トップページ > 創作発表 > 2010年12月24日 > FgcZ8/AM

書き込み順位&時間帯一覧

17 位/149 ID中時間01234567891011121314151617181920212223Total
書き込み数0000000000000080000000008



使用した名前一覧書き込んだスレッド一覧
時の番人
【長編SS】日本鬼子SSスレ3【巨大AA】

書き込みレス一覧

【長編SS】日本鬼子SSスレ3【巨大AA】
78 :時の番人[sage]:2010/12/24(金) 14:25:32 ID:FgcZ8/AM
今、ここ誰も使ってませんね〜!?
使ってないようなので今から
「日本鬼子・ひのもとおにこ」〜第五章〜【鬼子はお洒落通!?】
を投下します。
俺設定です。それと挿絵、最近手抜きです。絵は難しい・・・。
「田中さん」名前使わせてくれて有難う。パート2


【長編SS】日本鬼子SSスレ3【巨大AA】
79 :時の番人[sage]:2010/12/24(金) 14:26:58 ID:FgcZ8/AM
●「日本鬼子・ひのもとおにこ」〜第五章〜【鬼子はお洒落通!?】

今朝方、冷たい雨が降っていた山間。水溜りが凍り、キラキラと太陽の光を反射している。
今はもう夕暮れまじか。その氷の上を夕暮れの太陽のスポットライトを浴びて、スイスイと滑っているヒワイドリ。
そんな余裕の有るヒワイドリをよそに、鬼子はバタバタしていた。
「きび婆〜きび婆〜〜〜!」
鬼子の大きな声が神社に響き渡る。
「なんじゃいさっきから。大きな声を出さんでも聞こえとるわぃ」
「この角、これで良いと思う?誤魔化せてるよねぇ〜〜」
「だからさっきから大丈夫じゃと言っとろうが」
こんなやり取りが、朝から今まで続いてるのだ。
きび婆もいいかげんにしてくれと言わんばかりに、きび爺に八当たりをしている。

「じゃぁ行ってきま〜〜〜っす!」
とすごく元気な鬼子の声。
神社の玄関の門付近で、弥次さん、喜多さんが手を振って鬼子を見送っている。
その鬼子の声をよそに、ヒワイドリは氷の上でトリプルアクセルを決め、スイスイと滑っていた。
ヒワイドリは鬼子から言われたのだ。
「今日は絶対に付いてくるな」と。
そう、今日は田中さんと言う初めてお友達になってくれた女の子と街へ遊びに行く日。
クリスマス用の街のライトアップがお目当てだ。鬼子にとってはとても大事な日なのだ。
鬼子は般若面を袂に入れ、角にはカチュウシャとヒワイドリアクセサリー・・・。
そんな出で立ちで勢い良く飛びはねながら山を駆け降りて行った。

