- キャラクター分担型リレー小説やろうぜ!
120 :ジェンタイル ◆SBey12013k [sage みなさんありがとうございます!]:2010/12/14(火) 22:02:13 ID:Y7ErquBb - >>117>>118>>119
俺の拳は寸分違わず狙った軌道をトレースし、メタルクウラの胸を打ち抜く。 再生途中の装甲は再び爆散し、確かな威力が、ダメージが。――ヤツの鉄壁に僅かな穴を穿った! しかし。しかしだ。……メタルクウラは退かない。俺が前進するのに応えるように、魂で応じるように!この男は退かない! >「受けよっ!!乗り越えよっ!!我が全霊!!!」 メタルクウラの攻撃もまた、拳だった。搦め手を捨て、真っ向からぶつかり合ってくれる。 眼を閉じても見える青い光―――チェレンコフ光にも似たエネルギー融合炉の輝きは、刃を交えて初めて理解(ワカ)るこいつの本気。 戦意と敵意を燃やす裏腹で、俺はメタルクウラに感謝してさえいた。 炎魔法を極めた俺に、本気で殴って教えてくれる大人なんていなかったから。 ――だから! 「俺はアンタを超えて―――俺自身を超越するッ!!」 その刹那……… 気炎を吐いた俺の心に、再び闇が帳を下ろした。 「○×△■…」 聞こえてくるのは"認識出来ない言語の呪文"。 知識だけでは知っていた。それを扱うのはヒトより一つ上の次元に在る、完全なる上位存在。 ヒトの信望に饗応し、ヒトの欲望を糧に生き、ヒトの渇望に重ねて奇跡を具象化する神や悪魔と同種の存在。 「ぐっ………」 脳味噌の皺一本一本を毛先の細い筆で撫で回されてるような感触に吐きそうになる。 脊髄を生暖かい何かに包まれ、心と身体の連携が上手くとれなくなる。 腹の底の底から火山の噴火みたいに沸き上がってくる情動の奔流が、いともたやすく信念を破壊してしまいそうで。 「う、る、せ、え………!!」 震える指先でどうにか掴みとった意識の細い細い糸が、その自重に耐え切れなくなり切れそうになった刹那――― >「喰らえ、そーい!」 イケメンの声がした。ローゼンの叫びだった。 時を同じくして呪文の詠唱が途絶え、口に何かを満たしたようなムグムグ音にとって代わる。 同時に。俺は身体の統制を取り戻した。内的存在に抗うように、魔法力の刃で闇の情動を断ち切る! ローゼン。闇を間近に直視する者。"かたわらにある恐怖"を真に捉え、その在り方に触れられるあいつは、闇の眷属すら大道芸人に変える! だから俺は、後はなにも考えなかった。ただ信念を込め、拳を握る。掌握する! 「―――おおおおおおおおおおおおおお!!!」 咆哮は心に指向性を持たせ、真っ直ぐ前以外を見逃さない。 前述のとおり指向性があるってことは、そのまま射程距離の延長に繋がる。 俺の意志は!俺の言葉は!俺の拳は!――――――メタルクウラの魂にだって、届く! 「届けぇぇぇぇぇぇぇぇフルバースト!!」 魂は―――"燃える闘魂"とか言うように、しばしば炎に例えられる。 ヒトには体温があって、命があるから温かいのだから、それはむしろ納得の理屈なのだが――炎魔法の真骨頂はここにある。 すなわち"魂"と"炎"とは同質。技術を通して人類自体が繁栄してきた成長のエレメント。 ――――メタルクウラの魂に直接、俺の炎を"延焼"させる! 「これが俺の………答えだッ!!」 俺の拳は魂の炎を宿し、メタルクウラの装甲の奥の奥の奥深く――鋼の男にだってきっとある、魂の深奥に叩き込まれる!
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