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創る名無しに見る名無し
『能面』 ◆BY8IRunOLE
『能面』
◆BY8IRunOLE
都道府県擬人化スレ
和風な創作スレ 弐
【後書き】自作品の裏話を語るスレ【裏設定】

書き込みレス一覧

都道府県擬人化スレ
165 :創る名無しに見る名無し[sage]:2010/11/19(金) 00:18:20 ID:q1IQA5cP
>>157
コワイよね!
だっ誰か! 豆を持てぃ! 

>>164
響都(←これ変換候補で出たんだよ。雅やわぁ♪)
頭狂(←これもね。ホントだよ!)
和風な創作スレ 弐
52 :『能面』 ◆BY8IRunOLE [sage]:2010/11/19(金) 22:35:32 ID:q1IQA5cP
【終幕】

牟島は日が高くなるまで慎太郎の店にいた。
彩華は昼寝をしている。

牟島は、慎太郎に言った。
「今夜、丘田屋に踏み込む。あの娘にも協力してもらいたい」
「何度も言わせるな……」
「貴殿が蔵から見つけ出した証文は、丘田にとって非常に都合の悪い代物だ。
それがここにある限り、貴殿と、あの娘は刺客につけ狙われることになるんだぞ」
「……」
「夕時、また来る。俺は、あの娘に今夜のことを話す。あいつは、貴殿を護るために俺たちと一緒に来るだろう」

慎太郎は、苦々しい気持ちで聞いていた。

「一つ、頼み事をきいてはくれまいか」
「何だ?」
「丘田屋の一件が落着したら、彩華を自由にしてやってくれ……。
あいつが、自ら黒場会に入りたいと言うのなら、それで構わない。
でも、俺はあいつに、自分の人生を生きてもらいたいんだ。ここを出ていっても、それはそれでいい」

