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歌麻呂 ◆Bsr4iViSxg
創る名無しに見る名無し
【長編文章】鬼子SSスレ2【巨大AA】
【小日本】萌キャラ『日本鬼子』製作18【投票中】
【小日本】萌キャラ『日本鬼子』製作19【決定】

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【長編文章】鬼子SSスレ2【巨大AA】
104 :歌麻呂 ◆Bsr4iViSxg [sage]:2010/11/23(火) 01:26:55 ID:klPzMkvr
 信じられない。
 何が信じられないって、こにぽんがこんなに重かったことに決まっている。いくら私が引いても、こにぽんは一寸たりとも動かないのだ。
「おーにーぎーりーたーべーるーのー!」
 壊れたラジオカセットのように、どうしようもないことを何度も何度も繰り返し喚き続ける。周囲からの視線が気になって仕方がない。ただ歩くだけでも注目される二人組なのだから。
「ごめんね、こにぽん。今お金がないから」
「おーにーぎーりーたーべーるーのー!」
 ぶんぶんと首を横に振り、バタバタと桜の袖をはためかす。もうこうなってしまったら全く私の言うことなんて聞いてもらえない。
 空の下には大きな湖があり、それを色づいた山々が手を繋いで見下ろしている。湖畔に出来たばかりの広い公園があり、そこと湖を周回するように伸びる道に挟まれたここは、宿場町をモチーフにした店が立ち並んでいる。
 つまり、お団子や饅頭、そして例のおにぎりなどなどの露店が所狭しと並んでいるのだ。
 そりゃ、私だって食べたい。こにぽんと一緒にお団子を食べて、紅葉を眺めながら歌の一つや二つを詠いたい。
 でも、残念なことに、人間界と同様に……いや、それ以上に深刻な不況に見舞われていしまっている。神様でさえも、神社を放棄して出稼ぎに行く時代だ。天照大御神さんと菅原道真さん以外の神様はほとんどそうしているんじゃないかなと思う。
 当然、神ならざる私にお金なんてほとんど持っていない。
「おーにーぎーりー!」
 こんな場所に来なければよかった、と言いたいところだけど、この近くに鬼が潜んでいるとの噂だから仕方がない。それに、私も戦う前に何かを口にしたかった。これでは上手く祓うことが出来ず、逆にこっちが穢されてしまう。
「そこのお嬢ちゃんたちや」
 そんなとき、露店から年老いた女性の声と、なんとも食欲を誘う炭火の芳香と煙がして、私もこにぽんもその五感を刺激する方を向いた。
「鮎でもいかがかな?」
 その白い煙は屋台から伸びていて、そしてその小窓から結晶した塩と焦げの黄金比を持つ串焼きの魚が焼かれていた。
「いえ、結構です。お金、ないんです……」
 丁重に断ると、私のお腹は哀しそうにぐぅと鳴いた。隣の小さなお腹からも、ぐぅと鳴る。
「遠慮しなさんな。ほら、お金なんていらんから、好きなの選んで食べてええよ」
「やったぁ!」
 こにぽんが急に軽くなり、まるで風に飛ばされる木の葉のように、その煙の元へ吸い込まれていった。私もため息をついてからあとに続く。
 既に鮎の背中をはむりとするこにぽんは脇の長椅子に座り、足を投げ出した。
「すみません。いつか払いますから」
 出来るだけ小さくて焦げ目の多いもの選び取り、美しい銀髪のおばあさんに頭を下げる。
「いいのいいの。お嬢ちゃんたちを見て、昔を思い出せたんだからね。それで十分」
 と、私の服装を指差した。紅葉色をした、この着物を。
【長編文章】鬼子SSスレ2【巨大AA】
105 :歌麻呂 ◆Bsr4iViSxg [sage]:2010/11/23(火) 01:27:47 ID:klPzMkvr
「あたしがアンタくらいの頃の話さ。隣の家は両親とも共働きでね、あのおチビちゃんくらいの子どもがいたんだよ。私がお守役で、鞠つきやらゴム飛びやら、遊んだもんだよ。当然、ヤマメ釣りもね」
 おばあさんはひどくしみじみとした様子で昔を懐かしんでいた。
「そうだったんですか……。その方とはまだご近所でいらっしゃるのですか?」
 もしそうならば、きっと、その方も美しい老婦人になっていることだろう。
「いや、もう引っ越してしまったよ。この湖が出来るときにね」
「え……」
 山と山の合間に広がる水面の草原。この大きな大きな水の造形は、全て造られたものだというのだろうか? 公園も、道路も、そしてこの店たちも。
「私の家は、あの子の家より一段高いところに建っていたからね。立ち退きをされずに済んだのだけれども。……あの村は忘れ去られ、この湖が当たり前の存在として生きていくのかねえ」
「あの……ごめんなさい」
「ああ、いやいや。そんなつもりじゃあないんだよ。私は、こうしてここにやってくる人々が嬉しそうに笑ってくれれば、それでいいのさ」
 おばあさんは、今まで何を思ってこの店を続けてきたのだろうか。この真新しい木造の露店を見て、ふとそんなことを思った。
「ねぇねぇも一緒にたべよ!」
 無垢なこの子は、もう半分も食べてしまっている。まったく、食いしん坊なお姫様だ。
「おばあさん、ありがとうございました」
「いいえ。その子を大切にしてやって下さいな」
 お礼を言うと、おばあさんはにこやかにほほ笑んだ。目の尻に深いシワが刻み込まれていた。
「なにお話してたの?」
 こにぽんの隣に座ると、この子は嬉しそうに座ったままで飛び跳ねる。
「ん、とってもあったかいお話」
「きかせてきかせて!」
 それは、私の口から言ってもつまらないものだと思う。あのおばあさんの言葉だからこそ、伝わる意義がある気がする。
 でも、それを敢えて言葉にするのなら……。
   「振り返り さだめを渡る この鮎見 いづれか祓はん 水際(ミギワ)宿る木
さ、これを食べたら鬼を退治しに行きましょ」
「でも、忘れちゃいけないよ?」
 こにぽんは口に鮎の身を付けている。
   「ふりかえり〜あゆみ忘れず わたるならば〜 いづれか払わん 鮎のお値打ちぃ〜」
 あなたが駄々をこねたからでしょ……という愚痴は心の中で呟くだけにして、私も鮎を口にした。
 何故だかとっても、しょっぱかった。
【小日本】萌キャラ『日本鬼子』製作18【投票中】
969 :歌麻呂 ◆Bsr4iViSxg [sage]:2010/11/23(火) 01:31:44 ID:klPzMkvr
>>916>>943>>947
>>ALL
おかげさまで、鬼子とこにぽんの小さなお話を書くことが出来ました。一時間半程度の即興執筆でオチのない三文SSだと思いますが、宜しければ夜食にどうぞ。

