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◆LKgHrWJock
奴隷剣士の反乱(前編) ◆LKgHrWJock
奴隷剣士の反乱(後編) ◆LKgHrWJock
SRPGバトルロワイヤル7

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SRPGバトルロワイヤル7
440 : ◆LKgHrWJock [sage]:2010/12/26(日) 14:22:02 ID:76KG8Rto
これより本投下を開始いたします。
修正点は以下のとおりです。

・>>438-439の指摘箇所を修正。
・ネサラのアルマに関する考察を大幅に補強。
・ソノラに関する記述をすべて削除。
・他、細かい描写を加筆。
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441 :奴隷剣士の反乱(前編) ◆LKgHrWJock [sage]:2010/12/26(日) 14:23:39 ID:76KG8Rto
F−5エリア、18時半――

ようやく緊張から解放されたとき、アルマは声を上げて笑っていた。
ヴォルマルフを相手に、ディエルゴを相手に、見事に交渉をやってのけた。
このゲームのルールを変更させただけでなく、優勝の際の約束まで取り付けた。
相手はいつでもこの首輪を爆破することが出来るというのに、
こちらを生かすも殺すも相手次第だというのに、それでも自分の要求を呑ませた。

この笑い声を、ヴォルマルフが聞いていることは知っている。
聞かれたって構わないと思った。むしろ、聞かせてやりたかった。
ヴォルマルフは怒っているだろう。屈辱に歯を食いしばっているかも知れない。
それでも彼には首輪の爆破ボタンは押せない、押せるわけがないとアルマは思う。
何故なら、それは、彼が自身の敗北を認めることを意味しているからだ。
自身を挑発した小娘の笑い声にすら耐えられないような卑小な存在であると、
認めることを意味しているからだ。

ヴォルマルフは、そのプライドの高さゆえに、首輪を爆破することが出来ない。
そして、そのプライドの高さゆえに、怒りと屈辱に耐えねばならない。
ヴォルマルフの顔を想像すると、おかしくて楽しくて仕方がない。
屈託のない笑い声が、まるで泉のようにとめどなく湧き出てくる、止まらない。
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442 :奴隷剣士の反乱(前編) ◆LKgHrWJock [sage]:2010/12/26(日) 14:24:22 ID:76KG8Rto
 ――今の私、すごく明るい顔してる!

そう自覚した途端、思わずステップを踏みたくなった。
これだけ明るく笑えれば、他の参加者を騙し通せるだろう。
これだけ希望に満ちた顔をしていれば、他の参加者にも信用されるだろう。
これだけヴォルマルフを蔑んでいれば、主催と敵対する立場だと偽っても
誰も怪しんだりしないだろう。この輝きは、演技ではない。
すべて、心の奥底から湧き上がる真実の姿なのだから。

胸が弾む。最高の気分だった。
薄闇に覆われた宵の森を、アルマは踊るようにひとり歩く。

 ――私、ラムザ兄さんの役に立てたの!
 これから、もっともっと役に立てるの!

女になんか生まれなければ良かった、と思っていた。
男に生まれていれば、修道院などに入れられることもなく、
ラムザ兄さんのそばで共に戦えたのに。
そんな思いが、いつも心に引っかかっていた。

けれども、今の自分は違う。そんなことを思い煩う必要はなくなった。
ここに来てからずっと、そしてこれからもずっと、自分はラムザの役に立っている。
自分の存在が、最愛の兄ラムザの帰還に繋がると心の底から信じていられる。
その揺るぎない確信が、アルマの心身を弾ませていた。

          □ ■ □
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443 :奴隷剣士の反乱(前編) ◆LKgHrWJock [sage]:2010/12/26(日) 14:25:26 ID:76KG8Rto
まるで昨日の出来事のように、鮮やかに脳裏に蘇る。
生涯の忠誠を捧げた少女、タリスの王女シーダと出会ったときのことが。

……オグマはその日、死ぬはずだった。
剣闘士奴隷だった彼は、反乱を企て、決起するも、
仲間の奴隷剣士たちを逃がすべく囮となり、囚われたのだった。

アカネイア聖王国のとある町の広場で、オグマは死ぬまで鞭打たれる。
皮膚が破れ、肉が裂け、骨が砕けても、彼の強靭な体力は尽きることはない。
意識を失いそうになるたびに、冷や水を浴びせかけられる。
その水は海水を含んでおり、燃え上がるような激痛を全身にもたらす。

「やめて!」

遠くで少女の声が聞こえた。初めて聞く声、幼い声だ。
鞭でも冷や水でもない何かが、自分の身体に覆い被さる。
次の瞬間、鞭が宙を裂く音がして、くぐもった悲鳴が間近で聞こえた。
それが幼い少女のものだと気付いたのは、刑吏の声が聞こえてから。

「なんだ、このガキは!?」

顔を上げることも出来ないオグマの耳に、幼くも毅然とした声が届く。

「私はシーダ……、タリスの王女よ!」
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444 :奴隷剣士の反乱(前編) ◆LKgHrWJock [sage]:2010/12/26(日) 14:26:10 ID:76KG8Rto
ああ、なんだ、そういうことか。オグマは薄く笑っていた。
恵まれた立場にいる者の、傲慢な人助けゴッコか。
笑顔で手を差し伸べながら、その実、相手を見下している。
“立派な自分”に酔うために、他人の傷を笑顔で探す。
まあ、仕方あるまい、とオグマは心の中で呟いた。
彼女は幼いのだから。奴隷の立場にいる者のことなど、知らないのだから。
この娘は、大人たちに諭されてじきに去っていくだろう。そして、俺は殺される。

……オグマが反乱を企てたのは、疑問を抱いたからだった。
金持ちの道楽のために弱者が殺し合わなければならない、という現実に対して。
オグマは奴隷として売られ、アカネイアの貴族に剣奴として買われた。
奴隷であるオグマが闘技場で戦い、勝てば所有者である貴族に大金が入る。
大陸最強の剣奴として知られたオグマには、人を惹きつける資質があったのか、
剣闘士奴隷たちから一目置かれていた。

しかし、今日言葉を交わした者と、明日は殺し合わねばならない。
自分に敬意を向けてくれた者を、いつかは殺さなければならない。
金持ちの享楽のために、贅沢のために、楽しみのために。
そんな現状に、オグマは耐えられなかった。
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445 :奴隷剣士の反乱(前編) ◆LKgHrWJock [sage]:2010/12/26(日) 14:26:53 ID:76KG8Rto
「なんだ、自分のことを王女だと思ってる頭のおかしなガキか……」
「ははっ、タリスなんて田舎の島国のことなんざ、知るかよ」

群集から野次が飛ぶ。遠巻きに見物しているだけだった分際で、
やめさせようとするわけでもなければ助けようとするわけでもなく、かといって、
他人の無残な死を望む自分の醜さを直視しているわけでもなく、
楽な方に流されることしか出来ない分際で、こんなときばかり威勢がいい。
ゲスが。オグマは内心で吐き捨てた。頭上で刑吏の声が飛ぶ。

