- 【長編文章】鬼子SSスレ2【巨大AA】
43 :GoGo! ひのもとさん1/3[sage]:2010/11/18(木) 20:47:36 ID:EnYKEw2Y - 前回のあらすじ――白熱するヤイカガシ×ヒワイドリ、動き出したガンダムには謎の呪符が貼られていた。鬼子さんに忍び寄る日本狗の影。
巨大化した鬼子さんの反応速度はわずかに鈍くなっていた。何しろ通常の4倍ほどもある巨体である。 ヤイカガシの声がその耳に届いた時にはもはや手遅れの様子。敵の魔手は、すでに鬼子さんの周囲のビルにまで及んでいた。 ビルの影に潜む闇が甲殻虫のようにてらてらと蠢き、電灯が紫電の舌をちろつかせている。 それらは明らかに邪悪な存在の発露であったが、時は神無月、神の悪戯であるとは期待すべくもなかった。 「バン・ウン・タラク・キリク・アク!」 恫喝のような声で五つの呪文が唱えられ、その一句につき一本ずつ、電柱のような光線が生まれ、鬼子さんをぐるりと取り囲むように走った。 「『オォぉ〜ドゥァぁ〜(中居正広風に) 五芒星の陰陽道風結界、明王金縛りいぃ〜』!」 宙に浮かんだ五芒星は、不可思議な力で鬼子さんの体の自由を奪っている。縄のように縛り付けているのではなく、あたかも前から定まっていた物理法則のように彼女の力を自然といなし、その結界の中心に押し留めようとしている。 「ぐっ……これは……っ!」 動揺する鬼子さんの目に、ビルの向こうから飛んでくる人影が映った。 よほど引き絞ったバネで飛ばされてきたような高速、錐揉みする松の種のようなデタラメな回転。 「おのれ、日本(ひのもと)……狗(くぅ)っ……」 現れたのは日本狗、背後に煌めく翼の軌跡を残して、真っ赤な天狗の面を前に突き出し、山賊のような鎧を纏った偉丈夫だ。 そいつがFFの主人公を彷彿とさせる巨剣を、鬼子さんの頭の上でふるった。 「ふんぬぅぅうぅぇえいっ!」 ぱきゃん! 瀬戸物にヒビが入ったような音がして、鬼子さんの頭から般若の面がずり落ちた。 その瞬間、般若の面が苦悶の言葉を叫び、穴という穴から熱風と光を放った。鬼子さんの巨大化した体は穴の空いた飛行船のようにみるみる萎んでいく。 身長も6メートルから160センチ弱ぐらいに、GカップもCカップくらいに縮んで、籠に入れてもって帰りたいぐらいの16歳の女の子になり、依然宙に浮かぶ五芒星の下にへなりと座り込んだ。 どうやら完全に動きを封じられてしまったらしく、鬼子さんは微動だにしない。 偉丈夫は翼をひとふりして遥か先の路面に降り立った。 アスファルトを側石ごとえぐるほどの大きな爪を持った両足は、まるで獣の脚に酷似していた。獣の姿をしているのは脚だけではない、その腕、肩、首筋までもがすべて堅い体毛で覆われている。 まるでFF10の世界からひょっこりやって来た二足歩行の獣である。 「くぅちゃん……」 うつむく鬼子さんの脇に、般若の面ががしゃんと落ちた。 「その般若は煩いので黙ってもらった」 日本狗はおもむろに立ち上がると、鬼子さんの方に向きなおった。 鎧の至る所に貼り付けられた呪符が音もなく風にそよいで、獣の四肢に不気味な気配がまとわりついている。真っ赤な天狗の面の下からは、醜い獣の鼻つらがはみ出してひくひくしていた。 その鼻つらがもそもそ動いて、鬼子さんに人の言葉を投げかけた。 「これしきで動けぬとは。日本(ひのもと)の名が泣いておるぞ、日本鬼子」
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44 :GoGo! ひのもとさん2/3[sage]:2010/11/18(木) 20:48:45 ID:EnYKEw2Y - 「くぅ〜っ!」
どこからともなく、と言っても過言ではない何も無い場所からとつぜん童女が駆けてきて、その肩によいしょとよじ登った。 「ちょっと、私が乗ってあげるんだから屈むか手を貸すくらいしなさいっ」 日本狗をがじがじ噛んで文句を言っていた。一見すると普通の着物姿の女の子だが、日本狗と同様に夜目にも目立つ獣の耳を持っている。 天狗の面のかわりに卵形のキツネの面を頭に乗せ、梅柄の着物の裾から二本の尻尾をふさふさと動かしている。 耳には白いヘッドホンを装着し、膝の上でノートパソコンを開いてなにやらパチパチやっていた。 明らかに初めて目にする人物であったが、その顔は鬼子が以前見知った小日本そのものである。 「まさかあのデカブツが一撃とはねー。これだから鬼族の攻撃力は侮れないわー」 「大した分析力だな小日本、すでに分かりきった事を」日本狗は皮肉を漏らした。 「い、いいのよ趣味でやってんだからー。あんたこそあんな弱っちいの作ってどうすんのよー」 小日本は、こっちみんなと言わんばかりに天狗の面の長い鼻を押しのけた。 いったい何が起こっているのか、鬼子さんにはまったく理解できない事態だった。 「こにぽん……」 「気安く呼ばないでくれる?」 心の底から不快感をあらわにする小日本に、鬼子さんはじわっと目に涙を浮かべた。 