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創る名無しに見る名無し
74のつづき
「赤い鳥とんだ」
続・怪物を作りたいんですが

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続・怪物を作りたいんですが
73 :創る名無しに見る名無し[sage]:2010/12/23(木) 23:12:05 ID:Re+185y+
まだ規制継続中?
続・怪物を作りたいんですが
74 :創る名無しに見る名無し[sage]:2010/12/23(木) 23:20:47 ID:Re+185y+
73みたいな文句を書き込んでは「規制中」と拒否され続けて、はや一カ月以上。
やっと復活か……。
ついでと言ってはなんですが、72の「木星クラゲ」でこんなお話は如何か?


「Tzitzimitl」

 日本初の木星探査衛星「ミサゴ」が7年におよぶ宇宙漂流の末、地球に帰還する。
宇宙研究開発機構は太平洋上で「ミサゴ」のカプセルを回収。
カプセル内には「ミサゴ」には、シューメーカー・レビー第9彗星が1994年木星と衝突した際、衛星軌道上にまで舞い上げられた物質の収容が期待されていた。
しかし、胸を張って記者会見を行った宇宙研究開発機構からは、その後半年近くたっても何の発表も為されなかった。

 移り気な世間が「ミサゴ」のことを忘れかけたころ事件が起こる。
宇宙研究開発機構の実験棟で火災が発生。
研究室一つが灰になっただけでなんとか火災は消し止められた。
だがその直後、研究員が別棟の一室から飛び降り自殺しているのが発見される。
窓が開いたままの部屋には遺書らしきものはなかったが、ただ一言だけ「Tzitzimitl」という言葉が、ホワイトボードに殴り書きされていた。
警察と消防は、火災発生に責任を感じたことが原因の投身自殺と推論するが……。
やがて火災は失火ではなく放火であった可能性が高いことが判明する。

 宇宙研究開発機構での火事騒ぎと相前後して、地球では電波障害と日照不足が頻発するようになる。
原因は全く不明。
やがて沖縄基地から飛び立った米軍のブラックバードが太平洋に墜落するという事件が発生する。
墜落寸前パイロットは「ジェリー・フィッシュ」と叫ぶように通信してきていた。



続・怪物を作りたいんですが
75 :74のつづき[sage]:2010/12/23(木) 23:24:09 ID:Re+185y+
 やがて……地球に降り注ぐ太陽光線の減少が、著しくなりはじめる。
各地の天文台による観測の結果、原因は宇宙空間に漂う巨大な物体によるものと判明。
ついに全ての事実が一つに繋がって、真相がその巨大な姿を現した。
自殺した研究員の書き遺した「Tzitzimitl」とはアステカ神話の太陽に戦いを挑む夜の神であって、日食・月食も司る魔神のことである。
研究員は「ミサゴ」のカプセル内からある生物を発見していた。
それは元来木星のガス雲に住む微生物で、僅かな太陽光を頼りに命を繋ぐだけの存在にすぎなかった。

ところが地球のような太陽光線の豊富な環境に置くと爆発的に成長することが判明。
研究室の放火は、突如爆発的な増殖を開始したこの生物を殺すためだったのだ。
彼は飛行データの解析により、地球に帰還した「ミサゴ」の外部にもこの微生物が付着していたらしいことを突き留めていた。

「地球オゾン層により地表に降り注ぐ太陽光は大きく減殺されています。しかしこの研究員が『ツィツィミトル』と呼んだ生物が宇宙空間に留まっているとすれば、地表の何倍もの太陽光を餌にできるんです。判りますか?この意味が!?」

 いま宇宙空間にあって、地球に降り注ぐための太陽光を横取りし、地表を闇に閉ざそうとしている存在こそこの生物であり、墜落したブラックバードのパイロットが「ジェリーフィッシュ(=クラゲ)」と呼んだ怪物であった。

 太陽を奪われ、次第に寒冷化する地球。このまま氷河時代の訪れにより滅びるのか?
いや、それより先に農作物の全滅によって餓死するのか?
地球と太陽のあいだから木星クラゲ・ツィツィミトルを排除すべく国連は核ミサイルによる攻撃を計画するが……。