「おい、ガキ。そこをどけ!」
「いや! どかない! この人にひどいことをしないで!」
「また痛い目に遭いたいのか、あぁ?」
「どうしてもやめないって言うなら、私を先に殺して!」

少女の小さな手が震えているのが分かる。
それでも少女の小さな身体は自分を抱きしめたまま、離れようとはしない。
震えてはいるが、頼りないその力は強くなる一方だった。
威勢の良かった刑吏の声に、戸惑いが現れ始める。

「おい……」
「出来ないんでしょ!」
「あのなぁ……、お嬢ちゃん。この男は奴隷で――」
「私に出来ないようなことなら、この人にもしないで!」
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446 :奴隷剣士の反乱(前編) ◆LKgHrWJock [sage]:2010/12/26(日) 14:27:38 ID:76KG8Rto
オグマは己を恥じた。幼い王女の誠意を疑ったことを悔いた。
すべてを諦めねばならない極限の状況だったとはいえ、彼女の誠意を疑うことは
自分に殺し合いを行なわせた傲慢な貴族連中の価値観に屈することだと知った。
彼らがそうだったからといって、彼女までそうだとは限らない。
現に、彼女は身を挺して自分を庇ってくれたではないか。

「シーダ様!」「シーダ王女!」

どこか遠くで声が上がり、二つの足音がこちらに走り寄ってくる。
群集の野次が力を失う。この少女が本物の王女だと気付き始めたのだろう。
「ニーナ様に比べればお召し物が……」「田舎貴族の令嬢よりもみすぼらしい」
などとぶつぶつ言っている者もいるが、所詮は責任転嫁と言い訳に過ぎず、
先ほどの覇気はもはやどこにも感じられない。

シーダの付き人の言い争う声が、オグマの意識に割り込んでくる。
ひとりは、宗主国アカネイアとの関係悪化を恐れ、黙ってこの場を去ることを主張。
ひとりは、わが国の王女シーダを鞭で打ち据えた罪は万死に値する、
なんとしてでも責任を取らせてやると激しく憤るばかり。
刑吏はといえば、すっかり弱腰になっており、まごまごと何事かを呟くのみ。
諍いを続ける大人たちを、幼い王女が一喝する。

「喧嘩なんかしないで! この人、怪我してるの! 見えないの!?
 私のことはどうだっていいから、この人を先に助けてあげて!」
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447 :奴隷剣士の反乱(前編) ◆LKgHrWJock [sage]:2010/12/26(日) 14:28:25 ID:76KG8Rto

……こうして、オグマの身柄はタリスの王女シーダに委ねられた。

宗主国との関係維持のため、ことを荒立たせるべきではないと考える者、
自国の尊厳と統治者の意向を何よりも尊重すべきと考える者、
自己の保身を優先したい者、この3人の利害が一致したためでもあった。

『この男の身柄ひとつで済むのなら、安いものだ』――
それが彼らの本音であろうことは、オグマには察しがついていた。
この男の身柄ひとつで、宗主国との関係が悪化せずに済むのなら。
この男の身柄ひとつで、自分の生命や生活が脅かされずに済むのなら。
自国の尊厳を重んじる男は、傷が癒えたら我が王に仕えよ、と居丈高に命じた。
奴隷の身分から解放されても自分はやはり奴隷なのだと、オグマは苦々しく思う。

そんなオグマの存在を、彼が一命を取り留めたことを、
彼を伴って帰国出来ることを、シーダはただ純粋に、そして心から喜んだ。
オグマが彼女に、父王に、タリスという国に、生涯にわたって仕えることを
自らの意思で選択するまで、さほど時間はかからなかった。

          □ ■ □
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448 :奴隷剣士の反乱(前編) ◆LKgHrWJock [sage]:2010/12/26(日) 14:29:29 ID:76KG8Rto
F−5エリア、上空、臨時放送直後――

釘を刺しておいたほうがいいだろう、とネサラは冷ややかに思った。
オグマという男は、この殺し合いにおいて、既に3人の仲間を失ったという。
しかも、どのような手を使ってでも死者復活のすべを手に入れる心づもりのようだ。
その彼が、先ほどの臨時放送を聞いて、一体何を思ったか。
キュラーと名乗る主催側の男は、死体の冒涜を教唆したも同然だった。
殺意が芽生えたのではないか。復讐心が芽生えたのではないか。
オグマは自身の目的のため、ふたりの仲間に隠れて自分と手を組むことを選んだ、
ならばその目的が変質すれば、約束を反故にしかねないだろう。

オグマは既に、イスラとアズリアを欺いた。
ならば自分を、このネサラを欺いたとしても、何ら不思議ではない。

再び接触する口実ならば、ある。
落ち合う時間を変更したい、とでも言えばいい。
現に、ニンゲンの足では、あの移動距離はいささか厳しいようにも思える。
オグマの前では羽を隠し、ニンゲンのような姿に身をやつしていたが、
やれやれ、どうやら頭の中までニンゲンになりきらねばならないらしい。
ネサラは皮肉げに口元を歪め、安いものだ、と内心で呟く。

ニンゲンの真似事をしたからといって、自分の何が損なわれるというのか。
彼の矜持は、その程度のことで傷つくような安っぽいものではなかった。
むしろ、それで生還出来るなら、妻子や民を守れるなら、安いものだと心から思う。
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449 :奴隷剣士の反乱(前編) ◆LKgHrWJock [sage]:2010/12/26(日) 14:30:17 ID:76KG8Rto
オグマはまだ、G−5エリアの住宅街にいるだろう。
あのような悪趣味な放送の直後だ、しばらくは姉弟の元には戻るまい。
独りで剣を振るっているオグマに再度接触すべく、南方に旋回しようとする。
そのとき、行く手に広がる森林地帯、その木々の合い間で何かが光った。

ネサラはそのまま進路を変えず、森林地帯に降下する。光の正体はすぐに分かった。
夕闇の中にあっても浮かび上がるように輝く金の髪、それは少女の頭だった。
少女はひとりで森林を南下していた。しかし、どうにも様子がおかしい。
彼女の足取りは、弾んでいた。この殺し合いの場で、仲間などいないにも拘らず。
悪趣味きわまる臨時放送の直後だというのに、一体何がそんなに楽しいのか。

 ――恐怖で気が触れたか、あるいは既に人を殺しているか。
 その両方ってのも有り得るだろうな。

少女に感付かれることのないよう、慎重に距離を図りながら、ネサラは彼女を観察する。

この少女は、“戦士”ではないだろう。
動きに切れがなく、身のこなしに隙がありすぎる。
踊るようなその足取りは、常軌を逸していると言わざるを得ないが、
どこか慎ましやかでもあり、育ちはそれなりに良いのだろうと思える。
年の頃は、ニンゲンならば十代半ばといったところか。
彼女は笑っていた。楽しそうに、嬉しそうに、胸を張って笑っていた。
その笑顔は、理不尽や不条理に屈した者の現実逃避には到底見えない。
恐怖で気が触れたというわけではなさそうだ。
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450 :奴隷剣士の反乱(前編) ◆LKgHrWJock [sage]:2010/12/26(日) 15:01:31 ID:76KG8Rto
 ――ま、それでも、狂っていることには違いないんだがね。
 殺し合いに乗らざるを得ない事情がある、ってことか。

