- 【心の鬼】萌キャラ『日本鬼子』製作21【募集中】
255 :創る名無しに見る名無し[sage]:2010/12/17(金) 10:53:15 ID:Vnrijbhp - 提案なんですが、スレの100、200番とか、きりのいい番号に
反中とは関係ないですってレスを入れるのはどうでしょうか? 例) >>3 ※本企画はある特定の主張・思想(反中、反日、右左翼etc)を奨励する物ではありません。 二次創作における規制は特にありませんが、それらと本企画、本スレは無関係です。 このスレの正義は唯一、鬼子ちゃんに萌え散る事のみです。 てな具合に。
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260 :創る名無しに見る名無し[sage]:2010/12/17(金) 11:18:42 ID:Vnrijbhp - 続けて、「日本鬼子」という言葉、漢字自体に中国人は過去に心に刻まれた
強烈な反日感情があるのです。他の作品とは訳が違うのです。 そこにあえて油を注ぐような行動は非常に危険だと思ってます。 だからこそ、日本人に対する軽蔑用語を使ってもらいたくない。 また、皆さんには出来るだけ反中に走らないようにしてもらいたい。と 個人的には考えています。 なぜ、上記の事を言うかと言うと、俺は中国にたまに仕事で出張に行きます。 北京や上海などの大都市ではこんな事は一度もないですが、 工場の有る田舎にいくと、街中に居た10歳くらいの子供だと思いますが、その子から 「うわ、日本人か。人殺しやろう」と言われた事がありますか? 日本人を見るとむやみに「人殺し」と思ってる人達がかなり多くいます。 後になって通訳の人から聞いたんですが。俺はショックでした。 だから、このプロジェクトは反中に出来るだけ走らない方がいいと考えてます。 面白おかしく反中を語りたいなら、それ相応の板が沢山あるのでそちらに いかれたほうがいいと思います。
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263 :創る名無しに見る名無し[sage]:2010/12/17(金) 11:34:08 ID:Vnrijbhp - 俺も261さんと同じ意見です。
しかし、この板で中国ネタを落とすのは「荒し」だと俺は思ってます。 レスする人達を規制出来ませんが、中国ネタは完全スルーしたほうが いいと考えています。「それによって過疎化したら?」 と言う人もいるでしょう。俺はそれでもいいと思ってます。 萌え化でレスを噴火させればいいのです。簡単ではないですが、 その方が長続きすると思います。勝手な意見で申し訳ない。
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265 :創る名無しに見る名無し[sage]:2010/12/17(金) 11:47:42 ID:Vnrijbhp - >>264反中と中国ネタの区別は解っています。
それは貴方が日本人だからです。日本人だから区別が出来るのです。 ただ、中国人から見るとどうでしょう?尖閣問題の船の衝突の映像を見た 中国の人の中には、「あれはCGだ。」とか「あきらかに日本の巡視艇が前を塞いだ」とか。 こちらが意図していない事を言われるのです。 だから「中国ネタ」「反中」は同じものとして一部の中国の人の目には映ってると思います。 そろそろ、WIKIのトップページのタイトルを “日本鬼子(ひのもとおにこ)って萌えキャラ作って萌え萌えになろう” と変更した方がいい時期にきてるかもしれませんね。
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270 :創る名無しに見る名無し[sage]:2010/12/17(金) 12:25:32 ID:Vnrijbhp - # wikiのトップページのタイトルについて。
“日本鬼子(ひのもとおにこ)って萌えキャラ作って萌え萌えになろう” と変更したほうがいいと思います。 タイトルに中国人と明記されていればそれだけで、反中ととられやすい為。 初めて見た人が、反中、中国ネタに走らないようにする為の一つの策として。 どうでしょうか?この時間、板を見てる人は少ないので 決定事項ではなくあくまで提案なので間違えないようにして下さい。
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277 :創る名無しに見る名無し[sage]:2010/12/17(金) 12:47:55 ID:Vnrijbhp - 「硬い、柔らかい、真面目、馬鹿、過去、現在、未来。なんでもござれ!
