- クロスオーバー創作スレ5
104 :『とある東方と空の境界』 ◆9ww4lHcaLU []:2010/12/13(月) 15:00:43 ID:psyJ2aiY - ◇
かちかちかちかち――― 体中が震えている。 寒さからくるものなのか、恐れからくるものなのか。 答えを探すように、指先をうごめかすが効果はない。 ―――そんな曖昧な感覚、エピソード記憶など、もう、ない どうやら寝かせられているようだと、知識は語る。 「何処だ……」 知識は言っている。 ―――この部屋は、『和式』だ。 ―――『和式』は、日本特有の形式だ。 ―――『日本』は極東にある島国だ。 ―――島国とは――― キリがない。 考えれば考えるほど、知識が鎌首を持たれかけてくる。 「脳に直接電気でも流したのかしら?」 がらっ、と襖が開けられる。 「貴様は誰だ……」 「介抱してくれた相手に向かって、貴様とはね?……八意永琳よ?」 「偶然、医者に拾われたという訳か」 よくわかったわね?と八意。 実際、知識がこの雰囲気は医者だ、と語ったまでである。 「当然、私も名乗るべきだろうが、生憎―――」 「そうね、思い出せないでしょう?」 全く、と溜息を吐くように言い放ってから、 「そこまでひどい傷は久しぶりかな?でも、治せないほどじゃないから安心なさい?」 「―――治るのか」 「私を誰だと思っているの?」 「必然、知る由もない」 「そうね」 笑っているのか、この女は。 笑顔は、こういうものか。 ―――もう失ってしまった感覚だ。 「楽しい」とか「面白い」とか。 当たり前のように生きて、当たり前のように感じられたら、 ―――それは、何て素晴らしいことなんだろう。
|
- クロスオーバー創作スレ5
105 :『とある東方と空の境界』 ◆9ww4lHcaLU []:2010/12/13(月) 15:01:45 ID:psyJ2aiY - 当然あげてすいません、投下再開したいと思います。
「―――ッ!」 突如として、頭の中に知識が奔流する。 絶対に思い出すことのない、『感覚』。 しかし、頭の中で暴れるように記憶を隠しているそいつは、 ... 『手加減だ』 とでも言うかのように、たった一つの感覚を思い起こさせる―――ッ! 「―――ひィッ!」 恐ろしい―――透明な、竜王の顎【ドラゴンストライク】。 . . . . . . . . . . . . . 自分が思い描いていた以上の、『恐怖』を具現化させたモノ―――! 体中から嫌な汗があふれ出る。 かちかちかちかちかちかちかちかち―――――――ッ! 「安心しなさい」 女が、私を抱く。 赤子を抱くかのように、そっと。 それだけで、竜は消え去る。 私は、そのまま静かに眠りにつく。
|
- クロスオーバー創作スレ5
106 :『とある東方と空の境界』 ◆9ww4lHcaLU []:2010/12/13(月) 15:03:32 ID:psyJ2aiY - ×当然、
○突然 です。 何度も申し訳ないです。 では、本編です↓ ◇ ゾッ――――――! 違和感を覚えた。 ―――俺は、何を消しきれないと自ら語った? 「聖ジョージの……聖域……?」 そう。 「インデックスの……魔術……?」 無い筈の、 ―――記憶。 上条当麻は、一度死んでいる。 それが何の弾みかまでは、もはや思い出すことは叶わぬだろう。 しかし。 今、彼は死の直前の記憶の一片を思い出している―――ッ! 「待てよ……どういうことだよ……?」 ―――『警告』 「誰だよ……インデックスじゃないだろッ―――!」 ―――『第六章第十三節』 「この記憶は―――何なんだ……ッ!」 ―――『現状、最も難易度の高い敵兵、』 ――――――『《上条当麻》の破壊を最優先します』 太陽が顔を出す時刻。 ガバッ 「悪夢だ……」 うなされていたらしい。 夢の中身は思い出せないが、全身から溢れる嫌な汗が苦しめられていたことを物語っている。 ―――眠ってしまったのか。 残念ながら一人である。布団もない。 ちょっとでも霊夢の介抱を期待した自分がアホらしくなる。 ――八雲紫という女性は試練を用意していると言っていた。 「簡単には……返してくれ無ぇーってことか」 一晩明けたのか、大振りだった雨は止んでいて、輝く朝露は『きれい』なもの、だと知識は言う。 「さぁて……」 結局、簡単に帰れないならすることはない。 ―――なんか、手伝えることはないか。 そんなことを考えながら部屋を後に廊下に出る。
