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創る名無しに見る名無し
ゾードン
遊佐司狼「神栖66町?」

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遊佐司狼「神栖66町?」
1 :創る名無しに見る名無し[]:2013/09/23(月) 15:45:33.06 ID:8oJNTVIk
Dies iraeの遊佐司狼が新世界よりの世界に来るクロスです。
遊佐司狼「神栖66町?」
2 :ゾードン[sage]:2013/09/23(月) 15:47:51.15 ID:8oJNTVIk
全てが「既知」だった。

 何をしようにもそれが付きまとってくる。

 刺激を求めている自分にとってそれは酷く退屈なことだった。

 このまま凡人と変わらない人生を歩むよりも自分がより自分でいられる生き方をしたかった。

 選択肢の総当たりというものだ。

 自分の親友達との高校生活、つまらないわけではないが珍しくもない。

 そんなことは日本中の同年代の者達がリアルタイムで経験している。

 何より親友の一人と自分は気楽に学園ドラマをしている身分ではないのだ。

 このままつまらないレールに沿った人生を送り続けること事態が自分にとって何より我慢ならなかった。

 そんな思いが積りに積もったある日、それが一気に暴発した。

 学校の屋上で無二の親友と意見の相違から殺し合いじみた喧嘩の後、病院にかつぎこまれた

 そして病院を抜け出し、病院を出る時にそこの病院の院長の娘と知り合い、意気投合すると、その娘と共に地元のギャンググループのボスとなった。

 そうする方がより楽しいと思ったから、そうする方がより「生きている」ということが実感できると思ったから。

 スリルと刺激と興奮こそが自分の求めているものだった。

 あのまま学校生活を送っていたら恐らく味わえないであろう。

 そしてそんなある日のこと、「奴等」は自分達のいる街にやってきた。

 過去の大戦が生んだ闇の超人、正真正銘の地獄の悪魔と呼ぶに相応しい魔人達だった。
遊佐司狼「神栖66町?」
3 :ゾードン[sage]:2013/09/23(月) 15:48:23.06 ID:8oJNTVIk
聖槍十三騎士団


 奴等の属する組織はそう呼ばれていた。

 積極的に自分はそいつらに喧嘩をふっかけた。

 正義感からではない、ただ純粋に「楽しめそう」だったからだ。

 だが騎士団は余りにも人間の常識から外れすぎた化け物の集まりだった。

 銃、スタンガン、火炎瓶、液体窒素のいずれも通じない。

 漫画の中からそのまま出てきたような馬鹿げた連中。

 しかし自分はそんな連中と対峙しようが恐怖などというものは感じなかった。

 絶望的なまでの力の差、覆せない戦力差、どうしようもない実力差。

 余りにも連中と自分との「差」は開いていた。

 しかし連中の持つ「力」を自分の無二の親友が持っていることを知ると、早速親友と再会、そして自分も戦いに身を乗り出した。

 親友との喧嘩の後もつきまとってきた「既知感」だが、騎士団との戦いの際にはそれが大きな武器となった。

 邪魔な存在でしかなかった「既知感」が連中との戦いでは大いに役にたった。

 そして自分も奴等の持つ「力」を得ることに成功した。

 自分と連れの娘は奴等の一人との戦いで相い討ちにまで持ち込んだ。

 自分は死ぬのだ。
遊佐司狼「神栖66町?」
4 :ゾードン[sage]:2013/09/23(月) 15:48:57.74 ID:8oJNTVIk
 そう思った。



 死ぬのであれば連中との戦いは中々に楽しかった。



 短いながらも始めて「生きている」感覚を得られた一時。



 できればもう少しの間だけそれが長く続いていれば。



 そう思った刹那



 『司狼』は目を覚ました。
遊佐司狼「神栖66町?」
5 :ゾードン[sage]:2013/09/23(月) 15:49:34.19 ID:8oJNTVIk
 目を覚ました司狼は自分の周囲を見渡す。家の中だ。多少小ぢんまりしてはいるものの、暮らしていくには充分過ぎる程の広さがある。昔ながらの木で出来た
和風の家だ。家の中央には囲炉裏がある。外からは小鳥の囀りが聞こえてきた。自分は今まで床に敷かれた布団で寝かされていたことに気付いた司狼。

「……どこだここは?」

 司狼は立ち上がり、床に畳んであった自分の服を着る。

「あの白髪の坊主にトドメの一撃与えたとこまでは覚えてるんだけどな」

「つーか、俺はまだ生きてるってことだよな。まさかここがあの世ってわけでもねぇだろうし」

 諏訪原市の上空に現れた聖槍十三騎士団の本拠地である「ヴェヴェルスブルグ城」。死んだ者の魂はそこに行く筈だ。まさか自分が今いるこの場所が「そこ」だとでもいうのだろうか?