街中に着いた鬼子は、昨日田中さんが書いてくれた地図を見ながらキョロキョロと待ち合わせ場所を探している。
その待ち合わせ場所は、金色に塗られた派手な10階建てのビル。その玄関口には大きな看板があり
人気歌手の写真が飾られている。このビルはレコードやCD,DVDなどを売っているビルらしい。
レコード、CD、DVDと言う言葉がどういう物か、きび婆から教えてもらったのだが。その前で待ち合わせなのだ。
鬼子はその場所に、20分前に着いてしまった。鬼子は街中の時計を見る。
「あぁ〜大分早く着いちゃったな。でも、遅れるよりいぃわよね」
鬼子は笑顔でそうつぶやく。
周りにいる人達は、鬼子の方を見てなにやらクスクス笑っている。
鬼子は自分が見られてる事に気付いていた。
「・・・やっぱり角が気になるのかなぁ・・・。この角、取る事が出来ないから何とか誤魔化してるんだけど、
人間の民には解ってしまうのかしら・・・」
鬼子はそう心でつぶやいた。鬼子の前を行き交う人々。楽しそうに話しながら歩いてる人もいれば、
鬼子の方を見てクスクス笑う人もいる。鬼子はモジモジしながらその場に立っていた。
鬼子は目のやり場に困り、金色のビルの大きな看板をジーーーーーっと見つめていた。
待ち合わせ時間の5分ほど前、田中さんが手を振りながらこちらにやってきた。
田中さんの目に飛び込んできた鬼子の表情は・・・泣いていた。
「お、鬼子ちゃん・・どうしたの?」
「だあああ〜〜田中さ〜〜ん・・。さ、寂しかった・・・。皆がジロジロ見てるし、とても緊張して・・・」
「えぇ?皆がジロジロ見てる?」
田中さんは周りを見渡したが誰もジロジロ見ていない。
「多分、着物が珍しいのよ。気にしない方がいいわよ鬼子ちゃん」
田中さんはそう言ってくれた。その優しい言葉を聞いて、鬼子の表情が徐々に明るくなる。
「行こ!」
と田中さんは言い、2人で街中を歩いて行った。
【長編SS】日本鬼子SSスレ3【巨大AA】
80 :時の番人[sage]:2010/12/24(金) 14:28:02 ID:FgcZ8/AM
2人は街中を歩きながら、わきあいあいと話をしている。ふたりともとても楽しそうだ。
こっちの店に入っては、2人でワイワイ。あっちの店に入っては2人でワイワイ。
「あっそうだ。聞こう聞こうと思ってたんだけど」
田中さんが思い出したかのように言った。
「な〜に?」
鬼子はとても楽しい気分になっていた為、軽くそう返事をする。
「鬼子ちゃんはいつも頭に角、着けてるの?昨日も着けてたし」と。
鬼子は【ドキッ】とした。
「つ・・角だなんて・・・。違いますよ〜。アクセサリー付きとんがり付きカチュウシャですよ〜。ホホホ〜・・・」
鬼子は口に手をあて、苦し紛れにそう言った。
「そう。変わったカチュウシャね。あっそれから」
と田中さんが言うのと同時に、鬼子は身構えた。
また、何か疑いの言葉をかけられると思ったのだろう。
「な・・何ですか?」
鬼子はビクビクしながら聞いた。
「鬼子ちゃん。私に敬語なんて使わないでね。お友達なんだから」
その言葉を聞いた鬼子の表情がみるみる笑顔へと変わっていく。そして感激し【ダァー】っと涙を流している。
「わ、解った。優しいね、田中さんは」
「そのサンもいらないわ。私は鬼子ちゃんって下の名前で呼んでるから鬼子ちゃんもそうしてくれる?」
田中さんのその提案に、鬼子はとても驚き、感激してしまった。
鬼子は恐る恐る呼んでみた。
「・・・みことチャン・・・」
「はぃ!」
っととても澄んだ笑顔を田中さんは見せてくれた。
鬼子はその田中さんのやさしい気遣いに・・・泣いていた・・・。
田中さんは鬼子が良く泣く子だな〜っと思ってるに違いない。