色んなジャンルで萌え散れ〜!」 注)他国軽蔑ネタご法度。 これどう? 張り付きすぎたな・・・仕事してきます。
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- 【長編文章】鬼子SSスレ2【巨大AA】
329 :時の番人[sage]:2010/12/17(金) 14:22:11 ID:Vnrijbhp - ●「日本鬼子・ひのもとおにこ」〜第三章〜【街の目】 俺設定を
今から投下します。
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- 【長編文章】鬼子SSスレ2【巨大AA】
330 :時の番人[sage]:2010/12/17(金) 14:23:10 ID:Vnrijbhp - ●「日本鬼子・ひのもとおにこ」〜第三章〜【街の目】
初雪降りる下町に、雲の合間から暖かく日の光が降り注いでいる。その光が優しく小雪に微笑みかけ キラキラと輝きながら儚く消えていった。 時は昼過ぎ、鬼子の住む神社に参拝客達がお参りに来ている。その姿を薄っすらと白んだ 神社の屋根が見守っていた。 神社に住み込みで働いている人達は、いそいそと境内を走り回っていた。 鬼子は・・・相変わらず縁側でお茶を飲みながら足をブラブラさせている。 この神社に来て幾日経っただろうか。 闇世の激しさと、光の世の静かな日常。あまりの違いに、鬼子は空想の世界に 迷い込んでる様な気がしていた。 「なぁ、鬼子。」ヒワイドリが隣に座っている。これもいつもの日常となっていた・・・。 「・・・・・。」鬼子は返事をせず、身体をヒワイドリとは反対側に向けた。 「元気を出せよ。誰にだって間違いはあるさ。」ヒワイドリは何故か焦るように鬼子に優しく言った。 鬼子の目がキリッと赤くなる。「間違い!?間違いって何よ。あんたが割れって言ったんだよ。あんな大事な物を。」 ヒワイドリは小さく首を振り、両手を上に向た。「過去の事は水に流してさ!輩。悪しき輩でも探しに行くか!?」 【プス】薙刀がヒワイドリの右のお尻に刺さる。「痛!な、なにすんだよ〜。お、俺は割れるか?って聞いただけだろ!」 鬼子は立ち上がり、目は赤く、着物からもみじが舞い、薙刀を構えていた。戦闘時の表情だ。 「・・・お、俺が悪かった・・・。」ヒワイドリは鬼子の心の本性に圧倒され、たじろいでいた。 まだ参拝客が来ない今朝方の話し。鬼子も住み込みで働いている人達のお手伝いにと、 本堂横の境内の庭を掃除していた時だ。鬼子の横にふらっとヒワイドリが現れてこんな事を言った。 「鬼子って弱そうだな。」いつも唐突に言い出す。 「ん゛ん・・?」鬼子は不機嫌だ。ヒワイドリが話しかける言葉はいつも相手をそうさせる。 「私って結構強いよ。」落ち葉を掃きアゴを少し上げながらそう答えた。 ヒワイドリは鬼子の周りをグルグル回り始める。 「だって、鬼子がここへ来てから何も退治して無いじゃん。悪しき輩を退治しに来たって言ってるけど、 本当は弱いから何も出来ないんじゃないかな〜って思ったり・・。」鬼子の痛い所をズバッと突いた言葉だ。 確かに光の世に来てからは一度も悪しき輩を散らしていない。それどころか、する事が何もないのだ。 「何〜〜〜!?悪しき輩が私の前に出てこないからじゃなぃ。出て来たら一振りで散らしてやるわよ。」 鬼子は少し苛立ちながらそう言い、ほうきをブンブン回していた。 ヒワイドリの目が薄っすらと光る。 「だったら、あの岩真っ二つに出来る?」とヒワイドリが指差した先には、幅一メートルくらいで、 高さは鬼子の背丈くらいある大きな岩があった。 「当然出来るわよ。