|
- クロスオーバー創作スレ5
107 :『とある東方と空の境界』 ◆9ww4lHcaLU []:2010/12/13(月) 15:42:35 ID:psyJ2aiY - ガタッ
「おおっと。すいません」 誰かにぶつかってしまったらしい。 「おーう、次は気をつけろよぉ」 ―――酔ってんのか? 見た目は子供そのもの。 見下げるくらいの背丈で、特徴といえば頭に角が――― 「ちょッ、つの!?」 普通の人ならまず子供が酒に酔ってる所に目が行くはず(角も十分異形)だが、幸いにも彼の周りにはやれ完全幼女な教師だのニコチンとタールのな い世界は地獄だと言い切る14歳の不良神父だの、とにかく年齢≠外見が多いせいか、その点は自然と受け入れることができた。 「あのー、失礼ですがそちらはどなたさまですか」 「私は伊吹萃香だ!おぼえておけ」 「は、はいっ……」 用がないならさっさと行け、と言わんばかりに怪訝な表情で上条を見る萃香。 (怖いな……) 突然噛み付いてこないだろうか、などと思う。 「お前は霊夢が言ってた『客』か。なら大事にしなくちゃなっ」 すいっ、と。 ごく自然に酒を差し出してくる。 「ほら、やるよ」 「―――え?」 やばいやばいやばいやばい と、心理状態が大変なことになる。 (ダメだこの子……見境がない……) 死ぬ前は不良な上条だったが、酒たばこの類には手を出していない。 知識は、『上条当麻は未成年』と真摯に語りかける。 「なんだ、私の酒が飲めないのか?」 (うわぁ……典型的だな……) 仕方がないので、 「すいません、では一口」 後で吐き出せるよう少しだけ口に含もうとして猪子に手を伸ばし――― キィィン 聞きなれたような音とともに、酒は跡形もなく消える。 (やばッ!これも異能なのかよ!) 変なところで反応してしまうのが右手のサガである。 ぷるぷるわなわなと、何かをこらえるようにうつむく萃香。 (絶対切れてるわコレ……やべぇよ……っ!?) ―――なにか来る―――ッ!
|
- クロスオーバー創作スレ5
108 :『とある東方と空の境界』 ◆9ww4lHcaLU []:2010/12/13(月) 15:44:03 ID:psyJ2aiY - 「……見ない力ね」
―――確かに、珍しい力ではある。 異能がなければなにかあるようには見えない。 学園都市の身体検査【システムスキャン】では反応すらしてくれず無能力者【レベル0】判定。 不良の一人も倒せなければ、テストの点も上がらないし、女の子にモテたりもしない。 しかし、今となっては幾多の修羅場をくぐりぬけた、相棒でもある、右手。 確かに、珍しい力だ。 ―――気に障ったのか? どう見ても不機嫌だ。 一体、何が起こるか想像がつかないし、何が起きてもおかしくはない。 一応機嫌でも取ろうと上条は試みる。 「えっと、萃香の力はどんなのなんだ?」 学園都市では、スプーンぐらい曲げられて当たり前。 萃香は、自分の能力【チカラ】が通じなかったからこそ、憤っているのだと上条は確信していた。 一人に一つの能力、という認識は正解だ。 幻想郷でも、特別な力を持っていること自体は珍しいことではない。 ただ、上条の能力は異質【イレギュラー】。 そこに『何か【異能の力】』がなければ発揮されない能力など、まさに『無能の境地【レベル0】』―――!! 萃香は疑問に思う。 上条は、外来者。 なのになぜか能力を持っている。 何かがなければ反応しないような、半端な能力。 その、無能に、自分の能力が、通じない―――ッ! 結果訪れるのは、一つの挑戦。 「私は密と疎を操る能力を持っている」 「おい、上条。勝負しろ」
|
- クロスオーバー創作スレ5
109 : ◆9ww4lHcaLU []:2010/12/13(月) 15:46:55 ID:psyJ2aiY - ひと段落。
次の投下は夜になると思います。
|
- クロスオーバー創作スレ5
111 : ◆9ww4lHcaLU [sage]:2010/12/13(月) 16:08:38 ID:psyJ2aiY - >>110
あー、確かに不自然ですね。 勢いで流させていただきたい チャンスがあれば、修正版を投げたいと思います
|