「さぁ、点灯するぞ〜!」
誰かが何処かで叫んだ。
2人は、顔を上げ街中を見つめる。
すると2人の目の前に、小さな光が街を包むように沢山光輝きだした。
そして、クリスマスの音楽が何処からともなく流れて来た。
「おおぉ〜」
と街中がどよめく。
二人の目には、共有できる綺麗な光が目の前に広がっていた。
鬼子は両手を胸の前で握り、ドキドキしている。
「わぁ〜・・・綺麗。とても綺麗」
鬼子は何もかも全て忘れてその光景を見ていた。
「綺麗ね〜。鬼子ちゃんほら、街のずっと向こうまで続いてるわ」
みことが指を刺しながらそう言った。
その光は、神社近くの街まで続いていた。とても長くてとても綺麗な光が。
そして、街全体を覆う光は大きな大きなクリスマスツリーの様にも見える。
「うっわぁ〜、ほんと綺麗。闇世ではこんな事絶対ないもん」
思わず鬼子は口走ってしまった。
みことは、首をかしげながら
「闇世ってな〜にぃ?」
と、もちろん鬼子に聞く。
鬼子は我に返り、【バッ】っと口を塞いだ。
「え・・えぇ?闇世って言ってないよ・・。何かの聞き違いよ〜・・・」
「そ、そう?何かそう聞こえちゃって」
みことは首をかしげている。
「ホ、ホホホ〜。それよりあっち、行ってみよ!」
鬼子は慌てて話を変えた。
【長編SS】日本鬼子SSスレ3【巨大AA】
81 :時の番人[sage]:2010/12/24(金) 14:29:04 ID:FgcZ8/AM
2人は服を売っているお店に入って行った。鬼子はみことに言う。
「わ、私あまりお金持ってないからどうしよう・・・」
するとみことは鬼子に小声で言った。
「買わなくていいのよ。着るだけ着て、楽しんじゃえば!」
みことはウインクしながらそう言った。
鬼子の目が輝く。それもそのはず、闇世で売っている服と言えば、着物がほとんど。
それ以外は袴や甲冑。武器、防具。またそれに付随する物ばかり。
鬼子は、もちろん着物は大好きだ。しかし目に入ってくる服が綺麗で可愛くて・・・。
2人は、店の中に有る洋服をキャッキャキャッキャ言いながらグルグル回り、見て回った。
「キャー、可愛い服ばかり。こんなの鬼子ちゃん似合うんじゃない?」
みことは、手に取った洋服を鬼子に見せた。
その洋服は、上は白色で少し短いジャケット風の服。首元にはファーが付いている。
下はピンク色でフリルの付いた、丈の短いワンピースだ。
「わっああ〜、それとても可愛いね」
鬼子が目を輝かせながら近寄って来た。
「鬼子ちゃん、着てみなよ!」
みことは鬼子に服をあてがいながらそう言った。
鬼子はこんな事初めてだ。
「え・・わ、私が?いいのかなぁ」
「いい、いい。皆着てるし」
みことは可愛らしく小声でそう言った。
「・・・じゃぁ・・着てみよっかな・・・」
鬼子も徐々にその気になってきたみたいだ。
「あっ、でも鬼子ちゃん。着物一人で着る事できるの?私着付けとか出来ないよ」
みことは、自分から言い出した事だが、少し心配になっていた。
鬼子は笑顔で答える。
「うん。生まれてから毎日着物だからもう馴れてるよ!」
それから2人は、色んな服を着ては、お互いに褒め合っていた。
時期的にクリスマスシーズンなので、クリスマス衣装もある。
その衣装を交互に着て、まるで小さな子供の用にはしゃいでいた。
http://loda.jp/hinomotooniko2/?id=430 ●第五章、一コマ目挿絵
【長編SS】日本鬼子SSスレ3【巨大AA】
82 :時の番人[sage]:2010/12/24(金) 14:30:05 ID:FgcZ8/AM
はしゃぎすぎて少し疲れた二人は、近くのお洒落なケーキ屋さんに入っていた。
みことが舌を【ペロン】と出しながら言う。
「ここのケーキ、とっても美味しいのよ〜」
「えっ、ほんと?ほんと?どんなケーキが美味しいの?」
鬼子は早口でみことに聞いている。
「鬼子ちゃん、このメニューみて決めたらいいわ」
と、ケーキが沢山載っているメニューを見せてくれた。
「わっあぁ〜すご〜いぃ。美味しそうなケーキが沢山載ってるね〜」
鬼子の目はキラキラしている。そして・・・ヨダレが少し・・・。
「どれ?みことチャンはどれが一番好き?」
鬼子は、みことに聞きながら目を回している。メニューの端から端までグルグル見ていたのだろう。
「私はね〜」
と、みことは真ん中あたりのケーキを指差した。お気に入りのケーキがあるのだ。
「じゃぁ私もそれにする。みことチャンと同じケーキで」
鬼子は、あまりのケーキの多さに自分で決められなかったのだ。
注文してから少し時間が経つと、美味しそうなケーキと暖かい紅茶が2人の前に出てきた。
「これ・・・もう食べていいんだよね?いいんだよね??」
鬼子はヨダレを流しながら、みことに念を押し聞いていた。
みことは鬼子の表情を見て、苦笑いしながら言った。
「いいわよ、食べて。鬼子ちゃんこのケーキ本当に美味しいよ」
その声を聞いた鬼子は、フォークを持ち、ケーキの真ん中に【グサッ】と刺した。
「え?」
みことのその声と同時に、鬼子のケーキがそのままの形で口の中に・・・。【ガブゥ】
【モグモグモグ・・・】と頬を目一杯膨らませながらケーキを食べてしまった。
みことは、「・・・・・・・・・・」
その光景を見ながら声が出ない。鬼子の可愛い顔に似合わずの食べっぷりに驚いてるのだ。
【ゴックン】鬼子は一口でケーキを食べきってしまった。
「あぁ〜本当〜。本当に美味しかったわ〜」
鬼子は、みことの表情とは正反対の満面の笑顔である。
「ハハ・・・ハハハハ・・・。鬼子ちゃん。そうとうお腹が空いてたのかな・・」
と、みことはつぶやく様に言った。

