- 【ひぐらし】こちらスネーク 雛見沢村に潜入した6
48 :元本編 ◆k7GDmgD5wQ [sage]:2010/12/23(木) 22:49:20 ID:/M5O07OA - ――居住区の、地図上ではほぼ中央に位置する、巨大エレベーター。主に物資の運搬、人員の移動に利用され、この施設が建造されてから1秒たりとも稼動が絶えたことがない。
そのエレベーターには、この重厚な鉄扉に似つかわしくない、少年と少女が立っていた。 「……ここか」 圭一が呟く。 「なんとか、到着しましたわね」 沙都子が、一息つくように、言う。 「ああ。このエレベーターで移動すれば、スネークのとこまですぐだぜ」 にか、と笑って圭一は希望を口にする。 「ドアが開いたら蜂の巣……なんてことにならないといいのですけど」 沙都子が当然のように起こりうる、待ち伏せの危険を口にする。 「わかってるって……だからこうしてエレベーターの中が見えるところから確認しようってんだろ」 エレベーターの前の通路には、遮蔽物となるようなものはなく、誰であっても、敵がいれば的になることは目に見えていた。 そこを、圭一と沙都子――大人より体躯の小さい子供達が、他の仲間達の目となり、危険を確認しようと志願したのだった。 当然、大人達は反対した。特に入江は二人の無謀ともいえる案に強く首を横に振った。 しかし、二人は入江に対して、笑顔で答えた。 「大丈夫だって監督。俺達は死にに行くわけじゃない。スネークに会いに行くんだ」 「で、でも、なにも二人がそんな危険な目に遭わなくても」 「監督、ここにいる以上、危険なんてどこにでもありますわ。それに、エレベーターの中がどうなっているかだけ確認するだけですもの。……ちょっとは怖 いですけど、大丈夫ですわ」 「でも……」 入江の表情は悲観的なものだったが。 「入江先生……彼らを信じてみましょう」 仲間になった兵士の一人が、圭一達の意見を押す。 「万が一のことがあっても、この子達は俺達が守りますよ」 別な兵士が、その言葉に同意する。 「あ、貴方達……」 入江の吃驚したような顔に、圭一と沙都子が、くす、と笑った。 「入江先生。私も圭一君と、沙都子ちゃんを信じてみます」 赤坂が言うと、そこで、ようやく入江も納得したように、頷いた。
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- 【ひぐらし】こちらスネーク 雛見沢村に潜入した6
49 :元本編 ◆k7GDmgD5wQ [sage]:2010/12/23(木) 22:51:32 ID:/M5O07OA - 「これを渡しておくぞ」
兵士の一人が、沙都子に双眼鏡のような機械を渡した。 「これは?」 「ソナー探知機の一種だ。動くものがあれば反応する」 「中に誰かいれば、分かるというわけですわね」 「ああ、だが気をつけろ。機械は決して万能じゃない」 「まさか、見えないやつが乗ってるわけじゃあるまいし」 圭一のふざけたような言葉に、微かに、入江が眉をひそめた。 「……見えない、敵……?」 「じゃあ行ってくるぜ! 監督! 赤坂さん!」 圭一が元気よく走り出す。 その後を、沙都子と二人の兵士が追う。 入江がこのとき、“あの老人”のことを思い出していれば、……きっと、この後の結果は、違っていたのかも、しれない。 エレベーターのスイッチを、圭一が押す。 沙都子は、ソナー探知機の画面を見つめる。 兵士達は、少し離れた位置――しかし、万が一の時は、二人を庇える位置に伏せ、銃口をエレベーターの中に向ける。 「……沙都子、探知機はどうだ?」 「エレベーターが動いているから、その反応だけですわ」 「く〜、緊張すんなぁ」 「反応がどんどん大きくなってる……エレベーターが近づいてきてるのですわ」 「長げーなー。どんだけ遠いんだよ」 「相当広い施設のようですから……深さも相当ですわね」 やがて、エレベーターが上がってくる機械音は、圭一の耳にも聞こえ始め。 沙都子は緊張と不安を紛らわせるように、圭一の手を握った。 そして、低く鈍重な音を響かせながら、エレベーターは停止し、その奇怪な化け物を連想させるように、口を開いた。 ……エレベーターの中は、がらんの、空洞そのものだった。
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50 :元本編 ◆k7GDmgD5wQ [sage]:2010/12/23(木) 22:53:44 ID:/M5O07OA - ちょうちょい投下2回目……遅すぎるわ。
しかもまだ続きあるし。 いやー凡ミスでパソ壊しちゃって、復旧手間取っちゃたんです。本編氏、ごめんなさい。 次回ももう少し早く上げたいです。努力します。
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