生への執着のみで殺し合いに乗っているのならば、あのような顔では笑えない。
そして、その『事情』こそが、彼女の最大の弱点といえるだろう。
守るべき者たちのためには手段など選んではいられないネサラだからこそ、
正体不明のこの少女にも付け入る隙があるのだと分かる。

しかし、接触するのはまだだ。オグマに釘を刺すことが先決。
この少女ならば、しばらく放っておいても問題はないだろう。
彼女の周辺には、参加者はいない。南下しているとはいえ、その足取りは緩やかで、
木々とダンスを踊るように幹の周囲をくるくると回っては、明るい声で笑うばかり。
当分は、森から出てきそうにない。放置したところで、毒にも薬にもならないだろう。

ネサラは天高く舞い上がり、G−5エリアの住宅街を目指す。
しかし、彼が見たものは、北上を開始したオグマら3人の姿だった。

          □ ■ □
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451 :奴隷剣士の反乱(前編) ◆LKgHrWJock [sage]:2010/12/26(日) 15:02:35 ID:76KG8Rto
G−5エリア、住宅街はずれ、臨時放送直後――

怒りで臓腑が冷えていくのが分かる。
冷酷に冷徹に、脳が冴え渡っていくのが分かる。
もはや、悲しみは感じなかった。激情も衝動も、消え失せていた。
あるのはただ、純然たる殺意。無感情で狡猾な、復讐心。

『連中を完膚なきまでに叩き潰し、望むものを勝ち取れ』――ただそれだけ。

キュラーによる臨時放送はオグマを激怒させ、覚醒させた。
それは、自分自身すらも俯瞰させるほどの、冷徹な怒りだった。
自分自身すらも駒と見なし、徹底的に使い潰そうとする、冷酷な怒りだった。

 ――成る程な……、それが、貴様らのやり方か。
 この俺を、随分と見くびってくれたものだ。

オグマは迷いのない足取りでレヴィノス姉弟の待つ屋敷方面へと戻る。
心は既に決まっていた。だが、それをなすためには、
アイクの捜索は放棄せざるを得ない、ネサラとの約束は反故だ。
ただし、彼の存在をレヴィノス姉弟に伝えることもしない。
姉弟を欺き、ネサラを欺き、そして自分自身すらも欺く。
それが出来ないようでは、主催連中になど到底敵わないだろう。
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452 :奴隷剣士の反乱(前編) ◆LKgHrWJock [sage]:2010/12/26(日) 15:03:23 ID:76KG8Rto
街道の向こうから、見覚えのある人影がふたつ、こちらに近付いてくるのが見える。
オグマは軽く疑問を覚える。ふたりは屋敷で待っているものとばかり思っていた。
自分がいない間に、何かあったのだろうか。それともイスラが――

「オグマ殿!」

アズリアが声を上げ、こちらに駆け寄ってくる。
イスラも無言で姉に従う。こちらを避けているわけではないようだ。
それどころか、合流のあと最初に口を開いたのはイスラだった。

「オグマさん、さっきの人、随分と派手な鳥を連れていたね」

自分がイスラにカマをかけられていることは、すぐに分かった。
さっきの人、とはネサラのことだろうか。
イスラはネサラとの密会の事実を把握しているのだろうか。
しかし、鳥とはどういうことか。何故、そんな言葉が出てくるのか。

「いや、俺は誰にも会っていない。無論、鳥すら見かけなかった」
「おかしいな、こっちに行ったと思ったんだけど……」
「オグマ殿、すまない。実は……」

アズリアが、ふたりの間に割って入る。
穏やかな猜疑の目をオグマに向けるイスラの言葉を遮るように。
姉さんが言うのなら仕方ない、そう言いたげに軽く肩をすくめながら、
イスラはオグマに大振りの羽根を取り出して見せた。
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453 :奴隷剣士の反乱(前編) ◆LKgHrWJock [sage]:2010/12/26(日) 15:04:29 ID:76KG8Rto
どこまでも黒い羽根だった。その色は、ネサラの髪を思わせる。
しかも、この大きさ。人の背丈をしのぐような怪鳥から抜け落ちたのではないかと
思わずにはいられない。そしてまた、ネサラの姿を思い出す。人が鳥に? 馬鹿な。
そこまで考えたとき、不意に脳裏でチキが笑った。マムクート・プリンセス。
彼女は竜に変化した。ならば、無数に存在するという異世界の中には、
鳥に姿を変えることの出来る人間だって存在するのかも知れない。
オグマは自問する。この推測は、飛躍しすぎだろうか。そうかも知れぬ。
しかしあの男、ネサラは情報収集には絶対の自信があるように見受けられた。

『見返りは俺が収集した情報を定期的にあんたに知らせる』

複数のルートから情報を収集し、なおかつ待ち合わせ場所に移動出来る。
人の中に入り込むことと、身軽であること。人としての顔と、獣としての能力。
そのふたつを持ち合わせていなければ出来ないのではないかと、ふと思う。

「オグマ殿……?」

アズリアの声で、自分の表情が強張っていたことに気付く。
考え事に没頭しすぎたか。ネサラに関して言えば、今は確認のしようなどない。
逆に、自分の憶測が正しければ、落ち合うべきではない場所で
再会することもあるだろう。或いは、鳥に姿を変え、追跡してくるか。
なんにせよ、既に賽は投げられた。あとは、行動あるのみだ。
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454 :奴隷剣士の反乱(前編) ◆LKgHrWJock [sage]:2010/12/26(日) 15:05:29 ID:76KG8Rto
「この付近に何者かが潜伏しているということか。
 ……イスラ、俺からもひとつ、訊きたいことがある」
「なんだい、オグマさん」
「殺し合いに乗った者を見たと言っていたが、嘘ではないな?」
「ホントだよ。殺し合いに乗った女の子が同じ年頃の女の子を殺すところを見た」
「ならばイスラよ、俺をその娘の亡骸のもとへ案内しろ。
 貴様とて、それは望むところだろう」
「オグマ殿!?」

アズリアの悲痛な声に、イスラの笑い声が覆い被さる。

「あはは、なんだ、そういうことか。オグマさんって意外と話が分かるんだね。
 姉さんと一緒にいるから、もっと甘い人だと思っていたけど。
 いいよ、僕が案内する。無残に殺された女の子のところに、ね」
「イスラ! やめないか!」

アズリアがイスラを諌めようとする。しかしオグマはただ一言。

「……許せ、アズリア」

          □ ■ □
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455 :奴隷剣士の反乱(前編) ◆LKgHrWJock [sage]:2010/12/26(日) 15:06:22 ID:76KG8Rto
森の出口付近に差し掛かったとき、遠くで人の話し声がした。
人がいる。でも、どこに? アルマは出口の向こうに視線を向ける。
木々とダンスを繰り返しているうちに、方向感覚を失っていた。
木立ちの向こうに広がる草原は、F−5エリアだろうか。それともF−6エリアだろうか。
平原を横切る一団が見える。アルマの心は踊った。また、ラムザ兄さんの役に立てる!