とても楽しく遊んだ二人は、待ち合わせした金色のビルの前にいる。
そろそろお別れの時間。しかし、2人ともすごくいい笑顔だ。
「今日は本当に有難う。また遊ぼうね!みことチャン」
鬼子は元気良くそう言った。
「うん。必ずね!鬼子ちゃん。それと・・・鶏君もね」
みことはそう言って、大きく手を振りながら笑顔で帰って行った。
鬼子は・・・大きく手を振りながら、目が白くなっている・・・・・。
【長編SS】日本鬼子SSスレ3【巨大AA】
83 :時の番人[sage]:2010/12/24(金) 14:31:19 ID:FgcZ8/AM
暗く、寂しくなった山間を、鬼子は駆け抜けている。手には薙刀。その先にヒワイドリが突き刺さっていた。
ヒワイドリは白目を向き、口から泡を吹いている。鬼子にそうとうキツク怒られたのだろう。
「ただいま〜!」
鬼子は大きな声で言った。縁側近くには車が止まっている。
「あっ、鬼子ちゃん。狐火様が呼んでるよ」
舞子はそう鬼子に言った。
「そう!?ありがと、舞子さん」
「今日はとても楽しかったみたいね!」
舞子は鬼子の笑顔を見てそう思ったのだ。
「そ、そうなんですよ〜。私ね・・・」
と鬼子は舞子に話しかけていて、狐火様の所に行こうとしなかった。
と言うより、舞子の言葉を忘れているようだ。
舞子は鬼子の話を聞きながら、鬼子の背中に手をやり、狐火様が居る方へ押していった。
「それでね、それでね」
鬼子は話が止まらない。それくらいとても楽しかったのだろう。
舞子はやっとの思いで、鬼子を狐火様の所に連れて行った。
部屋に入ると、きび爺、きび婆の前に男の人が一人座っている。縁側近くに止まっていた車の持ち主だ。
鬼子はその男性に気付き、角を手で軽く隠しながら、アクセサリーを付け、チョコンと頭を下げた。
「やっと帰って来たか。どうじゃ?楽しかったかぃ?」
きび爺は鬼子に優しく聞いた。
鬼子の顔が笑顔に戻る。
「うん。とても楽しかったよ。ありがときび爺、きび婆。あのね」
鬼子は話を続けようとした。するときび爺は、
「あぁ、その話しは後で聞くよ。それよりここへ座るんじゃ」
と少しそっけない感じ。
「は・・はぃ」
鬼子は下唇を出しながらその場に座った。
「君が、鬼子ちゃんだね!」
見知らぬその男性が言う。
「は・・はぃ。そうです・・・」
鬼子はきび爺の方に目をやりながらそう返事した。鬼子は「はぃ」と返事してもいいものか、
きび爺に確認したかったのだ。きび爺は軽くうなづいている。
その男性が話しだした。
「私は、この辺りを巡回している刑事で、あっ刑事ってのはね、悪い人を
捕まえて、街の安全、市民の安全を守る人の事だよ。その私がここへ来たのは・・・」
その刑事の人は、言葉を止めて頭をかきながら何故か苦笑いしている。
それもそのはずで、鬼子がきび婆の後ろに隠れて【何か悪い事したのかな・・・】とドキドキしていたからだ。
「あぁ、ごめんごめん。この話から言うべきだったね」
「私は光の世、闇世の事は知ってるよ。人間の民、力を持つ民の事も。狐火様から聞いてるからね」
その刑事はそう言った。
「え・・・。そ・・・そうだったんですか・・・。ビックリしちゃった・・・」
「うん。それでね鬼子ちゃん。鬼子ちゃんが昨日散らした輩について狐火様から呼ばれて、ここへ来たんだよ」
「え・・・きび爺が?」
鬼子はきび爺の方に目をやった。
「そうじゃ。昔から刑事さんの中には、ワシらの事を知っている者がいる。知っていると言うか、
色々あって、こちらから教えたんじゃがな」
きび爺は腕を組みながらそう言った。
「昔からちょくちょく行方不明者が出ていてね、こうやってお互いに情報交換をしてるんだよ」
その刑事は困った顔をしている。
【長編SS】日本鬼子SSスレ3【巨大AA】
84 :時の番人[sage]:2010/12/24(金) 14:32:32 ID:FgcZ8/AM
「それで・・・、昨日鬼子ちゃんが散らした子の事について聞いてたんだ」
その刑事は、持っていた鞄の中から、鬼子が持ち帰った赤い小さなお守りを出した。
「あっそれは・・・」
鬼子は少し焦りながらそう言った。
「ワシが渡したんじゃ」
きび婆が鬼子の肩に手を沿えながら言った。
「鬼子ちゃんが帰って来てから中を空けようと思って、これはそのままにしてるよ。
先に鬼子ちゃんが散らした時の状況を聞かせてくれるかな?」
その刑事は優しく鬼子に言った。
「は・・ハィ」
鬼子はその時の状況を、言葉を詰まらせながら伝えた。悲しさを思い出しているのだろう。
「そっか・・。そういう事があったのか。それに、その子の心はそんな事を叫んでいたのか・・・」
「辛かったね、鬼子ちゃん」
その刑事は悲しそうな顔をしていた。
「じゃぁこのお守りの中を空けてみるね」
刑事は手に白い手袋を着ける。
中から出てきた物は、小さな小さな狐の形をした置物。それとクシャクシャに丸められた紙が入っていた。
この小さな狐の置物は、元々お守りの中に入れられていた物だろう。
もう一つ、小さく丸められた紙をそっと広げてみた。広げてみると20cm四方になった。
その紙の中に小さな文字が沢山書かれていた。文章の出だしの言葉は・・・
「ごめんね、お母さん」だった。
その刑事はそこに書かれている文章を一通り頭の中で読んだ。
「・・・話せる内容だから読んでみるね」
刑事は、その紙を少しの間見つめていた。そして・・・
「ごめんね、お母さん。ボクは弱虫で泣き虫でいつも皆からいじめられてて。そんなボクを見て、お母さんは
いつも元気付けてくれたね。お母さんの言うとおり、強くなろうと思ったんだけど、無理だったんだ。でも
お母さんはいつも私のせいだ、私のせいだと自分を責めてたね。それは違うよ。ボクが悪いんだから。
ボクが弱いんだから。いつも夫婦げんかしてるね。ボクが原因で。ごめんね。お父さん、お母さん。
ボクがお父さんからたたかれるのは、ボクが悪い事をしているからだと思うんだ。だからお母さん、
お父さんとケンカしないでね。別れるってボク知ってるよ。でもボクはお父さんもお母さんも大好きなんだ。
とっても大好きなんだ。だから別れないでほしい。別れてほしく無い」