 急いで司狼は家の外に飛び出す。今更どんな超常現象が起きようが驚きはしない。
遊佐司狼「神栖66町?」
6 :ゾードン[sage]:2013/09/23(月) 15:50:32.09 ID:8oJNTVIk
 家の中に入り、出された朝食を食べながら、司狼は少女の話に耳を強く傾けた。少女の名前は「秋月真理亜」。故郷である神栖66町を離れ、今は幼馴染である「伊東守」と二人で
暮らしているという。

 司狼は繰り返し自分のいた諏訪原のことについて真理亜に尋ねる。しかし何度尋ねようが聞こうが知らないの一点張りだった。

 世捨て人というわけでもないだろうと思っていたが、彼女の言う神栖66町が人界から隔絶された町という予想もしてみた。しかしそんな町が現代日本に存在しているわけもない。
だからと言って外国というわけでもないだろう。現に真理亜は日本名だし、日本語で話している。

 しかしそんな司狼の予想も思惑も全て真理亜の見せた「力」によって吹き飛ぶこととなる。

 呪力

 そう呼ばれる力を真理亜は外に出て司狼に見せた。真理亜は家の近くの森に生えている比較的大きな木に目を向ける。すると木が
何かの力に引っ張られるかのように 地面から引っこ抜かれた。それだけでは終わらず、野菜や果物のように綺麗にスライスされ、全
て均等な大きさの角材となり、地面に並べられる。それは最早一種の芸術とも言っていい光景だった。

 「おいおい冗談キツイぜ……」
遊佐司狼「神栖66町?」
7 :ゾードン[sage]:2013/09/23(月) 15:52:32.59 ID:8oJNTVIk
 司狼自身も真理亜の見せた「力」を目の当たりにし、思わず苦笑いが零れてしまった。また諏訪原での戦いの続きなのかとか、
「呪力」は聖遺物の力によるものなのかとか、いよいよここは ヴェヴェルスブルグ城の中に広がる超空間なのかという考えが
司狼の頭の中を駆け巡っていた。

 目の前にいる真理亜も黒円卓の本拠地が作り出している幻影の可能性も否定できない。何せあれだけの馬鹿げ
たファンタジー集団だ。真理亜の家や周りの森林も全て聖遺物の力で作り上げられた 超次元空間なのではないか? 
というのが司狼の考えだった。

 いきなり「呪力」という超能力を見せられたのだ。目覚めた時は日本のどこかの片田舎にでも飛ば
されたのかと思っていたが、真理亜の持つ得体の知れない力を目にし、真理亜も聖遺物の使徒なの ではないかという疑念が生じていた。

 しかし真理亜自身からは黒円卓の面々が発していた人外の物とも言うべき「鬼気」は感じられない。ヴィルヘルム=エーレンブルグ、
ヴォルフガング=シュライバー、ルサルカ=シュヴェーゲリン等の騎士団の 面子と目の前の真理亜を比較してみると分かる。

 真理亜は到底そんな大それた存在には見えないし、第一自分を助けてくれた。

 先程生まれた真理亜への疑念は僅かではあるが和らぐ。

 「凄ぇな。どうやってこんな力覚えたんだ?」

 「えっと……、『呪力』を知らないんですか?」

 「悪ィが知らねぇんだ。少しそれについて聞きたいんだけどよ」

 真理亜と共に家の中に戻った司狼は真理亜から『呪力』の簡単な説明を受ける。
遊佐司狼「神栖66町?」
8 :ゾードン[sage]:2013/09/23(月) 15:53:22.62 ID:8oJNTVIk
 ──────────呪力

 それは簡単に言ってしまえばPK(サイコキネシス)だ。真理亜の住んでいた神栖66町の人間は全員この力を持っている。脳内でイメージを描くことによってそれを具現化し、
様々なことに応用することができる。物体を動かすことを始め、木などに火をつける、空気中の水分で鏡を作り出すことすら可能だという。

 中でも神栖66町で最強の能力を持つと言われる鏑木肆星は地球そのものを真っ二つに割る程の強大無比な呪力を持つと言う。十二歳になる頃には「祝霊(しゅくれい)」と呼ばれるポ
ルターガイスト現象が起こるのを機に発現する。

 司狼も呪力の持つ力を間近で見た為、改めてその強大さが理解できた。

 「凄ぇ能力持ってんだな。ま、俺が戦ってきた連中も負け劣らずなのばっかだったけどな」

 「?」

 真理亜は司狼の言葉にキョトンとした顔をする。今自分のいる世界は元いた自分の世界とは全く異なる世界なのだろうか?司狼は薄々思い始める。

 「所でお前は何でそんな歳で自活してんだ? まさかその若さで自立したってわけでもねぇだろ?」

 「それは……」
遊佐司狼「神栖66町?」
9 :ゾードン[sage]:2013/09/23(月) 15:54:07.92 ID:8oJNTVIk
  司狼の問いかけに真理亜は暗い顔をして視線を落とす。どうやら何かワケ有りなようだ。

 「もう一度聞きますけど……、本当に貴方は神栖66町の人ではないんですね?」

 「ああ、誓うぜ。俺は断じてそんな町は知らんし」

 真理亜は射抜くような視線で司狼の目を見つめてくる。

 「おいおいそんなに睨むなよ。誓って言うぜ、俺は神栖66町なんて知らねぇし、聞いたこともねぇ」

 司狼の言葉に真理亜は暫らく沈黙した後、ゆっくりと口を開く。


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