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歌麻呂 ◆Bsr4iViSxg
創る名無しに見る名無し
【長編文章】鬼子SSスレ2【巨大AA】
【小日本】萌キャラ『日本鬼子』製作17【募集中】

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【長編文章】鬼子SSスレ2【巨大AA】
25 :歌麻呂 ◆Bsr4iViSxg [sage]:2010/11/16(火) 16:03:14 ID:JIbvnC/y
暇だったので書いていたものを投下。内容は少し硬め。
完結したやつではありませんが、まあ宜しくお願いします。
ひとまず二つレス使います。


 フグには毒がある。でも、フグ自身はその毒に気付くことはない。無意識に、その武器を備えていて、無意識のうちに自分の身を守っているんだ。
 ……幸いにしてか、不幸にしてか、僕は自分に毒があることを知っている。でも、僕はフグでもヘビでもない。
 ヤイカガシという、守り神だ。
 神さまと言っても、きっと誰からも崇められない、身分の低い神さまだ。神さまに身分があるのも変かもしれないけど、疫病神というものもいるくらいだし、この国にはありとあらゆる神さまがいる。だから自然と身分が出来てしまうのだ。
 カイカガシ一族は、このボヨボヨした皮膜から強烈な臭いを発し、その疫病神を追い払うことだけを生きるサダメとして、千歳の時を渡ってきた。何代も何代も、ただ疫病神を払うために。
 月読サマや天照サマのように手を振るだけで世界に色を付けるような、そんな素晴らしい力はないけれど、何か湧き出る魔法のようなもので疫病神を撃退しているのだと、ずっと信じて疑わなかった。
 友人のヒワイドリ君が言うには、確かに僕たちの一族には特別な魔法を備えていた。
「お前さ、言うの我慢してたんだが、ぶっちゃけ、マジでくせえ」
 滲み出る粘液からの悪臭。これが、僕の魔法だった。疫病神だけでなく、ありとあらゆるものを退ける、疫病神より厄介な魔法だった。
 急に、ヒワイドリ君のことが怖くなった。
 随分と長い間親しくしていたけど、その間この体臭に耐え続けていたのかと思うと、何か、申し訳ないような、球体の上からするりと滑り落ちるような、そんな感覚が肝だか胸だかを一気に冷却し、川底に突き落とされた気分だった。
 ヒワイドリ君としては何気ない一言だったのかもしれない。
 でも、本当は僕のことを嫌っていて、昔馴染みのよしみで嫌々共に行動をしていたのかもしれない。
 きっとこれは疑心暗鬼だ。ヒワイドリ君はそんなこと思っていない。そう心に言いきかすも、行動は真実を知る前とは明らかに違っていたのは言うまでもないことかもしれない。
 とにかく、もうヒワイドリ君とは面と向かって話せなくなっていた。
 フグには毒がある。その毒を恐れて、誰も近寄らずにフグは孤独を生き、孤独のままその身を海原の糧となるまでを日暮らすのだ。毒が消えるのは、転生を終えたあとなのだ。
 そうして途方に暮れていると、いつも間にか日は山を掠め、空を赤く染めていた。今まで見たことのないほどの赤だったけれど、僕はその情景に心を動かされることはなかった。
 小川に紅葉が浮いていた。赤く染まったそれは、焼け果てる寸前の祀り火のようでもあった。
 紅葉なんて嫌いだ。その命を全うしてもなお、人々を癒し続けるのだから。生けるときはもっての外だ。
 対する僕は一体何者なのだろう? そもそも疫病神を祓う存在でありながら、人々には感謝されやしない。そんな人たちのために、厄を払う必要なんてあるのだろうか?
 昔はそんなことなかった。こんな僕でさえ感謝されていたはずだ。でも、神が形骸化された今となっては、もう僕の存在価値なんて皆無と言っていいのだろう。
 沢の葉は、次第に数を増していき、河のほとりの巌(イワオ)に宿る――ここが彼らの死に場所なのだろう。
 僕も、どうせなら……そう思った矢先だった。
 川上から、静かな歌声が聞こえたのは。
   もみぢ葉の 流れてとまる みなとには 紅(クレナヰ)深き 浪やたつらむ
 その、清静とした旋法を久しく耳にしていなかった。むしろこんなにも短くて歌が成立してしまうのかと驚いてしまったくらいだった。
 懐かしい歌だ。これは確か、古今和歌集の一首で、ちょうど河口に溜まった紅葉を詠ったものだった。
【長編文章】鬼子SSスレ2【巨大AA】
26 :歌麻呂 ◆Bsr4iViSxg [sage]:2010/11/16(火) 16:04:53 ID:JIbvnC/y
 すぐ上流に、少女がいた。今どき珍しい着物は、朱色をしていて、あの憎たらしい紅葉を服従させ、そのまま服として従わせているようだった。膝を折り曲げて畔にちょこんと座り、白い手はせせらぎにそっと触れ、形の変わる水晶を掬っていた。
 夕陽は零れ落ちた珠玉に集光し、それから美しい魔法に変換されて、僕のアイリスを刺激させる。
 少女は鬼だった。その頭から生える二本の角を見れば瞭然のことだ。元は国ツ神と呼ばれた守り神だったけど、間もなく転落し、人や神を卑しめる存在となってしまった。
 その鬼が、目前にいる。
 本能的な危機を感じ、冷や汗が滲み出てくる。僕たちにとって鬼は天敵だ。疫病神は祓えても、鬼は祓えない。その程度の紙級の神なんだ。
「どうしたのかしら? 浮かない顔したヤイカガシさん」
 その声に肺が小さくなる。
 知らぬ間に僕の天敵はすぐ側にまで近付いていた。もう足はすくんでしまって動けない。いや、鬼を見たときから、とっくに足はすくんでいたのだ。
「く、喰らうなら、早く喰らえ!」
 精一杯強がることしか出来ない。噂では、鬼は嬲りに嬲ってから舐めまわすように口の中で四肢をかき混ぜながら喰らうのだという。死ぬのなら、せめて一瞬で死にたい。
「むぅ、なによ。私そんなにあなたのこと取って食べちゃいそうな顔してるかな?」
「と、当ぜ……」
 言い掛けて、鬼の姿をまじまじと見返す。小さな僕と背を合わせようとしているのか、先程畔にいたときのように屈みこんで、それから小首を傾げて微笑んでいる。
 冷静な第三者から見れば、どう見ても獣のそれではなかった。獣は僕の方だ、僕の中のヒワイドリがこの少女に喰らいつきそうになる。
 少女は角があることを除けば、ごくごく普通の女の子であった。
 ……いや、それは違う。こんなに美しい人は、根気良く探り歩かなくては巡り会うことはないだろう。それも、都会ではなく山奥の村のような田舎で。
 電気も通っていない世界に一つ佇む大屋敷。その中で静かに暮らしている箱入り娘……。そう、この長く真っ直ぐに伸びた黒髪なんてまさに和のお嬢様だ。
「それで、お前みたいなやつがどうしてこんな所にいるんだ」
 話題を変える。これ以上沈黙を続けると何か抗えないものに屈してしまうような気がした。
「私は……ヒマつぶしだね!」
 そんな偉そうに言われると反応に困る。
「ヒマなら適当に人でも襲えばいいんじゃないの?」
「そんな毎度毎度やってたら疲れちゃうよ」
 殺ってる? 平然と残酷なことを言う女だった。
「それに、今だって……」
 少女は言い掛けた言葉を呑み、僕の背後の見た。振り返ると、下流の方から小さな影がこちらへ向かってきているのが見えた。