「鬼子ちゃんの話しとまとめて解釈すると、彼は・・・友達から虐められてて、
父親から虐待を受けてて、そして離婚をむかえる・・・。そんな原因を作ったのは全て自分だと・・・
深く深く思っていたのかもしれない。そして・・・心の光を何処かに落としてしまったんだね」
と刑事はやり切れない表情を浮かべていた。
「その時に、悪しき輩に捕り付かれてしまったんじゃろう」
きび爺は目を閉じ、深く溜め息をつきながらそう言った。
刑事がお守りを見つめながら言う。
「名前が何処にも書いてないから、特定するのは非常に難しい。
親御さんの心配は・・永遠に続くんだろう。そして、この子も・・・親元には帰れないかもしれない」
「鬼子ちゃん。このお守り大事に持っててくれて有難う」
そう言って、その刑事は帰って行った。
【長編SS】日本鬼子SSスレ3【巨大AA】
85 :時の番人[sage]:2010/12/24(金) 14:33:48 ID:FgcZ8/AM
鬼子は暗くなった縁側に一人腰掛けていた。横にヒワイドリがいるが。
「おぉ、こんな寒い中、よく縁側に座る事が出来るなぁ」
喜多さんが何処からともなくそう声をかけてきた。
「若いのはチンチン代謝がえぇから寒くないのかのう。フフオッフォッフォ」
鬼子は言葉が出ない。と言うか、反応出来ない内容だ・・・。
「それを言うなら新陳代謝だろ。エロジジィ」
と、ヒワイドリが喜多さんを突きながら言った。
「エロジジィとは何じゃ、エロジジィとは。これでもまだお前には負けぬ速さで動けるぞ!」
喜多さんとヒワイドリは2人でクネクネと、体が動く早さを競っている。
鬼子はその姿を見て【プッ】っと噴き出した。
「そう言えば、今日、お友達と遊びにいってたんじゃろ?どうじゃった?」
喜多さんは鬼子に笑顔で聞いた。落ち込んでいるのが解ってたのだ。
「あっそうそう聞いてよ、喜多さん・・・」
と、とても長い話が始まった。
ヒワイドリは少し離れた所で暖かそうなお茶を一人飲んでいる。
長い鬼子の話しに、喜多さんは縁側でカチンコチンに固まっていた。
喜多さんは、話しかけなければ良かった・・・と今さらながら後悔している。
「それでね、それでね。喜多さん聞いてる?」

投下おわり。


「日本鬼子・ひのもとおにこ」〜第六章〜【小日本(こにぽん)】に続く。


※このページは、『2ちゃんねる』の書き込みを基に自動生成したものです。オリジナルはリンク先の2ちゃんねるの書き込みです。
※このサイトでオリジナルの書き込みについては対応できません。
※何か問題のある場合はメールをしてください。対応します。