能を持たず、個体名を必要としない物もある。 エティーでは自我と高度な知能を持って生まれた物は、必ず個体名を持たなければならない。 自ら己に名を付ける事が難しい物は、他の物から名を貰う。 この時に、大きな制約がある。 それは「他と同じ名前」を付けては行けない事だ。 名前が同じと言う事は、混乱や諍いの元になる。
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373 :創る名無しに見る名無し[sage]:2017/03/21(火) 19:28:32.51 ID:dET1cH2b - 実の所、個体を区別するだけであれば、名前が同じであっても殆ど問題は無い。
容姿や性格の違いから、区別自体は容易である為だ。 では、どこで問題が生じるのかと言うと、エティーの外で生まれた物との間である。 異空とは退屈の世界であり、存在理由の不明な多くの命は、何時も暇潰しを求めている。 そこで一部の物は闘争を生き甲斐にした。 潰え行く弱者を観測する事で、己の生を実感しようと言う試み。 こうした物達は、何時も闘争の火種を探していて、しかも自分と同等以下の物としか戦わない。 一度目を付けられたら、逃走しようが降伏しようが無意味。 気が済むまで蹂躙される他に無い。 勿論、命の保証は無い。 この横暴から身を守る為の知恵が、「他とは違う名前」である。 異空では「同じ名前」は、排除の対象となり易い。 短い名前を付けると、他者の名前と被る確率が上がる。 だからエティーでは長い名前を付けて、重複を避ける。
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374 :創る名無しに見る名無し[sage]:2017/03/21(火) 19:30:14.07 ID:dET1cH2b - そう言う事情もあって、とにかくエティーでは誰も「独自の名前」を求める。
本来ならば、エティーの中に限っては名前被りが大きな問題になる事は無いのだが、 文化や風土の様な物で、同じ名前は良くないと言う漠然とした空気がある。 多少長くて覚え難くても構わない。 その時は略称や渾名で呼べば良いのだ。 ……しかし、エティーの中でも「名前被り」が無いかを確かめるのは難しい。 そこで頼られるのが、日記係のデラゼナバラドーテスだった。
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