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240 :瞳に秘めた憂鬱 ◆j893VYBPfU [sage]:2010/11/24(水) 00:01:24 ID:w9fmjp4h - 「いえ、私の事なら平気ですから。
どんな事を言われたっていい。覚悟なら出来てます。 貴方の事だったらいい。でも、私の事で気遣われて、 ネスティさんが辛い思いを我慢するのは、 私だってもっと辛くなるんですから。」 その笑顔は反則だ…。頼む、止めてくれ…。 こちらを心から気遣い、慈しむような顔をしないでくれ。 それではまるで、黙秘するほうが罪深い行為じゃないか…。 これで真面目に答えなければ、彼女は大きく傷付いてしまうだろう。 これで正直に答えたりすれば、僕は完全に変態扱いをされるだろう。 どちらに転んでも、結果は嬉しいものではない。 だったら。結局は僕が汚れるしか、ないのか…。 僕は犯した罪の自供を強制された被告人の気分で。 喉から絞り出すように、ゆっくりと重い口を開く。 「君はあの少年から、いわゆる“暴行”を受けなかったのか?」 ――空気が凍り付き、極寒の空間へと変じる。 アティの表情が、真顔のまま硬直する。 そこから少し遅れて、双眸に理解の色が広がり。 同時にその顔を、羞恥のあまりに紅潮させた…。
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241 :瞳に秘めた憂鬱 ◆j893VYBPfU [sage]:2010/11/24(水) 00:03:04 ID:w9fmjp4h -
――それ、絶対に違いますからっ! ――決して、そんな事はなかったですからっ! 口には出さずとも、その顔は雄弁に無実である事を語っていた…。 一体なんという事を口走っているんだ、僕は…。 「…違ったのか?だったら、いいんだ…。」 そういえば、さっきも流血していたのは太股の付け根近くで、 下着の方には一滴も血や体液は付着して… 僕がそう取り留めもない事を考えていると。 アティは急に思い返したように、慌ててスカートの裾を抑えて。 こちらを無言で睨みつける。その頬は既に薔薇色にまで染まり、 その仕草が妙に愛らしくも見えたが、酷く嫌な予感がする。 待て、さっきの思考が漏れていたのか? もしかして、気が抜けたあまり独り言を? アティが無言で僕を見据える。 視線が、今度ばかりは突き刺さるように痛い。 僕は、その迫力で目を逸らす事も出来ず。 気分は蛇に睨まれた蛙にも劣る。
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244 :瞳に秘めた憂鬱 ◆j893VYBPfU [sage]:2010/11/24(水) 00:05:29 ID:w9fmjp4h -
「私は見られたくなかった、でも貴方は覗いちゃった。だから、貴方は汚れればいい。」 誰かが囁いている。 違う。 違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う。 僕は間違っただけなんだ、覗きたくて覗いたわけじゃないんだ! 少し魔が差しただけなんだ、半裸が見たいからじゃあないんだ! 「そうなの、でも関係有りません。見て、これが貴方が変態である証拠です。」 誰かの声に僕は立ち止まる。 背後から伸ばされた腕が指し示す方向に、件のボンテージがある。 黒光りする革製の衣装が、嫌に存在感を誇示する。 「違うんだ、許して、助けて、僕は、誰か…。」 ◇ ◇ ◇
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245 :瞳に秘めた憂鬱 ◆j893VYBPfU [sage]:2010/11/24(水) 00:06:31 ID:w9fmjp4h -
視界が絶望で真っ暗になり、思わず膝を付き項垂れる僕の頭上から。 気が付けば、くすくすと笑うアティの声がかかり。 ――ふと見上げてみると。 彼女は実に、晴れやかに笑っていた。 先程の事など、何も気にしていないといった風情で。 うろたえる僕の態度があまりにも可笑しいらしく。 彼女はただ無邪気に、さも楽しそうに笑っていた。 ――いや、それはないんじゃないか? こっちは本当にどうしようかと真剣に悩んでいたというのに。 確かに、僕にはこの事で抗議をする資格なんかない。 でも、笑い物にされるのは、流石にどうかと思うが? 僕はアティの態度に少々腹を立て。 そのでふと、今の状況を思い直し。 そもそも、この凄惨な殺し合いの場で、お互い何をやっているんだという 実に馬鹿げた、ごく当たり前の事実に気付き。 気が付けば。そこかしこに危険が満ちている場にも関わらず。 いつの間にか、僕達は二人で声を上げ笑っていた。 笑いで、目頭が熱くなる。 随分と久し振りのような気がする。 こんなささいに過ぎるやり取りで、 心から悲しんだり笑ったりするのは。