「……約束するぜ」

牟島が暇をしようと立ちあがった頃、彩華が起きてきた。


〆 〆 〆

和風な創作スレ 弐
53 :『能面』[sage]:2010/11/19(金) 22:38:06 ID:q1IQA5cP

雲が月を覆い、空気が湿気を含んで重く感じる。
彩華は、黒場会の連中数人とともに、夜更けの道を歩いていた。

丘田屋に踏み込む――
そのことを思うと、脇差を持つ手が震える。

「怖いか」
牟島は、右腕一本で闘うつもりで、鉈だけ持って同行している。作務衣の下の大腿には、
包帯がかなりきつく巻いてあるはずだ。

「怖くなんか……」
彩華は言い淀む。

丘田屋の屋敷には、数十人の浪人崩れや荒くれ者が集められているという話だった。

「怖いときは、何が怖いか、言っちまうほうがいいんだ。俺も、怖い。こんな身体で、丘田屋の用心棒集団と
渡り合えるとは思っちゃいない」
「……」


丘田の屋敷の裏手に回る。

戸板を盾のように持った鳶たちが、塀に登る。

案の定、そこを矢で狙い撃ってきた。
盾で防いで、塀の向こう側に飛び降りる。

が、庭に埋められた何本もの槍の穂先が、最初に飛び降りた鳶の若者に深手を負わせた。

「怯んでんな! 続けっ!」
牟島は叫ぶなり、盾を下敷きにして飛び降りる。

鉈で穂先を薙ぎ払う。
そこへ矢が飛ぶ。

「源堂!」
彩華は、飛び降りるやいなや、脇差で矢を弾いた。

「へ、おめぇ……とんだ芸当ができるんだな」
牟島は冷や汗を拭って、鉈を握り直した。

和風な創作スレ 弐
54 :『能面』[sage]:2010/11/19(金) 22:40:42 ID:q1IQA5cP

黒場会の若衆は、玄能や手斧を投げ、屋根上から矢を射掛ける連中を倒していった。

「頭! ここはオレらが」
「よし、任せた。押し入るぜ、お前も来い!」」
牟島は彩華を促し、屋敷の縁側から廊下へ上がる。

そのとき、障子が蹴られて数人が斬りかかってきた。
彩華はすかさず脇差を振り抜き、浪人たちを斬り伏せる。

暗くて狭い屋敷の中。
得意の跳躍や立ち回りをしようにも、動ける範囲は限られる。

剣は躱すのでなく、防ぎ受け止め、力で押し切って、少しでも斬りつけなければならない。
力で劣る彩華には、不利な条件だ。

しかし、小柄な体躯が幸いし、押し入れや柱の陰、わずかな障害物を盾に、彩華は攻撃を逃れた。

――「斬る」んじゃない、「突く」んだ。

彩華は、脇差を逆手に持ち、慎重に歩を進める。
気配を察し、必要最小限の動きで敵の動きを奪う。

斬るよりずっと生々しく、嫌な感触が残る。
生暖かい返り血が頬に飛ぶ。

そうして、何人を刺しただろうか。

――狙うは一点――。

彩華は奥の座敷を目指してずんずん進む。

余計なことは考えない。
気を張っていないと……、自分のしていることが、恐ろしくなってしまう。


“敵”を斬ることに、躊躇いは無い。
けれど、決して慣れることもない。

剣を抜くのにふさわしいと誰もが認める理由など、ありはしない。
彩華は、自身に拠って立つしかない。

今は、この悪党を倒すこと。そして慎太郎の平穏な生活を取り戻す。
それが「正しいこと」かどうか考えるのは……、他の人に任せよう。


〆 〆 〆

和風な創作スレ 弐
55 :『能面』[sage]:2010/11/19(金) 22:44:02 ID:q1IQA5cP

――今頃は、討ち入りが始まっていることだろう。

月の見えない真っ暗な空を見つめ、慎太郎は思いを巡らせる。


先代から継いだ店が寂れていく。
それは、必然と思っていた。

――俺だって、やりたくてやっているわけじゃない。
いつでも、頭の片隅でそう思っていた。

店がうまくいかなくなったのと、慎太郎が皮肉口調になっていったのは、ほぼ同時期だった。

物事に対して斜に構え、真正面からぶつかることを避けていた。
ぶつかれば、力及ばず打ちのめされることが分かっているからだ。
傷つくことを避け、言い訳を重ねて今に至っている。

――俺はいったい、何をしているんだ……?

自らの行いを見直すきっかけは、彩華だった。

彩華の、まっすぐな眼差し。
はじめは、気にも留めなかった。けれど、次第に気にかかるようになった。

――あいつを支える信念は、何なのだ?

その疑問は、慎太郎自身へ翻る。

――俺は、何を信念に生きている?

