- 【スポコン】ロウきゅーぶ!SSスレ【ロリコン】
345 :智花vs真帆!?〜あの人へ、想いよ届け〜 ◆X/cN..zbJc [sage]:2015/01/07(水) 00:01:00.02 ID:Vx8Los8L - トモの1投目。
ここで決めれば、これまでの精度から考えて、圧倒的にトモが有利になる。 トモは相変わらず表情を変えずに、飛び上がった。 綺麗な弧を描いたボールは―― 「ぁ…」 ――リング上を2周グルグルと回った末に、リングを通過することなく落ちていったのだった。 トモがこの対決で初めてシュートを外したのを見て最も驚いたのは、真帆だった。 「…え、もっかん…?」 「真帆、早く投げないと5秒経つよ?」 「へ? あっ! おりゃー!!」 驚いて固まっていた真帆にトモが笑顔で指摘すると、真帆は慌ててシュートを打った。 フォームも無茶苦茶だったけど、どうにかゴールに収まった。 トモったら…。 本人は隠そうとしていたけど、トモの“フェイク”はバレバレだった。 もちろん、バスケにおいてトモのフェイクはなかなか見破れないけど、“嘘をつく演技”という意味での“フェイク”はトモの最も苦手としていること。 いかにも、偶然シュートが外れたように装っているが、トモは間違いなく、“外れるシュート”を狙って打った。 その違和感は、真帆もはっきりと感じていた様子だった。 もっとも、リング上を2周回ったこともトモの計算の内なのか、定かではないけれど。 もしそこまで狙っていたのだとしたら、さすがに凄すぎる…。 こうして、1投目は両者失敗、それ以降は両者とも一度も失敗することなく5投を終えた。 あのトモの失敗が無ければ、トモが勝っていたことになる。 トモはなぜそんな行動をとったのか。 たとえ相手が長谷川さんであっても、ハンデを極度に嫌うほど負けん気が強い。 それなのに、この真剣勝負の中、1投目で失敗した真帆を不憫に思った? それとも、真帆ともっと対決をしたかった? いや、ただ単にトモの優しさなのかしら。 対決は一転、持久戦となった。 依然としてリングの中央を一寸の狂いなくズバッと射抜くトモに対して、真帆のシュートは徐々に軌道がブレ始めた。 トモが奇跡的に失敗しない限り、真帆が負けるのは時間の問題だと思われた。 しかし、決着の時は一向に訪れない。 そんな2人のシュートに魅了されて時間が経つのをほとんど忘れていた私たち。 …気づけばもう51投目を終えたところだった。 女バスメンバーではトモですら難しいと言われた、長谷川さんを引き留めた伝説の50本連続のシュートを、二人揃って成功させたのだ。 ここまでくれば、私も愛莉もほぼ審判という職を忘れて、2人を応援していた。 もちろん、ひなも、久井奈さんも。
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346 :智花vs真帆!?〜あの人へ、想いよ届け〜 ◆X/cN..zbJc [sage]:2015/01/07(水) 00:04:56.81 ID:Vx8Los8L - トモは表情を変えないのではっきりとしないけど、まだ余裕があるようで、一方の真帆はいっぱいいっぱいという感じ。
「ジャンプを滑らかに、膝を使って…、おりゃー!!」 でも決して気を抜かない。 52投目、真帆は与えられる5秒を精一杯使って、独り言のようにフォームを確認しながらシュートを放つ。 これも決まる。 続くトモ。依然として綺麗なシュートを放った。 「っ…!」 と、突如トモから声にならない声が漏れる。 私から見たところ、シュートはこれまで通り綺麗に決まったように見えたのだけど。 「トモ、何かあった?」 「ううん、大丈夫だよ…」 本人が大丈夫と言ったので、私は中断せず真帆にボールを渡した。 53投目。 真帆は力を振り絞るためか、先ほどより大きな声で、何やら叫びながらシュートする。 「やーんばるーーーーーっっ!」 このシュートも決まった。 私たちは真帆の叫びに思わず吹き出したけど、トモは真剣な表情を貫いていた。 「っっ……!!」 