……と、まあこんな話はどうでしょ?
なんだか「ドゴラ」のリメイクみたいな感もありますが(笑)。
インカやマヤの神話が引かれるからイタリア映画の「カルティキ」っぽくもあり。
工夫のしどころはモンスターの退治方法ですなぁ。


続・怪物を作りたいんですが
76 :「赤い鳥とんだ」[sage]:2010/12/23(木) 23:27:32 ID:Re+185y+
「いえ……おっしゃられることは判りますが、まだそのタイミングではありません」
黒木が電話で話している相手は、彼をGフォース指令に任じた例の陸将補だった。
「いま住民に避難命令を出しても意味はありません。避難民とともにアナザーワンが移動すればゴジラもそれを追っていくだけです。
それに避難命令によって住民がパニックを起こせば、アナザーワンに狩場を提供することにもなりかねません。そうなれば、最悪、東京で二匹の怪獣が激突することになります」
しばしの沈黙……なんとか今度も相手を納得させることができ、黒木は強張った手つきで受話器を置いた。
黒木をせっつく陸将補の背後には当然もっと上の階級の者、そして防衛大臣をはじめとする政治架たちがいる。
彼らは、自分たちの無能無策を棚に上げ、国民に発表できる「判り易い成果」を求めていた。
「どこだ!どこにいるんだ!?」
胸の内を思わず口に出していたのは、黒木の焦りの現れだった。

 目の前には、30分ほど前、豊原が伝送してきた女の写真があった。
『黒木一佐、いまお送りしたのが例の203号室から消えた女の顔写真です』
「間違いないか?」
『間違いありません。203号室にあったアルバムに貼られた複数の写真から、近隣住民に頼んで現在の姿に最も近いものを選んでもらったものです』
「わかった。念のため豊原二尉は引き続き現場に残り、警察と協力してこの女の行方を追ってくれ」
『了解です』

こうして黒木が組織内部の力学に神経をすり減らしているあいだにも、警視庁および隣接する各県警が、「203号室から消えた女」を探し出すべく一斉に動いているはずだったた。
警察署と全ての派出署を空にして、駅前で、商店街で、役場でローラー作戦が展開され、
星のつくホテルから木賃宿にいたるまでが警察官による立ち入り調査の対象となっていた。

「……どこにいるんだ!?」
黒木の唇から、もういちど呟きが漏れた。
作戦室のデジタル時計は既に3時半を表示していた。
警察の指摘を待つまでもなく、黒木も山は今夜だと確信していた。
(ヤツが動き出す前に我々の手で仕止めなければ!ヤツがおおっぴらに動き出せば、それを察知したゴジラも来る。最悪、本当に……)
都内で怪獣同士が激突する。
それだけはなんとしても……。
そのとき突然、モニター画面に張り付いていた女性士官の鈴木が黒木の方を振返って叫んだ。
「黒木一佐!ゴジラが動きだしました!」
「とうとう東京湾に侵入して来たか」
「いいえ、東京湾侵入コースではありません」
「なに!?東京湾に入ってこないだと!?」
「はい、ゴジラは伊豆半島にぐんぐん接近しています」

続・怪物を作りたいんですが
77 :「赤い鳥とんだ」[sage]:2010/12/23(木) 23:29:33 ID:Re+185y+
 そのころ……
東京での騒ぎも知らず、朝子と佑偶然行き当たった果樹園で、経営者の夫婦とすっかり話しこんでしまっていた。
「すみません。いきなりお邪魔した上に御馳走にまでなっちゃって」
呆れる佑を尻目に、またも朝子は袖まくりした剥き出しの腕をリンゴに伸ばした。
もう5切れ目か6切れ目だ。全部つなぎ合わせれば、確実にリンゴ一個分をオーバーしているだろう。
「でもビックリしましたー。箱根でこんなに甘いリンゴがなるなんて」
「まあ無理ないでしょうね」
弘西と名乗る経営者の男性が笑って答えた。
年のころは四十になるかならぬかだろう。
顔と半袖シャツから伸びた腕は農業従事者らしく真っ黒に日焼けしているが、指は細く繊細で、土いじりよりも楽器の鍵盤かパソコンのキーボードの上にある方が似合いそうに見えた。
「普通、伊豆半島と言ったらミカンを思い出すでしょうから。伊豆でリンゴなんて……」
「そうですね」
弘西同様剥き出しの腕で、佑は額の汗を拭いながら言った。
「普通リンゴと言ったら、青森とか……寒い地方ものですから」
「しかしいまリンゴが栽培されている地域ではいずれリンゴがとれなくなります」と弘西。
さっき頬張った一切れがまだ口に入っているというのに、朝子はもう次の一切れに手を出した。
いい加減にしろよと朝子を横目で睨みつつ、佑は応じた。
「地球温暖化ですね。本来台湾あたりにいるなんとかいう蝶が日本に定着して今は神奈川あたりまで生息域が広がってるとか」
「ツマグロヒョウモンのことですか?それならもう神奈川どころかもう茨城まで進出してますよ」
「茨城まで……」
「そのうち青森でミカンがとれ、このあたりでもデング熱が流行するようになります」
「……やれやれですね」
「でっもぉ!」
2人して眉を寄せあう男どもの深刻さを吹き飛ばすように、朝子はピョンと跳びはねると、佑が止める間もなく今度は両手に一切れづつリンゴを掴んで言った。
「温暖化に負けちゃダメなんですよねー。このガッツ・リンゴみたいに!」
さっき弘西がリンゴを取り出した箱の表には、真っ赤な文字で次のような言葉が躍っていた。