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247 :瞳に秘めた憂鬱 ◆j893VYBPfU [sage]:2010/11/24(水) 00:07:16 ID:w9fmjp4h -
いや。人間とは本来こうあるべきなんだろう。 日常の中で、ささいなやり取りに一喜一憂するのが人間なんだと。 殺し合いという非日常に慣れ、あらゆる感情を凍結させてしまう事こそが、 人として最も悲しむべき事なんだと。 そんな当たり前過ぎるが、この殺し合いという場で忘れかけていた事を、 僕は思い出した。アティが思い出させてくれた。 アティもそれは同じ気持ちだったようで。 初めて出会った時のような、今にも壊れそうな危うさは既になく。 瞳は完全に輝きを取り戻し、その身にか活力が満ちていた。 やっぱり、たった一人で困難にに立ち向かうよりは。 誰かと共に立ち向かう方がいい。 こうやって、知らずに失っていたものだって、すぐに取り戻せる。 マグナやアメルと共に困難に立ち向かった時のように。 よし、まずは彼女と一緒に、ゼルギウスの暴走を止めよう。 そして、この愚かしい会場からの脱出の手段を模索しよう。 僕がそう決意を新たにした所で。 「――初めまして、皆様方。 私は悪鬼使いキュラーと申す者。以後、お見知り置きを。」
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249 :瞳に秘めた憂鬱 ◆j893VYBPfU [sage]:2010/11/24(水) 00:08:54 ID:w9fmjp4h - 本来はあり得ないはずの、放送が。
あの死んだ筈の悪鬼使いの、慇懃無礼も極まる声が。 その内容の全てが、人間の醜さを暴き立て、抉り出すものとして。 僕達の笑顔を遮るように、朗々と響き渡った…。 【C-3/村内の一民家/1日目・夜(臨時放送直前)】 【アティ@サモンナイト3】 [状態]:左腿に切り傷(応急措置済)、精神的疲労(中度) [装備]:呪縛刀@FFT [道具]:支給品一式 改造された無線機(故障中)@サモンナイト2(?) [思考]1:対話と交渉でヴォルマルフからベルフラウの蘇生法を得る。 2:漆黒の騎士(ゼルギウスさん)のことが気がかり。 3:ディエルゴのことが本当ならば、なんとかしなくては 4:…このエトナさんの服、着るべきなんでしょうか? [備考]:改造された無線機は、ヴァイスとの戦闘時による衝撃で故障しています。 正常に動作させるには、適切な部品を集めて修理を施す必要があります。 ネスティをかなりエッチだが、本質的には良い人だと誤解(?)しています。
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250 :瞳に秘めた憂鬱 ◆j893VYBPfU [sage]:2010/11/24(水) 00:11:20 ID:w9fmjp4h - 【ネスティ@サモンナイト2】
[状態]:全身に火傷(応急措置済)、身体的疲労(軽度)、精神的疲労(軽度)、羞恥と狼狽 [装備]:ダークロア@TO 、村人の服@現実、顔を除いた全身に包帯 [道具]:支給品一式(食料1/2食分消費) 、蒼の派閥の学生服(ネスティ用)、 エトナのボンテージ(サイズは大人用)、予備の包帯 [思考]1:仲間たちとの接触を早めにしたい 2:自分と仲間の身の安全を優先 3:自分がマグナに信頼される人間である為に、アティに協力。 4:アティの無謀ぶりと漆黒の騎士(ゼルギウス)に危機感。 5:“赤い悪魔(ハーディン)”と顔色の悪い少年(ヴァイス)を警戒。 6:アティに己が融機人である事を話すか、考え中。 7:自分の心を救ったアティへの感謝と好意(及び劣情?) 8:…僕は、僕は、変態じゃあない!
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