闇世で沢山修行したからそんなの簡単よ!」鬼子は鼻息荒くしながらそう答えた。 「じゃぁやってみてよ。」ヒワイドリは薄気味悪く笑みを浮かべる。 鬼子はほうきを捨て、その石に歩み寄り腕まくりしながら薙刀を持ち、身構えた。「いい?見ててよ。」 鬼子の目の色が赤く変わり、もみじ柄の着物からもみじが舞う。鬼子の周りだけ空気が乱れていた。 「いくよ!」鬼子は高く飛び上がり、力一杯薙刀を振り降ろした。 【ガシーン】とても大きな硬い音が鳴り響きその岩は真っ二つに割れた。 大きな岩が二つに別れ、左右に倒れていく。【ドス〜ン】鬼子は胸を張り自慢げな顔をしている。 ヒワイドリは口に手を当て、笑いをこらえてる様だ。 「ぁぁぁぁぁああああああ〜〜〜〜〜あああぁぁぁぁ・・・」と何処からかダミ声が飛んできた。 鬼子が振り向くと、きび爺がこちらへ走ってきている。舞子も一緒だ。 「あああ・・・壊れとる・・・壊れとるぅ・・う。」きび爺は頭を抱えながら涙目になっている。 鬼子は訳が解らない状況だ。 「舞子・・この岩、壊れてるように見える・・か・・?」 きび爺は目の前の状況を受け入れがたく涙目で舞子に訴えた。 舞子はポツリと「・・・はぃ。」 「ああぁぁぁ〜ワシの力石がぁ・・。」きび爺は天を仰ぎながらそう叫んだ。 鬼子は目をキョトンとしている。「え・・何?どうしたの?」
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- 【長編文章】鬼子SSスレ2【巨大AA】
331 :時の番人[sage]:2010/12/17(金) 14:23:51 ID:Vnrijbhp - 舞子が鬼子の横に近づきそっと耳打ちした。
「鬼子ちゃん・・その石、力石(ちからいし)って言ってね、神代文字が書かれてる石なの・・。 鬼子ちゃんも知ってるでしょ!?神代文字には不思議な力があって、力を持たない人間の民に 色々力を与えてくれるって言われてる石なの・・・。」 「え・・えぇ!?・・・。」鬼子はもちろん神代文字の事は知っている。闇世の言い伝えでは 大白狐様の祖先が創ったとも言われてるとても大事な文字だ。鬼子の表情が徐々に青く・・・。 きび爺は後ろを向き肩を落としながら言った。「力石の存在は、人間の民も知っとるから、良くお参りに来てくれるんじゃぁ・・。 お賽銭をその石の横に置いてある賽銭箱に入れてくれるんじゃ・・。その石が無かったら・・・。 お金が、お金が飛んでいく〜〜〜・・・。」 「え?」鬼子、舞子、ヒワイの目が点になる。狐様に仕える狐火様が神代文字の心配じゃ無くて、 お金の心配とは・・・。舞子、ヒワイドリは鬼子の方に近づく。 「光の世で暮らして行こうと思ったら、お金がなきゃぁ大変なんじゃぞ・・。 そのため、ワシの神社では、厄除け、無病息災、交通安全、合格祈願、家内安全、安産祈願、縁むすび、 などなど、色んな事を扱っとる。これでも巷で評判なんじゃ・・・。」 舞子とヒワイドリはきび爺の方に近づきうなずいている。鬼子側は・・・一人だ。 ヒワイドリに騙されたが、そんな大事な石を壊してしまったのは確かに自分。 鬼子は小さな声で・・・「ごめんなさい・・。きび爺ごめんなさい。」と目に涙を溜めながら言った。 「まぁ壊れた物は仕方ない。また石屋に注文しとくわぃ。」ときび爺は手を振りながら唐突にそう言った。 舞子と鬼子はまたまた目が点になっている。きび爺の言った事がすぐ理解出来ないようだ。 舞子が口早に言う。「き、狐火様。い、石屋に注文って・・。」 「あぁ舞子は知らなんだか?その石はレプリカで、本物は蔵にしまっとるから大丈夫じゃ。」 鬼子は張り詰めた空気が一気に抜け、腰砕けにその場にペタッとすわり、「よ・・・よかった・・・。」