- ラノロワ・オルタレイション part11
239 :囁かれる者と喰らう者 ◆UcWYhusQhw [sage]:2010/11/23(火) 01:01:36 ID:4ZEPFn8X - 「ウィスパード?」
もふもふと口にサンドイッチを頬張りながら、目の前の食いしん坊もといインデックスさんが首を傾げている。 何故なら、それは私が彼女に自分の物語である国家機密レベルの単語を彼女に聞いたからだ。 「ええ、そうです。ささやかれる者……ウィスパード。その様子だと、どうやらご存知無いようですね」 「うーん……少なくともその単語には覚えが無いんだよ。具体的にはどんなものなの?」 ウィスパード、ささやかれる者。 全世界でもこれに覚醒してるものは数人に限られる。 潜在的にはもう少し増えて数十人。 存在し得ない技術、ブラックテクノロジーを引き出す能力だ。 その名の通り、囁きが聞こえその知識を得、引き出すのだ。 またウィスパードになった者は知性が増え、天才へとなっていく。 そして、私――テレサ・テスタロッサもそのウィスパードの一人である。 最も、ウィスパードの中でも個体差があり、私は現在の技術より遙に進んだ潜水艦を作る程度しかできない。 最後にそう自嘲しながら、私はウィスパードを掻い摘んで説明する。 あの兄はきっとそんな風に私を思っているのだから。 「ふーむ……直ぐに浮かぶのは、そのまんま悪魔の囁きだね」 「悪魔の囁きですか?」 「そう、身に余る技術、魔術は時に人を滅ぼしてしまう。そういう意味では悪魔の囁きといえるのかも」 「それは…………」 私は反論しようとして、口を噤んでしまう。 確かにそれは一理あるのかもしれない。 ウィスパードとして生まれ、覚醒したかなめさんは否応なく非日常の世界に足を踏み入れてしまった。 ウィスパードはその能力故に、色々な所から狙われやすい。 かなめさんも例外に漏れず、そして浚われてしまった。 また、ウィスパードのブラックテクノロジーによって、紛争や戦争を更に広げた一面もあるかもしれない。 でも、だからこそ私はこの授かった技術や知識を平和に利用できるように努力してきた。 したつもりだった。依然として、平和にはほど遠く、そして今現在の状況は更に混迷している。 私の部下もその中で沢山死んだ。 そして、この殺し合いでマオすらも失ってしまった。 本当…………何やっているんだろうな。 私は滅入る気持ちを吹き飛ばす為におしるこを一気に飲み干す。 今は、前だけを見なければならない。 後悔を未来につなげる為に。 自問を繰り返しながらも、前を、ただ。
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241 :囁かれる者と喰らう者 ◆UcWYhusQhw [sage]:2010/11/23(火) 01:02:38 ID:4ZEPFn8X - 「後やっぱり神託、予言といった類が思いつくかも」
「成程。私は何処かの未来から精神波が送られてる……と考察してましたね」 「未来からのテレパシーか。有り得なくもないかも……ともかく、私の十万三千冊の魔導書の中にはウィスパードは記されていない。 未来の科学の超技術を受け取る能力というのは初めて知ったんだよ」 「そうですか……」 「けれど……」 頬張っていたサンドイッチをインデックスさんを飲み込んで、お握りへ手を伸ばしながら彼女は言う。 どうでもいいが、まだ食うのだろうか……? 予想以上の彼女の食欲に私は妙に不安に覚えた。 しかし、続く彼女の言葉に私はハッとする。 「その能力をどう捉えるか、そしてどう使えるかはやっぱりその人の気持ち次第だよ」 そうなのだ。結局そうでしかない。 私が授かったこの知識をより良い方向に持っていくには、私がどう思うかなのだから。 この力を未来につなげる為に。 自分を誇れる為に。 私は、頑張ろう。 精一杯、頑張っていこう。 そう思ったら、私は笑う事ができた。 とても柔らかい笑みで。 インデックスさんがホットドックをくわえながら不思議そうに見つめているけど、少し恥ずかしいけれども気にしない。 何となく、今は笑っていたいのだ。 例えこんな残酷な場所でも。 あの時、笑えていた川辺の時のように。 私は笑っていた。 「それで、何を観測します?」 ウィスパード関連の話が一段落した所で私は本題を切り出す。 天文台に来た目的がこれだ。 星を観測し、解る事を突き詰める事が私達がやる事だ。 「うーん……そうだね……でも、まず此処が『地球の何処か』を再現したものだと断定するには、まだ早いと思うんだよ」 「しかし、数々の『物語』を見る限り、何かしら特異なものがあるものの、地球である事は確かだと思いますが」 神社に集まった物語は紅世の関連者や魔術などを行使する世界があるものの、地球を舞台とした物語だったはず。 だから大方、此処も地球を模した世界である事は配置してるランドマークからみても、可能性は高いはずだ。 「んーでも……まだ何処に属しているか不明の人間が結構いたはずなんだよ。ほらやたら名前が長い外国人の人とか」 「ああ、居ましたね」 「特にあの人の姓の一部は『地球の世界』では余り見られないものもあったはず。少なくとも可能性がある以上、断定するのは危険だと思うんだよ」 彼女はそう言いながら、ハムサンドを口にした。 ……あっ、それは私の……………… 最後に食べようと残していたのに………… というか、なんという食欲ですか……