『温暖化なんてぶっとばせ!ガッツ出せ日本!ガッツ・リンゴ!!』

続・怪物を作りたいんですが
78 :「赤い鳥とんだ」[sage]:2010/12/23(木) 23:39:54 ID:Re+185y+
「ガッツ・リンゴですか。変わった命名ですね」
佑もリンゴに手を伸ばしながら言った。
「もともとの名前の部分は別として、新種を命名するとき、イチゴの『あまおう』だとかブドウの『きょほう』みたいに濁音はあまり使わないんじゃないですか?」
「そうですね。『津軽』とか『長十郎』なんて命名もありますが、濁音のイメージは『フルーツ』というよりはどちらかというと『怪獣』なんでしょうね」
真っ白な歯を見せて、弘西は笑った。
「でも濁音や小さな「っ」は聞く人に強いインパクトを与えることができるんです。そして今の日本に必要なのは……」
「力強さ……ですか」
手にしたリンゴを一口咬むと、佑の口の端からもみずみずしい果汁が溢れ、甘酸っぱさがいっぱいに広がった。
「うまい!」
思わず佑は小さく叫んでいた。
「植物のリンゴだってこんなに頑張ってるんだから、僕ら人間も頑張らなきゃいけませんね」
無言のまま満面に笑みを浮かべると、弘西はリンゴの巨木をふりあおいだ。
「そうなんです。この木は本当に頑張っているんです。どんなに酷い目にあったって……」
「酷い目に?」
「ええ……」
そして弘西は小さくつけ足した。
「…家内と同じです」
そのとき事務所のドアが開き、弘西の妻・由梨香が盆を手に戻って来た。
「カット・リンゴばかりじゃ飽きたでしょ」
「でもオマエの持って来たのだってアップル・パイじゃないか」
「あらいいじゃない。少しは目先が変わるから」
二人のやりとりを見て、結婚して何年ぐらいになるんだろうかと、佑は思った。
長袖のブラウスを着ているせいもあってか、由梨香の方が夫より多少落ち着いた印象だが、
弘西夫妻のやりとりは、どこか新婚カップルのような感じがあった。
(自分もこんなふうに……)と思いかけ、(おい!いったい誰とだよ!)と佑は自分で自分に突っ込んだ。
そんな佑の目の前で、朝子がアップル・パイに一番槍をつける。
「いっただきまーす!」
「おい、いい加減にしろよ!」と佑。
「いいんです。ご遠慮なさらないで」
由梨香が笑いながら、アップルパイを載せてきた盆に、今度は空いた皿を重ねていった。
そのとき佑は、由梨香が左袖の下にだけ、薄いリストバンドのようなものをしているのに気がついた。