とつぶやいた。 舞子はため息をつきながら鬼子の肩に手をかけた。「よかったわね・・鬼子ちゃん。」 鬼子はふと我に返り、ヒワイドリの方を見た。 ヒワイドリは皆から離れた場所で、【ズズズ〜】っとお茶を飲みくつろいでた。 もちろん、後で鬼子に刺されたが。 そんなこんなで縁側でお茶を飲んでいる鬼子とヒワイドリ。鬼子の機嫌も悪い訳である。 そこへ、きび婆が歩み寄ってきた。「鬼子、今朝は色々大変じゃったな。」 きび婆は【スクッ】とヒワイドリの両足を掴み、ブラブラと揺らしている。 「あっ、きび婆。ごめんなさい。私とんでもない事をしてしまって・・・。」 鬼子は朝から謝ってばかりだ。 「いやいや、舞子から聞いたよ。こ奴がその原因を作った事もな。」 ヒワイドリはきび婆に揺らされながら、目を真っ白にし、死んだ振りをしている。 「街へ降りてみるかぃ?」 きび婆が鬼子に優しくそう言った。きび婆の唐突な言葉だったが、鬼子の心を見抜いていたようだ。 鬼子の暗い表情が見る見る明るくなり、目から大量のキラキラ星が流れ落ちている。 きび婆は鬼子がココへ来てから一度も神社の外には出していない。 鬼子の本来の目的である悪しき輩を散らすと言う事も解っている。 だが、光の世で悪しき輩を探そうとする場合、時には人間の民からの情報も必要になってくる事もある。 鬼子がこの世界の事を何も知らず、勉強、準備せず街中を駆け回ると、化け物、妖怪、お化け扱いされ 色々厄介な事になってくる。そうなると、鬼子は闇世に戻されてしまう可能性があるからだ。 きび婆は、人間の民の前に出るにはそれ相応の覚悟がいる事を先代の狐火様から闇世で沢山聞いていた。 それを踏まえ、きび婆は鬼子に今まで、人間の民の前では人間らしく振舞う様にと教えてきた。 意図しなくても、本当の鬼の前では皆が恐怖してしまうからだ。 しかしここ数日、神社にお参りに来た人間の民が鬼子を見てもまったく怖がらない。 もちろん見た目には人間とどこも変わらない。違う所と言えば角だけだ。 その間に、きび婆は鬼子に人間の民の前に出るとき、注意する事などを色々教えていた。 まだ早い気もしたが、鬼子が街に行きたがってる事は解っていたので、気晴らしになればと 思い、そう鬼子に言ったのだ。 「えぇ〜!?ほ、本当にいいの?きび婆。」鬼子はピョンピョン飛び跳ねて喜んでいる。 きび婆は【クスッ】と笑いながら「いいよ!街へ行っといで。」 「やったあぁぁぁ〜。きび婆ありがと!!」っと鬼子はきび婆に抱きつき喜んだ。
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332 :時の番人[sage]:2010/12/17(金) 14:25:11 ID:Vnrijbhp - 近くの下町までは30分くらい歩くだろうか。長く続く神社の階段を降りながら鬼子は浮き浮きしていた。
「いっやぁ〜やっと街を見る事が出来るわ!うれしいなぁ〜。」鬼子は上機嫌である。 「やばいぞ〜・・やばいぞ〜。鬼ってバレルぞ〜。」ヒワイドリが同行者だ・・・。 「どんな町並みなのかしら。どんな人達がいるのかな。何か美味しい食べ物あるかなぁ〜。」 鬼子はヒワイドリの事は目に入って無かった。 「乳の話しでもしようじゃないか。」ヒワイドリが唐突に言う。 「お金もきび婆から少しもらったし、何しようかなぁ〜。」やはり鬼子は浮き足立っていて、ヒワイドリの 言葉が全く耳に入らないみたいだ。 「鬼がいる!」ヒワイドリが突然大きな声で叫んだ。 【ビクッ】っと鬼子が萎縮し、足が思うように動かず階段を踏み外してしまった。【ゴロゴロゴロ・・・】 鬼子は階段を10段くらい転げ落ちた。