武器の補充はまだしていないけれど、別に構わない、だって私には首輪があるから。
キュラーっておじさんが言っていた。首輪を城に持っていけば、新しい装備が手に入る。
首輪はもう、持っている。アメルの首輪。あんなコの、泣くしか能のないようなコの
装備していたものなんてまったく期待できないけれど、でもいいの、
これからもっともっと首輪は増えるから。装備なんていくらでも補充出来るから。
だから、仲間のフリをして潜り込むの。大丈夫、この笑顔なら信用されるわ。

アルマは森の出口へと歩く。おぼろげだった一団の姿がはっきりと見える。
しかし、その姿を確認した瞬間、アルマの表情は凍りついた。

 ――あの顔! そんな、どうして……。

平原を横切る人影の正体は、3人の男女だった。
ひとりは金髪の男。年は三十台前後に見えるが、頬の傷のため、よく分からない。
ひとりは黒髪の女。二十歳前後だろうか。顔立ちは中性的で男のようにも見える。
問題は、最後のひとりだった。黒髪の女によく似た顔立ちの、髪の長い少年。
長い黒髪をひとつに束ねた、華奢な身体の中性的な少年。

アルマの知っている顔だった。アルマの凶行を目撃した人物だった。
あの女、忌々しい言葉を吐いて果てた異国の女戦士を射抜いた際に
居合わせていたうちの、ひとりだった。
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456 :奴隷剣士の反乱(前編) ◆LKgHrWJock [sage]:2010/12/26(日) 15:07:12 ID:76KG8Rto
 ――消さなきゃ。仲間のフリなんて出来ない。みんな消さなきゃ。

アルマはガストラフェテスに矢をセットし、忌まわしい目撃者に狙いを定める。
けれども撃てない。黒髪の少年には隙がない。まるで頭の横や後ろにも
目がついているかのようだ。或いは、心眼で警戒網を張り巡らせているかのよう。

それだけではない。少年を一撃で仕留めたとしても、
矢の残りは1本しかなく、殺すべき相手はあとふたり、残っている。
金髪の男と黒髪の女は、少年以上に身体能力が高いことは明白だった。
大型弓のほかには小型の斧を所持しているが、これは接近戦でしか使えない。
非戦闘員の少女や瀕死の怪我人ならともかく、筋骨逞しい大の男相手に、
職業軍人を思わせる隙のない女相手に、どうやって振り下ろせばいいのだろう。
もし、かわされたら。もし、凶器を持つ手を掴まれたら。もし、反撃されたら。

心臓が早鐘を打ち始める。圧倒的に、不利だった。
ガストラフェテスは大型で扱いが難しく、連射には不向きだった。
ひとり目を一撃で仕留めたとしても、狙撃場所を特定されれば終わりだ。
2本目の矢を放つ前に捕縛されかねない、殺されかねない。

 ――ラムザ兄さん……、私、どうすればいいの……?

いや、答えなど返ってこないことは分かっている。
すべて、自分自身で考えなければいけないのだということも。
アルマはガストラフェテスを、それを支える両腕を、そっと下ろした。
早鐘を打ち続ける心音が、やけに大きく感じられる。
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457 :奴隷剣士の反乱(前編) ◆LKgHrWJock [sage]:2010/12/26(日) 15:07:55 ID:76KG8Rto
この音、首輪を伝ってヴォルマルフにも聞こえているのだろうか。嫌だ。
あんなろくでもないおじさんに聞かれるなんて。怯えていることを知られるなんて。
そんなの嫌、絶対に嫌! アルマはきびすを返し、一目散に駆け出した。
じきに息が荒くなる。この息遣いも、足音も、すべてあの男に聞かれているのだろうか。
嫌だ。そう思うのに、足が止まらない。ひどい息遣いだ。確実に聞こえてしまう。
ヴォルマルフに気付かれたりしたら、笑われるに決まっているのに。

 ――ダメ、笑うなんて許さない。私は聖アジョラの生まれ変わりなのよ。
 おまえは黙って私に従っていればいいんだわ、ヴォルマルフ!

冷たい首輪がかすかに震えた。
自分の動きが、足取りが、首輪を振動させただけだろうか。
首輪の向こうで、ヴォルマルフが嘲笑しているような気がしてならない。
次の瞬間には、ヴォルマルフの嘲笑が聞こえてくるような気がしてならない。
ヴォルマルフの蔑むような視線が、自分に向いているような気がしてならない。

嫌! あんなおじさんなんかに、そんな目を向けられるなんて。
やめなきゃ。走るのを。気付かれたくない。そう思うのに、足を止められない。
魔法によって強化された身体が、遠くに行きたいというアルマの願いを
ただ機械的に叶えようとする。肉体は苦痛を訴えるが、運動をやめるには至らない。
息が上がる。筋肉が痛む。関節が今にも外れそうだ。それでも身体が勝手に動く。
走れるだけの体力を、魔法が補充し続ける。また、首輪が震えたのが分かった。

 ――嫌よ、こんなの。ラムザ兄さん、どこにいるの!?

涙が溢れそうになる。ラムザ兄さんに会いたい、と思った。
そうすれば、安心出来るのに。また、いくらでも頑張れるのに。
再び首輪が小さく震える。汗ばんだ素肌に感じるその振動が、
アルマにはヴォルマルフの嘲笑のように感じられてならなかった。

          □ ■ □
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458 :奴隷剣士の反乱(後編) ◆LKgHrWJock [sage]:2010/12/26(日) 15:09:15 ID:76KG8Rto
「これだから、ニンゲンってのは嫌なんだ」

F−5〜6エリアを北上するオグマ一行の姿を眺めながら、
ネサラは冷ややかに吐き捨てた。

オグマはアイク捜索を放棄した、しかしそれが気に入らないのではない。
それ自体は、臨時放送を聞いた時点で推測していたことだった。
彼が姉弟の元に戻る前に再度接触出来なかった、それはこちらの落ち度といえる。
ネサラが気に入らないのは、オグマの、ニンゲン特有の視点だった。

ニンゲンは、自分たちの基準でしか物事を考えようとしない。
自分たちこそが世界の支配者なのだと、無意識のうちに思い上がっているのだ。
だから、自分たちとはまったく異なる視点で世界を見ている生き物が
同じ次元に存在していることを想像出来ない、理解出来ない、容認出来ない。
こうして俯瞰されているなど夢にも思わず、平然と契約を反故にする。
そんなオグマの姿は、ネサラにとって、ニンゲンの思い上がりの象徴のように思えた。

 ――もっとも、その方が、俺としても好都合だがね。

ネサラは人型を保ったまま、天高く舞い上がる。
日は既に落ちていた。夜目の利かない鳥の姿では、移動すらもままならない。
かといって、飛行能力を有する人型生物は、この場においてはごく少数派。
ラグズの存在自体を知らない異邦人ばかりだからこそ、この姿を見られただけでも
想像のはるか斜め上を行く厄介ごとになりかねない。だが、空が死角になっている限り――

