- 帰ってきたミウたん
57 :創る名無しに見る名無し[sage]:2015/07/14(火) 18:38:51.28 ID:SwJr/fdK - 首元のデジタルセグが三度変動を始めた
"使えないなら殺すだけですよ " 男が歪んだ口角を更に歪に吊り上げて見せた "お、お姉ちゃん…! た、助けて…!" 震える声で未だ入口に佇むべる娘に助けを求めた だが、べる娘の生気のない瞳はびん娘を捉えず、中空をただぼんやりと見詰めるのみ "残念ですがお姉さんに自我は存在していません… それなりに努力はしましたが、脳梁と前頭葉の一部しか再利用出来ませんでしたよ 一応、同情はしていますよ… 起爆させた当人としてね フハハ…!" "………………お姉…… ちゃん…… " びん娘は再び己の無様を激しく嫌悪した冷静に考えれば分かる あの閃光の中に消えたべる娘が生きてる筈などないのだ あのガラスの様な瞳は正に作り物だったのだ "こ、殺せぇぇぇ…! 早く… もう殺してぇぇぇっ!!" 絶望がびん娘の心をほんの少し強くした 否、更に弱くしたとも言える 死だけがこの狂気の現実から逃れる唯一の術だと理解したのだ "ふふっ 死にたい者を殺すなど何の面白味も無い… " 『7…7…5… 』 呆気なくセグは外れて停止した びん娘の魂の叫びにも男は顔色1つ変えず、 コートのポケットからもう1つのボタンを取り出す "では、貴女の代わりに… " 『シャンランララン… 』 再び流れる死の調べ その源は探すまでもなかった 目の前に佇むべる娘の首元で、かつて彼女の命を奪ったそれが、 あの日と同じ様に旋律を奏で始めた "……べる娘!" 目の前の彼女は魂を持たない人形… それを理解しても尚、再び閃光の中に姉を見殺しにしたあの恐怖が甦る 更にそんなびん娘の心を見透かした様な男の残忍な言葉が、 びん娘の弱った心を完全に打ち砕く "お姉さんに自我はありませんが、ちゃんと生きてますよ! お姉さんの脳の残骸はキチンと貴女の声に反応している筈です 見殺しにするのですか? あの日、黒焦げでボロボロだったお姉さんは 必至に生きたい、死にたくないと願っていましたよ ハッハッハッ!" "やめろぉぉぉっ!! やめてぇぇぇぇっ!! お願いぃぃ… やめてよぉぉぉ…… "
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