その姿を見てヒワイドリは指差しながら笑っている。 「いった〜いぃ・・。突然何言い出すのよ。」鬼子は頭と腰をさすりながら言った。 「その角、どうすんだ?」ヒワイドリは鬼子に近づきながら久しぶりに場に合った疑問を提示した。 「それにこの、俺の首近くまで来てる薙刀もどうすんだ?」 「あ!」鬼子はきび婆から言われた事を思い出した。 人間の民を怖がらせ無い様に、鬼と気付かれ無い様にする為には、まず、角と薙刀は隠せと言われていた。 神社にいる時、角はそのままだったが、神社の門の左右に鬼の木造が有る為、 お参りに来る人間の民は神社の飾りか何かと思ってくれていたんだろう。しかし、お参りに来ない街の人達もいるし、 何よりも頭に角があるのはおかしい。 「この角・・・どうしよう。」鬼子は手で角を今さらながら隠し、ヒワイドリに聞いた。 すると、ヒワイドリが何やらアクセサリーの様な物を取り出し、鬼子に渡した。 「それを角に掛けとけば怪しまれないから。」ヒワイドリは似付かない笑顔で鬼子にそう言った。 鬼子が手にした物は、ヒワイドリの顔をモチーフにした物でそれに長いファーが付いたアクセサリーだった。 http://loda.jp/hinomotooniko2/?id=378 一コマ目挿絵 「・・・・・」鬼子はそれをジッと見つめ言葉が出ない。 「もし、人間の民から角の事を聞かれたら、カチューシャって言っときな。」ヒワイドリは笑いながらそう言った。 鬼子は渋い顔をしている。「カチューシャって何?」 「女性の髪を綺麗に押さえて、まとめる物さ。皆してるぜ!街に出たらまずカチュウシャを買えばバッチリだ!」 ヒワイドリが流暢にそう言った。 妖しい・・・と鬼子は思ったが、今この角を隠す物は無い。しかた無いので渋々その ヒワイドリアクセサリー・・・を角に付けた。二対で一つ。計四個のヒワイドリの顔が鬼子の角に・・・。 ヒワイドリは、鬼子のその姿を見て無言で笑いこけ、お腹を押さえながら地べたを苦しそうに這いずり回っていた。 「それと、その不細工な顔の般若面も隠しとけよ。」ヒワイドリは勝ち誇ったかのように鬼子にお尻を向けそう言った。 【プスッ】とヒワイドリのお尻に小さな矢が刺さった。 「いてて!」またやったな〜と思い、ヒワイドリが鬼子の方へ振り向くと、鬼子がいつも頭に付けている般若面が・・・ 「お前の方が不細工じゃ。ぼけ!」と。な、なんと、般若面が言葉を発している。 ヒワイドリは驚き、たじろぎ、また目が真っ白になっている。 「闇世の世界では般若面は人気商品。街の露店でも他のお面と並んで売ってるからな。 お前とは正反対の人気者なんじゃよ!ガハハハハ〜。」と般若面は笑いながらそう言った。 目を白くしながらヒワイドリはたじろいでいる。 「しかし喋るなんて・・そ、そうか。その般若面は、名の有る術師に祈祷してもらった物か・・。」 ヒワイドリの顔が青ざめていく。いつものヒワイドリとは違う反応だ。 鬼子は闇世の町並みを思い出しながら言った。 「そうよ。般若面は色々種類があって、只のお面、道具を出し入れ出来るお面、出し入れ出来喋るお面とあるからね。」 ヒワイドリはまだ目が真っ白だった。もしかしたら般若面との相性がわるいのか!? ヒワイドリは小さな声でつぶやいている。 「喋る般若面だったのか・・・。あぁ・・過去を思い出す。あの忌まわしい過去を・・・。」 「ん?何か言った?」鬼子は聞いたがヒワイドリから返事は無かった。 鬼子は薙刀を般若面に吸引させ、そのお面は袂(たもと、袖フリ)にしまい込み、笑顔で階段を降りて行った。 「さぁ、準備OKよ!行くわよヒワイ。」鬼子はヒワイドリアクセサリーの事は忘れ、上機嫌で街の方へと向かっていった。 ヒワイドリは・・・トボトボと鬼子の後を付いて行く。