 ――ニンゲンの思い上がりが、図らずも俺を助けてるってワケだ。
 さぁて、どうするかね? オグマを追ってみるか、それとも……。
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459 :奴隷剣士の反乱(後編) ◆LKgHrWJock [sage]:2010/12/26(日) 15:10:12 ID:76KG8Rto
……先ほどの金髪の少女の名は、既に把握していた。アルマ・ベオルブ。
肖像画つきの参加者名簿を確認すれば、それで事足りた。だが――

森林に潜伏していたネサラは、アルマがイスラを狙撃しようとする現場を見た。
しかし、アルマは襲撃を断念し、一目散に逃走した。戦術としては正しい、と思う。
イスラたち3人は正規の軍隊で訓練を受けていることが明白で、
あのような少女にどうにか出来る相手ではない。たとえ3人が丸腰でも勝ち目はないだろう。
しかし、戦略としては論外だ。何故、弱さを利用して近付こうとしない?
何故、彼らの中に潜り込み、彼らを盾として利用しようとしない?
そこまで頭が回らないのか? それとも、顔を出せない事情でもあるのか?

 ――既に本性を知られている、ってのも大いに有り得る話か。
 接触は、保留にするかな。腑に落ちない点が多すぎるんでね。

アルマという少女はどうも、精神の均衡を欠いているように思えてならない。
わけのわからない理由で笑い続けていたかと思えば、常軌を逸したこの逃げ足。
森を抜け、E−5エリアに入るまで、アルマは一度も立ち止まらなかった。
今も、走り続けている。ニンゲンが長距離を走るときのペースとは、まるで違う。
先ほどからずっと、アルマは全力で疾走していた。このような筋力が、持久力が、
あの身体の一体どこに隠れていたというのだろう。
いわくつきの魔導具に精神を蝕まれ、同時に加護を得ているのではないか。
そう考えたほうがしっくりくるほど、彼女は違和感に満ちていた。
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462 :奴隷剣士の反乱(後編) ◆LKgHrWJock [sage]:2010/12/26(日) 16:18:54 ID:76KG8Rto
魔導具による影響、その仮説を裏付けるかのように、
先ほど確認した参加者名簿の肖像画のアルマは、明るい瞳でネサラを見ていた。
臨時放送直後に目にしたあの笑顔とはまるで違う、純粋な輝き。
もし、彼女が髪形を変えていれば、同一人物だとはにわかに信じられなかっただろう。

とはいえ、たとえ魔法によって引き出され、増幅された狂気であっても、
その土台となった心自体はアルマ・ベオルブの中に元からあったのではないか、
とネサラは思う。参加者の中には、彼女と同じ姓の少年がいた。
ラムザ・ベオルブ。彼は、アルマの凶行の動機になり得るのだろうか――

『――ヴォルマルフッ!!
 ここはどこだ! おまえは一体、何を企んでいるッ!!』

ネサラの脳裏に、ラムザの声が響く。
彼の顔には見覚えがある。ヴォルマルフと面識のある、あの少年だ。
となるとアルマは、ヴォルマルフと敵対関係にある少年の妹、ということか。
ヴォルマルフには、いわくつきの魔導具を支給品としてアルマに与えるだけの
動機がある、ということになる。しかし、それでもやはり、腑に落ちない。
臨時放送直後の、あの笑顔。悪辣極まりない、臨時放送の直後であるにも拘らず。

 ――いーや、ちょっと待てよ……。
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463 :奴隷剣士の反乱(後編) ◆LKgHrWJock [sage]:2010/12/26(日) 16:19:43 ID:76KG8Rto
不意に、キュラーの言葉が蘇る。ネサラははっと息を呑む。

『今回はこのゲーム最大の“貢献者”からの素晴らしい提案により、
 一部ルール改定を行うことにいたしました』

ネサラは思う。主催に提案を持ちかけたのは、アルマではないだろうか。
彼女は殺し合いに乗っている。そして、常軌を逸した精神状態にある。
ルールの変更を提案したとしても、まったく不思議ではないだろう。
むしろ、そうなのだとすれば、あの笑顔にも納得がいく。

だが、どうやって? どうやって、主催陣と会話をした?
自身に支給された、“いわくつきの魔導具”を使ったのか?
彼女はいわくつきの品を支給され、内通者として利用されているのか?
しかし、キュラーのあの言い方だと、“貢献者”とやらは自発的に考えて、
そして自らの意思で主催に提案を持ちかけたように感じられる。

 ――主催と話す方法があるってなら、俺も知りたいもんだね。

アルマから聞き出してみようか、と思う。
だが、下手を踏めば、自分だけが主催に消されて終わりかねない。
それでなくても、あの逃げ足。彼女の精神は、錯乱しているに違いない。
交渉ごとには自信があるが、己の編み出す論理的な言葉が
狂人相手にも通じるなどと思い上がっているわけではなかった。

接触するのはまだだ、彼女が冷静さを取り戻してからだ。
そう考え、オグマ一行の追尾を再開する。
一行は、D−6エリアにさしかかろうとしていた。ネサラは思わず冷笑した。
彼らの進行方向には、人型の何かが転がっている。
それが参加者の死体であろうことは、ネサラにも容易に察しがついた。

          □ ■ □
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464 :奴隷剣士の反乱(後編) ◆LKgHrWJock [sage]:2010/12/26(日) 16:20:25 ID:76KG8Rto
熱いナイフがバターを切り分けるように、光の刃が死人の首を切断する。
オグマの手に迷いはなかった。ただひたすら事務的に、死体から首輪を回収する。

街道を北上し、D−6エリアに足を踏み入れてから、二度、死体を発見した。
一体目は、街道から西に外れた草原で。二体目は、街道が途切れたその先で。
それが一体誰なのか、オグマは一目で理解した。ナバールと、マルス。
ひとりは、互いに実力を認め合った戦友にしてライバルであり、
ひとりは、彼が生涯の忠誠を捧げた最愛の少女の婚約者だった。

オグマはシーダを愛していた。彼女がマルスに出会う前から、ずっと。
彼女がマルスに惹かれていることを知って、何も思わなかったと言えば嘘になる。
しかし、命の恩人に対する忠誠心が、マルスの存在によって揺らぐことはなかった。
まして、恋敵であるマルスに対し、何らかの悪感情を抱くこともなかった。
マルスは、自分を救ってくれた少女が心から愛した相手。
彼女が大切に思っているものを否定的な目で見るなど、出来るはずがなかった。
それに、純粋で心優しいマルスの人柄を、オグマは好ましく感じてもいた。

そのマルスの亡骸を、オグマは自らの手で冒涜した。
迷いはなかった。たとえこの骸がシーダだったとしても、同じように扱っただろう。
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465 :奴隷剣士の反乱(後編) ◆LKgHrWJock [sage]:2010/12/26(日) 16:21:13 ID:76KG8Rto
『殺し合いに乗った女の子が同じ年頃の女の子を殺すところを見た』