振り返れば、自身の行いがひどく醜く思える。
仕方が無い、という諦めは、前に進む努力を放棄していることだ。

けれど、人はそう簡単に変われるものではない。
何か、大きな契機が無い限り……


――彩華……絶対に死ぬなよ。生き残って、ここへ帰ってこい。
帰ってきたら、お前に暇をやる。好きなところへ行っちまえ。

――俺だってな。本気になりゃ、できるんだ。命張るのは、お前だけじゃないんだぜ。


「もう、見ないふりをして逃げるのは、やめだ」


〆 〆 〆

和風な創作スレ 弐
56 :『能面』[sage]:2010/11/19(金) 22:48:59 ID:q1IQA5cP

彩華が障子を勢い良く引いた。

部屋には、丘田長慶が――

狼狽しきった顔で、彩華を見ていた。

「く、来るな! い、命が惜しくば、来るな!」
丘田は、彩華を見て刺客だと察知するや、床の間の刀を手にして抜いた。

――悪党の親玉は、こいつだ。

彩華は、丘田の顔を知らなかったが、直感で判った。

がたがた震えながら、丘田は床にへたりこみ、かろうじて刀を持っているような状態だった。


先ほどまでの恐怖や、圧迫感が嘘のように引いていく。

彩華は脇差を袖で拭い、鞘に収めた。

そして鋭い眼で睨みつける。
瞳は血のように赤く、怒りに満ちている。

それでも静かに、押し殺した声で、訊く。

「縞田屋の若旦那、丘田屋の番頭、それに、慎太郎の父上を殺させたのは、あんたか」

「し、慎太郎……? あ、あぁ、子延の倅だな。そ、それが、ど、どうした」

脇差の鍔に手をかけたまま、彩華はさらに訊く。

「なぜ、殺した」
「わ、我々に、し、し、従わなかったからだ。は、はは、ば、馬鹿な奴だ、
さ、さんざん、引き、立てて、立ててて、やややった、といいうのに」

――最低な奴だ。こんな奴に生きている価値など無い。

失望感が湧いてきた。
そのことに、ほんの少し、戸惑う。

――どうしてだろう……、こんな下衆にも、なにかを期待していた?

眼を伏せた時、わけのわからない叫び声とともに、丘田が斬りかかってきた。

彩華は、脇差を抜き払った。

「ぐはっっ!」
右手には、精確に頚を斬った感触。

丘田は弾かれたように後方へ吹っ飛び、頚から血を吹いて動かなくなった。

嫌な感触が、右手にまとわりついていた。


〆 〆 〆

和風な創作スレ 弐
57 :『能面』[sage]:2010/11/19(金) 22:52:30 ID:q1IQA5cP

『丘田屋』の当主、丘田長慶は何者かの襲撃を受け、死亡した。

屋敷からは、丘田屋の悪事を示す証が多く見つかり、奉行所が大々的に検めに入ることとなった。

慎太郎の家の蔵から発見された証文も、それを後押しする重要な証拠となった。


子延家の借金は、根も葉もない偽りのものであり、返す義理も無いものだった。

かくして、慎太郎のもとには財産が返ってきたが、それでも半分程度しか回収できなかった。

「俺の甲斐性の無さの現れ、というわけだ」
そう言って慎太郎は情けなく笑った。



『休み処 子延』は、若い職人たちが集まる場所として生まれ変わりつつある。

――未来ある職人や芸人の卵たちが、存分に腕を磨ける場所にしたい。
無給だが、志ある連中が前向きに頑張れるような場所にしたい――

そういう慎太郎の思いのもと、小料理や蕎麦、茶を出したり、店内で唄や三味線を聴かせたりする。
残った田畑で、僅かながら菜園も始めた。

慎太郎自身も、料理や小咄などを身につけるべく努力している。

「蕎麦打ちなら、俺が教えてやるぜ」
そう言って牟島がやってきたのは、騒ぎが収まってすぐだった。


「ところで、あの娘はどうした」

「彩華は……、旅に出た」

「……そうか」

慎太郎は、奥の茶箪笥から一筆箋を取り出すと、牟島に渡した。


「寂しいか」
牟島は手紙から目を上げると、言った。


「まあ、な」

二人の男は、秋の気配をにじませてきた夕暮れの空を見ながら、
今は遠い地であろう少女のことを想った。





          了


.
和風な創作スレ 弐
58 : ◆BY8IRunOLE [sage]:2010/11/19(金) 22:59:42 ID:q1IQA5cP
↑以上、これにて終了で御座い

※本作品は、↓のスレのレス番91のキャラ設定を使って書いたものです(完全オリジナルではありません)
http://www26.atwiki.jp/sousaku-mite/pages/44.html


長々と占有してしまって、申し訳ありません
他の方も、どうぞ気軽に投下してくださいな

【後書き】自作品の裏話を語るスレ【裏設定】
17 :創る名無しに見る名無し[sage]:2010/11/19(金) 23:22:30 ID:q1IQA5cP
ふ〜疲れた…… やれやれ

ちなみに、今後もあのスレではああいう感じで設定だけとかあらすじだけとか、
そういうのから話をでっち上げるってーコンセプト(笑)でやってくつもりでいます

合作スレでもいいんですけど……リアルタイムではないので(過去の投下から拾ってくるので)



……設定を生かしきれなかったなー。キャラはすごくいいのに……
やっぱりダメなものは書き直してもダメねww


      ヽ○ノ   
       /
      ノ)



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