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333 :時の番人[sage]:2010/12/17(金) 14:27:35 ID:Vnrijbhp - 暖かい光が街へと吸い込まれている。街中の人達は何やら元気良く掛け声をかけながら商売しているようだ。
昔、ここは名の有る将軍様が住むお城の城下町として栄えたらしい。その風情を色濃く残した街である。 遠くにはそのお城が見えている。また、近代的な建物なども遠くに霞んで見えていた。 「ヘィ、ラッシャイラッシャイ!取れたての魚だよ〜。」頭に鉢巻を巻いたオジサンが大きな声で商売している。 「饅頭はいらんかぇ〜。」「新鮮な野菜がやっすいよ〜。」色んな声が飛び交っていた。 鬼子の目には、全てが新しく新鮮で愉快な街に映っている。そんな風景を見ながら笑顔で歩いていた。 「あれ!?お嬢ちゃんは鬼狐(おにぎつね)神社に新しく入った巫女さんじゃな!?鶏を連れてお散歩かぃ?」 と声をかけて来たのは、御茶屋の人だった。見てくれは80歳くらいのお婆さんがそこに居た。 「え?あ、そ、そうです。」突然、人間の民から声をかけられたので鬼子は驚きながらそう答えた。 「鬼狐神社さんにはいつもお茶を届けててな。上得意様じゃて。」そのお婆さんは優しそうに微笑んでくれた。 そのお婆さんが鬼子の頭をジッと見ている。鬼子はそのお婆さんの目線にドキドキしていた。 「変わった飾りを付けてるねぇ。」お婆さんは鬼子の頭を指差し、そう言った。 き、来た!その言葉が鬼子に向かって来てしまった。「あ、これは神社で売っているカチュウシャです。」と、 鬼子はとっさにヒワイドリが言ってた言葉を思い出す。 「へぇ〜角付きカチュウシャかぇ。そんなのあったかなぁ。」 そのお婆さんはお茶を神社に納めている為、良くしっているのだ。 鬼子は後ずさりしながら「さ、最近作ったみたいで・・・。ハハ・・ハハハ・・。」と焦りながら何とかごまかした。 鬼子は軽くお辞儀をし、そそくさとその場を早歩きで去っていってしまう。 ヒワイドリが早歩きになっている鬼子の前に出て行くと、鬼子は手で胸を押さえ、 顔は丸く赤くなり息が止まっている様にみえた。 鬼子はピタッとその場に止まると【プッハァ〜・・・】と勢い良く息を噴き出した。 「あぁ〜死ぬかと思った・・・。」鬼子はそっと胸を撫で下ろしながら肩を落とした。 「突然声をかけてくるなんて想像してなかったから・・・。」鬼子はまだ胸がドキドキしている。 「おめぇ・・・やっぱり弱いだろ。」ヒワイドリはそんな鬼子を見ながら言った。 「それとこれは別よ、相手は人間の民なんだから。突然知らない人から声を掛けられると驚くわよ。」 と鬼子はゆっくりと心を落ち着かせながらまた歩き出した。 「肝の小せぇ奴。」ヒワイドリの言葉が鬼子の心に突き刺さる。 鬼子はまた立ち止まってしまった。そして、ヒワイドリの方を見ながら目が徐々に赤くなっていく。 「おぉっと、ココで薙刀でも出すか?」と笑いながらヒワイドリは余裕の顔でお尻をフリフリしている。 それもそのはず。こんな、街中で薙刀を出せる訳が無い。ヒワイドリはそれを知ってて鬼子をからかってるのだ。 鬼子は【スゥー】っと深く深呼吸し、心を落ち着かせようとしている。 「そう言えば、さっきのお婆さん。鬼狐神社って言ってたわよね!?鬼狐神社って何?」 鬼子は何とか話題を変えて自分のリズムをつかみたいみたいだ。 その言葉を聞いたヒワイドリは顔に手をやり、頭を左右に振りながら言った。