「どうしたの、こにぽん、急にお姉ちゃんのことが嫌いになったの?」 「あらら、まだ気づかないわけ? お姉ちゃんはねー、キツネに化かされてたのよー」 「小日本、あまりしゃべり過ぎるな」 小日本は小言を言う日本狗の首にまとわりついてクスクス笑った。 「酒呑童子の血を引く貴女も、場合によっちゃ私たちの仲間に入れようかって話だったけど。幻術への耐性がゼロじゃ、ちょっと考えどころよねー。全然私たちの正体に気づかないんだから焦ったわ」 「私がキツネに化かされていたからって、どうしたの? こにぽんは、こにぽんでしょ?」 生成鬼子さんの真っ直ぐな表情に、小日本の表情が固まった。 「先にお風呂での質問に答えておくわ。高貴な妖狐さまが鬼と一瞬に暮らすなんて、言語道断。考えただけでも虫ずが走るっていうの。どうしてくれるのよ、この尻尾。毛が生え替わるまでにおいが抜けないじゃないの」 ふさふさの尻尾に鼻面を突っ込み、苛立たしげににおいを嗅いでいた。 そのとき、前かがみになった弾みでぶかぶかの狐の面がずれた。 小日本は尻尾に顔をすりすりしながら、まどろむネコのような声を出した。 「ふにゃあ〜、お姉ちゃんの匂いがするぅ〜、だい好き、だい好きぃ〜」 はっと我に帰った小日本は、慌ててキツネの面を被り直し、きょろきょろと辺りを見回した。 今のはいったい何だったのか、鬼子さんにもよく分からない。小日本はふいに動きを止めて、鬼子さんと見つめあった。 「……なによ、その鬼が豆知識をひけらかしたような顔は」 その時、日本狗は何の前触れもなくぐるると唸った。 不意にビルの屋上から声が響く。 「それを言うなら、『鳩胸が豆乳に出会ったような顔』だろう?」 日本狗はすぐさま臨戦態勢に入った。彼の肩に乗っていた小日本は、振り落とされそうになりながらノートパソコンを開いた。 「上だ」 「気をつけて、この品のないおっぱいジョークはヒワイドリよ!」 鬼子が見上げればビルの屋上、満月を背に痩躯の男が佇んでいた。 先ほど復活したばかりなのか、まだ復活のライトエフェクトが消えておらず、派手な服装のあちこちで星くずのようにキラキラと光っている。ヒワイドリ(集合体)は小日本をびしりと指さした。 「へぇ、とっくに俺の調べもついているとはさすがだな、そこの虚乳ちゃん」 小日本は喉を詰まらせたような顔をして、無い胸をぺたぺたとまさぐった。 「きょっ!? きょ、きょ、きょ……って、え、でもちょっと、字が、字が違う……! はっ……むかぁぁぁぁっ! おのれわらわを愚弄するとは卑劣な、断じて、断じて許さぬっ!」 キツネの面を真正面に被った途端、小日本の尻尾が扇のように持ち上がり、わらわらと数を増していった。 ヒワイドリは相変わらず涼しげな表情を崩さない。 「怪器《金狐の白面》か……やべぇな、こりゃ」
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45 :GoGo! ひのもとさん3/3[sage]:2010/11/18(木) 20:50:52 ID:EnYKEw2Y - 鬼子さんがなんとか体を動かして、懸命に声を振り上げた。
「やめて、あなたでは絶対にかなわない! ヒワイドリ、逃げて!」 「鬼子、違うな。敵うとか、敵わないとか、そんなのは問題じゃない」 ヒワイドリ(集合体)の目がぎらりと光り、苦みばしったように顔をゆがめた。 「愛しの女を泣かされて! 傷のひとつも作らずに逃げられるかよ! たとえそれが死亡フラグだと分かっていても、俺はゲットする!」 「身の程をわきまえん奴め……」 「ふにゅあああっ!?」 肩に乗っかっていた小日本を放り投げて、日本狗が前に進み出た。全身から放たれる殺気が吹雪のように吹き荒れ、彼の足元にうっすら霜がおりている。 対するヒワイドリは両腕を広げ、飛べない鳥が飛び立とうとするかのように、決意を秘めた目で日本狗を見下ろした。 「午後七時は酉(オレ)の刻(じかん)……イッツ・ゴールデンタイムだっ」 「力無きトリよ、お前はひとつ思い違いをしている」 その声が耳に届いたかどうかは定かではない、ヒワイドリの目がかすかに揺れた。 気づけば彼の頬の真横から、一本の剣のようなものが先ほど日本狗のいた――そして今はいない――場所に向かって伸びていたのだ。 日本狗が彼の背後で囁いた。その天狗の面の下で、獣の口吻が鋭い牙を剥いていた。 「午後七時は……戌(ワタシ)の刻(じかん)だよ」
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46 :GoGo! ひのもとさん3/3[sage]:2010/11/18(木) 20:52:35 ID:EnYKEw2Y - >>25>>26 歌麻呂さんパネェwwwww何もんですかあなたwwwwww
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