トップページ > 創作発表 > 2015年07月14日 > SwJr/fdK

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創る名無しに見る名無し
帰ってきたミウたん

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帰ってきたミウたん
56 :創る名無しに見る名無し[sage]:2015/07/14(火) 18:36:25.68 ID:SwJr/fdK
"べる…… 娘……? "
混乱が不安を呼び戻す びん娘には最早、目の前の彼女に姉の息吹きを
感じる事が出来なかった
"ハッハッハッハッ… "
"ヒッ!? "
開いたままのドアの向こうから突如響いた笑い声
べる娘は無意識に飛び退る
"感動の姉妹の再会… 堪能させて頂きましたよ "
闇の中から姿を現したのは1人の中年の男だった
細い身体に高い上背、そこに濃紺のロングコートを纏わせる優男
長い前髪の間から覗く鋭い眼光と歪な笑顔
べる娘の背中越しに向けられたその不気味な表情に、びん娘は思わず身震いした
"初めまして… でよろしいのかな? 貴女のお話はお姉さんから伺っていましたよ "
"…………?"
びん娘は必死に状況を飲み込もうと努力した
だが、目の前の人形の様な生気の無い姉の姿と不敵な男の存在、
立ち続けに起こる怪異を結び付ける事が出来なかった
"申し遅れました 私、フリー嬢飼育施設長のクニモトと申します "
"!!!"
"伝説のカーニバルランク、びん娘嬢… 遥々お迎えに上がりましたよ…! "
"い、いゃぁぁぁぁぁっ!!"
びん娘の中で点と線が繋がった 心の奥底では首輪が鳴ったその時から
繋がっていたのかも知れない ただ、それに気付きたく無かったのかも知れない
男の浮かべる不気味な笑みはびん娘には悪魔のそれに見えた
"さぁ… 私達と帰りましょう 貴女の身体の予約は3年先まで
埋まっているのですよ "
"嫌… 嫌、イヤイヤイヤッ!!"
こんな日が来る可能性を全く否定していた訳ではない
ただ、例えその日が来ても、精一杯逃げて、力一杯抵抗して、そして最後は潔く死を選ぼう
そんな覚悟を胸に秘めていた それが生き延びた自分の務めだと…
だが、実際にその日が来てみれば、自分は死に怯え、ただ震える事しか出来ない
情けのない存在でしかなかった
ただ1日でも長生きして、少しでも幸せにありつきたいと願う、
鈍愚な恥さらしでしかなかった そう自分を責めるしかなかった
男が手にした小さなスイッチを押した
『シャンランララン… 』
"ひぃぃぃぃぃっ!!?"
帰ってきたミウたん
57 :創る名無しに見る名無し[sage]:2015/07/14(火) 18:38:51.28 ID:SwJr/fdK
首元のデジタルセグが三度変動を始めた
"使えないなら殺すだけですよ "
男が歪んだ口角を更に歪に吊り上げて見せた
"お、お姉ちゃん…! た、助けて…!"
震える声で未だ入口に佇むべる娘に助けを求めた
だが、べる娘の生気のない瞳はびん娘を捉えず、中空をただぼんやりと見詰めるのみ
"残念ですがお姉さんに自我は存在していません…
それなりに努力はしましたが、脳梁と前頭葉の一部しか再利用出来ませんでしたよ
一応、同情はしていますよ… 起爆させた当人としてね フハハ…!"
"………………お姉…… ちゃん…… "
びん娘は再び己の無様を激しく嫌悪した冷静に考えれば分かる
あの閃光の中に消えたべる娘が生きてる筈などないのだ
あのガラスの様な瞳は正に作り物だったのだ
"こ、殺せぇぇぇ…! 早く… もう殺してぇぇぇっ!!"
絶望がびん娘の心をほんの少し強くした 否、更に弱くしたとも言える
死だけがこの狂気の現実から逃れる唯一の術だと理解したのだ
"ふふっ 死にたい者を殺すなど何の面白味も無い… "
『7…7…5… 』
呆気なくセグは外れて停止した びん娘の魂の叫びにも男は顔色1つ変えず、
コートのポケットからもう1つのボタンを取り出す
"では、貴女の代わりに… "
『シャンランララン… 』
再び流れる死の調べ その源は探すまでもなかった
目の前に佇むべる娘の首元で、かつて彼女の命を奪ったそれが、
あの日と同じ様に旋律を奏で始めた
"……べる娘!"
目の前の彼女は魂を持たない人形…
それを理解しても尚、再び閃光の中に姉を見殺しにしたあの恐怖が甦る
更にそんなびん娘の心を見透かした様な男の残忍な言葉が、
びん娘の弱った心を完全に打ち砕く
"お姉さんに自我はありませんが、ちゃんと生きてますよ!
お姉さんの脳の残骸はキチンと貴女の声に反応している筈です
見殺しにするのですか? あの日、黒焦げでボロボロだったお姉さんは
必至に生きたい、死にたくないと願っていましたよ ハッハッハッ!"
"やめろぉぉぉっ!! やめてぇぇぇぇっ!! お願いぃぃ… やめてよぉぉぉ…… "


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