- 【気軽に】お題創作総合スレ【気楽に】
126 :創る名無しに見る名無し[]:2010/11/28(日) 00:14:43 ID:cH48sjdu - >>120
亀だけどおめでとうございます。 初投稿でやっつけで強引ですが、喜んで頂ければ幸いです。 お題「オレンジ色のバラ」 「貴方と貴女」 男性から女性へのプレゼントで昔から言われるバラの花束。 初めての彼女。二十五歳にもなって、ではあるが、大切な僕の彼女。愛の言葉も、ベッドでも、彼女の望む事は全てしてきた。 だが、それを彼女は望まなかった。 何度目かの誕生日。彼女は珍しく僕に誕生日プレゼントをねだってきた。 「ねぇ、小輪の黄色いバラがほしい」 はじめはそんな物があるのかも知らなかったが、初めて彼女がほしいと言ってくれた物だったから、僕は花屋さんという花屋さんを探し回った。 十数件廻った末、ついに見つける事が出来た。ぜぇぜぇと息も絶え絶えに店員の女性へ声をかける。 「そこの……っ、黄色いっバラの、花束を――ください」 女性は目を丸くしていたが、わかりましたとだけ言い、花束を作ってくれたみたいだ。正直、見つけられた嬉しさや限界の近い体力と酸欠で包装しているところをまともに見られる状態ではなかった。 少しずつ息を整え、大きくふぅと一息ついた時には包装が終わったらしく、お客様と声かけてきた。 「こちらが商品になります」 ありがとうと言い、代金を支払ってから花束を愛しく胸に抱き、店を後にする。あとは彼女へ渡すだけ。家で待ってくれている彼女の元へ、僕は急ぐのだった。 また息を切らし、少し乱暴に自宅のドアを開け、彼女の元へ行く。 「たんっじょうび、おめでとっ!」 素敵な黄色いバラの花束を見つめた彼女の表情を、僕は忘れない。 「中輪って言わなかった?」 「えっ?」 「私ね、あなたと別れようと思ってたの」 「……えっ?」 「小輪の黄色いバラの花言葉は、笑って別れましょう、なの」 「――!」 「でもね、気が変わったわ」 「えっ?」 「黄色いバラの花言葉はね? 貴女に恋しています、なの」 「――!」 「本当に不器用な人。放っておけなくなっちゃった」 「えっと、あれ? どういう事だい?」 「こういう事よ」 そう言って彼女は黄色いバラの花びらに真っ赤な口紅を塗り――。 「私は貴方に恋しています、そして――」 あぁ、そういえば。赤いバラの花言葉は……貴方を愛します、だっけ? 僕は忘れない。黄色と赤の混じったオレンジのバラの花びらを手に、微笑んだ彼女を。
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