「・・・おめぇさんが住んでる神社の名前だよ。」 「・・・・・・そ、そう・・・名前が有ったのね。そらそうよね・・・。ハハ・・アハハハハ・・・・・。」 鬼子は心のリズムを完全に失っていた。取り戻す所か自分が言った言葉で全てが真っ白になり、頭から湯気が出ているようだ。 その光景を見ていた周りの人間の民は「誰と話してるのか?」と言うような顔で歩き去っていく。 ヒワイドリは人間の民が見てる前では決して口を開かない。鬼子が一人で話をしている様に見えるみたいだ。 「カチュウシャ。」と着物の袂から声がした。般若面の声だ。般若面は今までもこうやって所々で助言してくれている。 「あっそうそう。早くカチュウシャって物を買わなくちゃ。」鬼子はやっと正気を取り戻し、何とか歩き出す事が出来た。 せっかく面白く鬼子をからかっていたのに丸つぶれだ。「チェッ。」とヒワイドリが嫌そうな顔をし、小さな石を蹴っていた。
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334 :時の番人[sage]:2010/12/17(金) 14:29:04 ID:Vnrijbhp - 「どのお店で売ってるか探して!」鬼子は口を手で軽くふさいでそう言った。一応回りの反応を勉強出来たようだ。
ヒワイドリが指差し言った。「あの角を左に曲がると頭に付ける髪飾りがあるはずだよ。」 鬼子は冷たい疑いの眼差しをヒワイドリに向けている。当然だろう。 「お、俺を信じないのか?」ヒワイドリは早口にツバを飛ばしながらそう言ったが、鬼子の目は完全に疑っている。 ヒワイドリの言う通り角を左に曲がると、本当に髪飾り屋があった。鬼子はヒワイドリの方を見て目を見開いている。 ヒワイドリはどうだ!と言わんばかりに腕組しながら流し目で鬼子を見ていた。2人は目で会話が出来るほど仲がいいのか・・・。 ヒワイドリは良く舞子と一緒にお使いに出ていた。一緒と言うか勝手に付いて来てるのだが。 だからこの街の事は結構詳しいのだ。 店の周りはキラキラと輝く綺麗な髪飾りが沢山飾っていて、鬼子もつられて目がキラキラしていた。 「うわぁ〜可愛いのがイッパイある〜。」鬼子は目をキョロキョロと左右にやり、せわしなく店の前を見回っていた。 「あっ」鬼子は我に返り、そお〜っと店の中を覗くと、奥で店番のお婆さんがレジに手をかけ寝ていた。 【ふぅ〜・・・】と鬼子はため息をもらす。「よかった。お婆さんが寝てるから心置きなく髪飾りをさがせるわ!」 鬼子は人間の民にジロジロ見られるのが怖かったからだ。 綺麗な飾り。可愛いカチュウシャ。着物用のクシや髪飾りなども売っている。鬼子は宝石箱の中にいる感覚でいた。 「これ可愛い、これ綺麗〜、これもいいなぁ。」鬼子は今までのウップンを晴らすかのように店の中をグルグル回っていた。 「あぁ〜!」鬼子の目にとまった物は紅色のもみじ柄が入った、ツヤの有るカチュウシャだった。 「これいぃ〜。これに決めた!」鬼子の表情は今までに無く満面の笑顔になっている。 さぁ、ココからが勝負だ。このカチュウシャを買う為には店番のお婆さんに声を掛けなくてはいけない。 鬼子は一呼吸し、心を落ち着かせた。「さぁ、いくぞ!」真剣な眼差しだ。手と足が同時に出ていて何ともギコチない歩き方。 「鬼子。目が赤いのは駄目なんじゃな〜い?。」とヒワイドリが痛い所を突く。鬼子はその場に【ピタッ】と止まった。 「目・・赤くなってるの?」鬼子が気合いを入れると目が赤くなってしまう。ぎこちない格好で身動き出来ない状態だ。 時間が経ち、冷たい汗が頬をつたう。胸を強く打つ音が鬼子の耳一杯に広がっていた。【ドクン、ドクン、ドクン】 鬼子は一歩前へ出た。