続くトモは、またしてもしかめっ面で声を上げる。 真帆の叫びに笑いを堪えている…訳ではないようだ。 トモの表情が、どんどん険しくなる。 54投目。 「すーーーーばるーんっっ!」 真帆が今度は長谷川さんの名前を叫びシュートを決めた。 続くトモは顔をさらにしかめながらシュートを放った。 至って綺麗に決まったけど、シュートの後しきりに右手のひらを気にしていた。 「智花ちゃん…?」 「ご、ごめん、何でもない」 今度は愛莉が心配そうに声をかけるが、トモはそれを制止する。 さきほどから何かおかしい。トモは何かを隠している…? 55投目。 「みーたぁーーーーーんーぐあっ!!」 ここで真帆が見事に… すっ転んだ。 それでも転ぶ直前までしっかりゴールを見据え、指の力だけでボールを放る。
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347 :智花vs真帆!?〜あの人へ、想いよ届け〜 ◆X/cN..zbJc [sage]:2015/01/07(水) 00:07:37.57 ID:Vx8Los8L - ボールはリング前方にぶつかり上方に跳ね上がって――
「くっ………」 ――そのままゴールの手前に落ちた。 あとはトモが決めるだけ。 これでトモの勝利が決まった。誰もがそう思ったのだけど。 トモの表情が酷いことになっていた。まさに“絶望的”、な表情だった。 トモが申告してこないので、対決を中断することもできない。 心配で目を潤ませる愛莉からボールを受け取ったトモは、その瞬間にまた顔をしかめた。 するとトモはそのままジャンプの体勢に入……らず、ワンステップ後ろに下がった。 え、ジャンプシュートをしない? それからトモは左手を大きく突き上げた。 「スクープ…ショット…!?」 トモの手を離れたボールは大きな弧を描き、 ゴールに吸い込まれた。勝負あり。 □ ☆ガールズトーク〜三沢家 真帆の部屋・おやつを食べながら〜 真帆「あはは、やっぱもっかんは強いなー、あたしなんかぜんぜんダメだったー」 智花「そんなことないよ、真帆だってとっても強かったよ! もうちょっとで負けちゃうところだった」 紗季「そうね。まさか真帆があんなに連続でシュートを決めるなんて、これっぽっちも思わなかったわ」 真帆「むっき〜! なんだよそのいーかた!」 紗季「それよりトモ、なんで右手の豆がつぶれたこと隠してたの?」 智花「だって、真帆があんなに頑張ってるのに、豆が潰れたくらいで諦めちゃったら、真帆に申し訳ないと思って」 愛莉「でも、智花ちゃんのスクープショット、とってもかっこよかったよ」 ひなた「おー、ともかのひっさつわざ、すごかった」 智花「そ、そうかな…? ありがとうね、愛莉、ひなた」 真帆「そだ、ねえもっかん、………」 智花「うん? なあに真帆?」 真帆「…いや、なんでもない! ささ、もっとたくさんお菓子とかケーキとかあるからどんどん食べて!」 ひなた「おー、真帆、ふとっぱら。いただきます!」 紗季「ひな、あんまり甘いもの食べ過ぎると体に良くないわよ」 愛莉「たしかに、甘いもの食べすぎたら太っちゃうかも…」 智花「え…それは嫌だなぁ…」 真帆「だいじょびだって! あたしたち、それだけウンドーしてるんだしっ!」 紗季「確かにそうね。次の大会に向けて、もっともっと練習しないといけないし」 智花「そうだね。みんな、がんばろうね!」 みんな『おー!』
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348 :てちー ◆X/cN..zbJc [sage]:2015/01/07(水) 00:12:15.62 ID:Vx8Los8L - >>343
どうもです 今日はここまで。 運動なんかまるでダメな私が書いたので、 バスケで「そんなことありえねー」みたいな内容があったらお詫びします 次回:敗れた真帆。その胸中を紗季にだけ明かす…。
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