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243 :囁かれる者と喰らう者 ◆UcWYhusQhw [sage]:2010/11/23(火) 01:03:19 ID:4ZEPFn8X - 「? どうしたのだよ?」
「い、いえ何でもないです。ともかく、地球でない別の世界である可能性もありえるという事ですね」 こほんと私は息を整えながら、不思議そうに見てる彼女の考察を肯定した。 ならば、彼女が提案してくるものも推測できる。 「うん。だからとりあえず此処の一体、天体を観測して『地球の天体』との類似点がどの程度あるか調べたいんだ。協力してくれるかな?」 「ええ、勿論いいですよ」 「ありがとうなんだよ」 予想通りの提案に私は頷き、当座の目標は決まった。 もう暫くしたら、ヴィルヘルミナさんからも連絡があるはず。 そして三回目の放送もある。これで何かしらの動きはあるはずなのだ。 今は連絡が途切れた御坂さんの無事を祈るしかない。 だから、私達が今出来る事はスムーズに天体観測を始める事だ。 私はそのまま立ち上がり、 「さあ、インデックスさん準備をしましょ……」 「まってなんだよ。このイカの丸焼きを食べてから……」 ずるぺたーんと思わず何も無いのに滑って転んでしまった。 私は思いっきりお尻を打ちながら、呆れ気味にインデックスさんを見つめる。 何とも幸せそうにイカを頬張っていた。 私は打ったお尻をさすりながら、まだ食う彼女を見て溜息をついてしまう。 「しかし……貴方の凄い食欲を賄える人は凄いですね」 私は彼女の面倒を見ているらしい少年につい同情してしまう。 こんな食欲だと食費は酷くかかるだろうに…… けれど、インデックスさんは笑って 「うん、とうまは凄いんだよ。なんでも解決しちゃう」 ただ、無垢に笑って。 「だから、早く会いたいな」
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244 :囁かれる者と喰らう者 ◆UcWYhusQhw [sage]:2010/11/23(火) 01:04:09 ID:4ZEPFn8X -
真っ直ぐとも言える想いを彼女が大好きな少年に向けていた。 私はそんな彼女を見て、思わず笑みが溢れて。 「早く会えるといいですね」 「うん!」 彼女の力強い同意が、二人しかいない天文台に響いた。 そして、陽が沈み、三回目の放送がやってくる。 けれど、私はそれを以前より強い気持ちで迎えられる。 そんな気がしたのだ。 【B-1/天文台/一日目・夕方(放送直前)】 【テレサ・テスタロッサ@フルメタル・パニック!】 [状態]:健康 [装備]:S&W M500(残弾数5/5) [道具]:デイパック、支給品一式、予備弾x15、調達物資@現地調達、不明支給品x0-1 [思考・状況] 基本:皆と協力し合いこの事態を解決する。 0:放送を待つ。 1:インデックスと協力して天体観測を行う。 2:メリッサ・マオの仇は討つ。直接の殺害者と主催者(?)、その双方にそれ相応の報いを受けさせる。 [備考] 『消失したエリア』を作り出している術者、もしくは装置は、この会場内にいると考えています。 【インデックス@とある魔術の禁書目録】 [状態]:健康 [装備]:なし [道具]:デイパック、支給品一式、カップラーメン(x1)@現実 試召戦争のルール覚え書き@バカとテストと召喚獣、缶詰多数@現地調達、不明支給品x0-1 [思考・状況] 基本:みんなと協力して事態を解決する。 0:放送を待つ。 1:テッサと協力して天体観測を行う。 3:とうまの右手ならあの『黒い壁』を消せるかも? とうまにはやくあいたいんだよ [備考] 『消失したエリア』を作り出している術者、もしくは装置は、この会場内にいると考えています。
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246 :囁かれる者と喰らう者 ◆UcWYhusQhw [sage]:2010/11/23(火) 01:05:05 ID:4ZEPFn8X - 投下終了しました。
沢山の支援ありがとうございます。 此度は期限を大きくオーバーしてしまい大変申し訳ありませんでした。 何かありましたら、指摘をよろしくお願いします。
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