2レス
鬼子・こにぽんinどっかの湖らへん
ちょっぴりしみじみ

http://yuzuru.2ch.net/test/read.cgi/mitemite/1289833811/104
http://yuzuru.2ch.net/test/read.cgi/mitemite/1289833811/105


宜しければ他の方たちの作品も。
http://yuzuru.2ch.net/test/read.cgi/mitemite/1289833811/
【長編文章】鬼子SSスレ2【巨大AA】
106 :歌麻呂 ◆Bsr4iViSxg [sage]:2010/11/23(火) 01:37:50 ID:klPzMkvr
>>113
おお、これは参考になる意見……!
早速実践してみましたが、大丈夫でしょうか?
【小日本】萌キャラ『日本鬼子』製作18【投票中】
973 :歌麻呂 ◆Bsr4iViSxg [sage]:2010/11/23(火) 01:46:26 ID:klPzMkvr
>>967
音麻呂さんの声カッコいいw
この歌詞凄いなあ……。
まさにロボット物ってところを射抜いてて。

日本鬼神!
【小日本】萌キャラ『日本鬼子』製作18【投票中】
978 :創る名無しに見る名無し[sage]:2010/11/23(火) 02:52:38 ID:klPzMkvr
>>962
あぁ、どんどん吸い込まれていく。
鈴を鳴らしながら、紅葉の中を駆けて、遊んで、くるっとまわる。
そんな情景が、浮かんで、それで、ちょっとだけ泣いた。
【小日本】萌キャラ『日本鬼子』製作19【決定】
79 :創る名無しに見る名無し[sage]:2010/11/23(火) 22:48:44 ID:klPzMkvr
連理の枝。
【長編文章】鬼子SSスレ2【巨大AA】
113 :歌麻呂 ◆Bsr4iViSxg [sage]:2010/11/23(火) 23:06:11 ID:klPzMkvr
>>107
ありがとうございます!
これからも皆さんを鬼子萌え、こにぽん萌えを広げていきたいと思っております。

>>109>>110

【長編文章】鬼子SSスレ2【巨大AA】
114 :歌麻呂 ◆Bsr4iViSxg [sage]:2010/11/23(火) 23:13:18 ID:klPzMkvr
>>109-112
ヒワイドリとヤイカガシ、なんだかんだで仲いいなぁ……。
それから、毎度毎度こにぽんに癒されます。悶え死にそうです。
戦うこにぽん、戦う描写、美しい……。ちゃんとストーリーが出来ていて、読んでて楽しかったです。
んー、いいなあ。
【小日本】萌キャラ『日本鬼子』製作19【決定】
93 :歌麻呂 ◆Bsr4iViSxg [sage]:2010/11/23(火) 23:25:22 ID:klPzMkvr
>>85
やっぱり「例のアレ」なんですねw
もはや格式美となりつつあるような……。
音麻呂さんの歌は、心の奥のほうにまで響いてくる。


たんぽぽ丸とか、しろつめ丸とか、つくし丸とか可愛らしいなあ……。
  【しろつめ→クローバー→幸せよぶよ!】
  【つくし→身を尽くし→すごく頑張り屋さんだよ!】
みたいな妄想。


   小犬の尾 ひたふるなかれ 野の雪の 萌え木隠す夜 とこに出づる芽

妄想ということで、沓を被って折った句を詠んでみた。


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