もし続かせて頂けるのであれば、にこぽん投票が終わったときにでも。
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452 :歌麻呂 ◆Bsr4iViSxg [sage]:2010/11/16(火) 16:09:28 ID:JIbvnC/y
>>413
紅葉舞い 肌身震える 近頃に わがほるゆみし 春の兆し
(紅葉が舞う風が寒い今日この頃ですが、頬がゆるむ春の兆しがあります)

昨日のうちに投票始まってたんですねorz
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457 :創る名無しに見る名無し[sage]:2010/11/16(火) 16:28:03 ID:JIbvnC/y
>>455
いくらだ? 高いんなら臓器くらい売るが。
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514 :創る名無しに見る名無し[sage]:2010/11/16(火) 22:24:36 ID:JIbvnC/y
>>462
おお、これで臓器を売らずに済みそうだ……。
丁寧な解説ありがとうです^^


あと、せっかくSSスレが再建されたみたいなので書いてみた。
http://yuzuru.2ch.net/test/read.cgi/mitemite/1289833811/25-26
まさかのヤイカガシが主人公ということで。
比較的硬い文章しか描けないんだ、申し訳ないです……。
【小日本】萌キャラ『日本鬼子』製作17【募集中】
525 :創る名無しに見る名無し[sage]:2010/11/16(火) 22:46:02 ID:JIbvnC/y
>>521
これはいい……。
出来たら絶対買ってやるぜぇ。
【長編文章】鬼子SSスレ2【巨大AA】
27 :歌麻呂 ◆Bsr4iViSxg [sage]:2010/11/16(火) 23:32:16 ID:JIbvnC/y
あ、>>25>>26の補足を。
私なりの鬼子、およびその他のキャラ、ストーリーを編んでいますが、どうも「HAKUMEI」の流れを含んだ作品になってしまってます。
というよりも、あの曲を聴いたのちに作品を書くとなると、どうしてもこうなってしまう……。
創作力に乏しいのです、はい……。お許し下さいませ。
【小日本】萌キャラ『日本鬼子』製作17【募集中】
558 :創る名無しに見る名無し[sage]:2010/11/16(火) 23:47:30 ID:JIbvnC/y
>>556
も、萌え散った……。


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