続・怪物を作りたいんですが
79 :「赤い鳥とんだ」[sage]:2010/12/23(木) 23:53:22 ID:Re+185y+
(テニスでもやってるのかな?でもなんで左にだけ?)
一方朝子はといえば、パイの横の方からはみ出しかけたリンゴを中に押し戻そうと悪戦苦闘しながら、それでも食べるのを止めようとしない。
一噛みするたびどこかからはみ出すリンゴとモグラ叩きを続けている。
苦戦ぶりにクスクス笑いながら、由梨香も指さしてアドバイスした。
「ほら右から出てきましたよ。……あ!今度は反対側から」
「ごひょーりょふはんへゃひまふ」
……どうやら「ご協力感謝します」と言っているらしい。
そんな調子で一切れ目のパイをなんとか食べ尽くすと、二切れ目に挑戦するまえの食休みといった感じで朝子は由梨香に尋ねた。
「あの由梨可さん」
「なあに?」
「お子さん何人いらっしゃるんですか?」
瞬間、夫の顔に影がさしたと、佑には見えた。
「子供?私たちの?」
しかし、微笑みを切らさずに由梨香は朝子に答えた。
「たくさんいますよ。長女は北海道、次女は神奈川、三女と四女は東京なの」
「ええっ!」
目をまん丸にして朝子は驚いた。
「すっごい子だくさんなんですね!アタシびっくりしちやいました!」
「このバカ女!」
思わず佑は朝子の後頭部に突っ込みを入れていた。
「リンゴのことに決まってるだろ」
とうとう由梨香は、肩まで震わせ笑いだした。
「……とても楽しそうね。この子も笑ってるわ」
由梨香はリンゴの巨木を見上げ、そして朝子に向かって囁くように言った。
「あなたにも……聞えません?」
「え?何がですか??」
朝子は耳をすましてみたが、聞えるのは森の向こうから響く役場のサイレンのような音だけだった。
「なにか……警報みたいなのなら聞えますけどー」
「聞えないのね。聞えないなら……別にいいの」

そのあとも、リンゴの木の下で四人の笑い声が、何度も弾けては空へと消えた。
太陽は中天を大きく過ぎ、西の森へと近づいていた。

続・怪物を作りたいんですが
80 :「赤い鳥とんだ」[sage]:2010/12/23(木) 23:56:59 ID:Re+185y+
午後4時10分。
作戦本部から「小田原に向かい特殊部隊と現地合流せよ」との指示を受けた豊原は、現場を離れる旨話すため、岸田警部を探していた。

「凍条さん。警部はどちらに?」
「警部なら例のパズルの真っ最中ですよ。……呼んできましょうか?」
「……お願いします」
部下が室内に向かって声をかけると、横町のコンビニから帰って来たとでもいうような様子で岸田警部は修羅場から現れた。
「おうGフォースの、何かあったようだな」
「はい、実はゴジラが動きました」
「……あんたが言うところのアナザーワンを見つけたってことか。……で、ゴジラはどこに来るんだ?ここか?」
「いいえ、ゴジラは東京湾に入らず、伊豆半島に接近しつつあるそうです」
「伊豆半島??」
警部の片眉がピクンと痙攣するように跳ねあがった。
「はい。当然アナザーワンの潜伏先も伊豆にいるはずなので、陸自の特殊部隊がヘリで急派されました。それからゴジラ上陸阻止のため空自も……………警部?どうかされたんですか??」
豊原の話しに、警部は納得がいかないらしい。
しきりに首をひねったり、顎を左右に動かしたりし始めたのだ。
「あんた、さっき言ってたよな。バケモノが京急でもつまみ食いやらかしたってよ」
「はいそうです。しかしそれが何か?」
「向きが合わねえじゃねえか。貧血患者が出たのは上り線。でも伊豆方面なら下り線だぞ」
「しかしゴジラは……」
警部は豊原に反論の機会を与えるつもりなどさらさら無いらしい。
噛みつくような顔を豊原にぐいっと迫らせ、警部は一気にまくしたてた。
「それからもう一つ!この怪物は人食いだ。だからエサの豊富な都会に潜んでやがった。けどよ、伊豆ってのは小田原あたりを除きゃあ、みんな河口にへばりついたような小さな町ばっかりだぞ。
何が嬉しくて、この怪物はそんなとこに行かにゃあなんねえんだ!?」
相手の勢いに半ば以上気押されつつ、やっとの思いで豊原は問い返した。
「あの……それでは、それでは警部は……」
「その伊豆のヤツ、オトリじゃなきゃあいいがと、オレは思うぜ」



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