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【長編文章】鬼子SSスレ2【巨大AA】

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【長編文章】鬼子SSスレ2【巨大AA】
283 :GoGo! ひのもとさん1/2[sage]:2010/12/06(月) 23:09:14 ID:a9tc9/Hu
つづき

 ヒワイなるヤイカガシの和服は天上の着物のように金色に染まり、風にたなびく帯の上をきらきらした光の粒が流れていった。
 怪しげな火のついた二本の柊を両手に掲げると、あたかも背中の翼がもう一対増えたかのようであった。
「受けてみよ、我がヒワイなる柊剣技『二の舞ヤイカガシすぺしゃる』!」
(ぐぬぬ〜っ! あとでミーティングだこのヤロウ!)
 申し訳程度にヒワイドリの名前を組み込んだ技名を叫ぶと、ヒワイなるヤイカガシは四枚の翼から虹色の尾を引いて急降下した。その速度はもはや目に追えない。
 日本狗は猛り狂う虎のように毛を膨らませ、ハリセンと巨剣を持って迎え討った。
「小癪な……私の本気を見て生きていられると思うな!」
 凄まじい空中戦が繰り広げられ、半径百メートルの範囲でほぼランダムに火花が降り注いだ。
 鬼子さんは目をぱちくりしてただ空を見上げるばかりだ。
 展開が早すぎて目に見えないが、どうやら日本狗は不利な状況に立たされているらしい。
 まもなく日本狗が仲間を呼ぶ声が聞こえた。
「小日本!」
 天狗の面を被った犬がいっしゅん空に現れ、白いものを放り投げてまた消えた。
 小日本に向かって投擲されたそれは、狐の耳に当たってふよんと跳ね返ると、まるで意志を持っているかのように半泣きだった彼女の顔を覆った。
「ふやっ!」
 お面を探していた小日本は、電気が流れたように背筋がぴんと張った。
 しかしそれも束の間、間もなく姿がかき消えたかと思う程の速さで、常識では考えられない高さにまで跳んでいた。
 だが、宙にあったのはもはや先ほどの幼女の姿ではない。大人が入れそうな大きさの四角い箱だった。
「『葛籠抜け』……!」
 その歌舞伎なネーミングの黒い箱が落ちてくるのを見ながら、鬼子さんは戦慄を覚えていた。
 心の中にすむ鬼を見破る彼女の目が、その葛籠の中身の異様さに気づいていた。なにかとてつもなく嫌な物が入っている。
 思わず後ずさりするが、日本狗の術のせいで元の場所に押し止められてしまう。
【長編文章】鬼子SSスレ2【巨大AA】
284 :GoGo! ひのもとさん2/2[sage]:2010/12/06(月) 23:11:04 ID:a9tc9/Hu
 ばこんと葛籠の蓋を蹴り上げたなまめかしい脚が、縁をクリップみたいに挟んだ。
 中に収まっていたのはキツネの白面を被った妖艶な女性がひとり。
「あらぁ、くぅちゃん、いいのかしらぁ? 私を呼び覚ましたりしちゃって」
 三角形の耳と同色の金色の髪が葛籠の縁からこぼれ、白い肌が乱れた着物の裾から覗いている。まるで湯船に浸かったような体勢で空を見上げていた。
「なんだぁ、くぅちゃん、苦戦しちゃってるぅ。くぷぷ」
 鬼子さんには相変わらず目に映らない上空の戦いを見ながら、そんな言葉を漏らした。
「あなたは……誰?」
 小日本ではない、そう断定する事は出来なかった。なぜなら小日本が一気に成長したようにも見えた。小日本が七五三なら今の彼女は成人式だ。
 白面をつけたその着物の女性は、鬼子の方を見やった。
 軽くωの形を成した口元が不意に横にずれ、キツネの面の向こうから青い目が半分だけのぞいた。
「初めまして、日本鬼子さん。私が本当の小日本ですぅ」
【長編文章】鬼子SSスレ2【巨大AA】
285 :[sage]:2010/12/06(月) 23:13:14 ID:a9tc9/Hu
>>282
乙です! 特例があると新規の人が迷うと思うので、今回からはそうします。


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