イスラが見たという、無残に殺された少女。
それがシーダである可能性を受け入れた上で、案内しろと言ったのだ。
自らの手で、首輪を回収するために。主催を殺すに足るだけの武具を得るために。

そう、武具。頼るべきは、信じるべきは、己自身の剣の腕、そして精神力だけだ。
自分に対する確信がなければ、出所の不確かな情報など何の役にも立たない。
だから、ネサラの提案を蹴った。だから、キュラーの甘言に乗った。
剣一筋に生きてきたオグマにとって、手にすべきものはやはり剣だった。

いや、“剣”ならば、既にある。支給品のライトセイバー。異世界の魔法剣。
己の意思ひとつで光の刃を顕現出来る上に、その切れ味は鋭く、ほとんど重さがない。
武器としては、秀逸だ。だが、オグマの手には馴染まない。あまりにも軽すぎるのだ。
重みがなければ、己の筋肉を鞭打つようなものでなければ、オグマにとっては
それはもはや『剣』ではない。振るうべきは、優秀な凶器ではなく、剣だった。

強力な武具を放出する。それは、主催陣の自信の裏返しといえた。
自らの安全を確信しているからこそ、そのような真似が出来るのだ。
殺されない自信があるからこそ、強力な武具を与えることが出来るのだ。

 ――だが、それはただの慢心に過ぎぬ。今に思い知らせてやる。

マルスの首輪を手にしたオグマは、亡骸に背を向け、姉弟の元へと戻る。
骸に語るべきことはない。そこにいるのはマルスではない。意思も心もすべて消えた。
マルス王子には、もはやいかなる言葉も届かない。彼は、もう、死んだのだから。

それでもオグマは心の中で呟かずにはいられなかった。

 ――マルス王子、しばしのご辛抱です。

          □ ■ □
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466 :奴隷剣士の反乱(後編) ◆LKgHrWJock [sage]:2010/12/26(日) 16:22:31 ID:76KG8Rto
「オグマさんは、僕の思っていたような人じゃなかった」

首輪を回収するオグマの姿を遠目で見やりながら、イスラは姉に謝った。
最初の死体を発見したとき、イスラは首輪の回収役を申し出た。
しかし、オグマが退けた。「俺の知人だ。手出しは無用」とだけ言って。
押し殺した声からにじみ出る凄絶な覚悟に、さしものイスラも返す言葉がなかった。

「姉さん。僕は、オグマさんを信用する」
「イスラ……」

アズリアは安堵したように微笑んだが、その顔はどこか悲しげだった。
胸の奥が軽く疼く。イスラはそれを黙殺し、いつものように笑ってみせた。

「でもさ、姉さんが思っているような人とも、ちょっと違うみたいだけどね。
 オグマさんは、嘘をついている。あの羽根の出所に心当たりがあるんだ」
「何故、おまえはそう判断した? 根拠を訊きたい」

イスラは姉に半歩近寄り、声のトーンを落として答えた。

「姉さんは、おかしいとは思わなかったのかい?
 オグマさんは、振り返って上空を確認しようとはしなかった。一度もね。
 あれだけ大きな羽根を持つ鳥が近くにいることを知れば、
 上空にも警戒の目を向けるのが当たり前なのにさ。
 でも、オグマさんはしなかった。抜かりのなさそうな人なのに。
 それどころか、僕らの注意が前方に向くような話題ばかり選んでいた」
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467 :奴隷剣士の反乱(後編) ◆LKgHrWJock [sage]:2010/12/26(日) 16:23:24 ID:76KG8Rto
天を仰ごうとするアズリアの腕を、イスラは慌てて引き寄せた。

「上を見ないで。姉さんはオグマさんの誠意を踏みにじりたいのかい?」
「す、すまない……」
「オグマさんは、その鳥が僕らを襲わないことを知っていたんだ」
「警戒を怠ったのではなく、警戒する必要がないと知っていた、ということか」
「うん。少なくとも、僕らがその鳥の姿を目にしない限りは、ね」
「オグマ殿は一体何を……」
「さあね、それは僕にも――」

話はそこで中断せざるを得なかった。
二つ目の首輪を回収したオグマが、こちらに戻ってきたからだった。

「イスラよ、少女の亡骸はあの城のさらに先だったな」
「そうだよ、オグマさん」
「ならば先に城に立ち寄り、この首輪ふたつを武器に換える」
「分かった。ただ、ひとつだけ、頼みがあるんだけどさ」
「なんだ? 言ってみろ」
「新しい武器が手に入ったら、オグマさんの支給品の剣を僕に譲ってほしいんだ。
 あれ、軽くて使い易いからさ。僕には、重い武器は合わないんだ」

嘘だった。だが、イスラは腕を振り、「僕には腕力がないからね」と微笑んだ。
彼の願いは別にあった。回収した首輪はいずれもオグマの知人のものだという。
ならば、入手した武器はオグマに使ってほしい。それがイスラの想いだった。
元の所有者のことを知り、そして大切に思っているオグマにこそ、使ってほしい。

「承知した」。オグマはただ、そう答えた。
ふたりのやり取りを黙って聞いていたアズリアが、静かに口を開く。
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468 :奴隷剣士の反乱(後編) ◆LKgHrWJock [sage]:2010/12/26(日) 16:24:13 ID:76KG8Rto
「いや、オグマ殿……、その首輪、ひとつは手元に置いておかれよ」
「何故だ?」
「キュラーなる男は、所持品の入手について、『首輪との交換』と言っていた」

交換。アズリアは、その単語に力を込めた。
イスラが、そしてオグマが息を呑む。その音が、夜のしじまを打った。
イスラの脳裏に、キュラーの言葉が蘇る。

『……武器庫から所持品をお持ちできる条件を、一つお付けいたしました。
 それは、その所持品の持ち主の首輪との交換というものです。よろしいですかな?』

首輪との交換。そう、『交換』。
新たな所持品が欲しいなら、首輪を寄越せと言っている。
それは、武器を手にした時点で、首輪を手放さざるを得ないことを意味していた。
アズリアは、解析用の首輪が手元に残らないことを危惧しているのだろう。
イスラは臨時放送をさらに脳裏で反芻する。キュラーはこうも言っていた。
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469 :奴隷剣士の反乱(後編) ◆LKgHrWJock [sage]:2010/12/26(日) 16:25:37 ID:76KG8Rto
『首輪そのものが箱の“鍵”の代わりになるとでも、お考え頂ければ宜しいかと』

巧妙な印象操作だ。『鍵』と言われれば、何度でも使えるものと思ってしまう。
しかし、それは勝手な思い込みに過ぎない。期待の見せる幻に過ぎない。
首輪交換所。そのシステムの狙いは、殺し合いの加速だとばかり思っていた。
しかし、それだけではないことに気付く。主催者は、死亡者の首輪を回収したいのだろう。
その構造を解析させないために。そう、主催陣は、首輪を解除されては困るのだ。

それは、首輪の解析が可能であることを意味していた。
それは、参加者の手で首輪を解除することが可能であることを意味していた。
だからこそ、彼らは首輪を回収したがっているのだ。

