- 【小日本】萌キャラ『日本鬼子』製作17【募集中】
449 :>>209に捧ぐSS[sage]:2010/11/16(火) 15:13:08 ID:YrKdrkSm - 1レスのSSです。興味のない方は読み飛ばして下さい。
「あ……」 日も傾きかけたその時間、台所に立った日本鬼子は食器用洗剤がないことに気付く。玄関の引き戸を開け、彼女は庭に呼びかけた。 「お〜い、わんこ〜」 呼びかけにすぐ反応したのか、布団や衣類の掛かった物干し竿の裏から水色の髪の毛をした少年がふてくされた表情で姿を現す。 「その呼び方やめろって、何回言えば分かるんだよ……」 「だってこうやって呼んだ方が、あんた素直に出てくるじゃない。あ、洗濯物見張っててくれた? 最近、ちっちゃい 鳥とか魚みたいな恰好した不気味なUMAが私の下着を狙ってるんだから、あんたも目を光らせてなさいよ」 「お前の下着なんて狙う物好きなんてそういねえよ。不安なら鳴子でも巡らせとけ」 ちょっと山を下りればコンビニだってあるご時世に、鳴子とはまた古風な。 「そんな物設置したら、わんこが一番に引っかかるじゃない」 絵に描いたような反抗的な顔をしている少年が、ますます険悪な顔つきになっていくのを観察するのが、最近の鬼子の趣味である。 「お前、俺のことどんだけ舐めてんだよ……」 どこまでも、と言いかけた鬼子はどうにか言葉を飲み込んだ。今は機嫌を取らねば。 「舐めてるなんてとんでもない。それより洗剤ないからふもとまで乗せてってよ」 「冗談じゃねえよ。お前みたいな重いもん背負って往復してられるか」 「じゃあ一人で行ってきてね。はい。お釣りでお菓子なんて買ってきたら、ご飯抜きだからね」 鬼子は着物の袖から紙幣を取り出し、少年の手に握らせる。 「面倒くせえな……そもそも自分で行ってくりゃいいだろ」 「今日はおそばにする予定だったんだけどな〜。私が行ったら夕飯遅くなるだろうな〜」 少年の頭頂部の両脇に生えた、犬のような耳がぴくりと動くのを鬼子は見逃さなかった。交渉成立だ。 「……行ってくる。そばがなかったら承知しねえからな」 「はいは〜い、お気をつけて〜」 優雅に手を振りながら、着物を着た犬耳少年が山林へと入って行くのを見送る。 「さてと……今日は山菜料理にしましょう」 所詮作るのは私だ。私が食べたいのだ。文句など言わせない。まずは出しっぱなしの洗濯物を片付けねば。 「ん……?」 物干し竿のそばで、不細工UMAが二匹倒れていた。白目を剥き、口から泡を吹いている。 「くやしいのう、くやしいのう……イケメンモードなら、あんなケモノっ子に遅れなどとらんのに……」 「あんな犬耳小僧の方が俺たちよりいいのかよぉ、鬼子タァン……」 日本狗が駆除したのか。 「……何よ、文句言いながらもしっかり番犬してるじゃない、あいつ」 とことん可愛くない奴だ。 「山菜はやめて、晩御飯は鰯と鳥肉にしようかしら……」 『ヒイッ!』 人語を操る謎のUMA二体が脱兎の勢いで山へと逃げ帰るのを見届けながら、鬼子は笑う。 「逃げられちゃった」 それでは仕方がない。気分ではないが、そばでも作ろう。 終わり
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