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103 :創る名無しに見る名無し[sage]:2010/12/23(木) 16:52:34 ID:XAHBDwiN - お題が欲しいです
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106 :塔[sage]:2010/12/23(木) 22:50:42 ID:XAHBDwiN - 我らは建設者と自らを呼んでいる。
ここがどこなのか、いつからなのかは誰も知らん。 ただ、我らの役目はこの”塔”を築くことだということだけが常識であり、目的であり、信念であり、存在理由だと知っていた。 「おとう・・・ 俺、もう嫌だ」 ある朝、三番目の子供が言った。 「どうしてだ、千八百三。レンガ作りの仕事はうまいと、八百三十五に褒められたばかりだろう?」 「何のために作っているか分からない建設の仕事のために一生を過ごすなんてもういやだ。」 「お前、馬鹿を言うな。”塔”の建設を止めることは、社会から排除されることだぞ!?」 「それでも、かまわない。俺はもう、建設なんてやらない!」 「待て、千八百三!」 止めるのも聞かず、三番目の子供は飛び出していった。 「はぁ、はぁ、はぁ・・・」 俺は階段を駆け上がった。その背中を、追っ手が距離を詰めるのを感じる。 俺達の世界では、”塔”の建設を止めることは危険思想であり、社会から排除される。 そのやりかたも、逮捕や監禁なんて甘いものじゃない。 捕まったら”塔”から突き落とされるだけだ。 そうしたら、二度と帰ってこれない。 ・・・でも、どうなるんだろう? 病気や事故とは違い、突き落とされたらどうなるんだろう? もしかしたら、”塔”の外の世界に行けるんだろうか? それとも、距離の長い転落死が待っているんだろうか? それでもいい。無意味に”塔”を作り続けるだけの世界を捨てれるなら、どこにでも行ってやる。 そんなことを考えていたのが悪かった。 「あっ!」 「捕まえた! 放棄者を捕まえたぞ!」 俺の体は、追っ手に荒々しく押さえつけられた。 「離せ! くそっ! ”塔”なんて建てたって意味なんてない! なぜそれが分からないんだ!」 俺は必死に抵抗した。 「危険思想だ! 耳を貸すな!」 「捨てろ! 早く捨てろ!」 しかし、もちろん追っ手は耳を貸さなかった。 「千八百三よ、お前が放棄者となったと、父の九百五から通報があった。」 追っ手の長が感情を込めずに俺に告げた。 「即時排除とする。やれ。」 そして、俺の体は宙に舞った。 俺の体は強い風に乗り、塔の側面を滑るように飛んでいた。 ・・・俺の目の前に塔が逆に建っている。 それぞれの層は微妙に異なり、ところにより太くなり、ところにより細くなり・・・ ・・・いったいどれだけの時間を費やしてここまで立てたのか・・・ ・・・この先には何があるのか、俺たちはどこを目指していたのか・・・ ・・・誰がさせるのか、俺たちは何者なのか・・・・ ふと前を見る。そこには、”塔”とは確実に違う、”何か”があった。 ・・・あれは、何だ? 一面に広がる黒い壁は? ・・・あそこから来たのか? いや、俺たちはあそこを目指していたのか? 何故だろう・・・胸の中から嬉しさが込み上げて来た。 ・・・よかった。新しい世界はあったんだ。 ガシャン 冷たい音と共に、その存在は歯車とコードの姿に戻ってしまった。
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108 :創る名無しに見る名無し[sage]:2010/12/23(木) 23:43:11 ID:XAHBDwiN - >>107
お題どうもです&「雰囲気が結構すき」は嬉しいですね。 風刺的に書いた、人類のいない未来の建設ロボの設定です。 でも、「プログラムの話」と言われると、そうもとれますね。(そういう視点で見ると、小説「ソフトウェア」っぽいかも)
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