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ジャン ◆9FLiL83HWU
【ファンタジー】ドラゴンズリングV【TRPG】 [無断転載禁止]©2ch.net

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【ファンタジー】ドラゴンズリングV【TRPG】 [無断転載禁止]©2ch.net
40 :ジャン ◆9FLiL83HWU [sage]:2017/03/15(水) 17:35:08.57 ID:sU6VWQne
>「それでこそ……指環に選ばれた者だ。そして貴様も理解しているだろう――そこは我が間合いだ!!」

確実に心臓を貫くためにより踏み込んだ一撃は、臓器を穿った感触こそあったが代償は大きいものだった。
直後に飛んできた裏拳を防ぐために張った水流の壁はわずかに方向を逸らしたものの
ジャンの頬に直撃し、歯が何本かへし折れて吹き飛び口の中を跳ねまわった。

「――痛えじゃねえかァ!!」

口内に残る嫌な感触を噛みしめながら、突き刺した水流の槍をさらに深く抉りこむように刺す。
わずかな体力と気力を振り絞りジャンは立ち続け、執拗に何度も抜いては突き刺す。

>「……痛恨である。指環一つならば如何様にもなったはずだが……ここにあるのは二つであったな。
 基本的な足し算すら失念していたとは……吾輩もどうやらヒトの子であるらしい」

そう語りながらジャンが突き刺し続けていた槍を掴み、なんと片手で握り潰した上引き抜いてしまった。
だが氣は既に体内からなく、溢れ出る血液はノーキンが気力のみで立ち続けていることの証明だ。
ジャンは槍が引き抜かれたときに思わず腰を抜かし、ヒトにしてヒトを超えようとした者の最期をただ見つめることしかできないでいる。

ノーキンはジャンを気に留めることもなく、語り続けながらゆっくりと歩き始める。
指環の魔力とフェンリルの力で作られた岩石の根を強引に振り払い、目の前に立つティターニアの指環へ向かって。
だが一歩、二歩と続き、三歩目にしてノーキンはついに足を止め、力尽きたかと思われた。
再び根が歩みを止めた彼を縛るべく伸びた瞬間、彼が最後に叫んだ言葉は呪詛のような遺言ではなかった。

>「――指環の継承者達よ!見事なり!!」

むしろジャンたちの旅路を祝福するような、堂々とした咆哮は彼の生涯を表すものだったのだろう。
そこから彼は一歩も動くことなく、静かに人生を終えた。

「……エルフ爺め、最後まで好きなように動きやがって。
 ティターニア、ラテ。とっととユグドラシアに戻ろ――」

短い黙祷を済ませた後、人形に突き刺さっていたサクラメントを引き抜く。
さらに軽く悪態をついて二人を見た瞬間、気づいた。ラテの様子が明らかにおかしい。

>「……ごめんなさい」

石畳の一部が剥げ、石で作られた短剣状の何かが宙に浮かぶ。
そしてラテは――それを無造作にジャンとティターニアへ投げた。

「バカ野郎!いきなり何やってんだよ、気でも狂ったのか!?」

慌てて水流の壁で方向を逸らし、後ろにあった家屋の壁に短剣状の石片が突き刺さる。
避けなければ間違いなく脳天に突き刺さっていたその一撃にジャンは思わず怒鳴ったが、なおもラテの様子は変わらない。

>「失くさなきゃ……奪ってしまった分、私が失わなきゃ……」

そう呟きながら、ジャンへとラテは跳躍した。
殺意をむき出しにしたそれは、避けなければ間違いなく喉笛を噛みちぎられる一撃だろう。

(心が不安定なところでフェンリルに何か言われちまったな!
あのクソ狼ロクなことをしやがらねえ!!)

だが、ジャンは避けない。戦闘の余波で砕けた石畳を踏みしめ、指環を掲げてウォークライを放つ。

「酔っ払いに一番効くやつだ……ようく聞いておけよオオォォォォ!!!!」

指環から大量の水をラテの顔めがけて叩きつけ、跳躍の勢いを失ったところで顔を掴み、ウォークライで頭を揺さぶる。
酒に酔ったり魔術で正気を失った同族に対してオークが行う治療法の一つだ。
一般的にオーク族の間で「頭を冷やせ」と言われた場合にはこのことを指すことが多い。
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41 :ジャン ◆9FLiL83HWU [sage]:2017/03/15(水) 17:35:38.94 ID:sU6VWQne
さて、ノーキンという指揮官を失い烏合の衆となったソルタレクの冒険者部隊は
もれなくアスガルドの冒険者ギルドに仕留められるか、捕縛されてしまった。

学園内に残った残党も間もなく掃討され、長く続いたこの戦いももうすぐ終わるだろう。

「だけどな、終わった後ってのが大変なんだ、物事ってやつはな。
 まずは負傷者の治療と学園と都市との合同会議だ。それが終われば報酬の支払い。
 壊れた街の復旧作業。ソルタレクのクソったれ共への抗議文」

「冒険者ギルドどうしの戦争なんて歴史上初めてですなあ」

「喜べよギール、お前が数間違えて頼んだ羊皮紙の山全部使うことになるぜ」

アスガルド冒険者ギルド支部、その会議室。
戦闘がほぼ終結し、ギルドの幹部とギルドマスターが一堂に会してこれからの対応について話し合っていた。
アスガルド側も被害は少なくなかったが、捕縛した冒険者たちを労働に使わせることである程度被害は補える見込みだ。

「で、次の話なんだけどよ……敵の指揮官をぶちのめしたっていう連中。
 あいつらが噂の指環持ちか?」

そろそろ白髪が目立つ年に差し掛かったギルドマスターが、テーブルに銀のゴブレットを叩きつけて話す。
それに呼応するように、ギルドの幹部たちもまた各々の意見を述べ始める。

「もしそうだとすれば、面倒なことになりますな」

「私たちは知らなかった方向でいきましょう、彼らは単純に強かったということで」

「……それが一番だな、神話の遺物なんてずっと眠っていてほしいもんだ」

「次の議題に移りましょう、黒騎士が介入していたという報告についてですが――」

【ノーキンさんありがとうございました!パワータイプのキャラどうしのぶつかり合いでも
 色々やれるもんだということを知ってとても勉強になりました!

 言葉による説得はジャンに向いてないと思うので、ティターニアさんにぶん投げておきます!

 冒険者ギルドの話は勝手に使ってもらって結構です、カドムさんがかっこよく動いてくれて嬉しい…!】


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