「……成る程、そういうことか。アズリア、感謝する」
「いや、その言葉は主催陣を撃破するまでは受け取れない。
 ヴォルマルフの言葉が事実なら、ディエルゴはこの島のどこかにいるだろう。
 ディエルゴがいるのならば、復活を遂げたばかりだ。力が弱く、ゆえに、
 己の糧となる負の思念を早急に、しかも効率的に吸収せねばならない。
 だから、オグマ殿、イスラ……、先を急ごう」


……初日、深夜。一行は、C−6エリアの城内に足を踏み入れた。
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470 :奴隷剣士の反乱(後編) ◆LKgHrWJock [sage]:2010/12/26(日) 16:26:30 ID:76KG8Rto
【C-6/城/初日・深夜】

【オグマ@紋章の謎】
[状態]:健康
[装備]:ライトセイバー@魔界戦記ディスガイア
[道具]:万能薬@FFT、ナバールの首輪、マルスの首輪、基本支給品一式
[思考]
0:主催陣の殲滅と、死者蘇生法の入手。手段・犠牲の一切を問わない。
1:信じるべきは己の剣の腕のみ。
2:アズリアやイスラと共に、主催の潜伏場所・首輪解除の方法を探す。
3:ナバールの首輪を宝物庫に持って行き、武器を入手。
  その後、イスラの案内のもと、少女(ティーエ)の首輪を回収。
4:ゲームに乗る者や自分を阻害する者は躊躇せず殺す。
5:ネサラはしばらく泳がせておく。
6:マルスの首輪は解析用に所持、武器には換えない。

[備考]
※ネサラについては、マムクートのような存在ではないかと推測しています。
 鳥のような姿に変身することが出来るのではないかと考えています。
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471 :奴隷剣士の反乱(後編) ◆LKgHrWJock [sage]:2010/12/26(日) 16:27:14 ID:76KG8Rto
【アズリア@サモンナイト3】
[状態]:健康
[装備]:ハマーンの杖@紋章の謎
[道具]:傷薬@紋章の謎、基本支給品一式
[思考]
0:主催を倒し、イスラと共に生還する。
1:オグマ、イスラと協力し合う。
2:サモナイト石を探し、ここがリインバウムであるかを確かめる。
3:自分やオグマの仲間達と合流したい。(放送の内容によって、接触には用心する)
4:自衛のための殺人は容認。


【イスラ@サモンナイト3】
[状態]:健康
[装備]:チェンソウ@サモンナイト2、メイメイの手紙@サモンナイト3
[道具]:支給品一式、筆記用具(日記帳とペン)、
    ゾディアックストーン・ジェミニ、ネサラの羽根
[思考]
1:アズリアを守る。
2:ディエルゴが主催側にいるなら、その確証を得たい。
3:サモナイト石を探し、ここがリインバウムであるかを確かめる。
4:ティーエの首輪を回収する。
5:対主催者or参加拒否者と協力する。(接触には知り合いであっても細心の注意を払う)
6:自分や仲間を害する者、ゲームに乗る者は躊躇せず殺す。

[備考]
※拾った羽根がネサラのものであることは知りません。
 聖石と羽根の持ち主には関係があるのではないかと疑っています。
※羽根の出所については、オグマが知っているのではないかと考えています。
※オグマが自分たち姉弟に隠し事をしていることに気付いていますが、不信感はありません。


          □ ■ □
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473 :奴隷剣士の反乱(後編) ◆LKgHrWJock [sage]:2010/12/26(日) 17:00:38 ID:76KG8Rto
>>464にミスがありました。
申し訳ございません。以下が修正版になります。
------------------------------

熱いナイフがバターを切り分けるように、光の刃が死人の首を切断する。
オグマの手に迷いはなかった。ただひたすら事務的に、死体から首輪を回収する。

D−6エリアに足を踏み入れてから、二度、死体を発見した。
一体目は、街道を東に臨む草原で。二体目は、そこから北に進んだ場所で。
それが一体誰なのか、オグマは一目で理解した。ナバールと、マルス。
ひとりは、互いに実力を認め合った戦友にしてライバルであり、
ひとりは、彼が生涯の忠誠を捧げた最愛の少女の婚約者だった。

オグマはシーダを愛していた。彼女がマルスに出会う前から、ずっと。
彼女がマルスに惹かれていることを知って、何も思わなかったと言えば嘘になる。
しかし、命の恩人に対する忠誠心が、マルスの存在によって揺らぐことはなかった。
まして、恋敵であるマルスに対し、何らかの悪感情を抱くこともなかった。
マルスは、自分を救ってくれた少女が心から愛した相手。
彼女が大切に思っているものを否定的な目で見るなど、出来るはずがなかった。
それに、純粋で心優しいマルスの人柄を、オグマは好ましく感じてもいた。

そのマルスの亡骸を、オグマは自らの手で冒涜した。
迷いはなかった。たとえこの骸がシーダだったとしても、同じように扱っただろう。

------------------------------
本投下版では、オグマ一行は街道を使っておりません。失礼いたしました。
引き続き、ラスト部分を投下します。
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474 :奴隷剣士の反乱(後編) ◆LKgHrWJock [sage]:2010/12/26(日) 17:01:46 ID:76KG8Rto
オグマ一行が城に到着する前のこと――

城のわきから白い人影が転がり出たのを、上空を旋回するネサラは見た。
彼が目にしたその人物は、ドレス、もしくは豪奢なローブをまとっているように見えた。

月明かりを避けながら、ネサラはバルコニーに降り立った。
眼下に逃亡者の後ろ姿が見える。それは、半裸の女だった。
身体に巻きつけた大きな布が落ちないよう、自身の動きを妨げぬよう、
両手で押さえながら走っている。武器を所持しているようには見えない。
それどころか、デイパックすら見当たらない。身ひとつで飛び出してきたようだ。

白い布の合い間から覗く長い足に、無駄な贅肉はついていない。
身のこなしにも迷いがなく、身体能力の高さをうかがわせる。
それでも、どこか走りにくそうに見えるのは、靴を履いていないためだろうか。

 ――どうやら、城内は物騒なことになっているようじゃないか。
 さーて、どうするかね。厄介ごとに巻き込まれる前に撤退するか……。

ネサラは大きく息を吸い、再び夜空に舞い上がる。
いずれオグマ一行は、城内に足を踏み入れるだろう。
そして、この女を逃亡者たらしめた厄介な何かと対峙する羽目になる。

「あばよ、オグマ。俺は、人助けってのには向かないタチなんでね。
 あんたへの警告はナシだ。ま、悪く思うなよ」

だが、と胸の中で付け加える。

 ――生きていれば、また会おうじゃないか。
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475 :奴隷剣士の反乱(後編) ◆LKgHrWJock [sage]:2010/12/26(日) 17:02:30 ID:76KG8Rto
……オグマ一行の通り過ぎたD−6エリアで、ネサラは二体の屍を見た。
いずれも首を切り落とされ、何者かに首輪を持ち去られたあとだった。
死体を見れば、死後数時間が経ってから、同一の刃物で首を落とされたのだと分かる。
その切断面の様子から、魔法的な力を宿した武器によるものだと推察出来る。
それを見たネサラはふと、オグマの振るっていた剣を思い出した。
刃自体が光で出来た、異国の魔法剣。

