- 【長編文章】鬼子SSスレ2【巨大AA】
170 :GoGo! ひのもとさん1/2[sage]:2010/11/28(日) 23:11:12 ID:UuZLgQ9R - つづき
かなりの高度まで跳び上がっていた日本狗は、次の瞬間にはビルの屋上にまで到達していた。 古くは流星が生み出した空想の産物とされた天狗、日本狗の相変わらず凄まじい高速移動にヒワイドリは絶句した。これがただの妖になせる業だろうか。 「ぬわぁぁぁぁぁぁ!」 五芒星の盾で弾丸のように弾かれたヤイカガシが、コンクリートの床を突き破りながら次々と下階に落ちていく。 地上に到達した五芒星の盾はそのまま地面に光の刻印を焼き付け、ヤイカガシを地下に「封印」してしまった。 ビルの頂点で日本狗がゆっくりと立ち上がり、たちのぼる煙がむなしく風になびいていた。 「くっくっく……くはっはっはっは……」 日本狗はぐきりと首を鳴らし、空に向かって高らかに宣言した。 「力無き鳥よ、そこで指をくわえて見ているがいい。そろそろ戌四つ(オトナ)の時間だっ!」 「くっ……野郎!」 圧倒的な実力の差を前に、もはや愕然とするばかりだった。 日本狗の邪な目が、ビルの下の日本鬼子を捕らえた。 「哀れな鬼の子よ、お前の不幸もすぐに終わる……この《誅剣罰光》によって、苦しみも感じぬ間に霧にしてやろう」 空に描かれた五芒星の力によって束縛された鬼子さんは、さらに恐怖によっても動けないでいる。般若の面が失われたと同時に、彼女の本来持っていた力も失われたかのようだった。 「鬼子っ……!」 逃げろ、と言えない。ヒワイドリもまた彼女と同様だった。圧倒的な力を前にした恐怖、自分は戦闘要員ではないという言い訳、そういったものが彼の翼の自由を奪っていた。 (動け……動けっ……頼むよなんで動かないんだよっ……動けぇっ!) そのときだった、 (ヒワイ!)
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171 :GoGo! ひのもとさん2/2[sage]:2010/11/28(日) 23:13:48 ID:UuZLgQ9R - (この声は……)
ヒワイドリは思わずその名を口走った。 「ヤイカ!?」 自らの脳裏に直接響いてくるヤイカガシの声に、ヒワイドリは吐き気をこらえて尋ね返した。 「お前、一体どこでこんな精神的ハッキングを覚えたんだ!」 (聞け、私は今、宿体である魔除けの飾りから抜け出して、魂のままお前に話しかけている!) 「勝手に抜け出してくんな宿体に帰れ!」 (そう、今思えばあの夢はまさにお告げだったのだ。 私とお前が、尻フェチと胸フェチが、二つの世界が融合し、ともに世界を平和に導くべしという……) 「やめろ、俺にはなんの事かわからんがそれ以上しゃべるなっ! すごく不幸になりそうな気がするっ!」 (イッツ・ショウターイム!) 魂に抵抗は無意味だった、次の瞬間、ヒワイドリの全身をキラキラとまばゆい光の渦が包み込んだ。 「やめてぇぇ全身に力がみなぎってくるぅぅっ!」 (フュージョーン! ハァーッ!) ヒワイドリは今だかつてない感覚に震えた。両手を見るとそこにあったのは自分の手ではなかった。 彼の手はどこからか柊の枝を取り出し、それを大きな剣に変えた。何らかのガスに引火して、炎のような光を放っている。 服装には先ほどの目も覚めるような派手さは微塵もなく、腕にはだぼだぼの袖が垂れ下がり、下は袴に足袋という、完璧な和装だった。 髪型はどうなっているか分からないが、視界にはうざったい黒髪が垂れ下がるままになっている。そして喉からは彼のものではない低い声が漏れてきた。 「融合……完了……」 (ちょっ!? えっ!? 何これ!?) ヒワイドリはびっくりして声を上げたが、うまく声にならなかった。どう見ても体はほとんどヤイカガシになっている。 先ほどとはまるで立場が入れ替わったかのように、彼はヤイカガシに話しかけていた。 (ゆ、融合っ!? これ体ほぼお前じゃない!? バランス違うくない!?) 「何を言う、翼はほとんどお前じゃないか。翼だけはな」 ヤイカガシは柊の剣を構えると、眼下の日本狗に狙いを定めた。どうやら「飛べ」という意味らしい。 「気にするなヒワイドリ、パンツ盗まば穴二つ、正義を為すために多少の犠牲はつき物だ!」 (俺の体を返せーっ!) 日本狗が半身になり、イチローのごとくに剣を構えていた。それはどんな悪球をも確実に捕らえてヒットに変えてしまう、あたかも魔法のごとき構えであった。 「さらばだ、日本鬼子……!」
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172 :GoGo! ひのもとさん[sage]:2010/11/28(日) 23:19:08 ID:UuZLgQ9R - このスレすげぇ
気がついたら俺ひとりいらない子になってるwww
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