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29 :創る名無しに見る名無し[sage]:2010/12/06(月) 21:30:11 ID:AQzKi/xb - 『外道魔法使い狩り』
『開花期』から『平穏期』に移る数年間、『外道魔法使い<トート・マジシャン>』を積極的に摘発する、 外道魔法使い狩りが流行した。 発端は外道魔法使いによる『共通魔法使い<コモン・スペラー>』殺人事件で、これを切っ掛けに 市民(これは共通魔法使いに限らない)による無差別な私的報復が頻発。 『魔導師会』も過激派の制止や外道魔法使いの保護を行わなかった為、 『狩り<ハント>』は街中でも平然と行われるようになり、当時既にマイノリティーだった外道魔法使い達は、 都市を追われて辺境に移り住んだ。 外道魔法使い達が街から姿を消すと、狂気的な狩りは勢いを失い、自然消滅した。 歴史学者は、この凶行の背景には、時代の流れも影響していると、考察する。 この時期は、『禁断の地』を除いて、『唯一大陸』に未踏の地が無くなってから、既に20年以上が 経過しており、同時に、魔法文明の隆盛も落ち着き始め、民衆の間に、行き場の無い不安と不満が 渦巻いていた時期だった。 その矛先が、一つの事件を切っ掛けに、罪無き外道魔法使い達に向けられた。 現在では殆ど語られない、歴史の暗部である。
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30 :創る名無しに見る名無し[sage]:2010/12/06(月) 21:31:35 ID:AQzKi/xb - 『魔法道具店』
『魔法道具店』とは、『魔導師会』が経営する、魔法関連道具の専門店である。 魔導師会認定『魔法道具<マジカル・ツール>』の販売・修理・回収を行っているが、買取は行っていない。 魔法道具店の価値は、一般市民でも魔導師会公認の魔法道具を入手可能な所と、 もう一つ、取扱商品に対する信頼性にある。 魔法道具店で売られている物は、全て魔導師会の認定を受けており、不良品・偽物を 掴まされる危険性は殆ど無い。 商品に問題があっても、責任の所在が明確なので、来店客は安心して商品を購入出来る。 但し、少々値が張るので、より安価な物を求める者は、『非公認取引所』に向かう。 店長には『魔導師』が任命されるが、店員の配置は店長に一任される。 どんな僻地でも、魔法道具の需要はあり、一定以上の収入は約束されているが、 定期的に魔導師会の経営監査が入るので、店長と言えど、好き勝手な商売は出来ない。
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31 :創る名無しに見る名無し[sage]:2010/12/06(月) 22:02:48 ID:AQzKi/xb - 『八導師』
その名の通り、『魔導師会』を代表する、八人の『魔導師』達。 就任期間は16年で、在任中、余程の不祥事を起こさなければ、任期を全うする。 二年に一度の、全魔導師による投票で選出された一人が、新たな八導師となり、 長老(この場合、年齢は関係無く、就任期間が最も長い者)は八導師の座を退く。 八導師の座を降りた者は、被選挙権を失い、二度と八導師になる事は出来ない。 元八導師の多くは、肩書きを捨てて、魔導師会の一会員に戻り、権力の座からは遠退く。 八導師は、他の魔導師では知り得ない、過去の魔導師会の意思決定に関する記録や、 『禁呪<フォビドゥン・スペル>』の資料に触れる事が出来る。 八導師は魔導師の利益より、『共通魔法<コモン・スペル>』社会の秩序維持を優先しなくてはならない。 魔導師会員から選ばれながら、魔導師達に不利な決断をしなければならない時には、 反感を抱かれる事もあるが、現在の魔導師の地位は、共通魔法中心の社会があってこその 物だという事は、魔導師達も自覚しており、八導師が『法の法による決定』を下した場合は、 反論があっても、必ず従わなくてはならない。 八導師は、個人・団体の利得・名誉に囚われない、人格者でなければならない。 志高い若い八導師は、時に年長の八導師と対立するが、八導師と魔導師会の歴史を知れば、 使命の遂行者へと変貌する。 ↓
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32 :創る名無しに見る名無し[sage]:2010/12/06(月) 22:04:13 ID:AQzKi/xb - ↓
八導師の由来は、『偉大なる魔導師<グランド・マージ>』と共に魔法を広めた、八人の高弟達にある。 高弟達は、『魔法大戦<スクランブル・オーバー>』以前に、『共通魔法使い<コモン・スペラー>』による結社、 『魔法啓発会』なる組織を創って、共通魔法を人々に広めていた。 これが後の魔導師会となる組織で、八導師とは、八人の高弟達の伝統的な後継者とされている。 古代から続く制式に倣い、八導師が全員入れ替わるには、16年を要する。 この緩やかなコンベア式の選出制度は、在任中、未熟な後進に、八導師と魔導師会の在り方を示し、 魔法社会の秩序を歪ませない為のシステムだが、一部の魔導師達からは、早急な改革の必要性が 発生した場合の、対応の遅れを懸念する声も出ている。
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33 :創る名無しに見る名無し[sage]:2010/12/06(月) 22:07:03 ID:AQzKi/xb - 『魔法道具<マジカル・ツール>』
『魔法道具<マジカル・ツール>』とは、魔法の効果を持った道具、及び、魔法を使用する際の補助となる 道具の総称である。 『魔力石<エナジー・ストーン>』、魔力伝導体、呪文書、『魔導機』は、全て魔法道具の一つ。 『魔導師会』の審査を受けて、合格した魔法道具は、魔導師会認定商品となり、権利者が希望すれば、 『魔法道具店』に置く事が出来る。 故に、魔法道具店には、魔導師会の研究機関が開発した物以外の商品も、陳列されている。 魔導師会未認可の魔法道具は、性能の記述に偽りがある場合が多く、それが悪質な場合は、 魔導師会の取り締まり対象になり、販売を禁止される。 しかし、魔導師会には、全ての魔法道具を査定する義務は無いので、魔法道具店以外の店舗で 購入した、魔導師会未認可商品に関しては、自己責任となる。
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34 :創る名無しに見る名無し[sage]:2010/12/06(月) 22:10:29 ID:AQzKi/xb - 『非公認取引所』
正式には、魔導師会非公認魔法道具取引所。 『魔法道具<マジカル・ツール>』の中古品や、『魔導師会』未認可商品を取り扱う市場。 『魔法道具店』では行われていない、魔法道具の買取も行っている。 効率上、他のバザールと同時に開かれる場合が多い。 一般には、出所の不明な魔法道具を、出自の怪しい者達が販売する所と認識されているが、 中には『魔導師会』の認定を受けていないだけで、普通に扱える商品を廉価で販売する業者もいる。 何を掴まされるか判った物では無いが、それと割り切って楽しむ好事家と、安価な物を求めて 訪ねる者達で、(来客の半分以上は冷やかしだが)取引所は何時も繁盛している。 時折、『外道魔法<トート・マジック>』関連の魔法道具など、販売禁止されている商品を取引していたり、 それを摘発する目的で、魔導師会のエージェントが潜んでいたりするので、危険と隣り合わせな 地下市場のイメージが強い。 大抵は人目を忍んで開催されるので、一般市民には無縁の場所と思いきや、都市が主催する 取引所もあり、そちらは参加業者の身元を調べるので、比較的外れが少ない。 初心者は、都市主催のバザールに参加した際、地下市場に誘われて、被害者になる事が多い。
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