- 【軍事】ミリタリー系創作スレ【兵器】3
425 :ゴルゴ13 原作脚本[]:2013/12/03(火) 23:07:20.42 ID:onZolVYZ - 11
○ホテルの外観 (飛行場から尾行したのとは別の中国人風の)二人の男が、正面入り口を入っていく。 ○ホテルのバー・カウンター 橘と男〔欧〕がスツールに並んで掛けている。 男[欧]「自衛隊のレンジャー、それも空挺レンジャーの出身か。」 橘「こいつは驚いた。なかなか詳しいじゃねえか。だが惜しいな、ちょいと外れだ。正確には、落ちこぼれの元レンジャーだがな。そういうあんたは、どこの特殊部隊の出なんだい、なんて訊く気はねえよ。」 男[欧]「ほう。」 橘「そうに決まってるからな。お互い、人生裏街道を行く身だ。過去なんてその意味じゃ似たり寄ったりだろうさ。それより現在只今を楽しまなくちゃな。全世界の女が俺を待ってることだし。」 男[欧]「ううむ、君は典型的な日本人のタイプからは、相当外れているのではないか。別に日本人を良く知っているわけではないが。」 橘「ま、俺が三船敏郎じゃないってのは、あんたがジョン・ウェインじゃないのと同じくらい確かだろうな。」 男[欧]「面白い男だな、君は。」 ○バーの入り口 二人の(中国人風の)男が入って来る。奥へ行き隅の席に着く。 ○バー・カウンター 橘が喋り、男[欧]が時々苦笑しながら聞いている。 橘「支那にも昔は、韓信なんていう感心な奴もいたんだがな。」 「支那にゃあ Revolution はなかったんだよ。易姓革命、つまり王朝交代を繰り返してきただけだ。要するに、秦の始皇帝が生き返って、マルクス主義の用語で喋りだしたのが毛沢東ってことさ。」 「マオタイ酒に三国志と水滸伝、それに人民の血をたっぷり加えて、文化大革命というシェイクをすれば、ブラッディ・マオの出来上がりというわけだ。」 男[欧]「……。」 橘「アンナはいい女だが、どうも男を見る目に問題があるようだ。」 「浮気相手の色男ってのがウロンスキー。この野郎がまた胡乱なやつで…。」 「レーヴィンなんてなぁデクノボーの田吾作だろ。女が惚れるわけがねえ。」 男[欧]「……。」 橘「百聞は一見に如かずってのは本当だ。日本では化石というのは地べたの下に埋まってると教わったんだが、イギリスじゃ山高帽にフロックコート、それにステッキを持って化石が街を歩いてる。」 橘「ド・ゴールの鼻がもう少し低かったら、世界の歴史は変わったろう。実際、あの鼻をおっぺしょってやったら胸の痞えがおりる、なんて思ってた奴が、英米にはゴマンといたことだろうよ。 俺としちゃ、フランス人全員の鼻に、鉋を掛けてやりたいと思ってるがな。」 男[欧]「(苦笑いしながらグラスを傾ける)」 橘「俺は甥っこに同情しちまうね。だっておじさんが、泣く子も黙るあのベートーヴェンだぜ。『こいつの養育は俺に委せろ。』なんて張り切っちまって、箸の上げ下ろしにまで嘴を突っ込まれたんじゃあ堪ったもんじゃねえ。 ま、ドイツやオーストリアにゃ箸はねえけどさ。」 「ダメ男の甥っこが追い詰められ、便所の火事で、頭に一発ぶちこみたくなるのも無理はねえやな。」 男[欧]「そろそろ、私のプロファイリングの結果を訊いてもいい頃だと思うのだが。」 橘「分かってたのかい。」 男[欧]「無論だ。」 橘「いやあ、あんたが喋らねえもんだから、あんたが何処の産か当てる一人脳内ゲームを、暇つぶしにやってただけだ。」 男〔欧〕「それで結論は?」 橘「もちろん支那の訳がない。泥臭いロシアも違う。気取った物言いはイギリスか、乙に澄ましてるとこはフランスか、そこら辺もいまいちピンとこねえ。」 男[欧]「つまりどうなのだ、結論は。」 橘「そうさなぁ、さしづめ八木節の櫓ってとこだな。」 男[欧]「ヤギブシ? なんのことだね。」 橘「三角野郎が音頭とる八木節の櫓、要するに四角四面ってことよ。ドイツじゃねえかと思ってるんだがな。融通が利かねえ、一本気、はたまた愚直っていうか。おっと、貶してるんじゃねえぜ。 言っとくけどな、愚直てえのは男に対する最高の褒め言葉だと、俺は思ってるんだ。世の中、小器用に立ち回る小利口な小才子ばかりだからな。」 男[欧]「それが私のプロファイルか。それだけなのかね。」 橘「めっきり、はっきり、これっきり。これきりこれきりもうこれきりですよーってか。」 男[欧]「どうも君の発言には、時々理解不能なフレーズが混在するようだ。」 橘「それそれ、そこだよ。サラッと流すってことができねえだろ、あんたは。」
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