「と、とてつもない試練だわ。」目はまだ赤くなっている。 「まずは平常心ね・・・平常心。」鬼子は自分に言い聞かせるようにそう言った。 また、一歩前へ。鬼子の足が震えている。お婆さんの所までは5歩くらいか。その距離が鬼子にとって 長く果てしなく続く道に見えているに違いない。もう一歩。「目、目を何とかしなくちゃ・・・。」 ヒワイドリもその姿を見て、さすがにからかう事が出来ずにいた。そして、鬼子の後ろへ付き同じ様に 一歩ずつ、目を見開きながら進んでいる。鬼子の強い気に飲み込まれてるようだ。 鬼子は赤い目を何とか黒くする為に、眉毛や鼻、口をモゴモゴと動かした。ヒワイドリもマネをしている・・・。 「ヒワ!私の目、黒くなってる?」と鬼子は振り向き聞いた。鬼子のその目は先程より赤くなっている。 それより・・・着物からもみじが少し舞い落ちる様になった。 ヒワイドリは【ゴクン】と息を呑み首を振りながら言った。「だ、駄目じゃん。ひどくなってるじゃん。」 ヒワイドリを見ながら鬼子は涙目になっている。「ど、どうしよう。どうしたら良いと思う・・・?」 鬼子はヒワイドリに聞いている。あのヒワイドリに。もう・・・全てがパニックなのだ。
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- 【長編文章】鬼子SSスレ2【巨大AA】
335 :時の番人[sage]:2010/12/17(金) 14:30:27 ID:Vnrijbhp - 「お客さん!何買ったかぇ?」
鬼子の耳にその言葉が激しく突き刺さった。お婆さんが起きたのだ。 ユックリとユックリと震えながらお婆さんの方へと振り向く鬼子。その表情は・・・目が赤く、もみじが舞い、 角が鋭くなり、そして号泣していた。もう駄目だ。もう駄目だ。鬼子の頭の中をその言葉が響き渡る。 「も、、、もみじ柄の、、、カチュウシャを一つ・・・」かすれ声で精一杯その言葉を搾り出した。 「じゃぁそれ、税込み500円じゃて。わしゃ〜目が見えんで、お金を手の上に置いてくれるかぃ!」 【ドタッ】鬼子とヒワイドリはその場でひっくり返ってしまった。 鬼子とヒワイドリは顔を傾け目を白くし、口は半開き状態で店の前に立っている。 その2人を優しく包むように、天から柔らかい日の光が差している。鬼子の右手にはカチュウシャが握り締められていた。 トボトボと力無く歩き出す鬼子。「き、今日はもう神社へ帰るわ・・・。」鬼子はそうつぶやきユックリと歩いてる。 神社へ帰る時も、たまに声を掛けられる。 「こんにちは〜巫女さん。」とか「これから宜しくね〜。」とか。ここの街の人達はやはり鬼狐神社の事には詳しい。 声を掛けるなって言うほうが難しいのだ。 「変わった飾りだね。」「その角売ってた?」そんな声もちらほらかけられている。 鬼子はそんな中を頭を下げながらトボトボと歩いていた。しかし、鬼子の記憶は飛んでいる・・・。 光の世の人間の民は、力のある民たちの事を知らない。遙か昔に忘れ去られている。そして、 街の人達に当然角は無い。彼女の目には、角の無い人達が普通で、角の有る自分の存在って何なんだろうと 思い始めていた。鬼子は少し寂しい思いを抱えながら神社へと帰って行った。 神社へ帰ると、鬼子はさっそく織田さんに角付きヒワイドリアクセサリー付きカチュウシャを作ってもらった。 http://loda.jp/hinomotooniko2/?id=379 二コマ目挿絵 「日本鬼子・ひのもとおにこ」〜第四章〜【初めての友達】に続く。
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