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創る名無しに見る名無し
SS・小説創作の初心者のためのスレ 4筆目
【2】リレー小説【何でもアリ】

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SS・小説創作の初心者のためのスレ 4筆目
132 :創る名無しに見る名無し[sage]:2010/12/23(木) 05:43:50 ID:XI1bviR1
霧雨の刀


 暗雲の下、ただ虚しく錆びゆくのみ。

 ――吾助が初めて人を手にかけたのは、五年ほど前のことだ。
 慶長5年(1600年)に、関ヶ原では大きないくさがあり、浪人や農民も、こぞって参加したそうである。
 もっとも、吾助は参加していない。参加したのは吾助の長男だったか。
 吾助がいくさと深く関わったのは、長男の与七が帰って来た後のことである。
 いくさの後は基本的に、敗軍の士を狩る行事で溢れている。
 勝ち軍による残党狩りや、近隣農民による落ち武者狩りだ。
 落ち武者狩りとは、落ち武者の具足や飾りの追剥すること。
 首を取って、献上し、金を貰ったり、士分に取り立てて貰う者などもいたらしい。
 吾助も農民仲間とともに、落ち武者狩りに精を出していた。
 持ち物といえば、竹を斜めに切って作った槍と、妻の小春がこさえた握り飯、古びた鉈まで。

 結果として、収穫は無かったが、吾助はそれを無念に感じない。
 わらしの頃は、万物を無邪気に絞め殺したりするものであるが、吾助はその経験もない。
 仏がいるならば、吾助は天界にでも召されているであろうか、いや、この後の殺生で、その線はないだろう。
 吾助が家に帰ると、吾助の3人の息子である、与七、弥助、千太が、それぞれ横たわっていた。
 与七は、腹を斬られていたようで、腸を漏らして息絶えている。
 弥助は、肩からが中ほどまで斬られ、温かい血を流している。
 千太は、石の元にて眼を閉じているので、恐らく蹴り飛ばされでもしたのだろう。
 横たわっていたのは息子ばかりではない。
 妻の小春も横たわっている。
 違うのは、男に乗られているところのみであろうか、
 顔が紫陽花のような色になり、気絶している妻の後ろで、浪人風の男は腰を振っていた。
 いや、うめきか、喘ぎか、何とも付かぬ声を吐いているのを見ると、気絶しているかはわからないが。
SS・小説創作の初心者のためのスレ 4筆目
133 :創る名無しに見る名無し[sage]:2010/12/23(木) 05:45:16 ID:XI1bviR1
 
 浪人風の男は実際のところ、敗戦の士であった。
 仲間が斬られ、恐怖に身を縮ませた彼は、具足を捨ておき、落ち武者狩りから逃れていた。
 腹も減ったところ、手ごろな民家を見つけたから強襲したまでである。
 彼は、ほどなくして、吾助の槍に突かれて死んだ。
 背中から深々と突きたてられた竹槍は、小春にも突き刺さりそうなほど、貫通していた。
 浪人風の男も、刺されながら懐刀を片手に持って、振っていた。
 初めて人を殺めた吾助は、特に、感傷などを覚えない。
 ただ、手に持った刀で浪人風の男を刺していただけである。
 妻と自分も斬ろうかと思ったが、やめた。
 吾助は男を脇に抱えて運んだ。
 妻と我が子の前に、男の死体を晒すわけにはいかない。
 運び、埋めれば、小春と弥助と千太も、もしかしたら生きてゆけるかもしれない。
 今回の惨状が失念するよう、祈るばかり。

 浪人風の男を、近くの林に埋めた後、家を目指そうとした。
 が、突然の霧雨によって足を取られ、満足な移動ができない。
 とりあえず、刀を杖代わりに歩むことにした。
 濡れながら歩いていると、林の出口まで着いた。
 出口では杖を拾ったので、これで家まで帰った。

 家に着いたところ、またあの浪人風の男がいた。
 いえど、背中を貫かれて死んでいるが。
 よく見れば、体が奇妙にねじ曲がっている。
 ただ、それは吾助の記憶にあったので、奇妙には感じない。
 ただ、奇妙に感じたのは、自分が懐刀で斬られていることのみか。

 ――吾助の刀が、茶色い塊となったころ、霧雨の中で腹から血を流した女を見た。
 それが妻であることがわかった時、空は晴れた。

 吾助の家には、2人の兄弟が置いた墓石が二つほど並んでいる。
SS・小説創作の初心者のためのスレ 4筆目
134 :創る名無しに見る名無し[sage]:2010/12/23(木) 05:47:16 ID:XI1bviR1
あ、終わりです。
こういうの、何気によくありますよね。
よければ指摘をいただけるとありがたいです。
【2】リレー小説【何でもアリ】
502 :創る名無しに見る名無し[sage]:2010/12/23(木) 06:04:54 ID:XI1bviR1
丹波がそう言って眼の脇に皺を寄せると、嘲笑うかの様な声が響いた。
「2次元の操り人形ならば、ここにはおるまい」
一同が声の出所を見れば、そこには一人の少年がブリッジしていた。
「エ……」
声を漏らしたのは、馬場。
押し黙る一同を気にもかけずに、続ける。
「エキセントリック卓郎……」
「エキセントリック卓郎!?」
馬場の漏らした名前に反応したのは、猪田である。
「なんのことだ」
目を細めた丹波が問うたが、馬場は押し黙っている。
しばしの沈黙の後、ポツリと呟いたのは、意外にも寛であった。
「エキセントリック卓郎……」
感嘆した様子で続ける。
「10年前に死んだ……俺の異母兄弟……」
したり、とエキセントリック卓郎は返した。
「2次元の繰り人形ではなく、1次元の繰り人形。線と点で創造された存在が、お前たちであろうな」
その言葉の真意はわからない、ただ、その言葉は間もなくして返された。


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