一行の足取りから見ても、オグマの所業であることは明白だった。
しかし、問題はそこではない。肖像画のついた参加者名簿を持つネサラには、
ふたりの死者の名が分かった。ナバールとマルス。いずれもオグマの仲間だった。

ネサラの名簿の肖像画の横には、ナバールに△、マルスに○がついている。
オグマの話しを盗み聞いて、ネサラ自身がつけた印だった。
しかしこれは、ゲームに乗る危険性について記したものに過ぎない。
オグマの口ぶりを思い出せば、彼がナバールを戦友として認めていたことは明白だった。
マルスを自軍の指揮官として、いや、それ以上の存在として敬愛していたことは明白だった。
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476 :奴隷剣士の反乱(後編) ◆LKgHrWJock [sage]:2010/12/26(日) 17:03:20 ID:76KG8Rto
オグマの所業を知ったネサラは、大した男だ、と感心した。
守るべき民のためならば、唾棄すべきニンゲンと手を組むことも厭わなかった
鴉王ネサラだからこそ、オグマの覚悟のほどを察することが出来た。
次に会ったときには、別の形で手を組みたいものだ、と思う。
アイク捜索などに利用するのは勿体無い。
オグマは、汚れ仕事を平然とこなせる男なのだから。

そして、オグマのそんな姿を目の当たりにしてもなお、
レヴィノス姉弟は彼と行動を共にしている。
不満が表面化している様子は見受けられない。
姉は堅物、弟は気難しそうな印象を受けるにも拘わらず。

それもまた、オグマという男のカリスマ性のなせるわざなのか。
それとも、あの姉弟もまた、職業軍人らしいドライな一面を持ち合わせているということか。
ふたりには微妙な意識のずれと、どうしようもない甘さがあるようだったが――

 ――ま、姉弟喧嘩に介入するシュミはないんでね。そんなことより……。

ネサラは半裸の女を捕獲すべく、降下を開始した。
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477 :奴隷剣士の反乱(後編) ◆LKgHrWJock [sage]:2010/12/26(日) 17:04:10 ID:76KG8Rto
【C-5/城付近・上空/初日・夜中】

【ネサラ@暁の女神】
[状態]:打撲(顔面に殴打痕)。
[装備]:あやしい触手@魔界戦記ディスガイア、ヒスイの腕輪@FFT
[道具]:支給品一式×2 清酒・龍殺し@サモンナイト2、筆記用具一式、
    真新しい鶴嘴(ツルハシ)、大振りの円匙(シャベル)
[思考]
0:己の生存を最優先。ゲームを脱出する為なら、一切の手段は選ばない。
1:城から出てきた女(パッフェル)を捕獲、尋問。
2:オグマは手を組む価値あり。だがしばらく泳がせておく。
3:キュラーの言う“貢献者”(アルマ?)はどうやって主催と会話をしたのか?
4:ラムザとアルマの動向に興味。接触はアルマの精神状態を見てから。
5:アイク・ソノラの情報は次の機会にでも。
6:脱出が不可能だと判断した場合は、躊躇なく優勝を目指す。

[備考]
※臨時放送の内容から、主催と連絡を取る方法があることに気付きました。
※主催にルール変更を持ちかけたのは、アルマの可能性が高いと考えています。
※アルマがゲームに乗っていることを知りました。
 危険性の高いアイテムの影響下にあるのではないかと考えています。
※この舞台そのものが、ある種の『作りもの』ではないかと考えています。
 そして、このゲームの主催者が女神アスタルテに匹敵する超越的存在であるが、
 同時にその奇跡にも等しい力にも限界があるのではないかと踏んでいます。
※このゲームに、ラグズの存在さえ知らない異邦人が数多くいることを確信しました。
※ネサラの参加者名簿には顔写真(肖像画と認識)がついています。
 名前の左隣にチェックを入れており、内容は以下のようになっています。

アティが◎
マルス、シーダ、チキ、ベルフラウ、ソノラ、ミカヤ、サナキ、
イスラとオグマとアズリア(名を聞けなかったが、イスラと同じ姓で判断した)が○
アイク、漆黒の騎士、シノン、ナバールが△
ハーディン、ビジュが×
アルマが★、ラムザが☆
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478 : ◆LKgHrWJock [sage]:2010/12/26(日) 17:05:23 ID:76KG8Rto
投下は以上です。
支援していただき、ありがとうございました。


「何故、ライトセイバーがあるのに、オグマは剣を求めるのか」

多分、スポーツ等をしている人や職人気質の人には、
何も書かなくてもなんとなく分かるような感覚だとは思いますが…
逆に、分からない人には、まったく理解出来ない感覚だと思うので。
ほんの数行ですが、重要なことなので加筆しました。




引き続き、ネサラ、パッフェル、レンツェン、チキで予約します。
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481 : ◆LKgHrWJock [sage]:2010/12/26(日) 17:49:59 ID:76KG8Rto
ご意見ありがとうございます。

では、ネサラはC−5北東部辺りの上空で、
城のわき(窓)から出てくる白い何かを発見したという形にしましょう。
半裸の女だということには気付いていないけど、
誰かが必死で逃げようとしていることは分かる、ということで。
逃げている人物が被害者なのか加害者なのかまでは分からない、ということで。

オグマ一行については、そこまで時間を進めても問題がないならそうしましょう。
もしくは、オグマ一行の現在地をD−6北端かC−6南端あたりにしておくというのもいいですね。
深夜の時点では、まだ城には到着していないという形にして。

進行ルートは、最初は最短距離を使って、
E−6中央辺りから街道に変えたということにしてもいいですね。

他にもご意見があれば、お聞かせください。
後ほど(明日かも)、したらばの作品修正スレに投下いたします。
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483 : ◆LKgHrWJock [sage]:2010/12/26(日) 20:47:40 ID:76KG8Rto
ちょっと待ってください。おっしゃりたいことというか、
ネサラが城に辿り着くのは無理というのは理解できたんですけど。

「欺き、欺かれて」の状態表では、パッフェルは【C-5/城付近/夜中】。
城の場所はC-6、パッフェルは西(村方面)に逃げたことになっているんです。

なので、ネサラがパッフェル(人影)を発見する場所はD-5北端あたりかな、と。
C-5の南半分は水辺(夜は黒く見える、そしてあまり注意を向けない場所)なので、
白い人影があれば、たとえ米粒程度の大きさでも、目が行くんじゃないかと思うんです。

ただ、1エリア移動するのに1時間かかるとすると、だいたい4km四方くらいですよね。
2km先の人影を視認するのは流石に難しいか…
ネサラの移動経路については、ちょっと考えて見ます。
オグマが仲間の首輪を回収したことを知った時点で、別方向に向かったことにするとか。


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