- キャラクター分担型リレー小説やろうぜ!
182 :オニコ・ヒノモト ◆Spbu73/AhFzk [sage]:2010/12/26(日) 12:49:32 ID:mobOTJQZ - >>179 >>180?
――リーベングイズメンバー、惨殺! 無法者たちに蹂躙された後の、死臭と焦げた臭いの漂う、名もない村の広場。 そこで廃材に腰を下ろし、村長の家から奪い取った最新のニュースペーパーを読み耽っているのは、 リーベングイズ首領、オニコ・ヒノモトであった。 ――トアル町近辺の街道沿いで発見された武装集団の死体の身元は、角をモチーフにした腕章から悪名高きリーベングイズの メンバーであると政府が特定。識者たちの間では、騎士団虎の子の最強部隊『金盾(ゴールドシールド)』が 遂に本腰を入れ始めたのではという噂が、まことしやかに流れている―― 大見出しを飾っていた記事に目を通し終わった首領は、唇の端を歪めた。 「何か愉快なことでも?」 傍らの補佐、コヒノモトが尋ねる。 「いや。あの離反者たちはどいつも頭の回らない連中だったが、まさか呑気に街道沿いをほっつき歩いて 最期を迎えるとはな。多少の場数を踏んで気が大きくなっていたのかもしれんが、全く滑稽な話だ」 「団の識別票である腕章がバレてしまいましたね。早く次のモデルを考えないと」 「前から思っていたが、お前は腕章をデザインしている時が一番楽しそうだな」 「ええ。しかし記事によると、あの外部に一切の組織情報が出ていない最強部隊、ゴールドシールドが動いたという話ですが」 「単なるデマだ。真実そんな物が出て来ていたのなら、連中は殺害ではなく捕縛されていたはずだろう。 血眼になって探している盗賊団メンバーを、問答無用で皆殺しにはしないはずだ。貴重な情報の所有者なんだから」 政府もよくこの記事の掲載を許可したものだ。見方を変えれば、何者かに先を越されたことを自白しているのに等しいというのに。 「しかし気になるな」 恨みなら山ほど買っているだろうが、この時期、この場所でというのは気になる。直接この本隊と遭遇しても不思議ではなかった。 偶然で片づけるには、余りにも良すぎるタイミングだ。 この団の殲滅を請け負った追跡者? しかし今までそんな存在を感じたことは一度もないし、情報収集を怠ったつもりもない。 名が轟いただけあって、リーベングイズ討伐関連の話題は、少し街に潜入すればすぐに集まる。 とにかくはっきりしているのは、つい最近リーベングイズの敵対者が生まれたこと。今現在もそう遠くない位置にいること。 そして恐らくそいつは、正規軍やギルドには籍を置いていない。記事に載っている殺害の手口が正しいなら、目的は私怨による復讐だろう。 「団の資金はどうだ、コヒノモト」 「しばらくは略奪せずとも運営に支障ありません。むしろ襲撃感覚が短くなりすぎていることが気になるくらいです」 「確かに最近、少し働きすぎたな。人が増えて動きも鈍った。今夜一度団を散らして、各自休暇でも取るか」 「悪い案とは思いませんが、私は団長について行きますよ」 「ならトアルに行くぞ」 「トアル? 離反者とはいえ、団員が殺害された現場に近づくのは危険なのでは」 「女二人が天下のリーベングイズ首領と総務だとは誰も思わんさ。――それに、ここまで肉薄してきた追跡者が気になる。 聞きこみで大まかな情報だけでも掴めるといいんだが」 その夜。リーベングイズは一度解散され、和装に身を包んだ首領と補佐は、一路トアルへ向かった。
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